小松基地航空祭2010

2010.10.03



    さて、いよいよ2010シーズンも終盤戦に突入です。一発目はいきなり空自小松基地航空祭という一大イベントとなりました。こ
   こ数年小松は天候に泣かされてきたので、今年こそ…と意気込んでいたのですが、当日の天気予報は雨。前々日から大陸上
   空の高気圧が停滞してくれたおかげで天候の崩れはやや遅れましたが、不安要素の残る参加となりました。
    2330大阪発の急行きたぐにに乗り込み、小松駅に到着したのは深夜0250。ここから小松基地航空祭恒例の駅での夜明かし
   に入ります。この、まるで試合直前の静かな選手控室みたいなひとときが小松ならではで大好きなのですが、今年は妙に人が
   少ないなあ。ここ数年、どこの自衛隊イベントも参加人数がうなぎ昇りになっている中、この静けさは不気味です。
    夜明けを待ってタクシーで小松基地まで移動しますが、まだ6時前だというのに東門前には300人近い行列が出来ていてび
   っくり。
正門前で降りたのですが、ここにも200人以上は行列しています。うーん、やっぱり小松だなあ。


    その後もどんどん人が集まり始め、0745開門の予定が0700に繰り上がりました。今年は最前列に拘らず、エプロン中心辺りで
   撮影しつつ基地内を歩き回るつもりなので、開門ダッシュは程々にしてとにかく基地内へ。小松基地は2年ぶりですが、なんだか
   もっと御無沙汰だった気がするなあ。
    格納庫群うしろの道路には、例によって凄い数の屋台がずらりと並んでいます。航空祭の屋台は外部の業者さんが入る事が多
   いのであまり興味は無かったのですが、ふと目に入った焼きそばがとても美味しそうだったので一つ購入。おお、出来たてなので
   熱々です。さっそく一口。
    鉄板の熱い油をまとったキャベツは色鮮やかでシャキシャキの歯応え。やや平打ち気味の中華麺もきっちりとソースの濃厚な
   味を乗せています。豚肉もちゃんと入っているし、400円にしては十分なボリューム。あまり期待はしていなかったのですが、これ
   はいい意味で裏切られてしまいました。


    ブルーインパルスのブースも出ていて、沢山のグッズが並んでいます。2010のツアーパッチが欲しかったのですが、何故か見当
   たらず。第11飛行隊創隊50周年記念のパッチがありましたが、これが今年のツアーパッチの代わりだったのかな?
    第3格納庫では、装備品展示が行われていました。まずはF-15のコックピット公開から。開門直後とあって人も少なく、今ならじ
   っくりと眺める事が出来そうです。今年はコックピットの撮影もOKで、正面のHUDもカバーを外した状態。アナログメーターがてん
   こ盛りで、いかにも的なカッコ良さがありますね。


    格納庫の一角には『空猿 りみっとおぶらぶ』と題された基地内独身隊員人気投票コーナーがあり、若い女性が興味深げに
   写真を眺めています。一人一人の写真に趣味や職種、コメントなどが書かれていて、何か風俗のパネルみたいだなあ。エンジ
   ン担当の隊員さんが多いみたいですが、中には『職業:カーコンビニ倶楽部みたいな仕事』という人も。
    また、エンジン担当のカキ丸(27)さんは趣味がサッカーなのに、写真では何故か棒きれをバットの様に構えています。うーん。


    F-15のエンジンも展示されています。こうしてみると大きいですが、これ2本であの十トン以上もある巨大なF-15をぎゅんぎゅん
   飛ばすんですから、そう考えるととても小さく感じます。
隣には同じくF-15のジェットフューエルスターターが。メインエンジンを動か
   す為の補助エンジンですが、この小さいエンジンでなんと166馬力。


    沢山の対空ミサイルがずらりと並んでいるその隣には、機体に搭載されている20oバルカン砲が。説明板には『GAS』とありま
   す。何の略称だろうと隊員さんに尋ねると、『ガン・アミニッション・システム』だそうです。
    曳航標的がずらりと展示されている横には、専用のリフトに乗せられた500ポンド爆弾が。F-15の翼下のハードポイントに、葡萄
   の房みたいに搭載されている所を見たことがありますが、こうして改めてみるとデカイなあ。500ポンドは225kgなので、これ一つ
   で何とアンドレ・ザ・ジャイアント(古い)一人分です。この爆弾をF-15は12発搭載出来るので、F-15=12アンドレ!いや、12アンド
   レを持ちあげているんですから、むしろ12前田日明と換算するべきかもしれません。


    F-15の油圧装置に関する展示もあり、なかなか興味深いです。傍にいたオイル関連の職種についていた隊員さんのパッチが
   面白かったので、一枚撮影させて貰いました。空自ハイドロ友の会って…。ドンガメ会みたいなものなんでしょうか。


    巨大なウマに乗せられたF-15の稼働展示も行われていて、機付員の人達が首脚脇の点検ハッチを開け閉めしています。内部
   はケーブル類が毛細血管の如く這いまわっていて、アレを全部把握しているんだから凄いなあ。よく見ると、コックピットに座って
   チェックしているのは女性自衛官でした。もしかして機付長さんなのかな?


    さて、そろそろオープニングフライトが近づいてまいりました。空はどんよりと曇っていますが、徐々に明るさが増しているような
   ので、とりあえず雨の心配はなさそうです。
    エプロンでは救難隊のUH-60Jがバタバタとエンジンを回していて、滑走路には民間の小型機が着陸の最中。
    そして救難員を乗せたUH-60Jが上昇し、続いてF-15が4機、立て続けに轟音を上げながら離陸して行きました。おお、いよ
   いよです!
    ここで富山から参加の艦長さんSAA水兵さんと合流。駐車場に入る手前で大渋滞に巻き込まれたようですが、敦賀以来の
   2ヶ月振りの再会です。
    そしてオープニングフライト開始。先頭を切っているのは、小松基地航空祭記念塗装機である通称カブキイーグル!垂直尾翼
   には小松市のイメージキャラクターであるカブッキーが描かれています。今どきらしいカワイイゆるキャラですが、F-15の持つ精
   悍なイメージとのギャップが激しく、何とも言えない脱力感だなあ。これはこれでアリだと思いますが、もうちょっとカッコイイ方が
   似合ってるような気がします。
    しかし絵柄が絵柄なので、記念塗装機と言うよりも刺青みたいですね。スーパー銭湯で時々遭遇する、ひとり背中絵画展の人
   っぽくもあります。


    そして4機のF-15は、上空狭しと大暴れ。ああ、このゴワーンと内臓に響くエンジン音は久しぶりだなあ。まだ朝早いせいか、ア
   フタ―バーナーを控えた大人しい大暴れ(?)ですが、やっぱり小松のF-15まみれはド迫力です。
    入れ替わり立ち替わり上空を舞うF-15が途切れた時、頭上からは4名の救難員によるパラシュート降下が。上空は曇っていま
   すが、風はそれほど無さそうです。
    続いてF-15による機動飛行。今度はアフターバーナー全開のド派手なハイレートクライムを披露です。おお、あの巨大なF-15
   が、まるでロケットの様にグイグイと垂直に上昇して行きます。凄いなあ。


    滑走路上空に低空で進入し、ガバッと機首を起こして一気に急上昇。この力任せのパワフルさは、さすがにF-15ならでは!
   ああ、やっぱり来て良かったなあ(泣)。派手に引いているベイパーもいい感じです。
    「さっき15が目の前まで来た時、後に展示してある短SAMが追尾していましたよ(笑)」
    とSAA水兵さん。うーん、酷い人もいるもんだ(笑)。


    そしてお次は、岐阜基地の飛行開発実験団から参加のF-2の機動飛行です。築城や三沢で実任務についている洋上迷彩の
   F-2に比べると、何だかのほほんとしたイメージの日の丸F-2ですが、見せてくれた機動飛行はかなりの迫力。F-15と違って単発
   エンジンなので排気音こそ大人しいですが、きびきびとした軽快な運動性能は実に軽やかで力強いなあ。おお、まるでソフトクリ
   ームを巻くように、上空に向かってらせん状に上昇しています!翼下のハードポイントが左右合わせて6つもあるのが頼もしい。
   いざという時は、対艦ミサイルを抱えて某国艦隊に切り込むんだろうなあ。


    その後は3人揃ってトイレに向かいますが、すでにこの時間から仮設トイレ前の大渋滞が始まっています。ここで艦長さんのア
   ドバイスに従って某建物のトイレに向かうと、全く待たずに入る事が出来ました。うーん、まさかこんな建物のこんな所にトイレが
   あるとは思いませんでした。
まさに穴場トイレです。さすがにベテランは違うなあ。
    その後は売店で飲み物を買い、再びエプロンに戻ります。が、やはりと言うか流石と言うか、とんでもない人混みになっていま
   す。
どうにかエプロンの空いた所を見つけて腰を落ち着けると、ちょうど茨城県百里基地からのRF-4が機動飛行を始めたとこ
   ろでした。
    濃緑と茶の迷彩が施されたRF-4は、曇天の空をバックにすると妙に小さく見えます。何だかF-1みたいですね。


    官民共用の小松空港らしく、展示飛行の合間合間に民間の旅客機が離着陸。会場にはANAの社員の方が来ていて、旅客機
   の種類や行き先、機体にちなんだ様々なエピソード等を、分かりやすくアナウンスしてくれました。
    続いてF-15の編隊飛行。合計8機からなる大編隊が次々と上昇して行き、T-4も大張りきりで離陸します。先ずはF-15×8機
   によるデルタ隊形でのパス。
きっちりと等間隔にギリギリまで翼端を寄せたデルタ隊形は、まさにお見事の一言。エプロンからは
   歓声があがります。


    するとそのすぐ後ろからT-4がやってきて、機体下部をがばっと見せた後は一気に急上昇。まるで小柄なT-4が、
    「ちょっとちょっと、僕を忘れないでよ〜」
    と言いながら慌ててF-15を追っかけて行ったみたいで、妙にカワイイなあ。


    続いて再びF-15編隊によるアローヘッド。ここでも再びT-4が慌てたように後を追いかけます。うーん、面白いな。
    次は小松市のマークをかたどった編隊飛行ですが、小松市のマークを知らないのでよくわかりません(笑)。パンフレットにでも
   載せてくれたらいいのになあ。
    さらにT-4とF-15が一機ずつ横並びになり、きっちりと整ったピッチアウトを披露。T-4の方が手前に位置しているのですが、向
   こうにあるF-15の方が二回りぐらいデカイので、遠近感が狂って変な感じ。


    最後は7機のF-15によるコンバットブレイク。うーん、カッコいいなあ。
    更に2機のF-15による機動飛行に移ります。鷲のマークの306飛行隊から選抜された2名のパイロットが、次々と切れ味のあ
   る機動飛行を披露。アフターバーナーを派手に焚きまくり、上空で機体を翻すたびにテールコーンから図太い真っ赤な炎を噴き
   上げています。強烈な衝撃波をエプロンに叩きつけ、曇り空もなんのその、あっとういまに上昇して消えて行きました。うーん、凄
   い!これぞ小松の醍醐味です!


    最後はエアブレーキを展開しながら堂々の着陸。エプロン最前列でお父さんに肩車された子供達が、手を振りながらパイロット
   を迎えているのがいい光景ですね。

    さて、この後は午後からのブルーインパルスが始まるまで、約一時間の昼休みに入ります。私の今日のお昼は、ペットボトルの
   水でもどした日清カップヌードルとコンビニおにぎり。やっぱり半日戦闘機の爆音を聞いているとお腹が減りますね。
    その後は、どうしてマニアは新谷かおるには優しいのにかわぐちかいじには冷たく当たるのか…といった様な深遠なテーマに
   ついて3人で議論しているうちに、ブルーインパルスの展示飛行の時間が近づいてきました。午前中に比べるとやや風が出てい
   ますが、薄雲がかかった空はなんとかこのまま持ちそうです。垂直系の演目は無理っぽいですが、なんとか第4区分は楽しめそ
   う。
    それにしても、エプロンの混雑は凄い事になっています。初めて小松に参加した6年前に比べると、人口密度は2倍、いや3倍
   近くになっているんではないでしょうか。格納庫上のスピーカーからはブルーインパルスのテーマ曲が流れ、エプロンではウォー
   クダウンが始まった模様。最前列に陣取った人達の背中から、固唾をのんでいる雰囲気が伝わってきます。
    6機のT-4は一斉にエンジンスタート。エプロン中央からは垂直尾翼しか見えませんが、今までエプロンで眠っていたT-4が徐々
   に目を覚ましていくようです。
そしてエプロンを埋め尽くした観客の期待を背負い、一番機からゆっくりとタキシング。
    しかしこの時点でパラパラと帰る人達が居たのは意外でした。へー、ブルーインパルスを見ないで帰るのか。まあバスを待ちな
   がらでも見れない事は無いですが、中には小さな子供の手を引いたお父さんの姿もあり、なんか勿体ないなあ。余計なお世話か
   もしれませんが、小さな子供たちにこそブルーインパルスを見てほしいんですけどね。個人的にちょっと残念です。
    そしていよいよ展示飛行開始!先ずは4機揃ってのダイヤモンドテイクオフからダーティーターン。バックが曇り空なので、折角
   のスモークが映えないのが辛いですが、その分主脚灯がキラキラと煌めいているのが素敵です。


    低い所まで降りて来た雲に頭を押さえられながらも、ブルーのT-4は元気いっぱいのアクロバット!うああ、やっぱり来て良かっ
   た!何かもう、涙が出そうです。がんばれT-4!
    北陸の曇天の空を駆け上がるT-4を、必死にファインダーの中で追いかけていて気がついたのですが、一つ一つの演目を終え
   るたびに沸き起こる歓声が、今までよりも随分と大きくなっています。

    まるで今日初めてブルーインパルスを見たかのような、驚きの歓声がとても大きいなあ。なるほど、年々航空祭、引いては自衛
   隊イベントに参加する人が増えているので、必然的に初ブルーインパルスな人の割合も多くなっているのでしょう。
    正直、あまり混雑するのもちょっと辛いものがあるのですが、こうして空を見上げて感動出来る人が一人でも増えるのは、いち
   ファンとしては非常に嬉しい事でもあります。


    おお、今年の新技、バックトゥバック!まるで機体の腹同士を接着剤で貼り付けた様な状態で、一気に低空を駆け抜けて行き
   ました。まるでT-4が交尾してるみたいです。


    ボントンロール。デルタ隊形の6機のT-4が、完璧なタイミングで一斉にロールを打つと、観客からは大きなどよめきが沸き起こ
   ります。パイロットの人達にこの歓声が聞こえていないのが残念ですね。
    スタークロスもきっちり決まります。晴れた日だと地上にスモークの影が映るのでやり易いそうですが、曇天をものともしない見
   事な☆マーク
を大空いっぱいに描いています。
    タッククロスでは、機体の肩をすり合わせる様なトリッキーな機動に一瞬短い悲鳴が上がりますが、すぐに大きな拍手に代わり
   ました。


    最後はローリングコンバットピッチ、コークスクリューというお馴染みの大技で締めて、文句なしの見事な展示飛行を終了。いや
   −、やっぱりブルーインパルスは素晴らしい!
今日は歓声も大きかったので尚更です。何だかんだでちゃんとブルーインパルス
   を見る事が出来たのは久しぶりなので、感動もひとしおです。


    そして6機のT-4は、大きな拍手を受けながら堂々のランディング。ちびっ子T-4が、
    「ただいま!ねえ、どうだった?すごかったでしょ?」
    と胸を張っているみたいで、本当にカワイイなあ。


    と言う訳で、2010年の小松基地航空祭はこれにて全プログラム終了。雨にヤキモキさせられるのはもう毎年の事ですが、今
   年は雨に打たれる事も飛行展示がキャンセルされる事も無く、終わってみれば万々歳の航空祭でした。
    その後はSAA水兵さんの車で小松駅まで送って頂き(いつもすみません)、恒例の山中温泉に寄り道してひと風呂浴びて帰り
   ました。



    さて、この後は一週間あけて、再来週は兵庫県伊丹駐屯地で行われる中部方面隊の創隊記念行事に参加です。伊丹の隊員
   さんはノリがいいし、なにより食べ物系の屋台が非常に充実しているのでとても楽しみ。36普連のトウモロコシの人も参加してく
   れるのでしょうか?また好きでもなければ食べたくもない焼きトウモロコシを買うハメになるのでしょうか?当日の晴天を祈りつつ、
   石川県を後にしました。


小松市のイメージキャラクター、カブッキーです




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