2008.5.18
兵庫県伊丹市にある千僧駐屯地創立記念行事に行って来ました。陸自イベントは昨年の八尾駐屯地に続いて二つ目で
す。千僧駐屯地は第三師団司令部が置かれ、近隣には中部方面隊直轄部隊の駐屯する伊丹駐屯地、自衛隊阪神病院
と訓練支援隊の駐屯する川西駐屯地があります。地図で見るとこの三駐屯地は本当に近い場所にあるんですね。身近に
こういう駐屯地がある伊丹市民が羨ましいなあ。
と言う訳で、0815にJR伊丹駅着。駅前に出てまず驚いたのが、信号機がOD色だった事。こういうのって、全国的に白色
じゃないんですか?うーん、さすが土地柄と言うか何と言うか。でも、伊丹駅前は緑も豊かなので、これはこれで違和感無い
というか目に優しいですね。どうせなら迷彩柄にしちゃえよ!とも思いましたが。
駅前にいた隊員さんに聞いたシャトルバス乗り場に向かうと、既に40人近い人が列をなしています。意外とマニアっぽい人
は少なく、お孫さんを連れたお爺ちゃんや家族連れ、何故かスーツ姿の男性、ミニスカートの派手な服装の女性など、ぱっと
見て何をしに行く人達なのか全く分かりません。取り敢えず私も並びます。
開門時間の0900を15分過ぎて、ようやくシャトルバスが到着。約10分で千僧駐屯地に到着しました。私はバス最後尾に座
っていたのですが、ふと後の荷物スペースを覗くと、米軍のMREのピーナッツバターの空き袋が捨ててありました。移動中
の隊員さんが、おやつに食べたのでしょうか。カロリーはありますが、不味いんですよねえ、アレ。
初めて訪れた千僧駐屯地ですが、どうやら第三師団司令部の置かれた隊舎と訓練場とは、国道を隔てて分かれている模
様。敷地内の歩道橋で訓練場に向かいますが、これは非常に便利。まあ、作業服で小銃抱えて信号待ち、というのもアレで
すしね。
おお、とても広い訓練場です。サッカーのグラウンドなら余裕で二つは入りそう。ひな壇になっている招待席もかなりの大き
さで、その左右の一般用イス席は既に満席です。その左側のロープ際が空いていたので、今日はここから見学する事に。
記念行事開始時刻が近づくにつれ、徐々に後方にも立ち見の一般客が人垣を作っています。最前列から三列目位までは
皆座っていて、後ろの人に気をつかっています。私の左右には、いずれも立派な一眼デジカメを持った人が陣取っていまし
た。うーん、いいなあ。高いんだろうなあ。
左手の隊舎の方では、音楽隊が整列開始。その後方には沢山の車両があり、色とりどりの隊旗を掲げた戦闘服の隊員さ
ん達が行進の最終チェックをしている模様。
しかし5月とはいえ、陽射しはすっかり夏です。風が殆どないので、じりじりと首筋や腕が焙られるよう。半袖で来て正解で
した。
そしていよいよ観閲行進が開始。首にマフラーを巻いた戦闘服姿の隊員さん達が、小銃を抱えて続々と現れます。おお、
八尾の時よりも規模が大きいなあ。マフラーも職種によって色とりどりで、赤や黄色、黒と言うのもあります。そしてひときわ
鮮やかなブルーのマフラーとベレー帽の一団が。ゴラン高原のPKOに派遣された部隊でした。うーん、そう言われれば随分
と引き締まって見えます。不思議と言うかイイ加減と言うか。
小銃は89式が多く、隊列の先頭を務める幹部の方は黒いレッグホルスターに拳銃を携帯しています。航空部隊が中心の
八尾とは、雰囲気も装備も違うもんですねえ。
部隊が整列した所で、来賓の方々がバスでひな壇前に乗りつけます。大半がスーツ姿で、国会議員や将官OB、地元の有
力者の方々。中には海自と空自の将官も居ましたが、やはりこういう場では真っ白な海自の制服がひときわ映えますね。
そこから観閲官訓示、国旗登壇、来賓の祝辞と式典は続き、駐屯地司令による部隊観閲が行われたところで式典は一旦
終了。部隊はこの後の観閲行進に向けて退場します。
そして音楽隊を先頭に再び行進開始。第三師団の管轄する県の旗を掲げたパジェロが続き、さらに指揮通信車がすぐ目
の前をまるで王蟲の如く通過していきます。いやはや、すごい迫力。いままで停車している所しか見た事がありませんでした
が、やっぱり動いている所を見るのは感動的です。
89式小銃を抱えた隊員さんが続々と行進。中にはスコープとバイボッドを装着した対人狙撃銃を抱えた隊員さんも居て、
図太いブルバレルが一際いかつい雰囲気を漂わせています。
途中から何だか頼りなさげな白マフラーの部隊が出て来たと思ったら、教育隊でした。何でも4月にに入隊したばかりとの
事。成程、顔つきや身のこなしひとつ見ても全然変わるものですね。
さらに航空展示。OH−6D、AH−1S、UH−1Jが上空を編隊飛行で通過します。
78式戦車回収車が、キャタピラを軋ませながら登場。これも目の前を通過するのですごいボリュームです。相当な重量の
筈ですが、流石にトルクに余裕があるのか意外にも軽快に動いているのが驚きです。
しかし、砂煙が酷いなあ。車輛が目の前を通過する度に細かい砂が舞い上がり、カメラにも頭にも降りかかってきます。
シャッターを押す指も何だかザラついてきましたし、コンタクトを入れた目もシバシバしています。
とは言え、先ほど目の前を通過した戦車回収車が、訓練場の向こう側を加速しながら砂煙を巻き上げて走って行くのは圧
巻です。
さらに74式戦車を乗せた大型トレーラー、野外手術システムを搭載したトラック、重レッカー車、自走架柱橋、FH−70、
高機動車、軽装甲機動車、偵察バイクが次々と行進していきいます。そして最後は、74式戦車と偵察警戒車。砂煙に霞む
74の群れの後ろ姿がたまりません。
ここでこの後の訓練展示と格闘展示に備えて、10分間の休憩をはさみます。訓練場に散水車が入り、くるくると回って水を
撒く様子は何だかとても涼しげ。
訓練場の外では、FH−70のチェックが行われています。どうやら空包発射も行うようですが、こんなすぐそばまで民家が
きているのに大丈夫なんでしょうか。左手の木陰には2台の偵察オートに乗った隊員さんが控えていますが、顔がドーランに
塗りつぶされ、歯だけが白く光っています。前回参加した八尾駐屯地の記念行事ではキャンセルだったので、訓練展示を
見るのはこれが初めて。ちょっとワクワクです。
そしていよいよ訓練展示開始。上空を観測ヘリが舞い、それに合わせて2台の偵察オートが勢いよく発車。訓練場内を猛
スピードで走りまわり、双眼鏡で敵勢力を観察です。そこからさらに敵陣深くまで進入し、素早く倒したオートを盾に小銃によ
る威力偵察。偵察警戒車と軽装甲車も飛び出してきて、ぐるぐる回りながら派手に空包射撃を行います。
砂煙と硝煙がもうもうと立ち込める中、先ほどの偵察オートの隊員が体をオートの向こうに隠しながら一気に後退。
そして後方からは、FH−70二門による援護射撃が開始されます。腹の底に響くような発射音をあげて次々に発射。
さらにいつの間にやら上空に来ていたAH−1Sコブラの支援を受けながら、真打ちの74式戦車が訓練場に突入。一気
に急停車して連続発射です。見学者のどよめきの中、さらに後方からFH−70がドカドカと撃ちまくります。うーん、凄い!
こんなに迫力があるとは思いませんでした。
そして74の巻き上げた砂煙の中から軽装甲機動車と指揮通信車が飛び出してきて、ここからは普通科による小銃射撃。
敵陣地からは黒の戦闘服姿の歩兵が出てきてました。数分間の銃撃戦の後は、ナイフによる徒手格闘です。
敵の攻撃をかわして体勢を崩し、トドメを刺して制圧。以上で訓練展示は終了です。いやあ、予備知識の無い私にも十分
分かりやすいように工夫された、実に手の込んだ訓練展示でした。終了した途端に、さっきまで派手に取っ組みあっていた
陸自隊員と敵勢力側がキビキビと整列し、掛け足で退場していったのも何ともイイ感じです。
これにて午前の展示は終了です。暑いわ砂埃まみれになるわで大変でしたが、非常に陸自っぽい内容で実に満足。
この後は歩道橋を越えて、反対側の敷地に移動。しかしいつのまにやら凄い人出になっています。歩道橋前の大渋滞を
乗り越えて第三師団司令部隊舎のある敷地に向かいますが、ここも人、人、人。どうにか売店広場に辿り着き、ようやくお昼
ごはんです。
あ、あった。焼きそば屋台。お祭りと言えばやっぱり焼きそばです!列に並び、しばらく待って熱々の出来たて焼きそばを
受領。キャベツと豚肉、紅ショウガをあしらった普通の焼きそばですが、これがなかなか繊細な味わいで美味しいなあ。屋台
風味のもっとワイルドな味わいを想像していましたが、これはかなりイケます。質量ともにこのレベルで250円は激安です。屋
台の中を覗くと、四人の屈強そうな隊員さん達が忙しそうに鉄板を囲んで焼きそばを作っていました。やっぱり屋台の焼き
そばは、こうでなくっちゃ。
今津駐屯地の戦車支援大隊がタコ焼きの屋台を出していましたが、屋台の端っこの方でタケノコも売っていました。演習
地で取って来たのでしょうか?何だかその様子を想像するとカワイイものがありますね。
厚生センター内の売店へ行ってみますが、ここも凄い人混みです。ゆっくりと面白そうなものを物色できる雰囲気ではなか
ったので、『月島もんじゃ焼き入りカレーパン』という何だか微妙なシロモノを買ってしまいました。うーん、味は悪くなかった
のですが、もんじゃ焼き入りカレーパンか…。
午後からは音楽隊の演奏などを堪能し、帰路につきました。天気も良かったし、八尾とはまた一味違った、いかにも陸自
らしい展示が面白かったですね。というか、八尾のは航空祭的な要素が強かったと思いますし。
調べてみると、近隣にも駐屯地が沢山あったので、これからは陸自イベントにも積極的に参加しようと思いました。