護衛艦せとゆき体験航海             in和歌山港

2006.06.18


      今回は和歌山港で行われた護衛艦せとゆきの体験航海に行ってきました。日曜日の早朝、人気のない南海電車で一路
     和歌山港を目指しますが、窓の外にはどんどん霧が出てきます。心配していた雨は明け方のうちに上がりましたが、これは
     ちょっと有り難くない天侯です。

      埠頭に到着すると、DD-131せとゆきDD-129やまゆきが停泊しており、既に多くの人が集まっています。乗艦手続
     き開始までまだしばらく間があったので、艦を見て回ります。基準排水量で2950㌧と、艦艇が大型化する昨今ではやや小
     ぶりな艦ではありますが、なかなかどうして堂々たる威容。はつゆき型は個人的に好きな艦なので、見ていても実にカッコイ
     イです。
      陸自車両も沢山来ています。指揮通信車や高機動車、軽装甲車などのメジャーどころに混じって、何だか異様な風体の
     船とも車ともつかない車輛が来ています。

      近づいてみてみると、94式水際地雷敷設車とありました。どうやら水陸両用車らしく、ボートの様なボディにタイヤがついて
     います。よく見ると後部には小さなスクリュープロペラが。何だかカワイイなあ。
      さて、そろそろ…と受付テントに向かいますが、中にいた隊員さんが済まなさそうに
      「今ちょっと…今日の体験航海を行うかどうか、協議中ですので…」
      で、出た…今回もまた天侯に悩まされるのでしょうか。沖の方を見ると、なるほど濃い霧が立ち込めていて、沖止めしてる
     タンカーがかすかに見えるかどうか。少々の雨なら問題ありませんが、濃霧となると安全航行に差し支えます。
      そのままじりじりともどかしい時間が過ぎて、体験航海の決行が発表されました。やったー!
      本日午前中の体験航海を行うのはDD-131せとゆき。いまどきのむらさめ型やたかなみ型には無い、ゴテゴテもっさり
     とした古臭さが魅力の艦です。


      空一面に広がっていた雲は少しずつ明るくなってきました。少々蒸し暑いですが、雨が降る事を考えればまだマシです。
      しばらくして、乗艦開始。埠頭から甲板までの高さが大して変わらないので、何だかあっさりと乗り込んでしまいます。舷門
     では、笑顔の隊員さん達が敬礼で迎えてくれました。
      先ずは後甲板からラッタルを上がって飛行甲板へ。残念ながら今日はSH-60Jの艦載は無し。そのせいか、いささか狭い
     格納庫が今日は広々としています。
      そこから艦内へ降りると、トイレがありました。いやー、やっぱり狭い狭い。こんごう型の広々としたトイレとはかなり違いま
     す。個室もきちきちで、入ってみると押しだされる前のトコロテンになった気分です
      科員食堂。艦内でもっとも広い区画です。ここでは壁一面に乗組員が描いたらしき『安全第一』『機密保持』を呼び掛ける
     ポスターが貼ってありましたが、あまりの絵心の無さに驚かされます。柔道やソフトボール大会などの競技会の表彰状は山
     の様にあったので、どうもせとゆきの皆さんは体育会系の模様です。


      調理室からのカウンターには、これまた実に脱力感溢れる貼り紙が。米番長(給養員長さん?)の番長にあるまじき低姿
     勢
もさることながら、艦内で箸をガメてどうするんでしょう。謎は深まるばかりです。


      先ほどから艦内BGMとしてアニメ『タッチ』の主題歌が流れていますが、どういうセレクトなんでしょう。やっぱり『ワンダバ』
     に限ると思うのですが。
      ラッタルを上がって艦橋へ。ウイングに出ると、和歌山港が一望できます。はつゆき型に比べると、ウイングが広く感じま
     すね。
      見晴らしのいい上部指揮所。眼下にはアスロック発射機と76㎜単装速射砲が。


      再び艦内へ。先任海曹室の扉にはせとゆきの重厚なプレートが掲げられていますが、その下には、
      『♥ほのぼの点灯 愛のあいさつ♥』
      と言うかわいらしいステッカーが貼ってあります。うーん、ハートマーク。大事なことなんでしょうけど…。
      医務室横には、せとゆき体育コーナーが。血圧計体重体脂肪計があり、各自の体脂肪率を記入する用紙がありました。
     チャンピオンは誰だ?私も予選位は余裕で通過しそうです。
      さて、そろそろ出港時刻です。ウイングに向かうと、既にタグボートが待機していました。目の前にいたのが小さな子供だっ
     たので、出港作業を眺める事が出来ました。二隻のタグボートはいとも簡単そうにせとゆきを埠頭から引き離し、その場でく
     るりと180度回頭。せとゆきはゆっくりと前進を始めます。
      意外にもウイングはクローズされず、艦橋も後ろ半分は開放されたままの出港です。おかげで出港時の緊迫した艦橋の様
     子を見る事が出来ました。
      港を出た所には数隻の大型タンカーが沖止めしていて、せとゆきはその間を縫うようにして進みます。艦橋の中央では、が
     っしりした艦長さんがキビキビと各部署に指示を飛ばしていました。
      『面舵、五度!』
      『かじーもどーせー!』

      その後は再び艦内歩き。隊員さん達の海上での生活が、色々と垣間見えて面白いです。
      舷側に出ると、せとゆきはいつの間にか結構な速度で航行していました。前甲板で行われた武器操方展示では、アスロッ
     ク発射機と76㎜単装速射砲の軽快な動きを見学。その後はラッパ&手旗信号実演が行われる後甲板へと、めまぐるしく移
     動します。


      格納庫前では、トーク好きで物怖じしない三曹、仕事が板についてきた士長、ペーペーでいじられ役の二士、という定番の
     ラインナップ
が揃っています。どうやら早朝の濃霧で出港が遅れて時間が押しているらしく、ラッパ吹奏は起床ラッパと巡検
     ラッパのみ。君が代が聞けなかったのは残念です。
      続いて、同じメンバーによる手旗信号実演。司会役の三曹はさすがに素早く、実にきちきちとした手旗捌きでしたが、内容
     が合っているのか間違っているのか、乗艦者には全然分かりません(笑)。
多分、合っているのでしょう。
      そんなこんなであっという間の一時間が過ぎ、せとゆきは和歌山港に差し掛かります。前甲板はクローズされ、第一分隊の
     隊員さん達がキビキビと舫い作業に取り掛かります。埠頭は午後からのやまゆき体験航海の乗艦者や一般公開の見学者
     で賑わっており、やまゆき甲板でも毛布や万が一の時の救命胴衣を用意して、乗艦者を迎える準備を整えています。


      徐々に近づいてくる護衛艦やまゆきのウイングでは、赤青ストラップの双眼鏡を下げた二等海佐さんが接舷を見守ってい
     ました。艦長さんでしょうか。


      そしてせとゆきは、スムーズにやまゆきに接舷。体験航海は終了です。結局せとゆきグッズ販売は無くちょっと残念でした
     が、ぎりぎりの濃霧の中、体験航海に踏み切ってくれた護衛艦せとゆきの皆様には感謝です。




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