護衛艦いそゆき一般公開 in阪神基地隊サマーフェスタ

2012.07.21



    兵庫県東灘区の阪神基地隊で行われた、護衛艦いそゆき一般公開に参加してまいりました。当日の阪神基地隊は
   サマーフェスタという夏恒例のお祭りが開催されていて、毎年沢山の屋台や各種イベントが盛り沢山なのですが、今年
   はどうしても午前の仕事の都合がつかず、仕事場を出発したのは1330。うーん、到着する頃には主だったイベントは
   終了していますし、屋台もあらかた売り切れ状態ですね。
    しかも阪神高速5号湾岸線神戸方向には黒雲が垂れこめ、雷鳴とともにフロントガラスには大粒の雨が。これはちょ
   っとこれはトホホだなあ・・・
とぼやきながら魚崎浜インターで一般道へ降り、近場のコインパーキングに車を乗り入れま
   す。うーん、午前中はいい天気だったのに(泣)。
    しばらく車内で雨足が弱るのを待ちますが、これでは埒があきません。ええい、思い切って行っちゃいましょう。




 阪神基地隊隊舎外側の階段から、護衛艦いそゆきを
撮影。完全に雨に煙っています。
 毎年なら沢山の屋台と見学者で埋まる眼下の駐車場
とテニスコートですが、雨が川の様に流れています。
 ちなみにいそゆきは、はつゆき型護衛艦の6番艦。
年前の佐世保地方隊と2年前の徳島県小松島港に続
いて3度目の乗艦で、はつゆき型の中では何かと縁の
ある艦です。

 そうかー、佐世保に行ったのはもう4年も前になるん
ですね。また行きたいなあ。




 体育館では毎年恒例の手作り飛行機教室が開催され、
沢山の子供達が楽しんでいます。
 他にも訓練用プールを開放しての水難救助講習会
操船シミュレーター体験等、様々なイベントが充実してい
ます。阪神基地隊での艦艇イベントも今年に入って既に
4回目ですし、本当に阪基はイベントに力を入れていま
すね。
 それより、体育館の壁に貼ってあった、
『外から見える所で裸(上半身・全裸含む全て)でうろつく
な!』

 という注意書きが。全裸含む・・・って(笑)。阪基の隊員
さんはなかなかワイルドでステキです。





 厚生センター休憩所で行われていた、艦艇模型展示。
『海上自衛隊60年 自衛艦艇の歩み』と銘打ってあり、
1/200スケールの精密模型がずらりと並んでいます。
 どれも細部に至るまで作り込まれていて、製作者の方
々の異様なまでの艦艇愛
に圧倒されてしまいました。
 一番手前右側は言うまでもなく護衛艦いせ。その他は
しらせ、ゆうぎり、ときわ、はるさめ、ちょうかい、はやぶ
さ、おおすみ。輸送艇2号や曳船66号
など、かなりマニ
アックな艦艇も展示してありました。







 こちらは護衛艦はるかぜ、あやなみ、みねぐもといった、
今はもう見る事の出来ない艦艇達です。
 そう言えば昔の護衛艦って、横っ腹に艦名が描かれて
あったんですよね。そういう艦艇を知らない世代である私
には新鮮です。
 その他にもくまの、ゆうだち、くすなども展示されていて、
さながら超時空観艦式とでもいうべき様相を呈していまし
た。







 こちらは旧海軍時代の艦艇。御存じ大和鳥海です。
 これ、作るのに一体どれぐらいの時間がかかったんで
しょうか。凄いなあ。
 奥にいる子供が熱い視線を送っています。









 護衛艦いせの左舷後方より、着艦体勢に入るヘリパイ
の視線を意識して撮影
してみました。
 一眼デジのレンズが壊れたままなので、小さなコンデジ
を持って来たのが功を奏し、色んなアングルから模型を
撮影できました。
 ああ、一度でいいからこんな光景を実際に眺めてみた
いものです・・・。
 「機長!着艦スポットが満車です!」
 「マジか・・・路駐すっか・・・」







 満艦飾も晴れがましい護衛艦ゆうぎり。ゆうぎりは私が
初めて体験航海に乗せて頂いた艦で、色々と思い入れが
あったので嬉しかったですね。
 和歌山県新宮港で乗艦したのはもうかれこれ8年も前。
艦内に『ワンダバ』を鳴り響かせながら出港した事は、未
だに鮮明に覚えています。
 あれからもう何隻もの自衛艦に乗せて頂きましたが、
ンダバを越えるBGMは未だにありませんね(笑)。
見事な
センスだったと思います。







 駐車場スペースではラジコンカーのコースがつくられて
います。持ちこんだラジコンカーを自由に走らせてもいい
というイベントですが、よく見ると舫綱でコースを作ってい
るのが海自ならでは。

 隣には障害物を組み合わせたラジコン戦車用のコース
がありましたが、どちらも生憎の大雨で殆どプールみたい
になっていたのが残念。






 雨がほんの僅かに弱まった隙をついて、いそゆきへ。
沖合の方では晴れ間が見えますが、埠頭ではざんざか
と雨が降り続いています。
 警衛の隊員さんは、黒のコートだけでじっと我慢。いか
にも旧海軍からの伝統を受け継いだ、海上自衛隊らし
いストイックさです。

 まあ陸や空の人達も、基本的に傘は差さないんですけ
どね。常に両手を使えるようにせよ、という心構えだそう
です。
 それにしてもはつゆき型の後部3段甲板、いつ見ても
カッコイイなあ。本当に美しい艦です。






 甲板に降った雨が、舷側のあちこちからの様に流れ
落ちています。考えてみれば当たり前の話ですが、ちゃん
と排水の事も考えてあるんですね(笑)。

 そりゃ外洋で時化にあえば、こんなもんでは済まないの
ですし。










 いそゆき右舷通路。端っこの方が完全に川みたいにな
っています。
普段は殆ど意識しませんでしたが、やっぱり
排水の為に傾斜がつけられているんですね。

 あと、白線内砂を混ぜた滑り止め塗料が塗られてい
るので安全ですが、それ以外の場所は濡れるととても滑
りやすい状態
です。皆様も雨天時の一般公開ではくれぐ
れもお気を付け下さい。







 じっと雨に打たれる76o速射砲。山本五十六長官の、
『苦しい事もあるだろう、言いたい事もあるだろう、不満な
事もあるだろう、腹立つ事もあるだろう、泣きたい事もあ
るだろう これらをじっと堪えて行くのが男の修行である』

 という有名な言葉を彷彿とさせる佇まいに、思わず襟を
正させられる気分でした。

 ちなみにこの隣にいた隊員さんは、艦橋にいた隊員さ
んとハンドサインで会話をしていました。スゲー、あれで会
話が出来るのか・・・。

 その隊員さんは途中で爆笑していたのですが、ハンドサ
インで笑いを取れるとは・・・
いそゆきの隊員さん達は半
端ではありません。






 いそゆき艦内の科員食堂。甲板の雨風から逃れて来
た人達が、まったりと過ごしています。
 冷房が効いていて快適ですが、横殴りの雨で全身ずぶ
濡れだった私は風邪をひきそう。
慌てて科員食堂を後に
します。
 隊員さんの生活感が感じられるので好きな場所なんで
すけどねえ、科員食堂。もったいない事をしました。









 いそゆき艦内通路。どこもかしこもピカピカで、雨の染
みた靴で歩くのが申し訳ない気分です。

 大型艦艇ではなかなかないこのタイト感、やっぱりはつ
ゆき型はいいなあ。











 いそゆき艦橋。雨の日の護衛艦というのも、なかなか
雰囲気があっていいですね。見学者の数も少なく、快適
でした。
 天井から伸びた伝声管、古い速力指示機、広すぎず
狭すぎない艦橋。今どきの最新鋭艦にはない味わい
あります。










 艦橋正面。当直士官の見る風景です。
 目の前にはアスロック発射機がありますが、なんだか
スキージャンプで大空に飛びだす直前の風景みたい
すね。そういう意味では、自然に緊張感を演出していて
なかなかアスロック発射機はよくやっています。
 この間乗せて頂いた護衛艦さみだれは、目の前のフ
ァランクスがオバケのQ太郎の後姿にしか見えず、脱力
感が溢れていた
ので好対照でした。







 艦橋を出て、左ウイング。ここで海上の見張りを行いま
す。双眼鏡探照灯があり、出入港時は隊員さん達が
慌ただしく動き回ります。
 はつゆき型はウイングから後方の旗甲板までがツライ
になっていて、開放感があっていいですね。正に『狭い
ながらも楽しい我が家』
といった趣です。
 はつゆき型の姉妹艦とでもいうべきあさぎり型は、この
後方がラッタルになっていて段差があるのですが、あれ
はあれで鍾乳洞の様な趣が・・・まあ、海自艦艇なら何で
もいいんですよ私は(笑)。







 飛行甲板に展示されていたSH−60J哨戒ヘリ。おそ
らく午前中は沢山の見学者に囲まれていたのだと思いま
すが、午後からの大雨もあって今は落ち着いた佇まい。
 雨ざらしになっていますが、一般公開が終わったあとは
格納庫に収容して、濡れた機体をすぐに拭き上げるんで
すよね。整備の人は大変だなあ。










 格納庫の片隅に展示してあった耐火服。ブーツの上に
頭部を覆うパーツが乗せてあって、スペースの限られた
艦内での収納の工夫なんでしょうか。
 このままトコトコと歩きだしそうで可愛らしい事この上な
ですが、ブーツに染みついた歴代隊員の濃厚な足のア
ロマがこもって・・・いや、考えるのは止めましょう。











 はつゆき型の格納庫は、正方形というよりも縦に長い
ので天井が高く感じます。この辺りもはつゆき型のトップ
ヘビーな印象を強めている
んだと思いますが、艦内はど
こもかしこも天井が低いので、シャッターを下ろしていて
もここだけは広々と開放的
ですね。











 格納庫内にあった、脱出ハッチ。万が一の火災浸水
の際には、このハッチを開けて艦の外に脱出します。
 強度の関係上なのかギリギリの大きさしかなく、私はな
んだかつっかえてしまいそう・・・。













 埠頭から見上げたいそゆき艦橋。この艦橋下部の、
めになっている所に私はきゅんと来ますね(笑)。

 今どきの護衛艦にはないごちゃごちゃした感じなのに、
全体が富士山の形にすっきりと纏まっているところなん
かも、はつゆき型の美しさだと思います。











 艦尾にはためく自衛艦旗。この日は終始山側から海側
に強い風が吹いていましたが、これが所謂六甲おろし
て奴なのでしょうか。
 その土地柄から阪神ファンが多数を占めると思われる
阪神基地隊、
隊員さん達は格別の思いをもって敬礼して
いるのでしょう。









 結局この日は午後からずっと大雨が降り続き、私も
ぶ濡れ
になってしまいました。少し離れた所にあるバス停
までは阪神基地隊がシャトルバスを出していたのですが、
敷地の外につくられた乗り場を変更し、埠頭までバスを横
づけしていました。

 また艦尾では、あまりの悪天候に不機嫌になった小さな
子供
が泣きだしてしまい(マニアのお父さんが引っ張り回
したのでしょうか?)、傍にいた一等海佐が柔和な困り顔
で、
「うーん、ごめんねー」
 としきりに謝っていたのもいい光景。阪神基地隊の隊員
さんはいい人達ですね。





    実はこの一般公開では士官室が休憩場所として開放されておりまして、初めてはつゆき型の士官室に入る事が出来
   ました。へー、20人分も席があるのか、結構広いなあ・・・と珍しげにあちこち撮影していたのですが、入って来た時と別
   の入口から外に出ようとすると、入口にいた隊員さんが別の見学者の方に
    「ここが士官室です、撮影はご遠慮ください」
    えっ?ここって撮影禁止だったの?言い訳になりますが、2ヵ所あるうちの別の入口から入った時は隊員さんは何も言
   わなかった
ので、無神経に撮影してしまいました。これじゃ私、隊員さんの言う事を聞かない悪質な艦艇マニアみたいじ
   ゃないですか・・・。何だかじわじわと恥ずかしくなって来ましたよ(泣)。

    ちゃんと言ってよー!と思いましたが、よく考えれば
    「ここは撮影してもいいですか?」
    と確認しなかった私の方に非はありますね。自衛隊イベントを回ってもうかれこれ9年目、これがまさに慣れから来る
   油断
って奴なんでしょう。
    ずぶぬれになった上にかなり痛い勉強となりましたが、今月末は前半戦のメインディッシュとも言うべき舞鶴サマーフ
   ェスティバル
が控えています。『今一度初心に戻り、気を引き締めよ!』という事だと解釈して、帰路につきました。




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