![潜水艦救難艦ちはや・掃海艇くめじま一般公開 in阪神基地隊](logo12511.gif)
2012.05.13
![](2012chihaya1.jpg)
兵庫県神戸市の阪神基地隊で行われた、潜水艦救難艦ちはやと掃海艇くめじまの一般公開に参加してきました。
本日のメインであるASR403潜水艦救難艦ちはやは、海中で事故を起こした潜水艦に閉じ込められた乗組員の救
難作業に特化した艦で、艦中央部に格納されたDSRV(Deep Submergance Rescue Vehicle)と呼ばれる深海救難
艇を甲板にあけられたセンターウェルから垂直に海中に降ろし、直接潜水艦のハッチにドッキングして救難作業を行
う事が可能です。
他国海軍でも潜水艦救難艦を運用していますが、多くは艦の舷側から小型潜水艇をクレーンで下ろす方式な為、悪
天候時の運用性に問題があり、ちはやの様に少々の荒天をものともせず救難作業を遂行できる艦は世界的にも貴重
だそうです。
またこのちはやには、GPSデータと連動して艦首と艦尾のスラスターを微調整できる機能が備わっており、潮流の速
い海域でも海上の一点に長時間とどまる事が出来るとの事。
他にもレントゲン室や手術室を完備した高度な医療システム、潜水病の初期対応のための減圧室などを装備し、歴
代艦長も潜水艦艦長経験者から任命されるというかなり特殊な艦であります。
![](2012chihaya2.jpg)
埠頭に停泊したちはや。艦の中央部に巨大なDSRV
(深海救難艇)を搭載しているため、見た目の恰幅があ
り実に頼もしい雰囲気を漂わせています。
基準排水量は5450dと、実際にかなり大柄です。
![](2012chihaya3.jpg)
ちはや舷門です。DSRVのおしりが見えています。
4年前に大阪湾の堺泉北港で一般公開された時は、
格納庫に収まった状態だったのでよく見えませんでし
た。今日は見に来て大当たりです♪
ちなみに艦首に比べるとここは甲板一層分低い構造
になっていますが、これはDSRVの整備の際に地上に
降ろし易い為にこうなっています。
![](2012chihaya4.jpg)
ちはや乗艦。目の前には巨大なDSRVが迫って来る
様です。
後部のスクリュープロペラを覆うリング状の構造物は、
これ自体が左右に動いて舵の役割を行います。
ポンプジェットの様に推進効率を上げる類のシロモノ
ではありませんが、スクリュープロペラ自体を保護する
役割も果たしています。
![](2012chihaya5.jpg)
DSRVの後方のスタン・スラスター。潜水艇の左右を
一本のパイプが貫通していて、中央部に設置された小
型スクリュープロペラを低速で回転させることにより、海
中でDSRVの姿勢を変える事が出来ます。
同様の装置は他の海自艦艇や民間の大型商船にも
採用され、狭い港内での入出港時に使用されます。
![](2012chihaya6.jpg)
スタン・スラスターの斜め後方下部に取り付けられた
水中灯。強力な光で、潜水艦へのドッキングの際の後
方視界を確保します。
透明度の低い海域での運用も考慮され、その光量は
相当なものだそうです。
発熱量も半端ではなく、地上で点灯させるとあっとい
う間に溶けて使い物にならなくなるとの事。
![](2012chihaya7.jpg)
DSRV後部全景。真下はちはやグッズ販売コーナー
になっていました。
それにしても、こうして見ると甲板には見えませんね。
どこかの鉄工所か整備工場にいるみたいです。
![](2012chihaya8.jpg)
DSRV前部全景。まさしく小型潜水艦!と言ったフォ
ルムです。
前部にある丸い穴はバウ・スラスター。斜め前方下部
には水中灯も確認できます。
後方の大きなシャッターはDSRVの格納庫で、運用時
はちはやを固定するフレームごと前方に引き出され、艦
底部の扉を開放してプール状に開いたセンターウェルか
ら海中へ潜って行きます。
![](2012chihaya9.jpg)
ちはや艦尾の飛行甲板です。ヘリの発着スポットは
一箇所のみですが、かなり面積があるので大型ヘリも
問題なく運用できます。
![](2012chihaya10.jpg)
ちはや飛行甲板から左舷へ降りるラッタルです。海
自艦艇の御多分に漏れずかなり急な角度なので、見
学者の人達は恐々と降りていました。
小さな赤ちゃんを抱いたお母さんがいましたが、隊
員さんが赤ちゃんを抱いてほいほいとラッタルを降り
ていて、周囲からはちょっとしたどよめきが(笑)。
気は優しくて力持ち、さすがちはやの乗組員です。
![](2012chihaya111.jpg)
埠頭から見たちはや上部構造物。これだけ見ると、
どうも艦艇には見えませんね。何かの生産プラントか
化学工場みたいでした。
![](2012chihaya251.jpg)
以上、潜水艦救難艦ちはやの一般公開でした。前回見る事が出来たRIC(Rescue Infomation Center)や艦橋
の公開が無かったのは残念でしたが、日曜日に行われたわずか2時間だけの一般公開と言う事で、短時間で沢山
の見学者が押し寄せることは想像に難くなかった為、さすがにそこまでは無理でしょうね。
さて、続いてはすぐ隣で行われた掃海艇くめじま一般公開を見に行きます。
![](2012chihaya12.jpg)
向かって左側が本日公開されたMSC676くめじま。
右側がMCL728掃海管制艇いえしまです。
後方にはMCL727掃海管制艇さくしまも停泊して
いて、今日はかなり豪華なメンツでした。
![](2012chihaya13.jpg)
埠頭の片隅には、おそろいのマウンテンバイクが置
いてありました。もしや…と見て見ると、『いえしま1号』
『いえしま2号』との物品タグが(笑)。
通常は所謂ママチャリが多い搭載自転車ですが、マ
ウンテンバイクというのは珍しいなあ。
折り畳み仕様なのが小さな掃海艇らしいですが、前
かごはつけた方が運用性が高まると思うのですが・・・。
![](2012chihaya14.jpg)
埠頭の片隅に何やら妙なものが・・・よく見ると、防舷
物をぺちゃんこにしたものでした。へー、空気を抜いた
状態で、というのは初めて見ました。
普段はまるまると太ったSHIBATAくんですが、見事
ダイエットに成功した模様。私も見習いたいです(笑)。
![](2012chihaya15.jpg)
くめじま前甲板の20o機関砲。海賊船や不審船に
向けてオラオラするのではなく、水中処分員が海底か
ら切り放して浮上させた水中機雷を、安全な距離から
爆破処分するための装備です。
操作する際は目の前に機関部があるため、耳栓を
していてももの凄い音がするそうです。
![](2012chihaya16.jpg)
後部甲板に設置された機雷処分具S−7。阪神タイ
ガースのお膝元らしく、モロにそのまんまの虎のイラス
トが描かれています。まあイメージカラーですしねえ。
阪神ファンと思しき沢山の見学者が入れ替わり立ち
替わり嬉しそうに撮影していましたが、阪神ファンでは
ない私は、痛車を見る一般人の様な冷めた目で眺め
ておりました。
![](2012chihaya18.jpg)
くめじま艦橋後部の海図台です。くめじまは磁気機雷
が反応しない様に船体の殆どを木材で作られており、
船内もいたるところが木製です。
その為、任務は極めて危険でハードなのに、艇内に
は不思議な温かみのある雰囲気が漂っています。
![](2012chihaya19.jpg)
艦橋海図台脇に妙なシロモノを発見。えーと、何な
んでしょうかこれは。グリスペンの線でも消すのかな?
傍にいた隊員さんに尋ねてみると、
「ああ、これで洟をかむんですよ」
という予想だにしない答えが返って来ました。
確かに箱ティッシュよりも安上がりだとと思いますが、
くめじまの人達は花粉症が多いのでしょうか・・・。
![](2012chihaya201.jpg)
くめじま艦橋。他の艦艇とは違ってほぼ正方形な
上に艦橋自体が小さいので、非常に採光がよく明る
い作りです。
![](2012chihaya21.jpg)
艦橋にいた係の隊員さんが、見事なラッパを披露
してくれました。
ちなみに、陸海空3自衛隊で日常的に使用されて
いるこのラッパですが、陸と空は共通のものを使っ
ていて、海は若干短めのサイズのラッパを使ってい
るそうです。
やっぱり収納スペースに配慮したのでしょうか。
![](2012chihaya22.jpg)
ちなみに皆様、掃海艇では艇長席と副長席の位置
が逆になっている事にお気づきでしたでしょうか?
通常の海自艦艇では艦の右舷側が艦長席なので
すが、掃海艇では左側が艇長席になっています。
その理由は、航海中に艇長が頻繁に確認するレー
ダー装置の画面が艦橋左側にあるためで、言わば
機器の配置の都合で通常副長が座るポジションに
艦長席が据えられています。
![](2012chihaya231.jpg)
これが件のレーダー装置の画面です。レーダー自
体を操作する隊員さんは別にいるのですが、艇長が
覗きこみ易い様に、ディスプレイを囲っているひさし
の一部が折れ曲がる仕様になっているのが面白い
ですね。
ただ、このレーダー装置も新しい掃海艇からは右
側に設置されるようになり、それに伴って艇長席も同
じく右側に変更になっているそうです。
以上、掃海艇くめじまの一般公開でした。阪神基地隊には第42掃海隊が配置され、掃海艇の姿は一般公開や
夏に行われる阪神基地隊キッズサマーフェスティバル等でお馴染みなのですが、見るたびに様々な発見があって
とても興味深いですね。
今年は5月末に香川県高松港で行われる掃海殉職者追悼行事関連の掃海部隊の艦艇一般公開にも足を延ば
してみようと考えているので、阪神基地隊キッズサマーフェスティバルと合わせて、これまで以上に掃海部隊を身
近に感じられるシーズンになりそうです。
これまであまり語られる事の無かった掃海部隊の足跡については、『海をひらく』(桜林美佐著 並木書房)という
素晴らしい一冊があり、私的に是非お勧めですので、興味を抱かれた方は是非読んで頂きたいと思います。
![](2012chihaya24.jpg)
阪神基地隊の隊員クラブ『NAVY club六甲』の入口に貼られたお品書きです。
しめサバ!いか一夜干し!牛スジどて焼き!串カツ!冷や奴!モロキュー!にんにく唐揚げ!
夜の神戸のお洒落な雰囲気を台無しにする、オッサンパワー大爆発で嬉しくなりました。
しかしよく見ると、ダチョウステーキ、ダチョウ砂肝という珍メニューも(笑)。食べてみたいなあ。
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