自主防災組織の構築
<組織構築の必要性>
地球温暖化の影響で、日本全体が亜熱帯気候へと変化して大型台風発生の頻度も増え、ゲリラ豪雨がどこで発生するか予想できない環境にあります。また、昨今増え続ける大規模地震の発生も脅威となり、従来の発生確率の低い地域が被災している現状を見るとき、地域防災のあり方を考え直さなければ成らなくなりました。
日本には、世界に誇れる警察組織と消防組織が機能し、普段の生活を守ってくれています。しかしながら大規模災害に於いては、現状の職員数では対応しきれず、自衛隊の要請も被災した後の処理であって、これを未然に防ぐ手立てではありません。
本年度より富山市では職員の効率化目的により、従来の建設課及び農林課が富山市土木事務所、富山市農地林務事務所として、旧大沢野行政センターの方に集約されています。そのため大山行政センターには実働職員が不在で、万一熊野川の河川が氾濫した場合や主要道路が冠水土砂崩れ等にて通行が出来なくなった場合には、初期対応が出来ない最悪の状態となります。
現在の都市設計は、昭和初期に当時の建設省(現国土交通省)にて定められた基準に基づいた指針によるもので例えば側溝や水路の幅や深さの基準は、周辺降雨時の集水面積を計算の上、殆どが時間雨量30mm、一部地域50mmという数値の上に成り立っています。従ってニュースで良く聞く時間50mmともすれば80mm、100mmの雨が降った場合傾斜の強い山間部では土砂崩壊、道路はそのまま川に変貌し、1級河川は耐えられても、中小河川や農業用水では恐怖を覚える程増水し、床下床上浸水の危険に直面しており、まさに”神頼み”の状態にあります。
<先ずやれること>
自分の地域の避難場所を再確認しておく。
災害時に自分の家や職場からどのルートどの様な手段で移動するかを決めておく。
実際に被災した時、用水の氾濫等で本当に避難場所までたどり着けるのか、周辺道路の高さや避難経路の安全性を予測し確認しておく。
災害時に必要な雨具、長靴、ラジオ、懐中電灯等の備品を用意しておく。
<組織構築に向けて>
富山市自主防災組織登録の是非を問わず早急なる構築が必要と考えます。
自主防災組織と言っても、ご近所にお住まいの集落や団地を単位としたもので、面積が広い場合には東西に分けたり、人口が多い場合には区に分けたりした所謂”となり組”みたいなもので、新たな人員で組織するのではありません。
組織には必ずリーダー・サブリーダーが必要となりますので、地域の総代とか区長がその任に当たることになります。
地域の会合や奉仕活動時に連絡体系、避難誘導、安否確認等の方法を決め、予防措置として止水土嚢(別紙・2-2)やブルーシート、救助用ロープ等の保管場所や備蓄品の選定を地域に応じて話し合い、実行に移して行くことが、そのまま自主防災組織となります。加えて、地元建設業者の殆どが、富山県及び富山市と防災協定を結んでいますので、”大山地域災害連絡協議会(旧大山建設業協会員組織)”の地域役員と情報を共有しておくことが大切となります。
課題としてそれらに関わる費用を個人負担とするか自治会費(共同購入)とするか、また富山市自主防災組織として登録し、補助金を活用した場合の継続的活動及び報告義務が地域によっては負担となっている現状の協議が残ります。
<市内の組織率>平成28年11月末現在
 富山地域 57.1% 八尾地域48.9% 山田地域 64.8% 婦中地域及び細入地域 100% 大山地域 23.1%で、市内地域の内で最低レベルです。
最後になりますが、熊本地震のある集落では、住宅全戸が倒壊したにも関わらず一人の死者も出さなかったという報道がありました。”大規模災害で一番頼りになるのは近所の皆さん”の言葉が印象的で、被災後も食料を分合うなどそこには笑顔さえがありました。ご近所が仲良く助け合える地域を築き、万一被災しても最小限の被害に抑えるため、早急なる構築が求められます。