護衛艦いそゆき一般公開        in佐世保地方隊

2008.11.22


      今年最後のイベントは、佐世保地方隊での艦艇一般公開〜築城基地航空祭という北九州遠征となりました。3泊4日
     のちょっとした旅行ですが、そのうち2泊は大阪南港〜新門司港のフェリーでの船中泊。船旅&艦艇一般公開、そして航
     空祭!
分かる人にしか分からない、お楽しみの4日間であります。
      と言う訳で、夕方の大阪南港を出港。船は穏やかな瀬戸内海を、新門司港に向けて順調に航海を続けます。
      翌22日、0520定刻にフェリーは新門司港に到着です。船内放送で「車輛甲板(こうはん)」と言っていたのが新鮮でした。
     そうそう。商船ではかんぱんって言わないんですね。何ででしょう?
      そこからJR新門司駅に移動し、小倉駅に向かいます。小倉駅ホームでは立ち食いうどんの屋台を発見。かしわうどん
     という聞き慣れないメニューがあったのでこれを注文しましたが、これがなかなかの美味。甘辛く煮込んだフレーク状の
     鶏肉が入っていて、やや薄味の出汁とよく合っています。鶏肉の味付けはホテイの焼鳥缶に近く、鶏肉の煮汁と出汁が
     合わさって、うどんダシなのにどこか醤油ラーメンのスープの様な、不思議な風味になっています。地鶏産業の盛んな州
     らしいメニューですね。
      その後は博多を経由して、佐世保に到着です。改札を出た途端、いきなり巨大な佐世保バーガーがお出迎え。これは
     なかなかのインパクトであります。


      駅を出て少し歩くと、いきなり目の前に佐世保の海がどかんと広がります。辺りは赤レンガが敷き詰められた広場になっ
     ていて、横須賀のヴェルニー公園をスカスカにしたようなイメージ。空は晴れ上がり、街並みの後ろにはなだらかな山が続
     いています。なんかこう、こういう所に住んでいると人間がおおらかになりそうですね。いいなあ、佐世保って。


      まずは佐世保地方隊倉島岸壁に向かいます。本日公開されるのは、あぶくま型護衛艦の3番艦、DE231おおよど。今
     や貴重な存在である地方隊のDEです。ちゃんと見た事のない種類の艦なので、とても楽しみ。
      人気のない道路をずんずん歩いて行くと、岸壁の正門が見えてきました。警衛のWAVEに挨拶して氏名住所を記入、入
     港許可証を貰います。何だか物々しいですね。
      「この道をまっすぐ行って頂いて、右手にあるのが本日公開されるいそゆきです」
      え?いそゆき?おおよどじゃないの?確かにHPには、都合により公開艦が変更になる事もあると書いてありましたが…。
     まさかまさかと思いながら、基地内を歩きます。左手の船溜りには、真っ白な海保の巡視船が。へー、海保の桟橋と隣接し
    てるんですね。
      佐世保地方隊の総監部は少し離れた所にあり、ここの敷地内には簡素な校舎みたいな建物が幾つかあるだけで、何だ
     かがらんとしています。土曜日の午前中にしても人気が全然なく、何だか入ってはいけない所に間違って入ってしまったよ
     うな居心地の悪さ
だなあ。


      あ、見えてきました、後部の三段甲板が印象的なはつゆき型が三隻、きれいにメザシになって停泊しています。手前から
     いそゆき、はるゆき、あさゆきです。やはり本日の公開艦はDD127いそゆきの模様。おおよどじゃなかったのか…。
      しかしあまりガックリしていてはいそゆきが可哀想です。はつゆき型の中ではいそゆきは初乗艦。舷門でパンフレットを貰
     って、さっそく見てみましょう。
      乗艦者が少ないおかげか、ここでは二等海曹の方がマンツーマンでついて、色々と説明してくれました。艦首では錨鎖の
     整備中。巨大な鎖のたるみを取るために、鉄棒を使ってキコキコと回していました。


      隣のあさゆきでは、艦橋手前のアスロック発射機が一基だけ真上を向いています。あれも整備中との事。成程、停泊中
     でもいろいろ仕事は多いんですねえ。


      また、同じはつゆき型でも、建造された時期によってあちこち違うそうです。三隻並んだ艦尾を見てみても、確かに形状
     が微妙に違いました。
      以上で艦艇見学は終了。飛行甲板にも上がれず、艦内にも入れず、いそゆき識別帽も買えず…と言うやや消化不良気
     味の見学
ではありましたが、もしかしたら突然の公開艦の変更で、準備が出来なかったのかもしれません。おおよどを見
     学できなかったは残念ですが、まあいそゆきを見る事が出来ただけでも満足でしょう。
      埠頭の脇には、多用途支援艦AMS4303あまくさの姿が。多用途支援艦というのは初めてです。艦橋が艦首ギリギリ
     リまで迫っているのに艦尾の甲板は広く取ってあり、何だか前につんのめりそうな不思議な形状ですね。よく見ると艦橋の
     後部にも左右に張りだした小部屋があり、恐らく後甲板での作業を確認できるようになっているのでしょう。


      はつゆき型三連発から少し離れた所には、二隻の護衛艦が停泊していました。近づいて見てみると、DE232せんだい
     とDE231おおよど。ああ、これを見たかったんだよなあ。艦の中央部にあるアスロック発射機、丸く小さな煙突、後部甲
     板中央に鎮座しているCIWS、細くスマートな艦尾。いいなあ、DE。最近の護衛艦に無い味わいと言うか、独特の雰囲気
     が堪りません。



      さて、最後は売店でお買い物です。佐世保の売店は充実していると聞いていたので楽しみにしてきたのですが、何と本日
     は閉店!
土日はやってないのでしょうか…。無念です。
      正門にて入港許可証を返却し、WAVEの「有難うございました」の声に送られながら佐世保地方隊を後にします。
      時刻は1100。陽射しも力強く、初冬とは思えない陽気です。一旦佐世保駅前に戻り、そこからバスでセイルタワーへ移動。
      大きな消防署の前で下車すると、目の前には佐世保資料館、通称セイルタワーがどーんとそびえ立っていました。おお、
     思ったよりも大きな建物です。敷地の前には看板が出ていて、艦ではお馴染みのオレンジ色の救命浮き輪に『海上自衛隊
     佐世保資料館』
と白文字で書かれています。
      艦内に入ると子供用制服試着コーナーがありました。その右手の受付で記帳していると、中にいた職員の方が荷物を預
     かってくれました。海自OBの方でしょうか。
      ちなみに艦内は撮影禁止。エレベーターで最上階の7Fまで上がり、そこから順に下りながら見る仕組みです。
      エレベーターホールの手前には売店があり、膨大な種類の識別帽があったのでびっくり。うーん、壁一面に識別帽がずら
     りと並べられ、質量ともに今まで見た中では最高です。ここで朝買い逃したいそゆき識別帽を発見!意外な所で見つける
     事が出来てホッとしました。余勢をかってミサイル艇くまたかの識別帽も購入。乗艦した艦のものだけを買うのが私の識別
     帽コレクションのポリシーでしたが、デザインがあまりによく出来ていたのでついつい買ってしまいました。店員さんは気さく
     な方で、
      「一般公開の艦は見てこられましたか?」
      「ええ、いそゆきでした。識別帽は売っていなかったので、ここで買えてよかったです!」

      と言うと、海自のハンドタオルをサービスしてくれました。販促物だったのかな?嬉しいオマケです。
      7Fに上がると、佐世保湾と市内が一望できます。この建物自体が小高い場所にあるので、感覚的には15階位からの眺
     めに思えます。撮影できないのが残念…。
      ここからは順番に展示物を見て回ります。ほー、初の観艦式は大阪の天保山で行われたのか。じゃあ昨年の展示訓練
     は歴史ある由緒正しい場所での記念すべきイベントだったんですねえ。
      昔ここは、佐世保鎮守府と呼ばれていたとの事。イイですね、鎮守府。地方隊からこっちに呼び方を戻してくれないかな
     あ。
      6〜4Fは、海軍創設期から太平洋戦争終結までの歴史。3Fからは海自の展示になります。国産護衛艦第一号は、護衛
     艦はるかぜ。基排1700dという、今から見れば随分かわいらしい艦なんですね。
      艦の模型も沢山あり、スマートな護衛艦が多い中、南極観測船しらせだけがカツオの様な紡錘形で異彩を放っています。
      ちなみにこのしらせ、南極からの帰りは大量の氷や岩を艦内に収容して持ち帰るとの事。燃料を食うだけじゃないかと思
     いましたが、こうして艦の重心を下げないと、南極海の大時化で転覆してしまうそうです。なるほどなあ。
      その他訓練弾や魚雷の展示も実に興味深く、知的好奇心をぐりぐりと刺激されます。そして素晴らしかったのが図書室。
     旧海軍や海自、他国海軍の書籍がずらりと揃い、机とイスもあります。ああっ、佐世保に住んで毎週通いたい!
      ゆっくり回って約一時間で、セイルタワーの見学を終了。面白かったなあ。展示物も興味深かったですが、やっぱりいそゆ
     き識別帽を買えたのがしみじみ嬉しい。


      その後はセイルタワーの足元にある、佐世保バーガーの有名店『ヒカリ』にて昼食です。既に店の前には沢山のお客さ
     んが集まっていて、二軒隣にある、これも佐世保バーガーの名店『ログキット』も大繁盛の模様。真ん中に挟まれた形のバ
     イク屋さんが、なんだか戸惑っているような雰囲気でした。
      土曜日の昼と言う事もあり、親子連れやドライブ客、カップル、自転車でのツーリング中に立ち寄ったっぽい人も。かなり
     待つハメになりそうですが、まあ時間もあるし、たまにはこういうベタな観光客になるのもいいでしょう。
      店内では、デカイ鉄板一面にパテだのベーコンだのチキンだの卵だのがずらりと並んで焼かれていて、ちょっとした壮観
     です。なるほどこうして見るとハンバーガー一個作るのにはかなりの面積の鉄板が必要なんですね。
      私の後からも続々とお客さんが詰めかけていて、待ち時間は30分程との事。たかがハンバーガーと侮れないものがあり、
     なかなか痛快です。そもそも佐世保バーガーは一つ一つツーオーダーが定義の一つですから、作り置き保温が当たり前の
     店と同じ感覚で居ると、かなり待たされた気分になるんだろうなあ。
      注文から3分後、ようやくスペシャルフライドポテトが出来上がり。自販機のダイエットコーラを買い、店の前の花壇に腰
     かけて昼食です。予想よりも小さかったのですが、おお!これは美味い!バンズ、目玉焼き、パテ、チーズ、ベーコン、レタ
     ス、トマト、オニオン、トマトソース、マヨネーズのそれぞれのパーツが実に高いレベルで調和していて、ちょっとびっくりの美
     味さ。
      確かにこれなら、一回の食事として十分満足できる内容のハンバーガーです。それぞれの食材のどれ一つとして突出して
     おらず、組み立てた食べ物としては見事なトータルバランス。ハンバーガーを食べて、味に心底感服したのはこれが初めて
     でした。また来たいような、別の店も試してみたいような。
      その後は博多に戻り、小倉行きの特急に乗り継ぎます。ここで乗った特急ソニックがなかなか強烈に個性的な車輛で、非
     常に印象に残りました。ドアをくぐると、何だか30年ぐらい前の特撮に出てくる宇宙船の中みたいなエントランス。銀色の全
     身ピチピチタイツで光線銃を持った車掌さんが出てきそうです。
客室内も曲線と木材が使われていて、何だか昆虫的なデザ
     イン。
えんじ色に緑の水玉模様、と言う頭痛を起こしそうな柄のシートも強烈です。天上の手荷物スペースは旅客機みたい
     にフタがあるのですが、それを開けると中はワインレッド。何だかはいどうぞと内臓を見せられたような、生理的な何かを感
     じます。

      何とも落ち着かない小一時間を過ごし、本日の宿泊地である小倉に到着。ちなみに、車掌さんは普通の人でした。


      夜は駅近くの居酒屋さんで夕食です。生ビールの注ぎ方が素晴らしく、あつあつのトリ天もよく合いました。きびなごお造
     り
『くにさき』という輸送艦みたいな名前の日本酒も、かなりの美味でした。
      明日は早起きして築城です。ホテルに戻り、パタリと寝てしまいました。




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