今津駐屯地創立58周年記念行事

2010.09.19



    滋賀県高島市で行われた、今津駐屯地創立記念行事に参加してきました。今津駐屯地は第3・第10戦車大隊を中心に後方
   支援連隊
無人偵察機隊、通信中隊駐屯地業務隊が所在する関西の戦車どころで、昨年に引き続き2度目の参加です。
    関西の9月のイベントは今津しかないので天候が心配でしたが、当日は気持ちのいい位の晴天。秋晴れと言うにはまだ陽射し
   が強いですが、琵琶湖北岸の高台に位置する今津駐屯地には涼しい風が吹いています。来月からはほぼ毎週のようにイベント
   が続くので、今シーズン終盤戦の滑り出しとしては上々のコンディションですね。
    今日は余裕を見て1時間前に特設駐車場に到着したのですが、駐屯地へ向かうシャトルバス乗り場にはこの時間にして既に
   行列が出来ています。
前から150〜60番手位かな?場所取りにはちと厳しい番手ですが、まあ何とかなるでしょう。
    しばらくしてやってきたシャトルバスに乗り込み、いざ今津駐屯地へ。まあ今更急いでも仕方ないので、同行したHさんとぼちぼ
   ち式典会場へ歩いて向かいますが、観閲席側の右端に丁度良さそうな空きスペースがあったのでそこに陣取ります。うん、ここ
   なら観閲行進もほぼ真正面から見る事が出来ますし、比較的自由なアングルでの撮影が楽しめそう。


    さて、とりあえず場所は確保しました。記念式典が始まるまで駐屯地内を歩き回りましょう。
    子供広場には74式戦車と96式装輪装甲車、あと何故か黄色いカバのエアドームがあり、子供達が嬌声を上げています。そ
   の隣は装備品展示会場になっていますが、訓練展示の後に車輛が揃うらしく、今は空きスペースの方が多いなあ。
    お、空自饗庭野(あいばの)分屯地からはペトリオットが来ています。キャニスターが一本だけ、というのがちょっと寂しいですが、
   アウトリガーをどっかと踏ん張った様子はなかなか頼もしげ。


    無人偵察機が展示してありました。これ、5月の千僧駐屯地では見逃してしまったんですよね。今回初めて見たのですが、何
   だか深海に住む鮫みたい。ローターブレードも意外と小さいんだなあ。


    屋台広場へ向かうと、沢山の業務用白テントが並んでいて、なかなか力が入っています。ざっと見るとたこ焼き、ラーメン、焼き
   そば、フライドポテト、フランクフルト、うどん…
と、食べ物系は一通り揃っている模様。
    たこ焼きの屋台では生ビールとのセット販売も行っていました。売り子の隊員さんは朝からテンションを上げていて、
    「セット販売も行っておりま〜す!決して悪徳商法ではありませ〜ん!」
    ああ、やっぱりこういう雰囲気になるとお腹が減ってきますね。先ずは焼きそばから行ってみましょう。透明プラスチックの容器
   から熱々感が伝わってくる焼きそばは300円。見たところ豚肉・キャベツ・紅生姜のみのシンプルな焼きそばです。まずは一口。
    脂とソースで麺がピカピカ光った、ジューシー系の美味しい焼きそばです。押さえるべきポイントをきっちり押さえている感じです
   ね。具や薬味に工夫の余地がまだ多いですが、これはいわゆるかけ焼きそばとでも言うべきスタンダードな形で、作り手の力量
   を計るには一番なのかも。


    その後は隊舎内の売店を冷やかし、再び屋台広場へ。あ、この『近江牛スジ煮込み』と言うのがやけに美味しそう。一つ購入。
   これは式典会場に戻ってから食べる事にします。


    さて、そろそろ時刻は1000。記念式典の行われるグラウンドへ戻りましょう。周囲では89式小銃を抱えた隊員さん達が続々
   と集まってきますが、どれも折曲銃底式の89式小銃な所が、戦車大隊がメインの駐屯地らしいですね。
    確保してあった場所に戻り、牛スジ煮込みをHさんと半分こ。これが滅茶苦茶美味しく、ちょっと驚きでした。味は甘辛い白味
   噌仕立てで、柔らかくなるまで煮込まれた牛スジの旨みが存分に引き出されています。たっぷりの青ネギとぱらりとかけられた
   一味唐辛子もいい仕事をしていて、これは思わぬ大当たり。ビール日本酒との相性も素晴らしそうですが、熱々のところをど
   んぶり飯にどばっとかけて…というのも、素敵に美味しそうです。


    そうこうしている間にも続々と隊員さんがグラウンドに整列し、部隊の紹介が行われます。74式戦車をバックにずらりと隊員さ
   んが整列した様子は、やっぱり今津ならではの迫力ですね。


    観閲部隊指揮官である二等陸佐が入場し、観閲官である駐屯地司令が登壇。続いて真っ白な手袋も眩しい曹長さんが国旗
   掲げて入場です。
    国歌吹奏の後は観閲官による部隊観閲観閲官式辞、と、式典は粛々ととり行われて行きます。


    来賓祝辞では、ご存じイラクのヒゲ隊長こと佐藤正久参議院議員の姿も。流石にこの人の祝辞は聞かせるものがありますね。
   常々言っておられる事ですが、
    「事前に準備した以上の事は、本番では絶対に出来ません!」
    という言葉は、一社会人として襟を正させるものがありました。
    式典の合間に何気なくパンフレットを見ていたのですが、午後から行われる74式戦車の体験試乗は整理券配布との事。しま
   った、見逃してた!
    整理券の配布は2回に分けて行われていて、0930からの配布は終了しています。次は1130からの配布になりますが、丁度
   観閲行進が終わってから訓練展示までの空き時間に当たります。その間には音楽隊の演奏やチアリーディングの披露がありま
   すが、ここは整理券確保が優先だなあ。


    関係諸団体への感謝状の発表が終わると、整列していた部隊はこの後の観閲行進に備えて一旦撤収。戦車乗りは背後に控え
   ている74に乗り込みます。しばらく間が空いた後、25〜6輌からなる74式戦車の群れは一斉にエンジンスタート。うーん、流石
   に迫力あるなあ。ガロガロとエンジン音を響かせながら、一台ずつ退場して行きました。


    そして観閲行進開始。先ずは第3戦車大隊の96式装輪装甲車が2輌、砂煙を上げながらやってきました。観閲台の前まで来
   ると、車輛から身を乗り出した車長が切れるような敬礼をビシッと決めています。


    パジェロ、重レッカが後に続き、78式戦車回収車がキャタピラを軋ませながら登場。さらに地上レーダー装置1号を搭載した高
   機動車が続き、いよいよ74式戦車が登場!おおお、カッコいいなあ。ついこの間10式戦車のお披露目があったので、もう2世代
   前の戦車になってしまいましたが、いかにも戦車らしいシルエットがステキです。
    観閲台の前を通過して最初のコーナーの所に陣取っていたので、巨大な74がテールをスライドさせてコーナーを立ちあがって
   いく様子が圧巻です。凄い迫力だなあ。

    96式装輪装甲車の車長は、子供たちへのサービスなのか笑顔で手を振っていました。
    偵察オートを2台挟み、さらに74式戦車の大盤振る舞いは続きます。


    その後は第10戦車大隊が登場。96式装輪装甲車を先頭に、今度は黄色い鯱鉾マークの74式戦車が怒涛の行進です。
   や−、わざわざ琵琶湖の先っぽまで来た甲斐があったと言うものです。
    以上で観閲行進は終了。Hさんに場所の確保をお願いして整理券の配布場所に急ぎますが、既に長蛇の列が出来ています。
   これは厳しいかなと思いましたが、案の定私の遥か前で配布終了!んあ〜。
    がっくりしながら式典会場に戻ると、会場正面では梅花大チアリーディング部によるパフォーマンスが始まっていました。全国
   選手権で優勝した事のあるチームらしく、キビキビと統制のとれた演技はお見事。


    その後はいよいよ訓練展示開始です。上空にはOH-6D観測ヘリが飛来し、敵陣地の偵察を行います。グラウンドには地上レ
   ーダー装置1号
を搭載した高機動車が展開し、そこから送られた情報をもとにUH-1J多用途ヘリが進入開始。
    強烈なダウンウォッシュを地面に浴びせながらホバリングし、開け放たれたカーゴドアからは4名の隊員がロープ降下。飛び降
   りてから着地、散開までの流れが驚くほどスムーズです。


    間髪いれずに偵察オートが2台突入。一気に敵陣深くまで切り込んでから撤収し、今度は立位での小銃射撃を浴びせながら再
   び突入。ちょっと欲を出して、シャッタースピードを落として流し撮りに挑戦ですが、うーん、やっぱりブレました(笑)。難しいなあ。
    さらに87式偵察警戒車が突入開始。車高が高いのでコーナーでのロールがキツイですが、グラウンド狭しと走り回っています。
   立ち上る砂煙がいい演出になってるなあ。


    その間にもグラウンド後方にはFH−70榴弾砲が展開し、あっという間に空包射撃を開始。かなり距離があるのですが、やっ
   ぱり腹にズシンと響きます。
    同時にグラウンドの左右からは74式戦車が3輌、威嚇するかのように車体前部を持ちあげて飛び出してきました。一気にグラ
   ウンド中央まで距離を詰めた後、三輌そろって一斉に射撃開始。砲身の先端からは真っ白な砲煙が噴き上がり、衝撃で地面か
   らは砂煙がもうもうと立ち上がります。


    さらに後方から三輌の74式戦車が突っ込んできて、FH−70榴弾砲の支援射撃を受けながら次々と空包を発射。
    いつの間にやら軽装甲機動車96式装輪装甲車も飛び出してきて、あっという間に敵陣地を制圧。いやー、流石のド迫力!
   さに一気呵成の訓練展示でありました。


    最後は74式戦車が一輌進入してきて、観閲台の前で急停車。すかさず片方だけのキャタピラを動かして、ピタリと観閲台正面
   に正対。
おお、あれが超信地旋回ってやつですね。初めて見ました。一発でキレイに決めていた所を見ると、操縦手の隊員さん
   はかなりの手練れの様です。


    そして訓練展示の終了が宣言され、会場からは拍手が送られました。いやはやお見事。今年は対戦車ヘリが来なかったので
   ちょっと寂しかったのですが、戦車大隊の魅力は存分に堪能できました。
    その後は人の流れに乗って、ゾロゾロと式典会場を後にします。子供広場のエアドームには沢山のちびっ子が群がっていて、
   地上展示の74式戦車もジャングルジム状態。


    ペトリオットの隣には先程の訓練展示で大活躍していたFH−70がやってきて、両脚を広げて砲身を持ちあげる様子を間近で
   眺める事が出来ました。
砲を設置するとすぐに隊員さんは測量の様な作業を始めましたが、どうやら敵陣地を砲撃する際の基準
   点となる自分の位置を割り出す作業との事。
へー、単に地上展示するだけでも、こういう作業は欠かさないのか。まさに常在戦場
   の心構えですね。
先程の佐藤正久参議院議員の言葉が思い出されます。


    グラウンドに戻ると、ヘリコプターが2機着陸するところでした。UH−1J多用途ヘリがもうもうと砂煙を上げながら着陸したのに
   比べると、OH−6D観測ヘリは実にお淑やかな着陸。エンジンパワーの違いなのでしょう。よく見ると、メインローターの径も全然
   違うんだなあ。
    屋台広場は人で一杯。やっぱりこれ位人が多くないと、お祭りって感じになりませんよね。装備品展示会場では先程の梅花大
   チアリーディング部のパフォーマンスが行われていて、来場した子供達が持ち上げられていました。へー、ただ演技して帰るだけ
   じゃないんですね。立派だなあ。よく見ると迷彩服姿の隊員さんも軽々とリフトされていて、何だか妙に嬉しそうな表情が印象的。
    しかし、チアリーディング関係者と子供の保護者意外の撮影は禁止だったのが残念だなあ。そもそも見せる為のチアリーディン
   グなんですから、別に構わないんじゃないのかなあ。まあ、チアリーディングとは言えまだ学生さんだし、保護者の方達の気持ち
   を考えるとこれは仕方ないのかもしれません。
    その後はシャトルバスで特設駐車場へ移動。今津駐屯地を後にしました。
    帰り路は琵琶湖畔の道路で強烈な渋滞に巻き込まれましたが、志賀バイパスから名神高速にかけては三連休の中日とは思え
   ない位に空いていて、夕方には無事大阪に帰りつく事が出来ました。
    さて、10月からはいよいよシーズン終盤戦に本格的に突入です。まずは二週間後の小松基地航空祭。ここ数年、参加しようと
   すると雨に祟られることの多かった小松なので、今年は是非とも晴れてほしいなあ。



    余談ですが、今津の3週間前に尿管結石を患い、悶絶するような苦しみを味わってしまいました。幸い、痛みの発作はそれ一
   回きりだったのですが、肝心の結石が膀胱の手前で引っかかったまま動かず、いつ痛みが再発するか分からない…と言う非常
   に憂鬱な状態
でのイベント参加となりました。
    医師の方からは、『とにかく水を飲んで、ヒマがあったらジャンプしてください。ポロっと膀胱内に落っこちますから』という冗談み
   たいなアドバイスを貰っていたのですが、その頑固な結石が今津の翌日に無事出て来ました。思うに、あの内臓に響く74式戦車
   の空包撃ちまくり
が、膀胱の手前で踏みとどまっていた結石を見事撃破してくれたような気がします(笑)。
    第3戦車大隊ならびに第10戦車大隊、当日駐屯地記念行事に携わった今津駐屯地の皆様、本当に有難うございました。これ
   で心置きなく小松へGO!であります(笑)。




トップページに戻る
イベントレポート目次に戻る