小松基地航空祭2012

2012.09.23



      石川県小松市に所在する、航空自衛隊小松基地の航空祭に参加して来ました。小松は2年ぶりなので非常に楽し
     みにしていたのですが、前日の小松市内の天気予報は全時間帯で降水確率50%。2日前までは晴れマークがずら
     りと並んでいたのに、何か小松はいつもこんな感じのような・・・とボヤきつつ、前夜遅くに小松入りです。そのままJR
     小松駅にて夜を明かし、翌朝6時前に小松基地正門前に移動。
      この時点で既に雨がぱらぱらと降っていてかなり冷え込んでおり、開門待ちの数も200人程。少し離れた所にある
     東門の方ではもう少し人数は多かった様ですが、やはり例年に比べると、天気が悪い分人の集まりもよろしくないよ
     うです。


      そのまましばらく待って、0700開門。ロープ際最前列を求めて恒例の開門ダッシュが始まりますが、私は人の群れ
     を避けてちんたらちんたらと歩きます。
オープニングフライトは0745からなので、それまで朝食がてら、屋台を見て歩
     くとしましょう。
      格納庫裏手の広い道路沿いには、見渡す限りと言ってもいいほどの大量の屋台群が並んでいます。ざっと見て行
     くと、焼き鳥フライドポテト焼きそば肉巻きおにぎり串焼きたこ焼き唐揚げかき氷タン塩オムそば佐世保バーガー、さ
     らにインド料理タンタンメンカレーライスだんご駅弁タコライスホルモン焼き
と、さすがは10万人以上が集まる航空祭、
     殆ど繁華街の様なラインナップですね。よく見るとアンコウ鍋の屋台まであって、もう何でもアリだなあ。
      自衛隊グッズのテントも沢山出ていて、中には宇宙食のフリーズドライ食品まで売っています。コスモアイル羽咋
     らの出店でしょうか。


      それにしても、ここまで屋台の数があると目移りしてしまいますね。あれこれ悩んでも埒が明かないので、エイヤっ
     と目の前の亀山みそ焼き肉うどんなる屋台に飛びこみます。大きな鉄板の上では大量の焼きうどんが作られていて、
     実に美味しそう。
      とりあえず一つ購入すると、既に作り置きしてあるパック詰めのものではなく、今焼き上がったばかりの熱々を鉄板
     から詰めてくれました。
冷たい小雨がぱらつく中、とても嬉しい心遣いです。茶色いソースがド太い角ばったうどんに
     ぬらぬらてらてらと絡まり、これは期待できそうですよ。先ずは一口。
      おお、これはなかなか。ボリュームのある太うどん濃厚な甘辛味噌味のタレによく合っていて、素晴らしく美味い!
     シャキシャキのキャベツもいいアクセントで、この乱暴に作った味わいが実に屋台グルメの醍醐味ですね。航空祭の
     屋台はあまり期待できないところが多いのですが、これは嬉しい大当たり。いやあ美味しかったなあ。


      さて、まだ時間はありますし、もう一品何か・・・あ、これ、ピンときました。イカスミ焼きそば。2つ続けて麺類かよ!
     とも思いましたが、ここはインスピレーションに従いましょう。500円払って、これも熱々のイカスミ焼きそばを受領し
     ます。
      うーん、成程イカスミですねこれは。真っ黒な焼きそばにこれまた真っ赤な紅ショウガ真っ白な天カスが散りばめ
     られ、正直ぱっと見はかなりグロいです(笑)。随分前に山の中で、こんな色づかいの巨大な○○を見た事がある様
     な気が・・・。いやいやいやいや、思い出さない思い出さない・・・。
      しかしお味の方は素晴らしく、これも大当たりでした。イカスミと焼きそばソースが、こんなにも相性がいいとは思い
     ませんでしたよ。
具のイカもぷりぷりですし、面白美味いと言えばいいのかな?一発芸の飛び道具かと思いきや、大
     した実力を持った焼きそばであります。
これっていったいどこの名物なんだろう。イカスミ好きには是非挑戦してみて
     欲しい一品
でした。


      ここでオープニングフライトが始まるとのアナウンスが。おっとっと、のんびり焼きそばを食べている場合ではありま
     せん。
急いで第2格納庫を抜けて、エプロンに向かいます。とりあえずエプロン中央に展示してあるF−15T−4
     ロープ際にポジションを決めて、ここから見る事にします。


      そして2機のF−15がテイクオフ。おおおお、この排気音を聞くのも久しぶりだなあ。朝一番という事で、アフターバ
     ーナーを控えたおとなしい離陸ではありますが、やっぱりワクワクしてきます。
      ここで会場内に流れているBGMが、『私の彼はパイロット』に切り替わります。開門前は静かなクラシック音楽でし
     たが、この辺りは陸や海とは違って、伝統に縛られないミリタリーカルチャーを持つ、空の自衛隊らしいリベラルさだ
     なあ。


      F−15に続いて、小松救難隊のUH−60Jも離陸。オープニングフライトと合わせて行われる、パラシュート降下
     の準備に取り掛かります。
      離陸した2機のF−15は、まずは一旦洋上に出て天候偵察を行うとの事。基地上空は先程よりも明るくなり、パラ
     ついていた雨もいつのまにか止んでいます。青空は望めそうにありませんが、今日一日なんとかこのままもってくれ
     たらなあ。

      そして先程離陸して行ったF−15が戻って来て、基地上空をぐるんぐるんと旋回。アフターバーナーを使った高機
     動ではありませんが、やっぱり巨大なF−15が頭上をぎゅんぎゅん飛ぶ様子は圧巻です。


      その合間に、基地上空900mから飛び出した救難隊のメディック3人が、大きな落下傘を展開して降りて来ました。
     上空には風があるのか、封筒型の落下傘はくるくると回転。メディックはそれを巧みにコントロールしつつ、エプロン
     に向けて降りて来ます。
      ここでBGMが円広志『水中花』に変わったのには笑ってしまいました。今まさに上空では、メディックが回転する
     落下傘を命がけで操っているのに、
      『飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで、回って回って回ってまわ〜るうぅううう〜♪』
      は無い様な気がしますが・・・(笑)。空自の人は本当にお茶目だなあ。


      3人のメディックは、無事エプロンに着地。よかったよかった。
      まだまだオープニングフライトは続きます。先程の2機のF−15が、今度はエアブレーキを展開したり主脚の着陸
     灯を点灯
させたりと、さまざまな状態で頭上をぐるんぐるんと旋回。薄暗い空に真っ赤な排気炎が鮮やかで、F−15
     の持つ途方もないパワーが感じられます。


      ちなみにアナウンスによると、このF−15が最大出力で飛ぶと、ここ小松基地から沖縄まで僅か30分で到達する
     そうです。凄いなあ、ちょっと沖縄まで昼ごはんを・・・というのも可能ですね。まあ往復の交通費(燃料代)が恐ろしい
     事になりそう
ですが。


      ここで富山県からの艦長さんとSAA水兵さんと合流。特設駐車場周辺の渋滞がエライ事になっていた模様で、なる
     ほどエプロンを埋めた人数もいつの間にかかなり増えて来ています。
      続いては、第306飛行隊のF−15による機動飛行展示。今度は気前よくアフターバーナーを焚いて、実にF−15
     らしいパワフル極まる機動を披露です。排気口からず太い炎を噴き上げて、翼端とエアインテークから派手にベイパ
     ーを引きながら、上空狭しと暴れまわるF−15。
ああ、この内臓に叩きつける様なぐわーんという排気音。堪らないな
     あ。


      さて、上空の機動飛行展示を眺めつつ、地上展示機の方へ向かいます。真っ青に塗装されたC−130輸送機
     山間部迷彩のC−1輸送機。間近で見ると、まさに見上げる様な巨体です。戦闘機をぎゅんぎゅん飛ばすのも気持
     ち良さそうですが、こういう巨大な輸送機を飛ばすのも長距離トラック野郎みたいで面白そうだなあ。


      エプロンの一角では防空関連の装備品が展示されていて、OD一色の周囲はさながら陸自のような雰囲気です。
     ちょうど20o対空機関砲の作動展示が始まった所で、乗り込んだ隊員さんが砲身をきびきびと動かしています。


      その砲身をよく見ると、6つある砲口がなんだか微妙にひしゃげた様な、変な六角形を描いています。何だこりゃ、
     まさか不具合という訳ではないでしょうが・・・。隣にいた隊員さんに尋ねてみると、
      「ああ、これは発射した20o弾をスプレー状に散らす為に、わざとこういう形にしてあるんですよ」
      用途としては一点に集中させるよりも弾幕を張る方が重要なので、あえてこの形にしてあるそうです。へー、知らな
     かった。


      開門直後はまだスカスカだったエプロンも、次第に混雑してきました。数万人が上空を舞うF−15に見惚れている
     中、地上展示のRF−4の取りついた機付員が、テキパキと機体のチェックを行っています。この後の飛行展示の準
     備なのでしょうが、上空の爆音を気にすることなく仕事に集中している様子がカッコイイなあ。


      エプロンの端では、花自動車が沢山の人を乗せて走っていますが、牽引しているトーイングカーF−15の形を
     しています(笑)。すごくカワイイのですが、よく見ると非常に細かく作り込んでありますね。エアインテークや翼端灯
     のあたりなんかも、ちょっと驚く程正確に再現されています。小松の隊員さんのクラフトマンシップには脱帽ですね。
     誘導している隊員さんのハンドサインも決まっていて、芸が細かいなあ。


      エプロンでは救難飛行展示が始まり、上空を旋回するU−125救難捜索機から、要救助者発見の際のマーカー
     を投下しています。すぐに救難隊のUH−60Jが駆け付けて、開いたカーゴドアから2名のメディックがロープ降下
     しています。


      さて、今のうちにトイレに入っておきましょう。今日は朝から冷える所為か、トイレの前にはもの凄い行列が。結局
     ここで30分近くをロスしてしまい、RF−4の飛行展示はエンジン音だけしか楽しめませんでした。とほほ。
      急いでエプロンに戻ると、この後の編隊飛行展示のF−15が続々と離陸して行くところでした。さすが2個飛行隊
     を擁する小松基地、F−15が数珠つなぎの様にとめどなく離陸して行くのが壮観だなあ。全部で12機ぐらいは上
     がったでしょうか。


      そしていよいよ編隊飛行展示の開始。ダイヤモンド編隊アローヘッドなど、様々なフォーメーションを組んだF−
     15が次から次へと基地上空を通過・・・
と言いたいところでしたが、隣接する小松空港に離発着する旅客機が合間
     合間に挟まるので、展示と展示の間が妙に間延びしてしまい、何とも見ている方の集中力が削がれてしまいます。
      うーん、小松ってこんなだったっけ?以前はもっとテンポがよかった様な気がするのですが・・・。空港の発着便が
     増えたのかな?
それはそれで地域経済が活性化していい事なのですが、うーん・・・。


      それでもT−4の後席にいるパイロットは、上空をパスするたびにしきりに手を振ってサービスを欠かしません。
     折やってくるF−15編隊も、曇り空をバックにアフターバーナーを煌めかせ、15の強烈な運動性能をこれでもかと
     ばかりにアピール。
うーん、やっぱり楽しいなあ、航空祭は。来て良かったなあ。


      最後は4機ずつに分かれて滑走路上空に進入し、右端の機体から次々とコンバットブレイク。全機着陸態勢に入
     ります。


      さらにまだまだF−15づくしは続きます。滑走路のエンドから急発進した2機のF−15が、あっという間に機首を
     持ちあげて一気にハイレートクライム。まさにロケットの様な勢いで、メロラップの如くガンガングイグイと上昇して
     行きます。


      それにしても、上空で軽々と身を翻すF−15を見ていると、とてもこれが25トンもあるとは思えませんね。もの凄
     いパワーです。内臓を震わせるエンジン音をエプロンに叩きつけ、真っ赤な炎を噴き上げながら曇天の空を舞うF
     −15は、まさにイーグルと呼ぶに相応しい力強さ。カッコイイなあ。


      以上で午前中のプログラムは終了。昼食をとって軽く休憩した後は、基地内をうろつきます。第3格納庫ではエン
     ジン展示やコックピット展示、兵装展示
などが行われていて、沢山の人で賑わっています。


      その端っこのほうでは修理隊選抜総選挙なるパネルが展示されていて、どうやら修理隊の面々の彼女募集企画
     の様です。ああ、そう言えば2年前にもこんなのあったな。投票用紙にはちゃんとメールアドレス記入欄もあり、修理
     隊の隊員さんの鼻息の荒さが伝わって来るよう。それぞれのプロフィールには一言メッセージがあり、各人の個性
     あふれる自己PRが書いてあるのが面白いなあ。
      イチオシとされているきぬぴーさんの一言は、『すごく持ってます(何かは想像にお任せします)』。その他、本気で
     彼女を探す気があるのか疑わしい様な一言
も多々ありましたが、個人的に一番気になったのが、さんの『僕と夢
     の国へ行きませんか』
という一言。静かに迫りくるようなアブなさが素晴らしい。


      そして修理隊だけでなく、補給隊武器小隊からも同様のパネルが展示されていました。小松の人達って・・・。
      さて、そろそろブルーインパルスの展示が始まる時間です。今頃地上展示してあるT−4の前では、ウォークダウ
     ン
が始まっている頃でしょうか。
      そしてエプロンにT−4の甲高いエンジン音が響き渡り、一機ずつタキシング開始。こちらからでは垂直尾翼の端
     っこが辛うじて見えるかどうか
ですが、おおおお、気分が盛り上がって来ましたよ。
      まずは1〜4番機による、ダイヤモンドテイクオフ。きっちりと密集隊形を保ったまま基地上空を旋回し、途中から
     スモークを焚いてダーティーターンへ移行。久しぶりのブルーインパルス、やっぱりカッコイイですね。


      続いて5番機6番機も離陸し、それぞれの演目を披露。
      がかなり低いところまで降りて来ているので、水平系中心の組み立てでしたが、2年ぶりのブルーインパルスは
     相変わらず素晴らしく、心底来て良かったと思わせる至福の50分間でありました。


      さて、以上で2012年の小松基地航空祭は終了です。小松行きのバス待ちの最後尾につきますが、覚悟はして
     いたものの、もの凄い人数です。しかし今年もかなりの数のバスをかき集めてくれた様で、東門からはひっきりな
     しにシャトルバスが出入りしています。そうこうしているうちに行列はどんどん消化して、あっという間にバスに乗り
     込む事が出来ました。
10万人を越える規模のイベントで、ここまでスムーズに帰れるというのはすごい事の様な
     気がします。当日の運営にあたった小松基地の皆様、並びに交通整理にあたった石川県警の皆様には感謝であ
     ります。


      その後はJR小松駅から加賀温泉駅に移動し、そこからバスに30分程揺られて山中温泉に到着。小松の帰りは
     いつもこの鄙びた山あいの温泉に寄って疲れを癒して帰るのですが、今日は地元の大きなお祭りがあるとの事で、
     普段は静かな町並みが大賑わいでした。正直人混みも屋台も食傷気味でしたが、風呂上がりに屋台の串焼きを齧
     ったり振る舞いの枡酒を頂いたりしているうちに、すっかりいい気分になっているんですから勝手なものですね(笑)。


      2年ぶりの参加となった小松基地航空祭、悪天候や前夜の夜明かしも含めてかなり疲れましたが、今年も実に楽
     しめましたね。

      さて次は、兵庫県伊丹駐屯地で行われる、中部方面隊の創隊記念行事に参加です。伊丹は隊員さんが明るいし
     屋台も素晴らしいし、今からとても楽しみです。観艦式は・・・聞かないでください(泣)。




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