今津駐屯地創立57周年記念行事

2009.10.04


      滋賀県高島市で行われた今津駐屯地創立記念行事に行ってきました。10月に入り、いよいよ今年のイベント参加も佳
     境に入りつつありますが、本日の天候は見事な秋晴れ。昨日までのグズグズした空模様が嘘のようです。日中はけっこう
     な暑さが予想されますが、今津駐屯地は琵琶湖の北端辺りにあるので、意外と涼しいかもしれません。
      早朝に大阪駅を出発し、三週間前の敦賀行きと全く同じ路線を使ってJR近江今津駅に到着です。そこから山の方に向
     かって歩き、国道161号線の高架をくぐった所で今津駐屯地の案内看板を発見。


      今津駐屯地は第3戦車大隊第10戦車大隊を擁する、関西の戦車どころであります。余所の駐屯地の訓練展示では
     最後にトリとして74式戦車が1〜3輌出てくる程度なので、今日は戦車を沢山見る事が出来るのがとても楽しみ。
      駐屯地目指してひたすら歩いていきますが、途中で道路の右手にバキュームカーが十数台、ずらりと整列していました。
     どれも新車なのかピカピカで、これだけの数のバキュームカーを一度に見たのは初めてです。よく見るとその中でも一台
     だけ一回り以上大きなバキュームカーがあり、旗艦っぽい雰囲気を漂わせていました。
      途中の特設駐車場からは、家族連れの姿がチラホラ。上下を迷彩柄の服でキメた小学校低学年ぐらいの子供が、朝か
     ら上がりっぱなしのテンションを隠しきれない
のが微笑ましいなあ。
      駅から25分ほど歩いて今津駐屯地正門前に到着。既に40人程が開門待ちをしています。ここは山の頂上近くらしく、
     先ほどから気持ちのいい風が吹いています。登り道でかいた汗が、すうっと乾いていきます。
      「春日部ナンバーの車でお越しの方、いらっしゃいませんか?」
      と、警衛の隊員さんが聞いて回っています。春日部?埼玉から?凄い人もいるもんだなあ。ライトの消し忘れでしょうか。
      それより、開門待ち行列のあちこちから
      「しんちゃんだ・・・」
      というつぶやきが。ああ、先月原作者の方が亡くなったばかりでしたっけ。改めてご冥福をお祈りします。
      開門直前になると、私の後方にもかなりの行列が。そして0900開門。人気の高い駐屯地なのか、航空祭ばりの開門ダ
     ッシュが繰り広げられました。私も混じってドタドタと走ります。途中で前を走る人が、焦ったのか地面に荷物をぶちまけて
     しまい、舞台で眼鏡を探す横山やすしみたいになっていました。


      ヒーヒー言いつつ式典会場に到着。訓練場右手の、小さな土手の上に陣取ります。目の前は式典会場となるグラウンド
     ですが、意外に狭いなあ。まあ、普段の戦車の演習は別の場所で行われるのですが。しかしずらりと並んだ74の群れは
     壮観です。ざっと数えて、40輌近くあります。余所の駐屯地だと1輌だけがふんぞり返っている程度ですが、流石にここま
     で数が揃うと圧巻ですね。


      しばらくすると、遠くの方からヘリの排気音が響いてきました。慌ててカメラを取り出すと、頭上をOH−6D観測ヘリが通
     過。軽快な運動性能を生かして、上空をぎゅんぎゅんと飛び回ります。恐らく訓練展示前の機体のチェックなのでしょうが、
     観客を楽しませようとするなかなか粋な計らいです。これだけ天気がいいと、飛ばしてるパイロットの方も気分いいんだろ
     うなあ。
      続いてAH−1S対戦車ヘリが登場。これもサービス精神たっぷりの、気合の入った機動飛行。張り切っていますねえ。


      縦横無尽に飛び回っていた2機が演習場の方に帰って行き、上空は急に静かになりました。空の青さと広さが感動的で
     す。
      式典の始まる1000前になると、一般見学スペースには三重四重の人の列が出来始めました。そして戦車の後方に隊員
     さん達が集合し始め、いよいよ式典開始。音楽隊を先頭に、続々と駐屯地所属部隊が会場に整列して行きます。
      最後に部隊指揮官が整列した部隊の前に出て来ますが、あちこちにある泥濘に足を取られ、危うく転倒しそうになってい
     たのはご愛嬌
です。


      部隊紹介の後は観閲官である駐屯地司令が登壇し、国旗登壇、君が代斉唱、部隊観閲、と、粛々と進行してまいります。
      駐屯地司令の観閲官式辞の後は来賓祝辞が続きますが、一番手はやはりこの方。イラクのヒゲ隊長こと佐藤正久参議
     院議員
です。この方はいつも実に熱い祝辞を披露するので、来賓席だけでなく一般見学者からも拍手が巻き起こります。し
     かしその分、後に続く人はワリを食う形になり、何を言っても今ひとつに聞こえてしまうのはちょっと気の毒。今祝電を披露
     している人も、内心忸怩たる思いでいる事でしょう。
      そして小一時間ほどの式典は終了。整列した部隊は、いつものように行進して退場…と思いきや、一斉に背後の戦車群
     に向かって駆けて行きます。ああ、実に戦車部隊ですねえ。それぞれ持った89式小銃の銃床を折り畳み、テキパキと砲塔
     や砲身脇のハッチに滑り込んでいきます。


      そしてエンジン始動。おおお、40輌近い戦車が同時にエンジンをかけると、流石に地面を揺るがすが如きド迫力です。
     そして部隊指揮官の号令に合わせ、一斉に戦車をその場で斜めに向けます。『頭、右!』ですね。それだけでグラウンド
     の土が大きくえぐれていますが、昨日までの雨でかなり地面が緩んでいるみたいです。


      そして奥の方の戦車から順に、派手に泥を跳ね上げながら次々と発車して行きます。
      その後は観閲行進開始。音楽隊の演奏が雰囲気を盛り上げる中、まずは主役の74式戦車が先頭を切って入場。ひな
     壇前では、車長が切れるような敬礼をびしっと決めていました。


      続いて78式戦車回収車トラック96式装輪装甲車偵察オート2tトラックが行進です。しかし、やはり圧巻は第3・第
     10戦車大隊による74式戦車の大盤振る舞い。74、74、74、747474747474747474747474と、もう74がとどま
     る所を知らない位の数珠つなぎ。何時になったら終わるんだ…と、呆れる程でした。
      と言う訳で、ド迫力の観閲行進はつつがなく終了。いやあ、観閲行進だけを取ってみれば、今までで文句なしの一番でした
     ね。凄まじい重量感です。



      そして訓練展示の前にここで小休止。音楽隊が演奏を始めます。あまり浮ついた曲で無かったのが良かったですね。いや
     まあ、子供も沢山見に来ているんですからポニョでもトトロでもいいんですが、あれだけ強烈な観閲行進の後に軽い曲という
     のはちょっとなあ。
      梅花女子大のチアリーディングが披露された後は、いよいよ訓練展示開始。ふと見ると、手前右手からは怪しげな隊員さ
     ん達が歩いてきました。鉄帽の迷彩カバーには赤テープが巻かれ、MINIMIや弾薬箱84o無反動砲110o個人携帯対
     戦車榴弾
を抱えていてものものしい出で立ちです。この後の展示の敵部隊役の人達でしょうか。


      そして上空にOH−6D観測ヘリが進入し、敵勢力の偵察を行います。地上では大きなコンテナを搭載した高機動車が突
     入。続いてAH−1S対戦車ヘリが上空から地上の制圧を行い、その援護を受ける中UH−1J多用途ヘリからは普通科隊
     員がロープ降下。
おお、降下から着地、散開までが実にスムーズです。


      そして偵察オートが派手に水しぶきをあげながら突入。あの水たまり、最初から用意していたのでしょうか。たまたま前日
     までの雨で出来た水たまりを使ったのだとしたら、なかなか心憎い演出ですね。私のいる位置からは遠くて、上手く捉えられ
     ませんでしたが。
      偵察オート2台は敵陣深くまで果敢に進入しますが、もともと雨でユルユルになっている上に戦車が荒らした後の地面なの
     で、車体のコントロールがかなり大変そう。しかも片手で89式小銃を射撃しながらと言う操縦です。その瞬間、後輪がスライ
     ドして一気にバランスが崩れますが、左手一本で難なくリカバリー。うおお、凄いな!あれは何でもないように見えますが、全
     身の力が必要なんですよねえ。


      偵察オートはそのまま何事も無かったかのようにスピンターンを2度かまして、脱兎のごとく引き上げて行きました。
      続いて偵察警戒車が現れて敵陣地に向けて発砲。その背後では、おなじみFH−70榴弾砲が展開して素早く射撃体勢に
     入ります。しかしこの位置からでは、立ち木が邪魔をしてうまく見えません(泣)。とほほ、位置取りをミスった。
      この辺りで、すぐ目の前にいる敵勢力側も反撃開始。そして真打ちの74戦車群が轟音を立てながら訓練場に突入。急停
     車の後、派手に空包を発射です。おおおおお、空包と分かっていても、こちらを向けて撃たれると流石に怯みます。正面から
     見た74が、一瞬隠れるぐらいの火球が見えました。


      さらに後続の74が次々と投入され、ドカドカと撃ちまくります。後方ではFH−70榴弾砲も火を噴き、もうどこで何発撃って
     いるのか分からない程。よく見ると、74の砲塔の同軸機関銃もバリバリと撃ちまくっています。初めて見たなあ、同軸機関銃
     って。
      最後は再びAH−1S対戦車ヘリによる上空からの援護を受けて、3台の96式装輪装甲車が突っ込んできて敵陣を制圧。
     戦車や大型車輛の醍醐味たっぷりの、実に見ごたえのある訓練展示でした。
      それにしても、雨の後で地面が緩んでいたのは思わぬいい演出になりました。砂埃が立たなかっただけでも有り難いとい
     うものです。でも、あとの整備が大変だろうなあ。戦車もグラウンドも。


      「ああ、終わった終わった」感が漂う中、カメラをバッグにしまって撤収準備です。あとは屋台で何か食べて、隊舎や地上
     展示を見て回りましょう。
      定番の駐屯地焼きそばを楽しんだ後は屋台広場を冷やかして回りますが、うどんの屋台では野外炊具1号改が大活躍
     していました。ちょっと食べてみようかなと思いましたが、隊員さんが
      「あと残り30です〜!」
      と叫んでいた時点で、既に行列は50人を超えていたので断念しました。うーん、次回は早めに来て是非食べてみよう。


      用廃処分になって野外展示されている古い車両などを見て回った後は、隊舎に入ってみます。壁には特殊作戦群要員
     募集のポスターが貼ってあり、黒を基調にして拳銃を構える隊員の姿がデザインされていました。自信のあるものは一歩
     前へ!
という事でしょう。腕に覚えのある隊員さんにとっては奮い立たせるものがある、よく出来たポスターと言えますね。


      しかしよく見ると、ポスターの下の方に小さく、
      『写真はイメージであり、実際のものとは異なります』
      とあるのはどういう事なんでしょう(笑)。面白かったので大文字で書いてみました。ギャグだとすれば大したセンスだと思い
     ますが、特殊作戦群要員募集のポスターで笑いを取る意味が分かりません。昔のガンダムのプラモデルの箱に書いてあっ
     た、
      『このキャラクターはキットには含まれません』
      という注意書きを思い出してしまいました。

      その後は装備品の野外展示などを見てまわり、今津駐屯地を後にしました。駅まではシャトルバスが出ていたのですが、
     折角の好天なので歩いて帰る事に。山々の緑、青い空、湿った土のニオイが何とも懐かしく、見ているだけで視力がよくな
     りそうな風景です。10月にしては陽射しがきついですが、木陰を選んで歩けば風も涼しく快適でした。

      駅前の小さな商店街を通ると、川魚料理専門店の1階が地元お総菜コーナーになっていました。ここで鯉の煮つけを購入。
     大阪ではあまり見ない食材ですし、これは帰ってから、画像を見つつの酒の肴にピッタリでしょう。名物の鮒寿司もありまし
     たが、やっぱり卵を持ったの高いですねえ。これもいつか食べてみたいものです。
      さて、この後は1週間あけて、再来週は伊丹駐屯地で行われる中部方面隊創隊記念行事です。あ、その前日は堺泉北港
     で護衛艦うみぎりの一般公開か…。天気が良ければいいなあ、と思いつつ、大阪行きの新快速に乗り込みました。




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