姫路駐屯地創立60周年記念行事

2011.11.06



    兵庫県は姫路駐屯地の創立記念行事に参加してまいりました。姫路駐屯地には第3特科隊第3高射特科大隊、
   特科直接支援隊、高射特科直接支援隊
が駐屯し、毎年の創立記念行事では155㎜FH-70榴弾砲をばかすかと
   撃ちまくる人気の高い駐屯地
であります。またここは、姫路レンジャーという色んな意味での特殊部隊が特殊な訓練
   展示(笑)を行う事でも有名
で、訪れる見学者の期待度が毎年うなぎ上りになっている事でも知られています。
    今回は同行するHさんの車にピックアップして貰い、早朝の阪神高速を姫路目指して走ります。前夜まで降ってい
   た雨は止みましたが、それでも時折曇り空から落ちて来た雨粒がフロントガラスをたたき、ああ、今日は大丈夫なの
   かなあ…
とため息をついているうちに姫路駐屯地前に到着。すでに沢山の車が正門前で行列を作っていました。
    しばらく待って、0900開門。車を駐車場に乗り入れ、まだ人の少ない式典会場東側に場所を確保しました。今日
   は生憎の曇天なので、逆光を気にせず会場北西に陣取って空包射撃を正面から見てもよかったのですが、私は隊
   員さんのマシーンの様な無駄のない砲撃オペレーションを見るのが好きなので、今回もあえて後方から見学です。


    さて、それでは部隊整列の始まる0930まで、ちょっと屋台を覗いてみましょう。まだ開門したばかりとあって広場は
   閑散としていますが、下見がてらぐるっと回ってみると、どこも準備中。第3特科隊第2中隊からは砲兵焼きそばの屋
   台が出ていてパック詰めされたものが並んでいますが、うーん、折角の姫路焼きそば、どうせなら午後からの作りたて
   を頂く事にしましょう。その他は第3高射特科大隊からのタコ飯&五目飯&おでん&たまご煎餅第3特科隊第4中隊
   からは唐揚げ&豚汁、特科直接支援隊からは焼き鳥、本部管理中隊からはうどん
の屋台が。
    それにしても今年は、姫路らしい個性あふれる屋台のPOPが見当たりません。昨年はゴルゴ13やら巨大なコラー
   ジュやらで賑やかだったんですが。


    その後はトイレを済ませ、厚生センターのPXへ。ここもすぐに人で一杯になるでしょう。今のうちに何か面白いもの
   は…あ、SDF焼きそばが大量に並んでます。その隣は、自衛隊限定『防人の誉カレー』というものがありました。甘
   口と辛口があり、一つ500円。厳密に言えば戦闘糧食ではありませんが、これはまた更新ネタになりますね。2つず
   つ購入です。
    お、レジの正面には、駄菓子の王様ブラックサンダーがかなりの売り場面積を取っていました。凄くチープなチョコ
   菓子ではありますが、私は仕事が立て込んで体力が急激に消耗した時、しばしばブラックサンダータイムを入れてる
   んですよね。もしかして、姫路の隊員さんも肉体疲労時の栄養補給にブラックサンダータイムしているんでしょうか?


    さて、収穫もあった事ですし、そろそろ式典会場へ戻ります。場所を確保した式典会場東側には、既に2~3重の人
   垣が出来ていました。私が初参加した時は、訓練展示の時でもぽつぽつとしか人が居なかったと思うんですが…。
    既に部隊の整頓が行われ、今にも降り出しそうな空模様の下、黄色い特科マフラーも眩しい第3特科隊と第3高射
   特科大隊、各直接支援隊の人達は直立不動です。
見ているだけでこちらの気分も引き締まりますね。


    本日の観閲部隊指揮官を務める第3特科隊副隊長が入場し、続いて警務の白バイに先導されて黒の業務車が登
   場。本式典の観閲者である、第3特科隊隊長兼ねて姫路駐屯地司令が登壇します。部隊は観閲官に敬礼。
    その後は国旗登壇、捧げ銃、観閲官による部隊観閲が行われ、観閲官式辞、来賓祝辞と式典は粛々と進行。よく
   見ると、招待者席の前列にいる人達は日の丸を持っていますね。隊員さんのご家族かな?


    式典はつつがなく終了し、部隊は解散。この後の観閲行進に備えて、背後の車輛群へと駆け足で移動して行きます。
   この辺りで空が少しずつ明るくなり始め、気温も上がって来ました。よし、このままこのまま。
    そして音楽隊の演奏をバックに、観閲行進が始まりました。観閲部隊指揮官が座乗する指揮通信車が、パジェロ
   露払いにして通過して行った後は、野外炊具2号(改)を牽引したトラックが続き、更に対空レーダ装置、FH-70榴弾
   砲を牽引したトラック
が堂々の行進です。


    その後も79式低空レーダ装置、93式近距離地対空誘導弾、81式短距離地対空誘導弾…と、高射特科の車輛が
   続々と行進。実に姫路らしいラインナップでした。


    この後の訓練展示の準備の間は、第3音楽隊による音楽演奏が行われます。最初の曲は、今年どこの駐屯地に行
   ってもかかっている曲。これ、なんていう曲なんでしょう。
    「マルモ体操、とか言う曲ですよ。芦田愛菜っていう子役がやってる番組で、人気が出たみたいです」
    と、Hさん。その後は頑張れニッポンメドレーを披露して、第3音楽隊は大きな拍手を浴びながら退場して行きました。


    準備が整った所で、いよいよ訓練展示の開始です。まずは2台の偵察オート87式偵察警戒車、軽装甲機動車
   突入してきて、会場西側の陣地を占拠した敵部隊に対して威力偵察を開始。偵察警戒車の20㎜機関砲が白煙を上
   げながら射撃を行うと、敵陣地前に仕掛けられた火薬が立て続けに発火。おお、本当に着弾したみたいです。


    さらに指揮通信車も現われて、敵部隊との間で激しい銃撃戦が始まります。その隙をついて、高射特科大隊からの
   81式短距離地対空誘導弾93式近距離地対空誘導弾、79式レーダ装置が後方に展開し、テキパキと射撃準備が
   整えられます。が、北側に配置された81式短距離地対空誘導弾の様子がおかしいですね。どうやら誘導弾を発射機
   に装填するシステムにトラブルが発生
したようで、隊員さん達が慌ただしく対応に当たっています。


    その間に、第3特科隊のFH-70榴弾砲が5門、トラックに牽引されて会場中央に突入。トラックから切り離された後
   は、隊員さん達によって素早く砲撃態勢が取られます。いやー、何度見てもこの隊員さん達の精密機械の様な動きには
   驚かされますね。誰か一人がひと手順間違えただけで全体がガタガタになりそうな、ものすごい緊迫感です。


    そして両脚を固定したFH-70榴弾砲の砲尾に空包弾と装薬が装填され、全門一斉発射。砲身からは真っ赤な火
   の玉が噴き出し、内臓を震わせるような轟音が鳴り響きます。

    さらに素早く次弾が装填され、今度は北側から順番に発射。目の前の車輛が邪魔で全5門のうち2門しかまともに
   見えませんが、いやはや凄まじい迫力であります。


    昨年と同じくほぼ無風状態なので、発射煙が辺りに立ち込めてたちまち視界が効かなくなりますが、5門のFH-70
   榴弾砲はそんな事にはお構いなしに、どかんどかんと空包を発射。いやー、やっぱり来てよかったなあ。
    ここで上空に敵ヘリが進入。FH-70榴弾砲は慌てて砲身を下げてやり過ごします。実際は巨大な擬装ネットで覆
   われた状態で砲撃を行う
ので、上空から見ても発見は難しいんだろうなあ。


    すぐに後方に展開した81式短距離地対空誘導弾93式近距離地対空誘導弾が敵機を撃墜し、FH-70榴弾砲
   は再び砲身を持ち上げ、敵陣地に向けて砲撃の雨を浴びせます。
    そして会場西側から、74式戦車が2輌で登場。会場の都合上、敵陣地の後方から進入する形になるので、砲塔部
   を後方に向けた状態で前進してくるのが面白い。


    ここで74式戦車は油圧サスペンションを作動させ、車体を上下左右にウネウネと揺さぶり始めます。平地の少ない
   日本の山間部での作戦行動を容易にする為の装置
ですが、いかつい鉄の塊なのに、まるで軟体動物の様な不思議
   な動きですね。
さらに軽装甲機動車96式装輪装甲車が次々と後方に展開し、74式戦車を先頭に一気に突入。最
   前線のあたりでは、透明な盾を持った隊員さんが一気に敵陣地に突貫をかけているみたいでしたが、立ちこめる白煙
   のおかげで殆ど見えず。うーん、もうちょっと風があれば…。


    以上で訓練展示は終了。いやー、やっぱりFH-70榴弾砲に尽きますね、姫路は。しかしよく考えたら、毎年行われ
   ていた狙撃手による敵の歩哨への狙撃や、ヘリコプターからのロープ降下がありませんでした。特科と高射特科が中
   核となる姫路のお家芸ではありませんが、60周年と言う節目の式典ですし、ここはやってほしかったなあ。
    さて、ここで式典会場から撤収。屋台広場へ向かいますが、うわ、なにこの人の海…。昨年に比べると、倍ぐらいの
   見学者が押し寄せているのではないでしょうか。押し寄せる人の波に乗って、まるで椰子の実の様に屋台広場に流れ
   着きましたが、ここも人出が凄いですね。人が多過ぎて、どこが屋台の行列の最後尾なのか分からない位です。これ
   はエライ事になってしまったぞ。


    とりあえず私は焼きそば、Hさんにはタコ飯の屋台に並んで貰います。ようやく見つけた焼きそば屋台の最後尾は、
   屋台から遥か彼方。これではうちゅうせんペペペペランです。ざっと見て、80~90番手ぐらいでしょうか…。
    しばらく待ちますが、行列が解消される様子は全くなし。仕方ない、この後も色々と催し物が控えています。ここで時
   間を浪費する訳にはいかないので、焼きそばは潔く諦めましょう。Hさんの携帯にかけると、タコ飯の行列はそれほど
   でもないとの事。よし、そっちへ移動です。
    タコ飯もここで売り切れてしまいましたが、何とか五目飯、おでん、たまご煎餅を2人分確保。曇天の空からは大粒
   の雨がぱらついてきたので、慌ててテント内に逃げ込みます。


    とにもかくにも昼食です。五目飯は水分が多くべたついた感じですが、これは自衛隊特有のお湯炊き(お湯を沸騰さ
   せてから白米を入れて炊飯する方法)
だからかな?それでも流石に味付けはきっちりと決まっていますね。
    おでんはたまご、大根、つくね、ロールキャベツ、ちくわ。冷めてはいますが、芯までしっかり味が染みて美味しいなあ。
   しかしこれ、姫路風ではなくて普通のおでんなんですね。姫路おでんは確か、生姜醤油をかけるんでしたっけ?
    たまご煎餅は、目玉焼きの水分を吸ったたこせんが独特の味わいで、パリっでもしなっでもない、この独特の食感が
   面白いなあ。ソース&マヨネーズが、いかにも関西風な味付けですね。
    さて、空腹もとりあえず落ち着きました。それにしても酷い混雑ですね、屋台広場。どうやら隊員さん達の予想をはる
   かに上回る人出になってしまった
みたいで、どの屋台も大混雑です。普段ならお手すきの隊員さんにお話を伺ったりも
   するのですが、今日はちょっとそんな雰囲気じゃないですね。
    以前の様な、焼きそばを食べて、その後はカレーに並んで、ええい、たこ焼きも行っとくか!みたいな屋台グルメの
   ノリは、もう楽しめないのかもしれないなあ。


    その後は、雨がやや小ぶりになった所で午後からのレンジャー訓練展示会場へ行ってみます。小雨が降る中、子供
   レンジャー体験が行われていて、必死の形相でロープにしがみつく小さな子供が微笑ましいなあ。何故かでかい白人
   まで嬉しそうにロープにぶら下がっていますが、何処の国の人なんだろう。
そう言えば、さっき雨宿りしていたテントの中
   にも、2人連れの白人女性がいたなあ。色んな人が来てるんですね。


    まだ空いていた最前列に場所を確保し、しばらく待っていると姫路名物白鷺太鼓の演奏が始まりました。ちなみに今
   年からは最前列手前にお子様ゾーン(深見教授風に発音の事)が作られ、小さな子供はここで見る事が出来るように
   なりました。
ああ、いいアイデアですね。
    一年ぶりの白鷺太鼓ですが、おお、今年もまた団員が増えています。いつものハッピ姿ではなく、戦闘服のズボンに
   黒のTシャツ、半長靴ですが、これも自衛隊らしくていいなあ。
昨年を上回る見事な演奏を披露して、詰めかけた大勢
   の観客からは大きな拍手が贈られました。


    続いては格闘展示。まずは突き蹴りの基本動作をキックミットを使って披露した後は、様々な状況を想定した組手が
   行われました。台本通りとは言え、かなり真に迫った凄味のある展示ですが、昨年は会場の南北2ヵ所に分かれて行
   われた格闘展示が、今年は会場南側のみ。
これでは期待して北側に詰めかけた人達からは見づらい様な気がします
   が…。とは言え、南側にいる私でも、目の前に立ちふさがる幼女のカーテン越しにしか見えません。特殊な趣味を持つ
   人にとっては、盆と正月と日本橋ストリートフェスタが一緒にやってきた様なウハウハ状態でしょうけど、ロリじゃないし
   なあ、私は。どっちかと言うと…いや、言いますまい(笑)。


    格闘展示は以上で終了。あれ?昨年みたいな、WACによるお笑い痴漢撃退展示や、小さい人が大きい人を工夫
   して倒すコミカルな格闘展示
は無し?随分あっさりというか、姫路らしい個性が失われたと言うか…。
    この頃から少しずつ雨脚が強くなり始めましたが、もうここまで来たら傘をさす訳にも逃げ出す訳にもいきません。
   なんとかカメラを雨から守りながら撮影です。
    そして雨がそぼ降る中、姫路レンジャーの訓練展示が始まりました。相変わらず姫路レンジャーは子供あしらいが
   異様に上手く、
あっという間に4人の子供が会場正面に連れて来られ、レンジャー達と一緒に
    「ドドスコスコスコ…」
    とやり始めています。楽しんご、でしたっけ?子供達は大爆笑で盛り上がっています。そして会場の空気が程良く温
   まった所で、レンジャー隊長が景気よくお菓子をバラまき始め、さらに子供達はヒートアップ。


    その後は本日の訓練展示に参加しているレンジャーの紹介が行われ、名前が呼ばれる度に隊舎屋上や階段踊り
   場の外に組まれた足場の上で、レンジャー達がネタを披露しながらポーズを取っています。いやはや、悪天候にも負
   けずノリノリ
ですね、姫路レンジャーは。


    それにしても、今年は駒井3曹いないのかな…と思ったら、大物らしく最後に登場。紹介を受けた駒井3曹は、隊舎
   の屋上から何やら小さなビラの様なものを撒き散らしていますが、どうやらレンジャー駒井握手券との事(笑)。また
   図々しいと言うか何と言うか(笑)。子供達は、上空から舞い降りる握手券にまで群がっています。


    そして左右の隊舎屋上に展開していたレンジャー隊員が、一斉に懸垂降下開始。大きなどよめきが沸き起こる中、
   見事に着地を決めて会場正面に整列。隊長から本日の注意事項について説明を受けた後は、すぐに各々の持ち場
   に散って行きました。


    まずは会場左手からの、セーラーによるロープ渡り。続いて右側からの飛び込み懸垂降下。さらにモンキー、立姿
   からの飛び込み懸垂降下。
ものすごく危険な事をごくごく普通にこなしているレンジャーには、いつ見ても驚かされま
   す。レンジャー駒井も隊舎屋上から軽々と飛び降りていますが、随分痩せましたね、レンジャー駒井。
    ちなみに隊舎は3階建てで、屋上の高さは優に10mはあります。下から見ていてもかなり怖い高さですが、この人
   達は本当にひょいひょい飛び降りるんですから凄い話であります。


    続いて右側隊舎から現われたレンジャー隊員が、ロープ上からのフォールを披露。フォールとは、安全索を付けた
   状態でロープから飛び降り、宙ぶらりんの状態からロープに復旧するための技術であります。同時に手放しで真下に
   飛び降りる胆力をも養うそうですが、これをやれと言われたら絶対に泣く自信がありますね、私は。
    レンジャー隊員は何やらネタをやりながらロープ上を歩いていますが、何をやっているのかさっぱり分かりません。
   周囲は大爆笑なのでかなり面白いギャグをやっているのでしょうけど、うーん、分からん…。


    続いて、真っ逆さまに降下する前懸垂降下。これはヘリコプターや建物の上から、着地地点の安全を確保しながら
   降下する際に使用される技術
で、片手で拳銃を射撃しながら降りる事もあるため、基本的に片手と全身のバランスで
   降下するというかなりの荒技です。


    今度は会場中央から、後方へのフォールを行うとの事。この科目はレンジャー駒井の毎年の定番ですが、あれ?
   何かヘンな人が出て来ましたよ。


    「何じゃお前、その格好はー!?」
    と、怒鳴る隊長。しかし変な人は隊長の激怒を意に介さず、
    「レンジャーチャラ男、準備よし!ミュージック、スタート!」
    ここで急にアップテンポな音楽がかかり、レンジャーチャラ男は怪しげなダンスを披露。うーん、地上でやればただの
   変な人
ですが、10mの高さのロープの上でやるととてつもなく変な人だなあ…。


    その後は隊長と掛け合い漫才を始め、またしても周囲は大爆笑。しかし私一人だけネタが全く分からず、曖昧な笑み
   を浮かべつつシャッターを切ります。

    最後は後方へのフォールを見事に決めて見せ、レンジャーチャラ男は大きな拍手を浴びながらロープを渡り切って行
   きました。


    続いては、左側屋上からのダイナミックフォール。屋上から2名のレンジャーがタイミングをずらして飛び出し、そのま
   ま一気に降下。大きな悲鳴が上がりますが、2名のレンジャーは地面すれすれで急ブレーキをかけ、いとも簡単そうに
   着地
を決めています。うーん、凄過ぎです。普通の肝の座り方じゃないなあ、この人達は。


    今度はロープ上からの飛び込み懸垂降下。会場左手からまたしてもネタをやりながらレンジャーが登場しますが、
    っぱりなにをやっているのかさっぱり分からず。
会場は大盛り上がりで、
    「よし、今日来てくれたお客さんに、何か一言!」
    という隊長の命令に応えて、ロープ上のレンジャーは次々とネタを披露しますが、本当に一つも分かりません…。


    流石にここまで来ると不安になり、隣のHさんに
    「さっきからやってるネタが全然分からないんですけど…Hさん見てて分かります?」
    「ええ、大体分かりますよ、テレビのバラエティとか見てたら」

    うーん、どうやら今年は流行ってるギャグを取り入れた構成になっているようです。会場は大爆笑が沸き起こりますが、
   全然ついていけない…。
    何と言うか、敵対する暴力団の組長のタマを見事取り、長いお勤めを終えて娑婆に戻ってきた鉄砲玉が、出所祝いの
   席で組長達が熱く語り合う深夜アニメトークに全くついて行けなかった時の様な気分
って、こんな感じなんでしょうか…。


    一人思い悩む私を尻目に、人質救出及びゲリラ地点襲撃展示が始まりました。まずは2人のゲリラが会場に現れ、子
   供ゾーンにいた小さな子供を2人拉致。会場中央まで連れてこられた子供は、拉致されたクセに何故か嬉しそう
    「たーすーけーてー!!」


    ここで会場左手の上空から、一名の潜入捜査官が登場。出た!レンジャー駒井の登場です!昨年に比べると随分
   お痩せになったので、一瞬別の人かと思いました。


    ゲリラ地点の真上まで来たレンジャー駒井、地上にロープを降ろして忍者の様にゲリラ地点に潜入!…しようとします
   が、降下の途中でぴりぴりぴりぴりぴりと鳴りだす携帯の着信音。レンジャー駒井はロープにぶら下がった
   まま携帯を取り出しますが、電源切っとけよ(笑)!


    「こちら駒井!……ん?晩めし?カレーでいいよ!カレーで!」
    とても敵ゲリラ地点上空で行われる会話とも思えず、会場は大爆笑に包まれます。
    「今任務中だ!切るぞ!……分かった分かった、分かったよ!あ・い・し・て・る♡
    再び会場は大爆笑。敵のゲリラ地点上空で宙ぶらりんになりながらも、全く緊迫感の無いレンジャー駒井に大きな拍
   手が贈られますが、毎年彼女募集中だったレンジャー駒井にもとうとう春が!中国の民主化とどちらが先かと第3師団
   中の噂になっていたと聞きましたが、俺を置いて行かないで!


    その様子を、呆れた様な表情で眺めるゲリラの中央に着地したレンジャー駒井。
    「こちら駒井!どうやら無事に降下できた様だ!今から周囲の状況を確認する!」
    いやいやいや、あんた既に囲まれてますやん!顔をあげて、既にゲリラに囲まれている事に気付いたレンジャー駒井。
    「本部!こちら駒井!どうやら敵に囲まれた様だ…」


    あっちゃー、またやっちゃったよ俺…と言わんばかりに頭を抱え込んでいますが、美味しすぎです駒井3曹。
    「残念ながら、駒井くんは人質を救出する前に人質になってしまった模様です!」
    とナレーションが入り、またまた会場は大笑い。あっという間にひっ捕らえられたレンジャー駒井は、人質の子供と一緒
   にイスに縛りあげられています。おまけに敵のゲリラからは
    「お前ほんまにアホやのー、もうちょっとしっかりせぇや」
    とばかりに頭を小突かれ、デヘヘヘヘと笑っています。


    すぐに本部から2名のレンジャーが救出に送られ、ゲリラ達がレンジャー駒井を弄っている隙をついてアジトに侵入。
   測の事態にも直ちに対応出来る見事なバックアップ体制ですが、むしろ先に送り込んだレンジャー駒井を全く当てにして
   いなかった、と解釈すべき
でしょうね、これは。
    「おいお前ら!そこのかわいい人質と、あとそのデブを返せ!もう一度言うぞ!そこのかわいい人質と、そのデブを返
   せ!」


    ここでレンジャーとゲリラとの間で激しい格闘戦が繰り広げられますが、イスに縛られたレンジャー駒井がまるで他
   人事のようによそ見をしているのが堪りません。
どうせ夕御飯のカレーの事でも考えているのでしょうけど、毎年毎年
   いい味出し過ぎです(笑)。


    2人のレンジャーにコテンパンにやられたゲリラですが、
    「畜生!お前ら降りてこい!」
    と叫ぶと、左右の隊舎屋上から、一気に増援のゲリラが飛び降りて来ました。たちまちレンジャー2名は拳銃を持ったゲ
   リラに囲まれてしまいます。
    「なんだこいつら~、めちゃくちゃ弱そうだな~!えい、撃っちゃえ~!」


    レンジャーを左右から取り囲んだゲリラは、拳銃を発射!しかし2名のレンジャーは間一髪しゃがみ込み、あえなくゲリラ
   2人は同士撃ちに(笑)。


    すかさず体勢を整えたレンジャーは敵ゲリラ軍団に飛びかかり、次々と倒していきます。強いぞレンジャー!凄いぞレ
   ジャー!

    しかし当のレンジャー駒井はその様子をへらへらと笑いながら眺めていて、もう座っているだけで笑いが取れますね、こ
   の人は。

    敵のゲリラ軍団は2名のレンジャーによってボコボコにされ、めでたしめでたし…かと思いきや、右側隊舎屋上から怪し
   げな高笑いが。
どうやら敵ゲリラ組織の隊長らしく、見事な前懸垂降下で降りて来ました。


    ゲリラ隊長はレンジャーの前に立ちはだかり、いきなり上着を脱いで上半身素っ裸に。
    「俺を見ろ!どうだ!この筋肉は!俺を見ろおおおおおお!」


    と叫びつつダブルバイセップス。ああ、やっぱりこの人もおかしい人だったのか…。しかしこの雰囲気、どこかで見た様な
   と思ったら、昨年のあの福知山ミュージカルですね。と言う事は、このあとタコが出てくるんでしょうか。ちょっとヤダなあ…。
    レンジャーはゲリラ隊長に飛びかかり、激しい突きと蹴りをお見舞いしますが、さすがゲリラ隊長、レンジャーの攻撃を自
   慢の筋肉でことごとく跳ね返してしまいます。
それどころか回し蹴り一発でレンジャーをふっ飛ばし、最前列で固唾を飲んで
   見守っている子供達の前で余裕しゃくしゃくのダブルバイセップスを決めています。


    その隙をついてもう一人のレンジャーが、人質だった子供と一緒にバズーカ砲を取り出し、自分に陶酔しきっているゲリ
   ラ隊長に向けて発射!
バズーカ砲が火を噴き、見事ゲリラ隊長に命中です。


    しかしゲリラ隊長は、バズーカ砲から飛び散った銀テープにまみれて断末魔の叫び声を上げながらも次々とダブルバイ
   セップス(笑)。
多くの観客の
    「いや、もうええから早よ倒れろや…」
    という視線を浴びつつようやく倒れ込み、見事レンジャー救出部隊は人質の奪還に成功。あ、ついでにレンジャー駒井も。


    そして人質の子供達の手を引いたレンジャー駒井が出て来て、
    「いやあ、今回の任務も楽勝だった!本部!こちら駒井!任務完了!」
    最後は訓練展示に参加したレンジャーが会場中央に整列し、安全係や構成、音楽、ナレーションを担当した裏方レンジ
   ャーの紹介が行われ、実に姫路らしい魅力満載のレンジャー訓練展示が終了しました。


    その後はレンジャー駒井握手会が本当に開催され、沢山の子供達が駒井3曹を取り囲んで握手攻めにしていました。
   そこに先程のゲリラ隊長も現われ、楽しそうに子供達と握手。ああ、イイ光景だなあ…と思ったら、ゲリラ隊長はおもむろ
   に子供の手を引いて大胸筋に触れさせ、びくびくと動かして驚かせていました。
いやー、やっぱり姫路レンジャーはこうで
   なくっちゃ(笑)。


    その後は式典会場で行われていた74式戦車の体験搭乗の様子を見学し、蛍の光に送られるようにして姫路駐屯地を
   後にしました。
    午後からは終始雨に悩まされましたが、危険な状況の中で相変わらずの体力と技術、そして知性と余裕を見せてくれた
   姫路レンジャーの皆さんには、感謝の一言であります。


    さて、次回はいよいよ2011シーズン最終戦となる、福知山駐屯地創立記念行事です。印象が強烈すぎて夢にまで出て
   来そうだった、あの福知山ミュージカルは今年も行われるのでしょうか?今回の姫路が今シーズン後半戦のヤマだとすれ
   ば、さしずめ福知山は後半戦の裏のヤマであります。12月頭というかなり遅い時期の開催になりますが、最終戦はからっ
   と晴れた冬空の下で楽しみたいものですね。いや、むしろあの福知山ミュージカルは、黒雲が立ち込め雷鳴がとどろく下
   でこそ見たい
様な気がしますが(笑)。




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