第3師団創立49周年 千僧駐屯地創設59周年記念行事

2010.05.16



      兵庫県伊丹市で行われた、千僧駐屯地創立記念行事に行ってきました。千僧駐屯地には近畿二府四県の防衛警備を
     任務とする第3師団司令部が置かれ、本日はその師団創立記念行事も兼ねるイベントであります。
      2日前までは当日の雨が予報されていましたが、今朝はやや肌寒いものの上空は晴天。気温も25度近くまで上昇する
     模様で、今年は本当に序盤から好天に恵まれています。昨年はインフルエンザやら雨やらでシーズン序盤戦を棒に振り
     ましたが、何だか幸先イイですね。海自イベントが集中する7月も、こうあってもらいたいものです。


      0802にJR伊丹駅着、そこから伊丹市営バスで大鹿口下車。交差点の向こうには千僧駐屯地が見えていますが、既に
     40人近い開門待ちが出ていました。最後尾に並んだ私の後ろにも、あっという間に行列が。伊丹市は大阪府に隣接して
     いて、今日は関西各地からの一般参加者で賑わいそうです。
      ふと駐屯地脇の国道標識を見ると、千僧の読み方が『SENZO』になっていました。へー、今までてっきり『せんぞう』
     と思っていましたが、正しくは『せんぞ』だったんですね。
      その後しばらくして、定刻通り0900に開門。のんびり歩いてヒナ壇右側の一般イス席横のスペースを確保です。
      さて場所も決まったし、式典開始まで駐屯地歩きと参りましょう。朝を抜いてきたのでお腹も減りました。楽しみだなあ、
     千僧駐屯地焼きそば。

      駐屯地内の歩道橋を渡って南側敷地に向かいます。屋台広場からは早くも美味しそうな匂いが漂い、開門したばかり
     にもかかわらずなかなかの賑わい。


      ここで目に飛び込んできたのが焼きトウモロコシの屋台。マジックで顔に熊五郎みたいなヒゲを描いた隊員さんが、ヤ
     ケクソのように大声を張り上げて客引きをしていました。よく見ると眉毛もカモメ状に繋がっていて、ちょっと一言では説明
     できない怪しすぎるオーラがプンプンです。

      いかん、まずは駐屯地焼きそばを、と思いましたが、木星の巨大な引力に軌道を狂わされた小惑星の様に、なす術無
     く焼きトウモロコシの屋台に吸い寄せられる私…。チクショー、トウモロコシなんか全然欲しくなかったのに(笑)。これは完
     全に私の負けだなあ…と思っていると、屋台の中にどこかで見た人を発見。
      「あの、もしかして、去年の伊丹でも同じことをされてませんでした?」
      と思わず尋ねると、屋台の中が大爆笑。何と、昨年の伊丹駐屯地祭でトウモロコシに扮していたあの隊員さんでした!
      
以前広報にメールして画像の使用許可を頂いた者です、と自己紹介すると、隊員さんもびっくりされていました。いやー、
     思わぬ嬉しい再会です!
      記念に撮影させて下さいとお願いすると、その場にいた隊員さんとすかさず決めポーズ(笑)。うーん、何と言うホスピタ
     リティ!!伊丹の人はどこに行っても伊丹ですねぇ。


      しかしトウモロコシというのは、一本丸ごと食べると結構お腹が膨れますね。こんな筈じゃなかったのに(笑)。しかしそれ
     でも焼きそばは外せません。
ようやく見つけた千僧駐屯地焼きそばは200円。値段相応に小ぶりなボリュームの焼きそば
     でしたが、屋台をハシゴして歩くタイプの私には嬉しいサイズです。さっそく一口。
      うん、見た目通り熱々ジューシー系の、実に美味しい焼きそばです。豚肉は肉汁たっぷりで柔らかく、キャベツは熱い脂
     とソースにまみれながらも歯応えはシャキシャキ。上にのった紅生姜、青ノリ、削りガツオも多すぎず少なすぎず、見事に
     まとまった味の焼きそばでした。今の所ベスト3は伊丹・日本原・姫路ですが、千僧駐屯地焼きそばは久居と共に次点に
     位置する出来栄えですね。お見事です。


      その後は第三後方支援連隊からの足湯を覗いたり、医療テント内の展示を見学したりした後は厚生センターに向かい
     ます。この中の食堂からも美味しそうな匂いが漂っていましたが、流石に満腹だなあ。店の前にはメニューが貼り出されて
     いましたが、チャーハンじゃなく焼きめしとなっていたのが力強くて陸自らしいなあ。そう言えば最近聞かなくなりましたね、
     焼きめしって。
      さて、そろそろ記念式典開始時刻です。会場に戻ると既に沢山の見学者が詰めかけていて、早めに場所を確保しておい
     て良かったなあ。


      そうこうしているうちに式典に参加する部隊が続々と入場し、各部隊の紹介が行われました。本日は千僧駐屯地だけで
     なく第3師団の創立記念行事も兼ねているので、参加部隊は東は今津から西は姫路まで、実にバラエティに富んでいます。
      千僧からは第3音楽隊、第3師団司令部付隊、第3偵察隊、第3特殊武器防護隊。八尾からは第3飛行隊。福知山から
     は第7普通科連隊、伊丹からは第36普通科連隊、信太山からは第37普通科連隊。姫路からは第3特科隊、第3高射特
     科大隊。
今津からは第3戦車大隊。大久保からは第3施設大隊。そして各駐屯地からは第3後方支援連隊、といった顔ぶ
     れで、さながら豪華幕の内弁当のような布陣ですね。


      そして式典開始。観閲部隊指揮官が入場し、続いて観閲官が入場。国旗登壇、部隊観閲、観閲官式辞、来賓祝辞、来賓
     の紹介、と、粛々と進行していきます。


      ふと後方のヒナ壇を見ると、来賓らしき海自の幹部の方が来ていましたが、やっぱり純白の礼装に飾緒、アタッシェケー
     ス
が実に様になっていました。


      一旦部隊が引き揚げた後、観閲行進に備えて式典会場に散水が行われます。この頃にはかなり気温が上がっていたの
     で、風に乗って流れてくる水煙が心地いいなあ。
      その後は観閲行進です。まずは第3音楽隊が先頭を切って行進し、近畿二府四県の県旗を掲げた1/2トントラックが続
     きます。さらに観閲部隊指揮官を乗せた指揮通信車が三台連なってやってきましたが、よく見ると操縦席の後方にエアダク
     トの様な台形の出っ張り
がある車輛と無い車輛が混じってます。あれはどういう使い分けなんだろう。
      普通科各連隊による徒歩行進の後は、軽装甲機動車、偵察オート、87式偵察警戒車、対戦車誘導弾を搭載した1/2トン
     トラック、120o迫撃砲RTを牽引した高機動車、FH-70榴弾砲を牽引した大型トラック。


      ここで航空部隊が登場です。せいぜいこの後の訓練展示に参加する2機程度かと思っていましたが、やはり第3師団の
     創立記念行事らしく、OH‐6D観測ヘリ×2、UH‐1J多用途ヘリ×3、AH‐1S対戦車ヘリ×1の合計6機編隊、という豪華な
     顔ぶれ。高価な航空燃料を喰う航空展示はどこの駐屯地でも縮小傾向にある中、今回は頑張ってくれましたね。
      93式近距離地対空誘導弾、81式短距離地対空誘導弾の後は、何だか見慣れないトラックが。道路障害作業車だそうで
     す。舗装道路に陣地等を構築する際に必要な6種類の機器を一まとめにした、さながら十徳ナイフのような車輛です。


      さらに81式自走架柱橋、衛星単一通信可搬局装置、無線搬送装置2号、生物偵察車、化学除染車、96式装輪装甲車、
     何だかよく分からない謎のトラック、水タンク車、救急車、重レッカ、74式戦車を乗せた73式特大型セミトレーラー、
そして
     トリは74式戦車が務めて観閲行進は終了。


      式典会場ではこの後の訓練展示の準備が整えられ、目の前には白ペンキで塗った掘っ立て小屋が移動してきました。
     小屋の前には障害物に見立てたバラキューダが張られ、どうやら最後は目の前で建物内へのエントリーが行われる模様。
     二年前に参加した時はこんなのは無かったので、色々と工夫を凝らしてくれているみたいです。
      その間、式典会場手前では格闘展示が行われましたが、これがかなりの迫力で、素手対銃剣や一対一、一対複数など
     といった様々な状況の展示を披露してくれました。組んだ状態から鉄帽ごしの頭突きなんかも取り入れていて、泥臭いと言
     うか実戦的というか。


      二対二の格闘では、左右から襲われた中央の2人がサッとよけた瞬間、襲いかかった2人が正面衝突する、というプロレ
     スっぽい仕込み
もありましたが、緊張感がビシビシと伝わってくる内容なので、折角の小ネタが今ひとつ気付かれていなか
     った
模様。
      おお、馬乗りになってのドツキ回しなんかもやってます!


      そしていよいよ訓練展示開始。上空に飛来したUH‐1J多用途ヘリから4人の隊員がロープ降下を敢行し、着地後は小銃
     を構えながら素早く散開。後方からは偵察オートが4台突入し、次々と高いジャンプを決めています。


      入れ替わるようにして侵入してきた偵察警戒車がバリバリと空包を発射しますが、タイヤがでかくてスピードが出るので、
     立ち上る砂煙が迫力満点。続いてやってきた軽装甲機動車も、ルーフの上のMINIMIを派手に撃ちまくりながら対抗部隊
     の陣地に迫ります。


      上空からのAH‐1Sによる射撃支援を受けながら、短SAM近SAM120o迫撃砲RTが続々と展開し、その横では
     対空誘導弾スティンガー
を構えた隊員さんが射撃姿勢のまま固まっています。あれ、地味に腰に来そうですね。
      さらに後方からはFH‐70榴弾砲が自走してきて、テキパキと射撃準備が進められます。74式戦車も車輛前部の車高を
     その場で上げたり下げたりして、油圧サスペンションをアピールです。


      そしてFH‐70と74式戦車は轟々と空包射撃を開始。どれか一つでも発射炎を…と思いましたが、今回は軒並み外して
     しまいました。
      しかし千僧駐屯地、地面の仕込み花火が凄く派手ですね。観覧席から近い所で爆発させている所為もありますが、音と
     いい煙といい、大迫力の訓練展示です。もうもうと立ち込める白煙の中から軽装甲機動車が飛び出してきて、そこから小
     銃を構えた普通科部隊が突入していく
所なんかはとても絵になります。


      そして最後は対抗部隊が立てこもる室内に突入!と言う所で、いきなりカメラが動かなくなってしま
   いました!!

      どうやら74式戦車の発射炎にこだわるあまり、連写のしすぎでバッファ容量を越えてしまい、デジカメが駄々をこねてしま
     ったようです。か、肝心な時に〜(泣)。
      と言う訳で、訓練展示は終了。会場では後片づけが始まり、先程突入を見せていた普通科の隊員さん達が薬莢の員数
     合わせを行っておりました。その後は訓練場に一列に並び、端から端まで何度も歩いて地面をチェック。空自で言う、FOD
     チェック
って奴でしょうか。へー、陸自でもやるんですね。知りませんでした。

      この後は音楽隊の演奏自衛太鼓装備品展示戦車体験試乗等が行われますが、ここの所陸自イベントには連続
     して参加しているので目新しさは感じられず、もう少し駐屯地内をぶらついてから帰る事にします。
      屋台広場も大賑わいで、先程の焼きトウモロコシ屋台にも沢山の行列が出来ていました。
      子供広場には定番のエアドーム式滑り台が展開されています。それとは別に直径3M位の巨大な透明ボールが転がって
     いて、内部では子供がわやくちゃになっていてとても楽しそう。へー、こんなの初めて見ました。私も是非入ってみたかった
     のですが、並んでいるのが小さな子供ばかりだったので…(笑)。


      その後は子供レンジャー体験のロープ渡りを眺めたりした後、帰路につきました。
      
      今年で2年ぶり2度目となる千僧駐屯地記念行事でしたが、今年も実に楽しめました。伊丹36普連のトウモロコシの人との
     思わぬ再会もありましたし。思えば、前回参加時は小さなコンデジでの撮影だったんですよね。今の愛機は手に余るデジタ
     ル一眼ですが、ちょっとはマシな画像が撮れたでしょうか。まあ、カメラのスペックが上がっただけの様な気がしますが(笑)。
      さて、来週は滋賀県は大津駐屯地の記念行事です。天気が良ければいいなあ。




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