2010.11.07
兵庫県姫路市で行われた、姫路駐屯地創立59周年記念行事に行ってきました。姫路駐屯地には第3特科隊と第3高射特
科大隊、さらにそれぞれの第3後方支援連隊第2整備大隊、駐屯地業務隊、第318基地通信中隊派遣隊、第115地区警務
隊派遣隊、第347会計隊が駐屯し、毎年の記念行事ではFH‐70榴弾砲の大盤振る舞いが見られるという、第3師団の特科
部隊のホームベースであります。それに加えて、非常に個性あふれるレンジャー訓練展示が有名で、むしろ姫路駐屯地創立
記念行事のメインはこちら!と言っても過言ではない程の人気を誇っています。
当日は朝からいきなり1時間も寝過ごしてしまい、慌てて姫路駐屯地に駆け付けたのは開門を30分過ぎた0930。会場北
側の一般席は既に埋まっていますが、東側と南側はまだスカスカです。朝出発した時は上空は曇っていましたが、この頃には
青空が覗き始め、少しずつ明るくなってきました。
とりあえず式典会場東側に場所を確保し、お約束の屋台巡りと行きましょう。なだらかな坂道を上って行った先にある屋台広
場はまだ人が少ないですが、あちこちのテントからいいニオイが漂ってきて空腹を刺激します。
フライドポテト、焼きトウモロコシ、たこ焼き、お弁当、自衛隊グッズ等のテントがずらりと並び、どの屋台も陽気と言うか商売
慣れしていると言うか、実に気さくな雰囲気なのが姫路駐屯地らしいなあ。その他にもサイコロゲームやエアーくじ、わたあめ、
スーパーボールすくい等々、非常に充実した内容になっています。
お、第3高射特科大隊本部管理中隊からはタコめしの屋台が!なるほど、目の前が瀬戸内海という土地柄を色濃く反映した
屋台だなあ。一緒に売られているトリ皮串も美味そうなので、早速購入。パックに入ったタコめしはぼってりと重く熱く、トリ皮串
は甘辛醤油のいい香りを振りまいています。さっそくタコめしを一口。
おお、これは美味い!ややベタつき気味の炊き上がりですが、タコの味わいがじっくりとお米に染みていて、見た目は地味で
すがこれは相当な実力派。200円にしてはかなりのボリュームですが、ぺろりと平らげてしまいました。
トリ皮串は柔らかく煮込まれて、ぷるぷるの口当り。臭みや脂っぽさは微塵も感じられず、すき焼きにトリ皮を入れたらこんな
風味かな?といった感じですね。
味はどちらも濃すぎず薄すぎず、実に見事な出来栄えです。ただ、タコめしはボリュームがあるので、小食な人は途中で飽
きるかもしれませんね。(大)と(小)のメニューを設定するか、端っこの方に小さなお漬物でもちょっと添えておけば、より満足度
が高い商品になったと思います。
あと、タコめしを食べている最中に先週の福知山駐屯地でのタコを思い出し、一瞬箸が止まってしまったのですが、これはま
あ姫路の落ち度でも何でもありませんね。それにしても、福知山の第7普連第3中隊の人達って…。
お、第3特科隊第2中隊からは、焼きそばの屋台が!うーん、鉄板でソースが焦げる香りが堪りません。情報中隊からはカ
レーライスの屋台が出ていて、どちらにするか非常に迷ったのですが、今年最後のイベント参加と言う事もあり、ここは焼きそ
ば行っときましょう。
出て来た焼きそばは期待を裏切らず、非常に美味しかったです。豚肉、キャベツ、麺、ソース、油のどれもが突出しておらず、
ソースもしっかりと麺に乗っていて見事な出来上がり。ただ、麺がブツ切りになっていたのがちょっと残念です。まあこの辺りは
好みの問題でしょうが、私はどっちかと言うと切ってない焼きそばが良かったかなあ。それでも、味は文句なしに美味しい焼き
そばでありました。
それにしても、各テント内で忙しそうに働いている隊員さん達は全員戦闘服着用なんですね。他駐屯地はジャージやTシャツ
姿での営業が多いのですが、やっぱり戦闘服姿の方が駐屯地に来ている、という雰囲気があっていいなあ。なんかこう、隊員
さんとの距離が近くなる様な気がします。
さて、空腹も癒えましたし、そろそろ式典会場へ戻ります。式典会場の背後には、白ペンキが見事にくすんだ色合いになった
古い木造平屋建ての隊舎があります。ああ、いいなあ、この佇まい。そこに掛けられた『即自宿舎』の看板だけが妙に新しい
のも、これまたいい味を出しています。
既に記念式典は始まっていて、観閲官式辞が披露されています。私は式典も最初から見たい派なのですが、今日は寝過ご
したせいで最初の方を飛ばしてしまったのが無念です。
その後は来賓の国会議員達による祝辞が読み上げられ、ここで佐藤正久参議院議員が登場。先週の福知山では全く聞こえ
なかったので、今日はきちんと聞けるのがいいですね。来賓の方々は一様に尖閣諸島問題における政府の弱腰に対して否定
的でしたが、ヒゲ隊長閣下は一際御立腹の模様。
「自衛隊員は戦力です!皆さんの額の汗と頑張りが、抑止力となります!」
こんな事を私が言うのも変かもしれませんが、整列している隊員さん達は、くれぐれも心して聞いてほしいと思います。
その後、式典は終了。車輛行進の準備に移ります。この頃には空も随分明るくなってきました。風も殆ど無いので、上着を脱
いで丁度いい位の暖かさ。
まずはパジェロと、観閲部隊指揮官を載せた指揮通信車が目の前を通過。野外炊具1号(改)を牽引したトラックと偵察オート
がやってきて、対砲レーダ装置や何だかよく分からないシェルターを搭載したトラックが続きます。
そして姫路駐屯地の主力と言うべき、FH−70榴弾砲を牽引したトラックが続々と入場。流石に4個中隊もFH−70の行進が
続くと、いかにも火力!と言った感じで迫力がありますね。
続いて第3高射特科大隊からのレーダー車輛群が続き、93式近距離地対空誘導弾がやってきました。ミサイルを格納した
筐体には蜘蛛の図柄が描かれていて、蜘蛛の巣のように上空の敵機を捉える、という事でしょうか。なかなか毒々しくもカッコ
いいデザインだなあ。その後は重レッカや高射直接支援隊の各種シェルターを搭載したトラックが続き、観閲行進は終了。戦
車や装甲車は参加しませんでしたが、姫路のメインである特科と高射特科を前面に押し出した、いい観閲行進でした。
その後は音楽隊による演奏が行われます。行進曲や歌謡曲の後は、お子様向けにアニメ忍たま乱太郎のOP『勇気100%』
を演奏。近くにいた子供達が音楽隊に合わせて歌い始め、なかなかいい雰囲気でした。
そしていよいよ訓練展示開始。先ずは訓練展示部隊指揮官である第3特科隊第1中隊長の一等陸尉が指揮通信車で入場、
ラッパ手と共に観閲官に訓練展示の開始を宣言します。
続いて、もはや定番となった『ワルキューレの騎行』をBGMに、上空にOH−6D観測ヘリが登場。続いてUH−1J多用途ヘ
リもやってきて、上空から4名の隊員によるロープ降下が行われます。降下前に4名の隊員が紹介されますが、何とその中に
レンジャー駒井3曹が入っていてびっくり。いやー、色々とご活躍ですね。
しかし今日は、ヘリのダウンウォッシュが随分大人しいですね。昨年は式典会場の石つぶてが飛んできて、大変かつ嬉しかっ
たのですが。今日は風が無いので、エンジン出力を上げなくてもヘリが安定するのかな?あと、昨年みたいに下向きの懸垂降
下で降りてくる隊員が居なかったのも、ちょっと残念でした。
一方地上には、偵察オートと87式偵察車、軽装甲機動車が突入し、砂煙を上げながらキビキビと周囲を警戒。
ここで対抗部隊陣地からは、見張りの兵士が出て来て周囲を警戒しますが、今年も陸自陣地で朝からずーっと隠れていたギ
リースーツ姿の狙撃手が、敵兵士を見事スナイプ。敵兵士は胸を押さえながら転倒していて、なかなかの名演技です。
さらに93式地対空誘導弾と81式地対空誘導弾、対空レーダ車輛が突入し、それぞれの持ち場で展開を始めます。
そして真打ちのFH−70榴弾砲が5門、トラックに牽引されて砂塵を巻き上げながら登場。5人の隊員がまさにマシーンの様
に射撃準備を整え、会場南側の砲から次々と空包発射。一発撃つたびに内臓を震わせる轟音が鳴り響きますが、今日は風が
殆ど無いため砲煙がなかなか流れてくれず、途中から会場は白い靄に包まれ始めます。うーん、くっきり見えない(泣)。しかし、
これはこれで臨場感があって面白いかもしれないなあ。
そう言えば、昨年は一発撃つたびに空包の撃ちカスが雨あられと頭上に降り注いで来たのですが、今年はほぼ無風なので
それは無し。これはちょっと残念でしたね。
ここで上空に敵航空機が接近し、5門のFH−70榴弾砲は一斉に射撃中止、砲身を下げて上空からの発見を防ぎます。
すかさず短SAMと近SAMが威力を発揮し、上空の敵機を追い散らします。FH−70は砲身を持ち上げ、敵陣地への砲撃
を再開。
そして会場には、滋賀県今津駐屯地から参加してきた74式戦車と96式装輪装甲車が突入。74式戦車は油圧サスペンショ
ンを使って車体を前後左右に傾けて見せ、その後空包を発射。真っ白い砲煙が噴き上がります。
最後はFH−70が全門一斉射撃を見せ、姫路テイストを存分に見せつけた訓練展示は終了。昨年と比べると、空包の数が
若干減った様な気がしましたが、やっぱりFH−70榴弾砲の撃ちまくりは見ていてスカッとしますね。
この後は人の波に乗って、再び屋台広場へ向かいます。お腹は一杯ですが、やっぱり人の多い屋台の雰囲気も味わってお
きたいですし。
第3特科隊第1中隊からのフランクフルトの屋台には、隊員さんたちのスナップを使った巨大なコラージュが飾ってあり、なか
なか面白いなあ。中隊のノリというか、明るい雰囲気がよく表れています。どの屋台にも長蛇の列が出来ていて、隊員さん達は
非常に忙しそう。声を枯らせて客引きを行っています。
その後は近隣の高校から出店している野点や駐屯地資料館、美術展などを見て歩きます。美術展は姫路の隊員さんやその
御家族による力作揃いで、その中でも大きな切り絵は見事な出来栄えでした。凄いなあ、こんなのを作れる隊員さんがいるん
ですね。
ちなみにこの資料館前には砲弾らしきものが置いてあるのですが、黒地に黄色のラインが入っているので、何だか一等海尉
っぽいと言うか、陸自らしくありませんでした。
さて、そろそろレンジャー訓練展示会場へ向かいます。時刻はまだ1245ですが、既に周囲は沢山の人が集まっています。
今年は、最前列から4列目まではシートと毛布で座席が作られ、これなら後にいる人からもよく見えるようになっています。流
石に見ている人の事をよく考えているなあ、姫路レンジャーは。
会場中央では子供レンジャーによるロープ渡り体験が行われていますが、そのそばに立っているレンジャー駒井3曹を発見!
思わず、駒井さんですね、と声をかけると、
「ええ〜?何で知ってるんですか〜?」
いや、多分第3師団で一番有名なレンジャーだと思いますよ。
「いや〜、僕、あんなキャラじゃないんですよね〜」
と照れ笑いするレンジャー駒井。いや、なんかその様子もそのまんまイメージ通りなんですけど…。今年も色々仕込んでるん
ですか?と尋ねると、
「ええ、まあ、ちょっとだけ(笑)」
それにしても駒井3曹、なんかこうにじみ出てくるキャラがありますね。あと、出てくるたびに体重ネタで笑いを取る駒井3曹で
すが、実際の生駒井3曹は、太っていると言うよりもむしろぶ厚い感じですね。何と言うか、プロレスラーはデブじゃない、という
感覚に近いと思います。
その後子供レンジャーのロープが取り外され、姫路駐屯地名物の白鷺太鼓の演奏が始まりました。太鼓の演奏は昨年を上
回る迫力で、一曲終わるたびに隊員さんの息が上がっているのが凄いなあ。普段から鍛えこんでいる隊員さんにとっても、か
なりの運動量になるみたいです。勇壮な白鷺太鼓に、会場からは大きな拍手が送られていました。
そしていよいよ、姫路レンジャーによる訓練展示が始まりました。レンジャー隊長がまずはお立ち台から観客に御挨拶。
「訓練の途中でネタをやるかもしれません!たとえ面白くなくても、温かい拍手をお願いします!」
あ、もしかして、プレッシャーを感じているんでしょうか(笑)。まあ、ざっと見ても昨年の倍近い観客が期待に満ちた目で見守っ
ているので、それも無理はない様な気がしますが。
会場中央では、レンジャー隊長の号令と共に14名のレンジャーが整列し、大きな声で自己紹介が行われます。第4中隊レン
ジャー駒井の所では、お約束の様に隊長から
「彼女募集中!」
と茶々を入れられ、今年も早々に笑いを取っています。それにしても美味しいなあ、レンジャー駒井。
その後は隊長から本日の訓練についての注意事項が伝達され、隊員達は
「レンジャー!」
と掛け声を上げて持ち場に走って行きました。
先ずは左手隊舎からの、モンキーによるロープ渡り。カラビナとエイト環を使い、まるで滑る様にロープを渡りきるレンジャー
隊員に、どよめきと拍手が送られます。
続いて、右手隊舎屋上からの懸垂降下。4名のレンジャー隊員が、3階建ての屋上からまるで何事もない様に飛び降りて、
見事に着地を決めています。
左手隊舎からは、エイト環を使わないモンキーの展示。片足ずつをロープに掛け替えながら、腕力だけでズリズリと前進。腕
力も腹筋も、よほど鍛えてないと無理だなあ、これは。
右手隊舎屋上からの飛び込み懸垂降下の後は、左手隊舎からのセーラー。今年は上下に張り渡された2本のロープを使い、
左右からの2名同時セーラーを行うとの事。上ロープでのセーラーを担当するレンジャー隊員は、逆上がりの要領でくるりとロー
プに取りつき、あっという間にセーラー準備よし。あまりに簡単にやってのけるので、本当に簡単に見えるのが凄いなあ。
2人は隊長の命令により、歌を歌いながらセーラー開始。その途中で、ロープをびよんびよんとしならせて遊んでいるのも強烈
です。見ているだけで鳥肌が立ちそうすでが、当のレンジャー隊員はなんだか楽しそう。隊長は怒って、
「コラ!真面目に歌わんか!」
うーん、真面目に歌えと言われても(笑)。最後は2人ともきっちりと渡りきり、大きな拍手が送られました。
続いて右手隊舎屋上からの、立姿による懸垂降下。4名のレンジャー隊員がすっくと立っていますが、なんか一人だけ体型の
違うレンジャーが…レンジャー駒井でした(笑)。会場のあちこちからクスクスと笑い声が聞こえますが、出てくるだけで笑いが取
れるレンジャーって、日本中探してもこの人だけのような気がするなあ(笑)。
その後は左手隊舎からやって来たレンジャー隊員が、会場中央にてフォールを行うとの事。ここで隊長が、
「おいレンジャー○○、お前確か、(お客さんの前での)フォールは今日で初めてやったな?」
「はい、初めてです!」
「このフォールはな、歴代レンジャーの誰もスベってないんや。分かるか?」
「分かってます!」
あ、やっぱり大勢の観客の前で、プレッシャーがかかってるみたいです。レンジャーも人の子だなあ(笑)。
「お前今日初めてやから、俺がお題出すから。それで謎かけしてみい。今日は将来の自衛官であるちびっ子がいっぱい来て
くれてる。『自衛官』で謎かけしてみろ!」
地上10mのロープ上で、しばし考え込むレンジャー。
「整いました!自衛官とかけまして、月末のクレジットカードの請求とときます!」
「その心は?」
「どちらも、明細(迷彩)が気になるでしょう!」
おおおおお、と歓声が上がり、観客席からは大きな拍手が送られました。
しかしこの場所、すぐ目の前にレンジャー隊長が突っ立っているので大外れかと思いましたが、ロープ上のレンジャーと隊長
との掛け合いがキレイにアングルに収まるので、面白いポジションかもしれません。始まってみないと分からないもんだなあ。
その後は前向きにフォール。会場からは悲鳴が上がりますが、宙ぶらりんになった状態からあっという間に復旧し、見事に渡
り切ったレンジャーに再び大きな拍手が送られていました。
続いては、ロープ上からの飛び込み懸垂降下。ここで隊長が、
「皆さん、レンジャー隊長も私ぐらいになるとですね、超能力でレンジャー隊員の動きを止める事ができます!」
また何か始まるのかと、固唾を飲んで見守る観客達。その後隊長からは降下の号令がかかり、ロープ上の隊員が前のめり
に降下…する筈が、空中で倒れ込んだ姿勢のままピタリと停止。
「どうですか!」
と言いながら、胸を張る隊長。大爆笑と共に、大きな拍手が送られます。しかし空中にぶら下がったままのレンジャーにはか
なりキツそうで、
「た、隊長!もう我慢できません(泣)!」
その後隊長から再び降下の号令が出て、レンジャーは頭を下にした姿勢のまま真っ逆さまに降下。会場からは短い悲鳴があ
がりますが、地面直前で右手一本でくるりと回転し、見事な着地を決めるレンジャー。
さらに右手隊舎屋上からは、前懸垂降下。4名の隊員が、降下地点の安全を確認しながら、これも頭から真っ逆さまに飛び
降りています。地面すれすれでネコの様に身を翻し、いとも簡単そうに着地。本当に軽々とやっていますが、降下している時の
視界を想像すると寒気がします。
そしていよいよ、レンジャー駒井がソロで登場!会場中央から、後方へのフォールを披露するとの事ですが、なんかもう出て
来るだけでみんな笑ってるし(笑)。レンジャー駒井は右手隊舎からワニワニとロープを渡りますが、ここで隊長が
「あれ?あいつ、何か持ってないですか?」
確かに何かペットボトルの様なものを首から下げています。するとレンジャー駒井はロープの途中でペットボトルのフタを開け、
ゴクゴクと水を飲み始めました。
「なんやお前!もうバテとんのか!?」
会場は大爆笑。うわー、初めて見ました。ロープ渡りの途中で休憩するレンジャーって…。
「はよ行かんか!なに飲んどるんや!(怒)」
レンジャー駒井は渋々ロープ渡りを開始しますが、中央まで来たところで再びペットボトルの水をゴクゴクと飲んでいます。
「バテとんのかお前は!(激怒)」
「レンジャー!!」
しかしこの人、地上10mで一体何をしているんでしょうか。ここで隊長による、恒例のレンジャー駒井弄りが始まります。
「しかしお前、下から見てたらまた去年よりもデカなってないか?」
「ちょっとここんとこ、暖かい日が続いたもんで…」
「ハァ?」
「いや、ここんところ暖かかったんで、陽気で太ってしまいました!」
もう言ってる事が滅茶苦茶なレンジャー駒井。
「お前、去年何sやった?」
「85kgでした」
「今何sやねん」
「きゅ、91sです」
「去年より増えとるやないか!お前飲み過ぎなんじゃ!!(激怒)」
「サーセン!(笑)」
またしてもゴクゴクと水を飲むレンジャー駒井。
「飲むなっちゅーねん!」
今度は汗を拭くレンジャー駒井。
「汗を拭くな!汗を!」
しかし本当に期待を裏切りませんね、姫路レンジャーは。昨年も強烈だったので今年はつらいかと思いましたが、見事な脚
本です。隊長はもう疲れ切った表情で、
「…ほんなら、準備はええか?」
あ、そうでした、そもそもフォールするんでしたね、この人。なんかもうすっかり空中漫才を見ている気になってしまいました。
「もう一回水飲んでいいですか?」
「もうええっちゅーねん!(激怒)」
会場はもう割れんばかりの大爆笑です。しかし本当に笑わせてくれますね、姫路レンジャーは…。
「分かった、舐めとる。お前はとことん舐めとるな…」
ここで隊長はお立ち台を降りて、ごそごそと袋の中からバズーカ砲を取り出します。
「お前はバズーカ砲で撃ち落とすからな」
汗を拭くレンジャー駒井。
「汗拭くなっちゅーとるやろが!!(激怒)」
ここで隊長は、レンジャー駒井を撃ち落としたい子供を大募集。沢山の子供達が手を上げる中、眼鏡をかけた子供が選ばれ
ました。
「よく狙うんやで〜。あいつ撃ち落としたれ!」
上空のレンジャー駒井に真剣に狙いをつけた子供は、バズーカ砲を発射!ポン、と音がして、黄色い紙テープが宙を舞いま
す。するとレンジャー駒井はひょいと片足を上げて、バズーカ砲の砲弾を見事回避(笑)。またしても大爆笑です。
「あ、あいつよけよった!」
隊長はバズーカ砲に次弾を装填し、今度は子供を連れたお父さんを指名。2人はお立ち台の上からレンジャー駒井に向かっ
てバズーカ砲を発射。するとレンジャー駒井は、
「ううっ!」
と呻きながらのけぞり、ロープから落下…かと思いきや、
「アーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!」
と高笑いしながら死んだふりをやめ、そんなん効いてへん効いてへん、と言わんばかりに左手を振っています。隊長はあまり
の脱力感に、がっくりと膝をついてしまいました。しかし、本当に面白過ぎるなあ(笑)。
「あかん、バズーカ砲は無理や!ちょっとちびっ子たち、みんな集まってくれ!」
すぐに観客のあちこちから、隊長のもとに集合するちびっ子たち。そして空中で余裕の半ニヤケ笑いを見せるレンジャー駒井
に向けて、
「かーめーはーめー波ー!!」
するとレンジャー駒井は胸を押さえ、ゆっくりとロープから後方に落下!大爆笑と大きな拍手が送られる中、レンジャー駒井
は軽々とロープに復旧して左手隊舎に退場して行きました。
その後は、4名のレンジャーによる建物への突入展示。屋上からは次々とレンジャーが飛び出し、反動を利用して軽々と階
下の踊り場へ飛び込んでいきます。先程までのお笑いレンジャー劇場とはまた一味違う引き締まった訓練内容に、大きな拍
手が送られました。
続いては、市街地戦闘を想定した、ゲリラ拠点への襲撃展示。右手隊舎屋上を見上げると、何だか巨人の小笠原道大とタ
ケちゃんマンを足して2で割ったような変な男が、日本刀と拳銃を持って笑っています。どうやらゲリラの隊長との事。
ここでゲリラ隊長は屋上から飛び降りて、頭を下にして真っ逆さまにロープ降下。地面すれすれで急ブレーキをかけ、くるりと
身を翻して着地を決めています。よく見ると着地に使った右手には拳銃が握られていて、左手の握力と体のバランスだけで着
地を決めて見せた模様。うーん、凄い!
続いて2名の部下ゲリラも降りて来て、ゲリラ隊長は部下に対して周囲の警戒を命じます。
とりあえずこの一帯は自分たちの勢力下にある事を確認したゲリラは、現地の子供達の心を掴むために得意のダンスを披
露。3人はしばらく手拍子を打った後、懐かしのヒゲダンスのテーマを口ずさみながら珍妙なダンスを踊り始めました。子供達
はその変な踊りに大笑いしていますし、大人は大人でまさかここでヒゲダンスを見るとは思わなかったので、大笑いしています。
うーん、この辺りも、すごく見る人の事を考えていますね。
途中でふざけてお尻をぶつけあったり、じゃんけんビンタで勝った隊長が負けた部下に張り倒されたり、といった小ネタを散
りばめつつ、観客を更に沸かせていくゲリラ達。それにしても、ピエロメイクの部下ゲリラが、何だか乱歩テイストで凄く怖いん
ですけど…。もう一人はなんだか中島らもみたいだし。
そしてゲリラ達は、現地の子供達の心を更に鷲掴みにすべく、観客に向かってお菓子を配り始めます。沢山の子供達が群
がる中、隊長はすかさず3名の子供を人質として拉致。部下ゲリラにアジト周辺の見張りを命じ、何だか妙に嬉しそうな人質
の手を引いて建物2階へ消えて行きます。そして2階の踊り場からは子供達が顔を出し、これまた嬉しそうに、
「たーすーけーてー!」
ここで左手隊舎から、人質救助作戦にあたるレンジャー隊員2人がロープ降下!音も立てずに着地を決め、周囲を警戒する
部下ゲリラの背後に忍び寄って一気に襲撃。ナイフを突き立てられた部下ゲリラはあっという間に動かなくなりますが、思い出
したかのように再び暴れ出すゲリラ。レンジャーは慌ててとどめを刺しますが、ぐったりしたゲリラはまたすぐにジタバタと動き出
しています。最後はレンジャーが
「もうええっちゅーねん!」
とばかりにゲリラの頭をポカリと叩き、ようやくノビるゲリラ。
地上の安全を確保したレンジャーは、ゲリラの立てこもった隊舎屋上に展開した突入部隊に対し、OKの合図。すると屋上か
らは真っ逆さまに宙吊りになったレンジャー隊員が降りて来て、拳銃を構えながらゲリラが立てこもる2階の様子を偵察開始。
偵察隊員からは「突入OK」との報告が入り、間髪いれずに4名の突入班が屋上から飛び降りて、一気に室内に突入!中か
らはパンパンと乾いた銃声が鳴り響き、しばしの沈黙の後、人質に取られた3名の子供達は無事救出成功。
いやー、今年も実によく練られた訓練展示でした。会場中央に整列した姫路レンジャー達に、惜しみない拍手が送られました。
続いては、徒手格闘展示。1対1、1対2、といった状況下で、素手やナイフなどを使用した格闘を披露しています。顔や胴を
防具で固めていた昨年とは違い、今年は動きを制限される防弾ベストに鉄帽、といった実戦に近い装備での格闘だったので、
かなりの迫力があります。
お次は、WACによる痴漢撃退展示。左手隊舎からはやけにデカイ痴漢が登場し、それが素なのか演技なのかよく分からな
い実にスケベそうな表情としぐさで、
「おっぱいさわらせてェ〜!」
と言いながら、背後からWACに抱きつきます。すぐにWACはその腕を振りほどき、平手打ちは連発するわ取り出した棍棒
でドツキ回すわ、もうボコボコにしています。
もっと投げ技や関節技を使って痴漢を取り押さえるのかと思ったのですが、これでは滅茶苦茶気が強いだけのケダモノお
姉ちゃんであります。
「うわーん、お母ちゃんに言うたるからな〜」
と泣きながら、痴漢は遁走。痴漢をボコボコにしたWACは実にわざとらしく、
「ああ〜、怖かった〜」
と怯えたふりをして、会場の失笑を買っていました。
続いて、体格が小さな隊員による体の大きな相手に対する格闘展示。小よく大を制する格闘技術の本領発揮かと思いきや、
何故か体格の大きな隊員に一方的にボコられる小さな人。最後は上手く立ち回って2人の巨漢を倒しましたが、『噂の刑事トミ
ーとマツ』を彷彿とさせる、珍妙な格闘展示でした。
最後は2対2による、ナイフを使った格闘展示。こちらは実に緊迫感に満ちた、非常に迫力のある格闘展示です。会場の2ヵ
所で二手に分かれて展示が行われるので、どの位置からも同じように見る事が出来るのが、実に姫路らしいお客さんに対する
気遣いと言えますね。
最後はWACに倒された隊員がよろよろと前に出て、迷彩服の上着をばっと脱ぎ、その下に『おしまい』と描かれたシャツを披
露して格闘展示は終了。参加した隊員の紹介が行われ、大きな拍手が送られていました。
以上で、姫路駐屯地創立記念行事は全プログラムが終了。今年は出だしでつまづいてしまいましたが、実に内容の濃い創立
記念行事でした。やってきたお客さんを楽しませ、なおかつ姫路らしい個性あふれる催し物が多く、今シーズンの締めには相応
しい内容でしたね。一見してお笑い駐屯地の様に見えますが、その背後にあるインテリジェンスと言うか、常に相手の事を考え
て(たとえそれが敵であっても)、今自分はどう動けばいいのか、を積極的に考える気風が、姫路ならではなんでしょうか。
映画監督である山田洋次氏の言葉に『人を泣かせるのは簡単だが、人を笑わせるのは本当に難しい』というのがありますが、
まさにそんな感じです。
それにしても、駒井3曹はお見事ですね。ヘリから飛び降りるわ屋上から飛び降りるわ、ついでに笑いまで取るわ(笑)。もしか
したら駒井3曹、痩せたら凄いソルジャーになるんじゃないでしょうか。しかしあのキャラを無くすのはあまりに惜しいので、何と
か来年もその体型を維持してほしいですね。第4中隊の皆さんには、寝ている駒井3曹の口に毎晩カロリーメイトを押し込んで
頂きたいものです。
さて、今年のイベント参加は以上で終了。何だかんだで天候にヤキモキさせられましたが、今年も多くのイベントに参加する
事が出来ました。初参加のイベントでは新たな発見もあり、単なる面白がりである私としては、非常に充実したシーズンでした。
来年はどれだけ動き回れるかまだ不確定ではありますが、とりあえずシーズンオフ中は、溜まりに溜まった戦闘糧食試食レ
ポートのUPに努めようと思います。
美術展に出品された、隊員さんのお子さんの作品です。カワイイですね。
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