台風や集中豪雨による堤防決壊のきっかけは、まず橋の欄干に流木が引っかかる事から始まります。
現在地域の山々に多くの杉林が見られる風景は、実は第2次世界大戦後の国内が焼土と化した戦後復興を早める目的として住宅用木材の不足を補うために、成長の早い杉や檜を植樹する農水省の政策に寄ったものだという事実を知る人は比較的少なくなってきました。それから50年余りを経た今日、本来ならば当初目的のため伐採されるはずの森林は、外国材の安価で質の良い松やラワン材に押され用途を見失ってしまい、放置されるに至っています。
 伐採しても採算が合わない→だから手入れもしない→山の保水力が低下する→大雨が振る→山が崩れる→川に流れ出す→災害が町にも波及する、と言った悪循環に陥ってしまっています。加えて植物が年を取り過ぎると種の保存本能が働き、より多くの花粉をまき散らすと言われています。近年の食文化の変化にも起因している部分もありますが、春先の杉花粉飛散による花粉症患者数も年々増加を続けています。海の資源を守るには山を納めると言ったことわざがありますが、街を守るにもまず山を治める事が我々の大切な人命や家屋財産の保護には必要不可欠な問題になっています。
 まずは、老木段階にさしかかっている現在の杉林を早く伐採し、富山県森林研究所が開発した”無花粉杉”に置き換えるか、より保水力の高い広葉樹を再植樹するかの作業を推し進めなければなりません。
 そこで、伐採した木材の需要を高める目的として、木製ダム木製護岸の普及促進を提案いたします。
これは、切り出した杉丸太を鋼製篭に入れて土砂で隙間を充填しながら積み上げていく単純な方法で、丸太材はあえて防腐加工を施さず、自然に帰化させる工法となります。主に都市部上流域の中山間地に適した用途にはなりますが、災害時の仮設工法としての用途にも活用可能で、多くの需要が見込まれると考えています。
 下図に示すのは、イメージ図であり、鋼製枠の連結等には工夫が必要なものの、工法的な課題はそれ程多く無く、上述の意義さえ理解されれば直ぐにでも実証実験が可能と考えています。

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木製護岸木製ダム採用の効果)

①林業の活性  ②土砂災害の抑制  ③豪雨災害時の流木発生の抑制  ④春先の花粉症に有効 
⑤災害復旧のスピードUP  ⑥土木事業の安定化  ⑦山の手入れが進み鳥獣害対策にも寄与 
⑧再植樹木の選定次第では観光にも寄与(例:桜、楓等色彩豊かな樹木)

木製護岸木製ダムについて