阪神基地隊キッズサマーフェスティバル

2008.08.09


      阪神基地隊の夏の恒例行事、キッズサマーフェスティバルに行ってきました。いつものがらんとした、埋立地の倉庫群に
     隠れるような阪神基地隊に到着。普段のイベントなら正門から巨大な護衛艦の姿が拝めるのですが、今回はちんまりとした
     掃海艇が二隻停泊しています。掃海艇は初めてなので、この機会をずっと楽しみにしていたのでした。今日は抽選に当たれ
     ば体験航海にも参加できるので、ワクワクです。
      先ずは体験航海の申し込み。業務用テントにて用紙に記入し、半券を抽選箱に投入。うーん、当たるかなあ。今回は本気
     で乗りたいのですが…。
      1000の結果発表まで30分程あるので、その間に一般公開が行われているMSC−677掃海艇まきしまから見てみましょ
     う。
      うーん、小さい。護衛艦に比べると漁船の様です。艦橋の窓に丸い枠がついている所なんかも、いかにも漁船の雰囲気。
     船体に近寄ってみると、横方向に沢山のスジが見えます。ぱっと見では気付きませんが、なるほど木造船なんだなあ。船体
     の磁気に反応して作動する水中機雷を避けるためのものですが、これだけ大きな船が木造と言うのも何だか新鮮です。
      歩くたびにびよんびよんとリズミカルにしなるラッタルが落ち着きませんが、 隊員さんの敬礼を受けながらまきしま乗艦。
      パンフレットを貰って前甲板に回ると、20o機関砲がでんと鎮座しています。浮上させた機雷を処分する為のものですが、
     フネ自体が小さいのでなかなかの威圧感。取り付けられた防弾板もいかついですね。ファランクスからレーダードームと弾倉
     を外すと、こんな感じなのでしょうか。足元に円形の踏み台があるのも面白いなあ。


      護衛艦なら前甲板から艦橋をグッと見上げないといけないのですが、なにぶん小さな掃海艇なので、くりっと振り返るだけ
     で艦橋全体が目に入ります。
      そして、舫綱も錨鎖もキャプスタンも、どれもとにかくコンパクト。科せられた任務は掛け値なしの命がけですが、何処とな
     くフネ全体がカワイイと言うか何と言うか、今まで見て来た海自艦艇とは一味違います。
      艦橋構造物の横には、小さなブローアウトパッチみたいなフタがあり、見てみると『司令部区画脱出口』とありました。人が
     一人何とか出て来れそうなサイズです。成程、機雷掃海中に万が一触雷してしまった場合は、このハッチから逃げ出すと言
     う事でしょう。水上艦と言うよりも、潜水艦に近いイメージですね。
      そこからラッタルを上がると、艦橋後部に出ます。ウイングから艦橋への扉はスライド式になっているんですね。こっちの方
     が場所を取らないからでしょうか。


      初めて入った掃海艇の艦橋内は、変な表現ですが狭くて広々としています。室内の容積は少ないですが、護衛艦に当た
     り前にある機器やモニター類が少なく、全体的にスッキリした印象。応急もここで行うらしく、火災浸水警報のパネルがあり
     ました。
      クーラーはありませんが、巨大な扇風機がぶんぶん唸りをあげているので、さほど暑さは気になりません。


      ふと見ると、艦橋にクラウザーさんがいました。うーん、彼は自衛隊には向いてないような気がします。海域の掃海を指示
     しても、
      「貴様、この俺に指図するつもりか」とか言いそうで…。SOUKAIせよ!


      後甲板に回り、開放されていた艦内へ。防水扉をくぐるとすぐに士官浴室とトイレです。一緒の区画にあるのが、なんだか
     ビジネスホテルのユニットバスみたいですが、浴槽はなかなか快適そうな大きさ。かれこれ15年も使っているとは思えない
     程キレイにしてあります。

      すぐ向かいには士官室。お世辞にも広々とは言えませんが、幹部5人でこのスペースを使っている事を考えれば十分な広
     さでしょうね。艦長席の横には、小銃保管庫がありました。そしてここでも棚や扉の木材使用は徹底されていて、そのせいか
     どこか温かみのある雰囲気になっています。


      科員食堂入り口には曹士のネームプレートがあり、何とコレまでもが木製。普通のプラスチックでも問題ないでしょうが、
     流石に徹底されています。しかしこれ、よく見ると北欧かどこかの手作りおもちゃみたいでちょっとカワイイです。
      食堂は満席で16人。さっきのネームプレートが35枚あったので、2回転で全員に食事が行きわたります。3〜4回転が当
     たり前の護衛艦に比べると、わりとゆっくりと食事出来るのかもしれません。そう言えば曹長クラスのネームプレートが無か
     ったので、先任海曹室は別のあるのでしょう。
      ここでまきしま識別帽を購入。いい記念になりました。
      科員食堂の艦首方向には、曹士用の浴室とトイレが。こちらは別の区画になっているので、士官浴室よりも快適そうです。
     それでも浴室と倉庫スペースの仕切りがカーテン一枚なんだから、慣れるまでは落ち着きそうにありません。大変だなあ…。


      後部甲板に出ます。甲板とは言いながら、甲板が見えない位にケーブル類やクレーン、掃海機器類で埋め尽くされていま
     す。


      そうこうしている間に、1000の抽選結果発表時刻になりました。先ほどの受付テントに向かうと、番号を書き出した紙が貼
     り出されています。何だか大学入試の合格発表みたいですね。番号に赤○がついているのが当選です。えーと、私の番号
     である6143、6143…あ、赤○です。当選〜♪
      いやあ、こないだの和歌山港以来、清水港、姫路港と立て続けに体験航海を外していたのでどうなる事かと思いましたが、
     よかったよかった。
      と言う訳で、本日乗艦させて頂くMSC−676くめじまへ。べこべこと頼りなげにしなる舷梯を渡ります。乗艦者で鈴なりに
     なったくめじまはいよいよ出港。艦のサイズに合わせて舫綱も細くて短いので、見ているうちにぺいぺいっと作業が終わりま
     す。
      そしてくめじまは、タグボートも使わずについっと後進してくりっと回頭。あっという間の出港でした。


      それよりこの掃海艇、艦橋の前にも通路があるんですね。面白いなあ。すると出港途中で艦橋から、
      「すみません、前方が見えないので、前にいる人は座って下さーい」
      と言う訳で、一同艦橋前にて体育座り。うーん、何だか微妙にカワイイぞ。何もかもが。


      その後はてれてれと艦内歩き。当たり前ですが、さっきのまきしまと殆ど一緒ですね。あれ?くめじまの科員食堂のネーム
     プレートはプラスチック製でした。こういうのは統一しないんでしょうか。それとも、あくまで木製!というまきしまのこだわりな
     んだったのでしょうか。
      後甲板で笑ってしまったのが、機雷処分具です。視認性の高い真っ黄色ボディの真ん中に堂々と、阪神タイガースの虎の
     イラストが(笑)。
まあタイガースのお膝元とも言える阪神基地隊ですし、トラキチの方も多いのでしょう。機雷処分具もイメー
     ジカラーの黄色なので、違和感がありません。


      前甲板では、キッズサマーフェスティバルだけあって沢山の子供が20o機関砲に群がっていました。傍では子供好きそう
     な海曹さんが、ニコニコ笑いながら説明しています。真剣な眼差しで照準器を覗きこむ様子が微笑ましいなあ。男の子は好
     好きですからね、こういうの。まあオッサンも好きなんですが。


      その後くめじまは阪神基地隊に接岸。掃海艇は初めてだったので、ウロウロ見て歩いているうちにあっという間に一時間
     が過ぎてしまいました。入港作業もちゃっちゃと終了。いやあ面白かったなあ。
      さて、時刻は1130。後は阪基カレー食べて帰るとしますか。テニスコートに作られた会場を見ると、体験航海で出ている間
     に結構な賑わいになっていました。ヨーヨー釣りやチャリティバザー、くじ引きなどのお子様イベントが盛況です。
      阪基カレーのテントに向かうと、私の三人前でカレーの鍋が空っぽに!幸いもう一つ鍋があったらしく、隊員さんが慌てて
     食堂に取りに行きました。ああよかった(笑)、5分程で大鍋に入った予備弾倉、いや予備カレーが到着。300円払って受領
     します。うん、そうそう、こんな味でした。お子様に合わせた甘口カレーですが、大人が食べても懐かしく美味しいカレーです。

      今度は阪神基地隊の大人カレーも食べたいなあ。オッサンサマーフェスティバルでもやってくれたらなあ…と思い
     つつ、カレーを平らげて阪神基地隊を後にしました。

 




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