2016、12、4(日)曇り後雨  
 喪中ハガキを出しました。

  喪中のため新年のご挨拶は慎んでご遠慮申し上げます
 夫康雄が神と人に愛され、11月29日、74年の生涯を全ういたしました。賜りましたご厚情を感謝し、これからも変わらぬご交誼をお願い申し上げます。
       2016年12月4日    畑中弘子
                        
           
 もうしばらくここへの登場をお休みいたします。ここに至るまで、本当にたくさんの方々の想い、祈り、励まし、勇気づけ、ねぎらい……などなどをいただきました。誠にありがとうございました。



2016、10、18(火)曇り  
 夫が体調を崩し、その病気が少し気にかかるものですから、遠出を控えることにしました。そう決心してから早や三ヶ月が過ぎようとしています。この頃になって、つくづく私はずいぶん、あちこち出かけていたのだなあと感じるようになっています。幼稚園の先生時代の集いや、幼なじみの集いや、児童文学関係の集いやその他もろもろ……。そのつど、意を決して欠席届を出しています。
 そして同時に、自分は何と幸せ者なんだろうと思わされています。欠席した私のために電話をいただいたり、メールをいただいたり、おてがみも、ファックスも……。
 ありがとう! みんな。私は元気です。

 そしてね! 時間に余裕の出たときは、集中して創作に向かっています。すると、またもりもりやる気がでてくるのですね。
「好きな事」が出来た時、そこにエネルギーが生まれる!



2016、10、10(月)秋晴れ  
 
最近、びっくりするほどうれしいことに出会っています。
 思いもかけず、半世紀も前の教え子、幼稚園児だったU君からのプレゼントが届きました。思いもかけず、ずっと願っていた仕事がうまくいきそうです。思いもかけず、キッチンまわりが美しくなりました。思いもかけず、わたしもこんな料理ができることがわかりました。
 誠に個人的なことなので、詳しいことははしょり(省略し)ましたが、ここのところ、「歳をとるのも悪くはないなあ」と思えています。
 ただひとつさえクリア出来れば……。
 そう!
 すべては健康がものをいいます。
 どなたも、くれぐれもお身体お大事になさってくださいね。
 



2016、10、2(日)曇り  
 
童話教室で、前期講座が終わるといつも「ぴっぽ通信」を出しています。その中に、わたくしの童話創作に寄せる思いを載せているのですが、今13号は以下の文章です。読んでいただければうれしいです。

 
・・・童話の要素・・・ 
 童話創作を教える機会が与えられた時、真っ先に「童話」とは?を考えました。童話とは児童文学のことです。児童にむけての文学です。
文学の要素は、「主題、構成、人物、描写、文体」の5つだと思っていました、確かに、そのとおり。
何をかくのかという、主題をしっかりもって、
起承転結、つまり構成がうまくいき、
登場人物が目の前に生きているように動き、
しっかりと描かれ、
物語にあった文体ですすんでいく。
こうして全体がうまくかみあっている作品が良いといわれます。全くそのとおりだと思います。ところが最近になって、童話創作にはもう一つ、重要な要素があることに気がつきました。
「読者対象」という項目です。
鬼の話を書くのが好きで、よく書いているのですが、全く読者対象など無視して書いていました。5つのポイントは意識していたとはいえ! 
ある時、幸いなことに、児童書出版関係の編集の方にみてもらう機会がありました。が、彼女は丁寧な講評と共に、「当社での出版は難しい」とのお返事です。一番の理由は対象年齢の問題でした。そのことを考えもしていなかったことに、自分でもあきれ果て、猛反省です。
 
童話とは児童文学。子ども、児童に向けての文学なのですね。
対象者は子どもなのです。子どもにわかる文章や描写で、子どもに共感できる状況や人物や事件が組み合わさった作品が要求されるのは当然です。童話を書く方々はたいてい子ども心を多く持たれた大人です。それでもなお、心してかからないと、ふっと大人の顔が出て、対象年齢にそぐわない描き方をしてしまいます。
重要な5要素に、今は「読者対象」を加えて、重要6要素なのだと考えるようになりました。みなさまはいかがでしょうか?     



2016、9、25(日)曇り  
 優先順位をつけて動いています。
 家での仕事を中心にしていますが、やはり夫との時間が少しずつ増えてきています。体調をくずしている彼ですが、私のことにも気をつかってくれるので、そこそこ自分の時間のもてることに感謝です。以前のように思った時に、好きな博物館や書店めぐりなど気楽にできませんが、ネットがそのかわりをしてくれることを発見。調べたりする時、とても便利です。「鵜呑みにしないで!」と自分にいいきかせながら。

 優先順位はどうしても今、しないといけないことになります。締め切り日を赤字で書いた紙をそれぞれの原稿や送られてきた本の上において、早め早めに処理するようにしています。が、どうしても期限つきでないものへのお返事がおくれがちです。そのひとつに同人誌があります。わたくしも同人誌でたくさんの勉強をさせてもらったひとりですので、しっかりと読み、できるだけお返事、感想程度ですが、するようにしていました。その時間がありません。そして月日が流れて……、お返事をしないまま、また順位の高い仕事がはいってきます。

 意を決して、「送ってきてくださったことへの感謝のみのハガキをおくることにしましょう!」との思いに。落ち着いたら、読みますね。それもまた楽しみにして、日常を夫と共にがんばりたいと思います。わたくしはどうしてこんなに元気かと思うほど、よく眠り、よく動き、元気に、
 優先順位をつけて動いています。




2016、9、17(土)曇り  
 17日が本当の満月だと報じていましたので、楽しみにしていましたが見ることはかないませんでした。15日の中秋の名月はしっかり見ることができたのですね。でも、あれ? ちょっと照りがちがう感じ。次の日の新聞で満月は17日と知って納得がいきました。

 秋の月には思い出があります。もう何十年も前になりますが、夫の元へ嫁ぐときまって、おそらく来年は呑気に月見に行けないだろうと、ひとり! でかけていった先が、唐招提寺の観月会。讃仏会と名付けられているとおり、その日は国宝の仏像が公開されています。暗闇に神々しく仏像がうかびあがり、前庭の祭壇にはススキや秋の七草や団子がそなえられています。こうこうと照る月の下で、野点がされていました。私は並んで待つこともなくお茶をいただいた記憶があります。
 次の年はもうこちら、兵庫県の人になっていましたから、予想通り出かけることができません。もう一度行きたいとおもいながら……、はやウン十年がすぎました。

 今年もきっと幻想的な唐招提寺の観月讃仏会が催されたことでしょう。 月下、真っ赤な大きな野点傘はどんな色だったかしら?



2016、9、10(土)晴れ 
 
 わたくしはKCC(神戸新聞文化センター)の「童話の書き方」の講師をしています。もう10年以上になるのですね。月2回のこの教室に、童話を書くのが何より好きな受講生がやってきます。好きなことがあるというのはすばらしいなあと思う場面に、何度も出会います。高齢の受講生が体調をくずされ、入院されました。「年中変わらぬ室温の中で」「ぜいたくな秘書気分で」童話のつづきを考えていますとのこと。
 私も入院の経験がありますが、元気になってまた書こうと思うと、どんなにか心が穏やかになったことでしょう。
 この9月は教室の前期講座が終わる時期です。といっても、受講生の方はそのまま後期へ入ってくださいますので、きりとして、毎年「ぴっぽ通信」を発行します。題をみんなで決めて、200字程度のエッセーを収録するのですね。今年のお題は「猛暑」。もう13号です。その中にも、「わたしの原動力は創作すること」「書くことに集中すると、もやもやがふっとぶ」「書くことは生きがい」などといった文字がみられます。

 この度、夫の病と向きあい、いろいろ場面に直面しましたが、「書くことの好きな私」が、「おろおろする私」を支えた気がするのですね。
 どんなことでもいい! 好きなことを持つことは人生を豊かにするだけではなく、生き様そのものにまで影響するのかもしれません。
 みなさんはどんな「好き」をお持ちでしょうか?



2016、8、31(水)晴れ 
 日曜日、私の所属しています「プレアデス」の例会の日でした。歴史は長く、発足当初から関わっていた私は今は賛助会員という形で在籍させて貰っています。例会は絶対に出席すると自分に言い聞かせていたのですが、今回やむをえず欠席しました。
 次々と報告が寄せられてきて、手にとるように会の様子がわかります。それも無駄のない報告! さらにメールも入ってきます。ふと、「プレアデス」ってすごいなあ。いえ、若い書き手の方々のパワーに恐れ入りました! 欠席してはじめて「会の良さ」を感じている私です。 

 最近恐れ入ることが結構あります。ネットもそのひとつです。私は絵本を書くのも読むのも好きなものでしたから、ずいぶんと絵本をよんできたり、書いてきたりしました。また神戸新聞夕刊で「絵本ファーム」を連載させてもらっています。私自身、もっともっと絵本を書きたい読みたい調べたいと思って、よくネットで絵本の情報を検索します。そしてただただ驚くばかりの情報量に恐れ入ってしまうのです。いろいろな形で絵本紹介満載です。今まで何をしてきたのかと思うほどの情報に、しばし立ち止まってしまいます。
 嗚呼、あれもこれもと目移りしないで、自分の今を大切に、自分の昔を大切に、自分の明日を大切に思って、情報の波に押し流されないようにしたいものです。



2016、8、27(土)晴れ 
 「朝起きは三文の徳」ということわざ通り、私にとっては早朝がとても大事な時間となっています。昼間にはいろいろ、気になることやしないといけないことが出てきますので、この朝の数時間は非常に重要です。
 その間に、今日一日のしないといけないことを心に命じます。肝に銘じて実行するとなると、やはり夫のこともあってうまくいきませんので、臨機応変に「心」に留めるということにしています。

 外出を控えるようになって、不思議なことに家での仕事を言っていただくことが少しずつ増えてきました。
 絵本や童話創作の添削依頼もそのひとつです。
 毎年この時期になりますと、絵本の文章添削の「レクチャー」依頼がかかります。もう5、6回目にもなります。
 今年も添削依頼のラフ絵本1冊と、昨年の作品を完成させた手作り絵本2冊が送られてきました。完成された2冊を見たとき、「ああ、良い作品だなあ。子どもたちのところへ届いて欲しいなあ」とつくづく思いました。添削する以上のお手伝い、つまり、商業出版への道まで、わたくしには案内できる力はありません。
 昨日、お出会いして、彼女もまたその道を一生懸命模索しておられることを知りました。決して奇抜さや派手さはない作品ですが、子どもの心を大切にしたすばらしい作品です。出版デビューとなりますように。
 


2016、8、20(土)晴れ 
 猛暑がつづいていますが、みなさま、お変わりございませんか?
 しばらくこのコーナーをお休みしていましたが、訪ねて下さったみなさま、申し訳ありませんでした。
 またきまぐれなdiaryをはじめることにいたしました。お付き合いくださいますようよろしくお願いいたします。

 実は私は非常に元気なのですが、相棒つまり夫が病気で、少し私の支えが必要になりました。気丈な人ですし、私にも負担をかけないようにと気を使ってくれるのですが、私つまり妻は新しい仕事や遠出は控えようと思っています。ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

 行きたい行きたいと思っていた近場の神戸文学館へ、午後行ってきました。企画展「細雪 姉妹たちの神戸」が開催されているからです。6月17日から9月4日までの長い期間の中、やっと時間をみつけることができました。
 谷崎潤一郎作「細雪」。神戸との深い関わりや、4姉妹の魅力的な特徴などが分かり易く展示されていて嬉しくなりました。そして、何よりも抜粋された文章が胸を打ちました。やはり、当然、当たり前ですが、
「上手いなあ」
 ひしひしと「ああ、こういうふうに描かないといけないのだなあ」と思わされたことです。
 神戸文学館は「おはなしの森」展示の時とおなじように、静かで穏やかな空間と時間を提供してくれました。感謝です。




  2016年盛夏
   
   暑中お見舞い申し上げます
    お元気でおすごしくださいますように


    しばらくの間、お休みをいただきます。




2016、7、14(木)雨 
 すごく便利になったなあと思うことのひとつに、パソコンから開くネットがあります。

 このネットに至るまでにはすごーい長い道のりがありました!
 私が童話を書き始めたのは、幼稚園の先生をしていた頃です。その頃はまだ原稿用紙に鉛筆やペンで書いていく、いわゆる「手書き」の時代でした。もう半世紀も前になるのですね。信じられない思いです。
 ワープロという器械がでてくるまではどんなに長くても手で一字一字書いていきます。そんなに苦になった覚えがないのですが、ある時、右手が痛くて動かなくなりました。腱鞘炎(けんしょうえん)という言葉を知ったのはその時です。
 で、夫が「よし!」ということで、当時勤めていました神戸市の組合斡旋で、格安になったワープロを買ってプレゼントしてくれました。喜び勇んでその「ワープロ」をつかいましたが、それはどうも安いだけの分、互換性がなかったらしく、出版社とのやり取りでは大変苦労しました。
 それからさらに何年もして、友人に手伝って貰って、それも格安のパソコンを購入。四苦八苦で立ち上げ、ソフトを入れて、やっと文字がファイル出来るようになりました。長い文章、たくさんの作品が一瞬にしてファイルできる驚きと喜びで、「ああ、なんとすごい時代がきたのだろう」と思ったことです。

 ただし、話の中で、どうしても調べないといけないことは、全部直にでかけていったり、少なくとも図書館で調べないといけませんでした。だから、十年ほど前までは、よく神戸中央図書館へ通っていました。 
 そして今、私はクリック一つで、ネットを通してあらゆることを調べることができています。調べると中央図書館へ行くと同じぐらいにわかります。なんと幸せなことでしょう!

 けれど、これって……、ものすごく創作者の書く力量が問われる時代になってきたということなのでしょうか? 嗚呼!



2016、7、2(土)曇り 
 雨続きのなかで、ほっと一息する晴れ間です。わたくしの住む場所は高台にあるので、街中とでは一,二度低い温度になるとのこと。それに風がずっと吹いているので、しのぎやすいです。皆様のほうはいかがでしょうか? 今から涼しい秋を待つなんて言うと、若者達に笑われそうですね。私も、真っ赤なカンナの花の夏、海水浴の夏、入道雲の夏が好きでした。今は……、涼しい秋のほうが好きになっています。

 先日6月30日、神戸新聞の夕刊「次の本へ」にインタビュー記事がのりました。
 今朝がた、友人からファックスがきて、「ドガ―ン!!!!! かわいらしい、美しい、内容が濃い、おめでとう! よかったね」とのメッセージです。
 感想をありがとうございました。
 読んでくださったみなさま、ありがとうございます。
 丁寧に取材をしてくださり、何枚も写真をとってくださり、細やかな連絡をしてくださった記者さん、ありがとうございました。
 もっともっと鬼の話を書いていきたい気持ちでいっぱいです。とはいえ、今は「表」の話づくりに追われています。