舞鶴地方隊展示訓練

2011.07.24




    若狭湾で行われた舞鶴地方隊展示訓練に参加して来ました。前回参加した3年前は、前日から舞鶴入りして舞鶴の美味し
   いホルモン焼き
を堪能したのですが、今年は前日まで仕事が立て込んだため、当日早朝に自宅を出発。夏休みに入って最初
   の日曜という事もあって渋滞が心配でしたが、中国道からスムーズに舞鶴若狭道に入る事が出来、0700には舞鶴造修補給
   所横の駐車場に到着です。目の前には、本日乗艦させて頂くDDG176護衛艦ちょうかいのお姿が!手前にはAMS4301多
   用途支援艦ひうち
、後方にはハルナンバーが見えませんがあたご型護衛艦の巨大な艦橋が見えます。あたごかな?それとも
   あしがらが来てるのかな?先程北吸岸壁正門前を通った時にはそうりゅう型潜水艦がちらりと見えましたし、今年もかなり豪華
   なラインナップで迎えてくれる模様です。いやー、朝からテンションが上がるなあ♪


    今年はもう一つ個人的に楽しみな事があります。以前当HPに相互リンクさせて頂いた『J‐NAVY World』のHARUNAさん
   も同じくちょうかいに当選したとの事で、是非当日お会いしましょうと連絡を取っていたのでした。お互いの目印を決めているの
   で(私は江田島幹部候補生学校の識別帽)、今日は何としてでも先にタリホーせねば。
    しばらくして富山県から遠征して来た艦長さんSAA水兵さんと合流し、シャトルバスに乗り込んで北吸岸壁まで移動です。
    その艦長さんですが、なんと昨日も展示訓練に参加していたとの事。なるほど、腕も顔も真っ赤に日焼けしています。敦賀港
   から出発の護衛艦はまゆきに乗艦していたそうですが、いやはや凄いマニア魂です。
    乗艦場所である舞鶴地方隊北吸岸壁に到着すると、目の前にはあたごの巨大な艦橋が聳え立っています。うーん、あたご
   型を見るのは初めてなのですが、やっぱりでかいなあ。艦内に舷梯を収容すると舷門自体が防水隔壁で閉鎖できるようにな
   っている上構、こんごう型よりも高い位置にある後部フェイズドアレイレーダー、平面構成のマスト、哨戒ヘリを収容できる格納
   庫…。こんごう型と似ているようで、全然印象は違いますね。うーん、乗ってみたいなあ。


    ちょうかいの飛行甲板では朝の分隊整列が始まっていて、海自の誇る大型艦らしく、沢山の乗組員が集合しています。ワク
   ワクしながら乗艦受付テントで手続きを済ませ、いざ乗艦!
    それにしても、展示訓練ではイージス艦に当たる事が多いなあ。もちろん大型艦なので単純に乗艦者が多い、という事もある
   のですが、今回を含めてこれまで5回参加した展示訓練のうち、3回がこんごう、みょうこう、ちょうかいなんですよね。イージス
   艦に乗ると航行中のイージス艦が見れない
という大きな矛盾を抱える事になるのですが、これは果たしてツキがあるのやら無
   いのやら…。
    とりあえず人の流れに乗って、舷門から前甲板へ向かいます。上構内の舷側通路を抜けると、巨大な127o単装速射砲が
   目に入り、振り返るとそこには巨大な艦橋構造物。うーん、イージス艦だなあ。その前に立ちはだかるかのように構えているフ
   ァランクスも頼もしい。


    その後は後甲板の煙突部後方にある防水扉から艦内に入りますが、やっぱり大型艦だけあって通路も広々。空調も効いて
   いて実に快適です。
何処を見てもホコリひとつ見当たらないのは、本当に乗組員の人達が艦を大事にしているんですね。
    科員食堂はまだ人気がなく、ガランとしていました。大きなスチールキャビネットには沢山の本が入っていましたが、見事なま
   でのノンジャンルぶり。ざっと眺めて見ても傾向や偏りは全くなく、まるで古本屋のワゴンセールみたい。


    調理室内は残念ながら覗けませんでしたが、自由に飲んでいいお茶が業務用のジュースディスペンサーに入っていたのは新
   鮮だなあ。普通はベコベコに凹んだステンレス製のウォータージャグに入っている事が多いんですけどね。
    そしてこのちょうかい科員食堂、個性的な掲示物というのが殆ど見られません。なんかあっさりと言うか物足りないと言うか。ま
   あ司令や幕僚が乗り込む機会の多い艦だと、どうしてもこうなるのかなあ。はつゆき型やあさぎり型のDDでは、突っ込みどころ
   の多い珍妙かつ味わい深いポスターや掲示物が多くて、見ていて楽しいのですが。

    科員食堂を出ると、通路の片隅に妙なものがありました。丸い筒の上に金網が張ってあり、なんだか焼き肉用の無煙ロース
   ターみたいです。
隊員さんに尋ねてみると、どうやら火災などで艦内に充満した煙や有毒ガスを艦の外に排出するための、大き
   な送風機だそうです。へー、隣の円筒には蛇腹のホースが入ってるんですね。


    壁面にはちょうかい艦長である大川努一等海佐の写真があり、指導方針は『誠実』『創造』。しかし若く見える艦長さんです。
   一等海佐だから若くても40後半あたりだと思うのですが、30前半と言っても十分通じそう。
    士官室は扉が開いた状態でカーテンが引かれていて、恐らく招待者用の控室になっているのでしょう。いいなー、一度でい
   いからそういう身分で乗艦してみたいなあ。
    一層下の甲板に降りると浴室がありました。曹士用でも艦内の幾つかに分かれているせいか、ステンレス製のバスタブにシ
   ャワーのカランが2つだけ、というやけに狭い浴室です。昨年四日市港で見た護衛艦しらねは、曹士用の浴室が2つしかなか
   ったので、その分広々としていて使いやすそうでしたが。
    しかしここ、入っていいのかどうかよく分かりません。立ち入り禁止の表示やロープはありませんが、隊員さんが普段使う浴
   室に土足で入るというのはどうにも抵抗が…。
結局浴室内には入らず、入口から撮影です。


    「これ位大きな艦でも、脱衣所ってのは無いんですねぇ。以前乗ってたゆうべつでは、居住区から浴室まで、全裸で腰だけタ
   オルで隠した状態で歩いて行ったんですけど」

    と、SAA水兵さん。ああ、そうでした。この人は以前大湊地方隊にて護衛艦ゆうべつに乗り込んでいたというかなりのツワモノ
   で、なるほど男所帯だとそんな感じなんでしょうねぇ。この時何故か私の頭に『ゆうべつバナナ園』というフレーズが浮かんだの
   ですが、色々と人格を疑われそうなので黙っていました。(何をいまさら)
    艦の左右を横断する通路を歩いていると、壁際に妙なものを発見です。施錠された頑丈な箱の中に、危急停止ハンドルと書
   かれた小さなレバーが2つあり、それぞれに1号GT主機、2号GT主機、と書いてあります。レバーの形はラリーカーのキルスイ
   ッチそっくり
で、何だこりゃ。
    「GTってのは、ガスタービンの事でしょうね」
    と、艦長さん。という事は、このレバーを引けばエンジンが止まってしまうんでしょうか。なんでまたそんなものがこんな何でもな
   い所に。


    後から隊員さんに聞いたのですが、これはちょうかいに4機搭載されているガスタービンエンジンのキルスイッチそのもので、
   レバーを引けば1、2号ガスタービンの燃料供給がカットされ、エンジンそのものを強制停止させる仕組みになっているそうです。
    「火災などで機関室に入れなくなった時に、これを引っ張ってエンジンをムリヤリ止めてしまうんですよ。めちゃくちゃ固いと言
   うか重いので、簡単には引けないんですけど」

    その後は艦橋に上がってみようと思いましたが、やはり上は人で一杯らしく、昨日も11時位までラッタルを閉鎖していたそうで
   す。まあ、艦橋は訓練展示が終わってから幾らでも上がれるでしょう。


    後甲板に出ると、出港時刻が近づいているらしく、甲板作業の準備が始まっていました。甲板士官の号令と共に隊員さん達が
   一斉に持ち場につき、埠頭では音楽隊がやってきて演奏開始。いよいよ雰囲気が出て来ました。
    そうこうしている間にも2隻の曳船がやってきて、甲板と連携を取りながらテキパキと舫い作業が進んでいきます。最後は岸壁
   とちょうかいとを繋いでいる舫がとかれ、音楽隊の演奏が一層大きくなる中、後方のあたごに見送られるようにして護衛艦ちょう
   かいは出港!
甲板に整列した隊員さんの真っ白い制服と黒く焼けた腕、バックに入ったあたごの暗灰色の艦橋がいいコントラ
   ストです。


    そしてちょうかいは徐々に速度を上げ、東舞鶴湾を後にします。いやあ、久しぶりだなあ、この感覚。空も少しずつ明るさと青
   さを取り戻しつつあるし、今日はこのままいけそうですね。
    左舷に見える第23航空隊基地を眺めていた時に、ふと知らない人に声をかけられました。あ、もしかして、HARUNAさんで
   しょうか?

    「いやー、その帽子を見まして、もしかしたら○○(私の本名)さんかな、と思いまして」
    くそう、絶対に先に見つけようと思っていたのに(笑)。見事に先にタリホーされてしまいました。これが戦闘機だったらとっくに
   撃墜されていた所であります(笑)。

    まずは、相互リンクして頂いたお礼も兼ねてご挨拶。どうやらHARUNAさんも昨日遅くまで仕事に追われていたそうで、昨晩
   九州を出発して京都まで辿り着いたのは深夜23時。先週は先週で青森県は八戸港まで遠征していたそうですし、何と言うか、
   筋金入りにも程がある…。ものすごい行動力だなあ。


    その後は艦艇談義に花が咲きましたが、その間にもちょうかいは若狭湾に浮かぶ小島の間を縫うようにして航行を続け、時
   おり大きな汽笛を鳴らしながら一路訓練海域を目指します。後方には、舞鶴西港から出港して来た護衛艦あまぎりの姿が見え
   てきました。
    ここで、先行していた護衛艦ちくまと艦位を入れ替えます。うわあ、いいなあ、ちくま。大阪湾ではなかなかお目にかかれない
   貴重なDE、独特の味わいがたまりません。この先どれだけ見れるか分からないあぶくま型護衛艦、しっかりと目に焼き付けて
   おかねば。


    さて、再び艦内を見て歩きます。あれ?酒保が開いている?と思ったら、どうやらここがちょうかいグッズ売り場になっていた
   模様です。一度に一人ずつしか入れない位に酒保は狭く、一日30分しか開かないという世界一営業時間が短い雑貨屋さん
   すね。
    赤青白のくるくる看板が回っている散髪室は、殺風景な狭い部屋に理容イスがどんと置いてあるだけ。
    機関室兼操縦室は、まるでどこかの発電所か工場のコントロールルームみたいで、ここで艦を動かしていると言うのがどうも
   ピンときません。計器と表示ランプに囲まれた狭い清潔な部屋に、7人ほどの隊員さんが詰めていました。
    通路の途中にある神棚は、壁面に埋まり込んだ造り。御神酒の中は実際は水が入っているそうですが、あの榊は本物なん
   でしょうか。


    その後は再び後甲板に戻り、展示訓練に備えて早めの昼食です。本日のメニューは、コンビニで買ったおにぎりとカレーパ
   ン。テンションを上げてあちこち歩き回るせいか、艦艇に乗るとすぐお腹が減るんですよね。
    「やっぱりKさん的には、こういう時は戦闘糧食じゃないんですか?」
    と、艦長さん。いや、それも無いではないんですが、戦闘糧食の試食って、結構体力使うんですよね。これは私の性分なの
   かもしれませんが、糧食のボケをいちいち拾って突っ込んでしまうと言うか…。自衛隊の糧食はまだ食べやすい方なんですけ
   ど、流出物をここで頂くというのもアレですし(笑)。
    さて、訓練展示開始まであと少し。ここで比較的空いていた前甲板へ移動します。しばらくすると、左舷前方の水平線上に、
   ぽつぽつと艦影が見えて来ました。おお、PG828ミサイル艇うみたか、LST4172輸送艦のと、AMS4301多用途支援艦
   ひうち、MSC675掃海艇まえじま!
ちょうかいの後方からはちくまはやぶさも距離を詰めて来ていて、これは豪華なメンツ
   であります。


    そしてひうちの後方に妙なものが見えます。海面から僅かに突き出た細長い竿のようなアレは…潜水艦の潜望鏡です!よく
   見るとほんの僅かに白い航跡を引いていて、どうやらこちらを追尾しているみたいです。


    しかし、流石に若狭湾は海がきれいです。深い群青色で、白い引き波との境目が実に鮮やかなアイスブルー。大阪湾はもっ
   と緑茶色に濁っているので、こんな雰囲気は無いんですよね。それでも、呉まで行くとかなりキレイになりますが。
    そうこうしているうちに、左舷前方の水平線近くのモヤの中から、3つの艦影が見えて来ました。先頭を切るのは敦賀港から
   のDD126護衛艦はまゆき、さらに北吸岸壁からのDDG177護衛艦あたごが続き、しんがりを務めるのは舞鶴西港から出港
   のDD154護衛艦あまぎり!どの艦も、ウイングや甲板からこぼれんばかりに乗艦者を乗せています。


    まずは自衛艦の敬礼。ちょうかいのウイングでは護衛隊群司令が敬礼を行っています。粛々とした雰囲気の中、青い空にラ
   ッパの音色が響き渡ります。


    それにしてもあたごはカッコイイですね。古い艦がステキーとか言いながらも、やっぱり最新鋭艦には最新鋭艦ならではの魅
   力があります。
いかにも現代の護衛艦、という感じです。


    ここで最後尾のあまぎりとすれ違った所で、ちょうかいは一気に舵を左に切ります。180度回頭してあまぎりに続くと、後方に
   ついてきているちくま、ひうち、はやぶさ、のと、海保から参加の巡視船ほたかがキレイに一直線に並んでいるのが見えました。

   いやー、これぞ展示訓練!すごい迫力です!


    後続の艦艇も次々と取舵をとり、隊列は単縦陣を形成。すぐに左舷後方から3機のSH-60J哨戒ヘリと1機のP-3C哨戒機
   がやって来ました。
    「次は右舷前方、潜水艦来ますよ!」
    昨日も参加して展示内容を押さえている艦長さんのナビに従い、すぐに右舷へ移動。うーん、遠くの方に潜望鏡らしきものが
   見えます。しかし遠いな、もっと引きつけて…と思ったら、潜水艦はいきなり浮上。2番艦であるあたごの正横あたりで浮上した
   らしく、ちょうかいからではほんの小さくしか見えなかったのは残念だなあ。
    それでも初めて見た浮上航行するそうりゅう型は、なかなか凄味がありますね。ぬらぬらと光る吸音タイルで覆われた耐圧船
   殻、艦橋基部を覆う流線型のフィレット、艦尾からネコミミのように飛び出している]舵。これからの海自潜水艦のスタンダード
   がこれになるんでしょう。いち潜水艦好きとしては、実に感無量な気分であります。


    次は左舷に戻り、SH−60J哨戒ヘリによるディッピングソナー展示。海面近くでホバリングした状態から水中ソナーを降ろし、
   海中に潜む潜水艦を狩り出しています。ローターが巻き起こすダウンウォッシュをもろに受けた海面は真っ白にけむり、その向
   こうを回り込むあたごがいい感じですね。その後は同じくSH-60Jによる海難救助展示が行われました。


    「次、右舷後方からミサイル艇来ますよ!」
    まるでララァに導かれるアムロの様に、すかさずポジションを入れ替えます。しかし、イヤなガンダムだなそれ…。
    右舷後方からは、ミサイル艇が高速で接近して来ました。ちょうかい自体もそれなりの速度で進んでいるのですが、はやぶさ
   は真っ白な波を蹴立てながら一気にちょうかいを追い抜いて行きました。

    続いてうみたかも、艦首をやや持ちあげ気味にして一気に後方から通過。いやー、やっぱりミサイル艇はいいなあ。


    そしてトリを務めるのは、海保からの巡視船ほたか。こちらもウォータージェット推進の大出力を生かして、はやぶさうみたか
   にひけを取らないスピードで駆け抜けていきます。
    その後3隻は艦隊の右舷で急旋回を見せ、真っ青な海面にキレイな○を3つ並べてあっという間に水平線のかなたにすっ飛
   んで行きました。そもそもミサイル艇同士での艦隊運動なんか普段はまずやらないと思うのですが、それでも海保を交えて3隻
   揃ってびしっとした展示を見せる辺り、それぞれの練度が相当なレベルで維持されている証拠なんだろうなあ。


    さらに息つく間もなく、左前方からはヘリによるフレアー放出展示。真っ赤に燃えるフレアーをポフンポフンと放ちながら、SH-
   60Jがパスして行きました。


    最後は三度現われたミサイル艇による、IRデコイ発射展示。海面を切り裂くようにして接近して来たはやぶさが、撒き散らし
   たデコイの雨の中からずばーっと飛び出して来た様子は、ミサイル艇好きにとっては鳥肌モノですね。さらに後続のうみたかは、
   先行するはやぶさのデコイの白煙を突き破るようにして疾走していて、もうたまりません。
    訓練海域狭しと暴れ回ったミサイル艇2隻は、最後までそのテンションを下げる事なく、「どりゃあああああああああ!」
   とミサイル艇好きだけにしか聞こえない雄たけびをあげながら、白波を蹴立てて去って行きました。


    以上で本日の展示訓練のプログラムは終了。各艦は出港地を目指して戻って行きますが、ここでもまだまだ見せ場があり、
   単縦陣を保ったまま一斉に右回頭。全艦艇が横一列になって航行する様子は、展示訓練ならではの実に力強い美しさです。
   左舷を行くあまぎりの向こうにはあたごはまゆきがその堂々たる雄姿を見せ、右舷ではちくま「まだまだ若い連中には負
   けないんだからね!」
と言わんばかりに、ぴたりと並走しています。


    背後のチャフ甲板を振り返ると、護衛隊群司令艦長が招待客に説明していましたが、その中に陸自の制服を着た2等陸佐
   が混じっています。地本部長さんかな?
    しかしこうしてみると、海と陸の隊員さんの違いがよくわかりますね。司令と艦長は実にすっきりとスマートなのに対し、陸の人
   はまるで熊とでも素手で戦えそうな位に強そうに見えます。


    その後は人気の少なくなった艦橋へ上がります。艦橋内は一応クーラーがついていますが、ウイングのドアが開けっ放しなの
   で結構気温が高いなあ。
    こんごう型はウイングが高いので、まるで低空飛行するヘリの上から護衛艦を見ている気分になります。


    そして再び単縦陣に組み直した艦隊の後方から、5機のSH-60J哨戒ヘリが低空で進入してきました。機体を左右にバン
   クさせつつ、ちょうかいの艦橋スレスレをかすめるようにして一気に通過。ウイングや甲板を埋めた乗艦者からは大きな歓声
   と悲鳴
が上がり、いやはや最後の最後までとことん楽しませてくれますね。


    隣にいた一等海尉の方も興奮気味で、
    「いやー、私、普段は小さいフネにしか乗った事ありませんので、こんなの初めて見ましたよ(笑)!」
    その後は後甲板に戻り、後部VLSの手前で体験航海恒例のラッパ展示を見学。海士の人が緊張気味にラッパを吹いている
   のに比べて、司会の海曹さんは実に堂々としたもので、
    「みなさん暑さのせいか、そろそろ拍手が弱々しくなってきましたね!」
    と、巧みに観客を弄って笑いを誘っていました。


    そして楽しかった体験航海も終わりが近づき、北吸岸壁入港を前にして後甲板のクローズが始まりました。
    前方からは朝方舞鶴湾内を爆走していた水中処分隊のRIBがやってきました。すると黒ウェットスーツの処分員が次々と海
   中に飛び込み始め、海面をぷかぷか漂いながらこちらに向かって手を振っています。お帰りなさいの挨拶なんだと思いますが、
   見ようによってはこちらに救助を求めている様にも見えます。本当にそうだったらどうしよう…と思いつつなんとなくそのままに
   してしまったのですが、遭難者…いや処分員はすぐにRIBに乗り込み、手を振りながら再び海面を飛び跳ねるようにして去って
   行きました。ああ、よかった、溺れていた訳でなかったみたいです。


    そして時刻は15時を回り、陽射しがやや和らいだ中、カナカナゼミの鳴き声に迎えられる様にして北吸岸壁へ。曳船が近
   づいてきて、甲板が急に忙しそうになります。後続のひうちとはやぶさも入港してきて、本日の展示訓練はこれにて無事終了。
    しかしまだまだやってくれます舞鶴地方隊。今度は接岸したあたごの前甲板から、水中処分員がロープ降下展示を披露す
   るとの事。艦長さんの機転で順光ポジションをキープ出来ました。


    あたご艦首部分に整列した処分員達は、約10mの高さの甲板から次々とラペリング降下を開始。幾ら慣れているとは言え、
   岸壁がすぐ近くまで迫っている海面によくもまあホイホイと飛びこめるもんですね。海面すれすれで急ブレーキをかけ、出来る
   だけ水しぶきと音を立てないで水中に入って行く様子が、なんだか特殊部隊っぽいです。
    「まあ、似たようなものかな。この人達も、選抜されるまでは相当厳しいみたいだし」
    と、艦長さん。


    その後はシャトルバスで駐車場へ移動し、富山へ戻る艦長さん、SAA水兵さんとお別れ。もっとも、来週明けに富山県伏木
   港で行われる護衛艦はまゆき体験航海では、再び艦長さんと組んで乗艦する予定です。

    いやー、3年ぶりとなる舞鶴地方隊展示訓練、前回とはまた違った充実ぶりで非常に楽しめました。当日参加された各艦艇
   乗組員の皆様、並びに舞鶴地方隊の皆様、暑い中大変お疲れさまでした。

    最後はHARUNAさんとはぐれてしまい、ご挨拶せずにお別れした事が心残りですが、あれだけエネルギッシュな人ですから、
   そう遠くないうちにどこかのイベント会場でまたお会い出来る様な気がするなあ。
    天候も良かったですし、これまで以上にいろいろと実りの多い展示訓練でありました。




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