2008築城基地航空祭

2008.11.23

      と言う訳で、3泊4日北九州遠征の後半の目玉、築城基地航空祭です。初参加の高揚感もあってか随分早く目が覚めて
     しまいましたが、0530小倉市内のホテルをチェックアウト。フロントで本日の天気を確認すると、福岡県は曇り時々晴れ、降
     水確率は一日を通して10%。最高ではありませんが、今年の小松の様な悲惨な天気は無さそうです。
      JR小倉駅には、一目でそれと分かる航空祭目当ての人達が沢山たむろしていて、朝食のおにぎりをパクつく私もだんだ
     ん気分が昂ってきました。小倉駅から築城駅までは普通電車で約40分。隣には小さな男の子とお父さんの2人連れがい
     ましたが、2人の会話の端々から素直なワクワク感が伝わってきて、何か微笑ましいですね。
      そしてとうとう築城駅到着。すし詰めの車両から、ほぼ全員がどっと下車。ホーム脇に作られた臨時の改札を出た後は、
     人の波に乗って航空自衛隊築城基地を目指します。国道沿いのガソリンスタンドの前の交差点まで来ると、戦闘機の甲高
     いエンジン音が響いてきました。
いよいよです。
      まだ薄暗い中、築城基地正門前に到着。既に基地内には沢山の人がいます。正門の植木には何故か一枚だけドラえも、
     んの顔が貼り出してあったのが意味不明です。これでは心霊写真みたいだなあ…と思いつつ記念に一枚。よく見ると、ちょ
     っと中国テイストの入ったパチドラ臭いですが。


      左手の芝生の広場には、すごい数の屋台群が広がっています。うーん、さすが航空祭。陸自の市街地戦闘訓練位は出
     来そうな規模でした。
      管制塔に向かって歩いて行くと、右手に高さ10m位の塀が延々と続くエリアに差し掛かりました。ブンカーって言う奴で
     しょうか?でかるちゃ!(それはちょっとちがう)
      一旦エプロン手前で足止めを食います。既に沢山の人たちがひしめいていて、もはや最前列の開門ダッシュと言うような
     ポジションではありません。まあ今日は基地内を歩き回る予定なので、あまり気になりませんが。
      しばらく待って、0725入場開始。ぼちぼち歩いてエプロンに入ります。おお、これが築城基地か。やっぱり広くて気持ちい
     いなあ。
先ずは地上展示機を見て回ろうかと思いましたが、オープニングフライトまではあと20分程。まだ薄暗いし、先に
     格納庫の展示を見て回るとしましょう。


      おお、洋上迷彩のF−2!見るからに軽くて俊敏そうな機体です。真後ろから見ると、本当にエンジンにコックピットと翼
     がついているだけなんだなあ。
その後方ではF−15とF−2のコックピット公開が行われていましたが、既に長蛇の列。並
     んでいるうちにOPフライトが始まりそうだったのでここはパスします。


      その後では、4機の対空機関砲VADSがういんういんと回転しています。子供を乗せて、実際に動かす事が出来るみた
     い。ベルトリンク状の20o機銃弾も自由に触る事が出来ます。銃弾の重さ、冷たさが伝わってきますね。81式近距離地
     対空誘導弾(通称近SAM)
も展示されていて、これも子供がコントローラーを操作してくるくると動かしていました。対空レー
     ダー車輛
にも子供が入り込んでいて、隊員さんがあれこれと手とり足とりで操作を体験させています。


      こうして実際に触れさせて動かさせる、というのはいい試みですね。ただ展示してあるのを見るよりも、余程いろいろと感
     じるものがありそうです。
      エプロン周囲のショップを見て歩いているうちに、OPフライトが始まりました。T−4が、F−15F−2を従えて基地上空
     をパスして行きます。うーん、空がまだ暗いなあ。
      まずはF−2が単機で上空を飛び回ります。小松でも見た事はありますが、やっぱりホームベースで見るF−2は、心なし
     かハジケ度が違う
ような気がします。最後は黄色いドラッグシュートを引きながらランディング。この辺はエプロン中央から
     ではちょっと見づらいなあ。
      続いてF−15。割れ鐘を地面に叩きつけるようなエンジン音とともにエプロン左手後方から進入し、ガバッと背中を見な
     がら巻き込むように右手後方へとすっ飛んで行きました。うわあ、かなり低い所を飛んでくれて、サービス精神いっぱいです。


      最後はT−4。先の2機に比べると非力さは否めませんが、それでもひらりひらりと軽快に翼を翻しながらの機動飛行は
     何とも優雅。何か楽しそうだなあ、T−4。
      OPフライトを終えて、会場の雰囲気も随分温まりました。空も徐々にではありますが明るくなってきて、光線状態も順j光。
     気温はまだ低いですが、これから上がって行くでしょう。風もほとんどないし、今日はこのままいけるかな?
      その後は救難展示。芦屋基地から来た洋上迷彩のUH−60Jから、メディックによる救難作業が行われ、その上空を
     U−125Aが旋回しています。 


      エプロン最前列の人垣が薄い所から地上展示のブルーインパルスT−4を撮影しているうちに、T−7の4機編隊による
     飛行展示が始まりました。パイロットが教育航空団の教官だそうで、地味ながらもきちきちとした編隊飛行。何だか静浜基
     地を思い出しました。
      それにしても築城基地、タキシングが近いですね。F−2がかなり近い所を通過して行ったのが、地上展示機越しに見る
     事が出来ました。


      ランウェイのエンドについたF−2は、ちょっとだけ滑走した後にいかにも軽そうにスパッと離陸。あっという間に機首を引
     き上げ、派手にベイパーを引きながら垂直に近い角度で急上昇していきます。
      その後はアフターバーナーを焚きながら、基地上空を好き放題したい放題に飛び回っていました。あああ、このF−2を見
     れただけでも、築城まで来た甲斐があったと言うものです。


      すぐに次のF−4による機動飛行展示が始まります。しかし飛行展示のインターバルが2分しかない上に機種が豊富な
     ので、見る側としては嬉しいのですが息つく暇もありません。F−4はダークゴーストグレーの機体。うん、こないだの小松
     の記念塗装機もカッコ良かったですが、F−4はこれが一番似合うなあ。重量感のある機体をエイヤと翻し、迫力満点の
     機動飛行です。


      さらに再発進&スクランブル展示。エプロンには武器小隊の人達がスタンバイし、重そうな対空ミサイルを4人がかりで
     牽引車から持ち上げ、キャリーの上にセットしています。その横にあるトーイングカーみたいなのは何でしょう。ドラムみたい
     なのが見えますが、20o機関砲の給弾システムか何かでしょうか。
      そして着陸してきたF−15に隊員が群がり、テキパキと対空ミサイルを取りつけて行きます。後方からは航空燃料を補給
     する為のタンクローリーがやってきて、ホースを15に繋いでいます。


      すぐに再発進体勢を整えたF−15は、今度はすぐ目の前を通過して行きました。お父さんに抱えられた子供が手を振る
     と、パイロットはキャノピー越しに手を振り返しています。マスクに隠れて顔は見えませんが、眼がちゃんと笑っていていい
     光景。


      続いてF−2による地上攻撃展示。その身軽さを生かし、するすると加速したと思えばホイっと離陸、あっという間に上昇
     です。そして低空をひらりひらりと舞いながら対地射爆撃を開始。エプロンのあちこちに仕込まれた火薬が派手に爆発し、
     黒煙を噴き上げる演出はなかなか見事。
      その後F−2はするりと着陸。黄色いドラッグシュートを引きながら、あっという間に減速していました。小松でF−15を見
     慣れていると、本当に軽快で身軽な戦闘機だなあ。


      さらにF−15の4機編隊による機動飛行。シャープなF−15ですが、F−2の後だと流石に重々しく見えます。しかし離陸
     後の急上昇はパワフルそのもの。アフターバーナーを煌めかせながら垂直上昇して行くその様は、ほとんどロケットです。
      航空学生のファンシードリルがエプロン中央で行われています。最初は見に行くつもりでしたが、今居る場所が結構よく、
     前列の家族連れがちゃんと座って見てくれています。この場所を放棄するのはちょっと惜しかったので、そのまま居座る事
     に。
      しばらくすると、F−15の4機編隊が戻ってきました。この頃にはすっかり晴れ上がった冬の空をバックに、ダイヤモンド
     編隊で上空をパスしていきます。


      さらにまたしてもF−2による機動飛行。翼端だけでなく、ストレーキの辺りからもマフラーを巻いたようなベイパーがはっ
     きりと見えます。タッチ&ゴーの展示では、着地して主脚部から白煙をあげた後すぐに機内に収納して、滑走路を舐めるよ
     うにして超低空飛行。そしてF−2は着陸した後、タキシングの途中でわざわざ寄り道し、すぐ目の前を通ってくれました。
     ッドアップディスプレイがエメラルド色に輝いているのがはっきり見えます。
カッコいいなあ。


      これにて午前のプログラムは終了。こうして沢山の機種をまんべんなく見る事が出来るのが築城のいい所ですね。小松
     はF−15がこれでもかこれでもかと畳みかけてくるのですが、こういう幕の内弁当みたいな構成もバラエティに富んでいて
     いいなあ。

      大きく息をつきながら後ろを振り返ると、いつの間にやら凄い人混みになっていました。天候が回復した頃から増えたの
     かな?
      さて、まずはトイレに行って、それから朝見逃した地上展示機を見て回りましょう。エプロンも大した人混みですが、小松
     のように前進するのもやっと、という風でもなさそう。トイレ前も行列が出来ていましたが、それほど待たずに順番は消化さ
     れていました。
      地上展示のF−15は、機体のすぐそばまで近づく事が出来ました。肩のラインが美しいF−2も、機体に手が触れそうな
     距離です。そのほかにはT‐7、T−4、RF−4と続き、グレーのF−4。


      正午を過ぎたあたりから気温も急上昇し、冬の澄んだ高い空の下で食べるおにぎりの美味い事。
      あ、今のうちにカメラのバッテリーとメモリーカードを交換です。スペアのバッテリーはきっちりとフル充電。姫路では油断
     して泣きを見た
ので、出発前にしつこい位チェックしたのでした。
      そしていよいよブルーインパルスの展示飛行の時刻が迫ってきました。T−4には機付員が取りついて、テキパキと飛行
     前の点検に取り掛かります。空は先ほどに比べるとやや雲が出てきました。


      最前列では、後ろの人が座っているにも関わらず堂々と立って撮影している人が。ああ、それは駄目だろ…と思っている
     と、案の定後ろから猛抗議が来て、その人は渋々座り込んでいました。少なくとも、撮影したらすぐに座らないとなあ。
      しかし、今いる場所からならウォークダウンはバッチリ見えます。初めてなんですよね、こんな近くでブルーインパルスを見
     るのは。いつもエプロン中央からの撮影ばかりでしたし。それぞれの機体に着いたパイロットは機体の点検を済ませ、飛行
     服の下半身を包むGスーツを着用してコックピットにおさまります。そしてエンジンスタート。
      エプロン中に甲高い轟音が響く中、機付員はパイロットと連携を取りながら機体の最終チェックを行います。
      キャノピーがクローズされ、主脚灯が点灯。エンジン音がひときわ大きくなった所で、飛行隊長の乗る1番機がゆっくりと動
     き始めました。そして、観客の声援に応えて手を振り返しながら、目の前をタキシング。2番機以降も続きます。


      6機のT−4がきっちり等間隔に並んでタキシングする様は、何だかカワイイなあ。主翼が下がっているので、まるでペン
     ギンの行進を見ているみたいです。

      そしてランウェイのエンドでスモークテストを行った後、1〜4番機がダイヤモンドテイクオフ。4機揃ってのダーティーター
     ンを披露した後は、ソロの5、6番機が続きます。スモークを引きながら、青い空に吸い込まれるようにして上昇して行く様
     は本当に美しいなあ。


      冬の青空をバックにして、ブルーインパルスは元気いっぱいの第一区分を披露です。
      途中から流れて来た雲にやや邪魔されましたが、久しぶりの好条件の下でのブルーインパルスは素晴らしく、最後まで息
     をつかせない見事な演技。堂々のランディングでした。






      そして拍手と歓声の中、6機のT−4はエプロン前に整列です。ああ、今年のイベントもこれで打ち止めか。最後にいいも
     のを見れて大満足でした。
      外来機の帰投を眺めてからエプロンを後にしましたが、正門前の強烈な渋滞に巻き込まれます。しかし意外にも駅まで
     はスムーズに移動でき、警備に大量の人員を割いた福岡県警と臨時便を大増発したJRのお陰もあり、予想よりも遥かに
     早くJR小倉駅に戻る事が出来ました。築城基地、福岡県警、JRの皆様の見事な連携には驚きです。お陰様でトラブルも
     無く最後まで航空祭を楽しむ事が出来ました。

 
      今年の締めとなる築城航空祭でしたが、F−2を沢山見れた事が感激でしたね。あと、やっぱりブルーインパルスです。
      あれだけの技が出来るのは、パイロットを中心としたチーム全員が本当に強固な信頼関係でつながっていないと絶対に
     無理でしょう。それを目の当たりにして普段の自分を振り返るにつれて、色々と至らなかった事に気づいて反省したり、
     分の中の何かをリセット出来たり
する訳です。誰であろうと人とかかわって生きて行かざるを得ないのが世間ですから、そ
     ういう意味ではより多くの人に、特に今まで見た事のない人にブルーインパルスを見て貰いたいと思います。
      また、この時に知り合った福岡の航空マニアYさんとは、この後も様々な自衛隊イベントを通じてお付き合いさせて頂く事
     となりました。カメラについても造詣が深く、ど素人が一眼デジを持ってアワアワしている状態の私にとっては、色々とアドバ
     イスを貰える事になり、これも自衛隊イベントを通じての人の縁なのでしょう。
      まだ空自イベントの参加数は少ないですが、飛行機を見るだけでなく、その飛行機を作り、整備し、飛ばし、そしてそれを
     見ている人を見る事が出来るのが、航空祭、引いては自衛隊イベント参加の魅力なのかもしれません。

      来年は、どれだけの数のイベントに参加できるのかなあ…。私事ですが、仕事の面でも大きな変化がありますし。そんな
     事を考えながら、帰りのフェリーの寝台で眠りにつきました。


     また来年会いましょう♪   




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