中部方面隊創隊49周年記念行事

2009.10.18


      兵庫県は伊丹駐屯地で行われた、中部方面隊創隊49周年記念行事に参加してきました。伊丹駐屯地は昨年も参加し
     ているのですが、お客さんよりも楽しそうな隊員さん屋台の食べ物の美味さが印象的だったので、今年も楽しみでした。
     朝食を抜いて、自宅を出発です。
      一年ぶりのJR伊丹駅に到着。天気は上々。運動会にピッタリの、見事な秋晴れです。シャトルバスを待たずに市営バス
     で総監部前下車。一年ぶりに見ても、やっぱり住宅地にある大学みたいですね、伊丹駐屯地は。
      正門には15人ほどが開門待ちの列を作っていて、地元の方たちなのか親子連れが目立ちます。開門直前には結構な
     行列になっていたのですが、式典会場がとにかく広くポイントは幾らでもあるので、今津みたいな開門ダッシュは無く、ぞろ
     ぞろと敷地内に入って行きます。
      荷物チェックでバッグの中を開陳しますが、今年はペットボトル飲料はスルーでした。昨年は一口飲んでくださいと言われ
     たんですが。
      その後は駐屯地内のメインストリートであるさくら通りを抜けて、74式戦車の体験搭乗受付へ。昨年と同じく1230からの
     チケットを入手です。
      式典会場であるグラウンドは、気持ちいい位の広さです。一般客用の観覧席はイス席もスタンド席もまだガラガラだった
     ので、左スタンドの最前列中央に陣取る事に。最前列とは言え地上2m位の高さなので、かなり見晴らしが利きます。今日
     は格闘展示を中心に撮影したいので、この位の高さが丁度良さそう。
      さて、式典開始まではまだ時間があります。お腹も減っていますし、色々見て歩いて食べてみましょう。


      式典会場の脇には、第10後方支援連隊の野外入浴セットを使った足湯がありました。“尾張の湯”と書いてあるので、
     愛知県から参加している部隊でしょうか。しかし駐屯地記念行事に足湯があるのは、日本ぐらいじゃないかなあ。テントの
     横には、ボイラーらしき設備を乗せたトラックがありました。
      その隣には、FH−70榴弾砲が砲身を誇らしげに佇立させています。うーん、実に堂々たる威容です。カッコイイなあ。


      バラキューダの下には、120o迫撃砲RT81o迫撃砲L16があり、偵察オートには子供が嬉しそうに跨っていました。
      それにしても、迫撃砲は砲弾にライフリングが切ってあるんですね。知りませんでした。


      その後方には61式戦車75式自走榴弾砲。どちらも実にレトロな雰囲気を漂わせていて、まるで公園で遊んでいる孫
     をほのぼのと見守るおじいちゃんおばあちゃんの様な風情
が実に好ましい。しかし説明板を見ると、自走榴弾砲は北海道
     の連隊で今も現役バリバリとの事。うーん、やり手バアサンでしたか。お見それしました。


      道を挟んで向かい側には、高機動車に搭載された衛星単一過搬局装置。文系の私には何が何だかさっぱりです。
      その隣には救護所を兼ねた医療設備の展示スペースになっていて、野外手術システムがありました。中に入ると若い
     2等陸尉さんが熱心に説明してくれました。この設備ですが、実際に訓練中に虫垂炎にかかった隊員の手術を行った事
     があるそうです。手術室の隣には、医療機器を搭載したコンテナが接続してあり、棚には『四肢切断セット』と言う恐ろし
     げなシロモノが。成程、ある程度場面を想定して、道具類を纏めてあるんですねえ。


      エアドーム式のテントの中では、AEDを使った救護方法教室が開かれていました。心肺蘇生法は見た事がありますが、
     今はこんなのもあるんですねえ。いい事だと思います。
      正門で貰ったパンフレットを見ると、中部方面隊総監が代わっていました。前任の方は火箱さんという凄い名前の方だっ
     たので、印象に残っていたのですが。
      さくら通りからはいい香りが漂ってきます。と言う訳で、屋台巡りと行きましょう。


      愛知の部隊がレンコンと柿を売っていました。ここに来てレンコンを買うの?と思いましたが、料理レシピの配布も行って
     いて、意外に人気がありました。
      あ、あった、焼きそばの屋台です。さっそく熱々の出来たてを購入です。おお、美味い!脂っ気とソースの絡まりが実にい
     い具合で、キャベツはギリギリまで熱を通してきっちりと歯ごたえを残しています。豚コマもしっかり入っていて、刻んだ紅生
     姜と青海苔も、焼きそば本体の熱さのお陰で香りを十分に立たせています。あー、やっぱり私的駐屯地焼きそばランキン
     グ第一位は伊丹駐屯地
ですね。この内容で300円は実にご立派。
      子供広場には巨大な旅客機型のエアートランポリンが。子供が朝早くから大暴れしているようで、ブヨブヨと揺れています。
      石川県の金沢駐屯地からは、白山そばの屋台が出ていました。麺類続きと言うのもアレですがひとつ注文。出て来たそ
     ばにはたっぷりの削り節と大根おろし、青ネギと鳴門巻きが乗っています。しかしこれ、何と言うかダシの色が全然ありませ
     ん。まるっきり水の様です。何かの間違いなのかと思いましたが、取り敢えず一口。
      おお!美味い!カツオだしに塩だけで味をつけてあるのでしょうか。そこに大根おろしの味が加わって、なるほどこういう
     醤油を使わない蕎麦というのも十分アリだなあ。というか、こっちの方が美味いんじゃないでしょうか?駐屯地の屋台とは
     思えない味です。一気に食べきってしまいました。


      ふと見ると、白山そばのテント後方で大鍋に取りついてそばを茹でている隊員さんがいますが、そこに陸将の階級章をつ
     けた人が来て談笑しています。まさか屋台について金沢駐屯地から司令が来ているとは思えないので、恐らく以前金沢駐
     屯地に居た幹部の方が、懐かしい顔を見つけて激励に来られたのでしょう。そばを茹でているのは若手曹士の様ですが、
     こういう風に気さくに話している陸将さんはなかなかの人物ですね。
      その後は資料館を見学し、再びさくら通りへ。くじ引きの屋台からは大きな歓声が上がっていて、一等でも出たのかな?
      そして強烈だったのは、伊丹から出している焼きトウモロコシの屋台です。全身トウモロコシ男がいました。丸坊主の頭を
     黄色く塗り、真っ黄色の服を着て客引きをしています。うーん、あまりの伊丹らしさに惚れ惚れしてしまいそう。一枚撮影させ
     て下さいとお願いすると、すかさず決めポーズをとってくれました(扉画像です)。素晴らしすぎます。周囲からも、
      「おおっ!流石!」
      と歓声が上がります。凄いなあ、つくづく伊丹駐屯地です。お客さんよりも、隊員さんの方が楽しみまくっています。別の場
     所ではこれまた変な戦隊ヒーローものらしきコスプレの人たちが練り歩いていましたし、ここの人は本当にサービス精神が
     旺盛ですね。

      焼きそば白山そばでお腹はいっぱいですが、折角の伊丹です。カレーの屋台にも挑戦してみましょう。テントの中では
     何故か中学生や高校生ぐらいの女の子が沢山働いていて、この一角だけが女子高の文化祭の様な華やいだ雰囲気です。
     恐らく隊員さんのご家族が有志で参加している屋台なのでしょうが、敢えてトウモロコシ男が闊歩しているさくら通りから外し
     て厚生センター横に持って行ったのは、それぞれの持ち味を相殺させないように…という、上の方の深い配慮に違いない
     でしょう。


      で、出て来たカレーですが。これがまた期待を上回るとても美味しいカレーでした。普通こういう駐屯地カレーと言うのは、
     最大公約数的に万人に受け入れられやすい黄色いボンカレー風なのがスタンダードですが、これは見た目がこげ茶色で、
     ちょっと俺は違うぜといった雰囲気がプンプン。味も、おいおいこれを300円で売っていいの?といった出来上がりです。
      薄切りの豚肉はしっとりと柔らかく、ソースは実に深い味わい。大満足のカレーでした。
      しかし、食べた三品が三品とも大当たりなんですから、やっぱり伊丹はいいなあ。
      その後はトイレを済ませてPXを見て回り、久々の伊丹を存分に楽しんでから式典会場に戻ります。流石に式典開始時
     刻直前のスタンドはほぼ満席。空は晴れていますが時折ひんやりした風も吹いていて、もうすっかり秋です。
      そしてスタンド席後方から、整列を追えた隊員さん達が続々と行進を始めました。いよいよです。


      広いグラウンドに隊員さん達がずらりと整列です。風が強くてちょっと厄介ですが、そのおかげで隊旗がバタバタとはた
     めいている
のが絵になりますね。よく見ると旗が体に巻きついて、サナギみたいになっている隊員さんも居ましたが、いま
     は身動きひとつ取れないのが辛い所。
      まずは観閲官である角南陸将の登壇。続いて国旗が登壇し、君が代の斉唱です。ここでスタンド席は全員起立。
      さらに観閲官による部隊観閲、訓示、来賓祝辞と式典は続きます。来賓祝辞は国会議員中心でしたが、出席している
     佐藤正久参議院議員の出番は無し。勿体ない。昨年拍手を浴びた橋下大阪府知事の姿も見えず、今年はちょっと寂し
     い顔ぶれでした。


      隣に座っていた中学生ぐらいの女の子が、一緒に来た家族にスカーフの色による職種の違いを熱心に説明していまし
     た。うーん、こんなマニアもいるのか。意外だなあ。ちなみに私は情けない事に全然知りませんでした。
      と言う訳で式典はつつがなく終了。観閲行進前のグラウンド散水が始まりますが、風向きの関係でモロに霧雨を被って
     しまいました。レンズとカメラだけは必死に守ります。
      そして音楽隊を先頭に、観閲行進が開始です。中部方面隊の防衛警備区にあたる各県の旗を掲げたトラックが駆け抜
     けて行ったあとから、まずは指揮通信車が。どでかいタイヤとずんぐりした車体が実にカッコイイ。


      その後はレンジャー有資格者で編成された部隊が続きます。あー、やっぱり普通の隊員さんの行進とは何かが違う様
     な気がします。それは帽子の角度や顎の角度、歩幅、膝やつま先の向きなどの凄く細かい事なのですが、それらが完全
     に揃っているが故の雰囲気の違い
なのでしょうか。観閲台を通過した所から、
      「レンジャー!レンジャー!」
      と掛け声をあげながらの駆け足で、訓練場を一周。やっぱり迫力ありますね。恐らく息切れひとつしていないのでしょう。


      さらに指揮通信車、軽装甲機動車、偵察オートが続きます。偵察オートは6台体勢という豪華なもので、最初の2台は
     立ち上がって小銃の空包射撃を行いながら、次の2台はジャンプを決め、最後の2台はウイリーを披露して行きました。
      すぐさまジャンプ台の撤去が始まりますが、駆け付けた6名の隊員さんが、シャキーンと音がしそうな動きで持ち上げて
     いたのが印象的でした。


      その後も高機動車、FH−70榴弾砲、衛星通信車両、ホーク発射システム、短SAM、近SAM、低空レーダ車輛、人員
     輸送トラック、救急車、野外手術システム、81式自走架柱橋、92式浮橋、地雷原処理車
と続き、トリは74式戦車4輌
     よる行進。
      砲塔を回旋させながらコーナーに差し掛かる74を、前後に重ねて見る事が出来ました。強烈な地響きに歓声が上がり
     ます。


      そしてトドメは、OH−6D観測ヘリ、AH−1S対戦車ヘリ、AH−64攻撃ヘリ、CH−47輸送ヘリ合計15機によるヘリコ
     プターの混成部隊の航過飛行。上手い具合に上空が晴れていたのもいい感じでしたが、とにかくこれだけ数が揃うと迫力
     がありますね。
      以上で観閲行進は終了。格闘展示に移ります。一般スタンド席の前には大太鼓が運び込まれ、89式小銃を抱えた隊員
     さん達がザクザクと登場です。パンフレットには第10師団隊員約130名とありますが、流石にこれだけ集まると迫力があ
     るなあ。観閲台正面で整列した後は、大太鼓の合図とともに一斉に駆け出し、所定の配置につきます。


      まずは銃剣による訓練展示。鞘をつけた状態の銃剣で、突く、払う、刺す、切る等の基本動作を行います。
      次は89式小銃に着剣した状態での基本動作。こちらは先ほどよりも動きが大きく、これまた迫力のある展示です。や
     っぱり道着と防具、木銃でやるよりも見栄えがしますね。
      続いて徒手格闘の基本動作。突く、蹴る、肘打ち、膝蹴りの様々な型稽古を披露です。
      最後はナイフを相手にしての徒手格闘展示。ナイフを持った相手の体勢を崩し、関節を取ったり投げたり脚を払ったり
     当て身を入れたり膝蹴りからの首相撲に持ち込んだり、様々なパターンの動きを行います。約束組手なので、受け身も
     ちゃんとキレイに取れています。


      以上で訓練展示は終了。昨年のガンドリルとはまた違い、なかなかに興味深く面白い展示でした。後で気がついたので
     すが、パンフレットに入っていたアンケート用紙に、来年のイベント・展示についての希望を書き込む欄がありました。恐ら
     く昨年は格闘展示を見たいと言う意見が多かったのでしょう。そういう意見をどんどん吸い上げて、積極的に期待に応えよ
     うという姿勢は素晴らしいですね。柔軟でサービス精神に溢れた、とても若い考え方だと思います。
      さて、後は74式戦車の体験搭乗です。受付の隊員さんに体験乗車券を渡し、例の帽子を貰って私もカリフラワー畑の
     一員
になります。今年の説明係はあまり慣れていない若い隊員さんで、かなり上がりながらの一生懸命な説明。昨年は
     かにも場馴れしたベテラン陸曹さん
だったのでその経験の差が際立ちますが、頑張れ!
      と言う訳で、1年ぶりの74です。重くて堅い鉄帽を被り、梯子をあがって戦車の後部に取り付けられたカゴの中に入りま
     す。ガロガロガロとエンジンを始動させ、74が動き出しました。まさに、大きくて重い鉄の塊が走り出す感じ。手すりを持っ
     ていないと振り落とされそうです。


      74はあっという間にコースを一周し、とても快適とは言えませんが実に面白い体験搭乗は終了。最後に搭乗証明書
     頂きましたが、昨年はペラペラの紙切れだったものが、今年はカラー印刷の用紙をラミネート加工した手の込んだシロモ
     ノになっていました。子供は喜ぶだろうなあ。これもアンケートの要望にあったのでしょうか。
      午後からは第13音楽隊関西外大チアリーディング部の演技、今津の第10戦車隊の自衛太鼓がありましたが、所用
     の為ここで伊丹駐屯地を後にしました。来年は最後までじっくりと見たいものです。

      いやあ、今年も実に満足度の高い創隊記念行事でした。とにかく伊丹の人達はサービス精神が旺盛です。自衛隊の事
     を知ってもらい、その意義を理解してもらうという点については実に積極的で、こういう姿勢は他の駐屯地の人から見ても、
     得られる事は多いのではないでしょうか。というか、やっぱりその土地その駐屯地のカラーと言うのは大きいのでしょうね。
      来年もぜひまた来たいと思います。食べ物も美味しいし。



      なお、今回の扉画像の使用にあたり、焼きトウモロコシに扮していた伊丹駐屯地の隊員ご本人様からの許可を頂いて
     おります。この場にて御礼申し上げます。また、中部方面隊監部広報室の方々にも、年度末の近い忙しい時期に面倒な
     仕事を増やしてしまった事をお詫びするとともに、丁寧な対応をして頂けた事を感謝いたします。




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