2010,6,21
 「死は日常」なのだなあと、感じることがあります。
 先週の土曜日、わたくしは「川村たかし先生の思い出を語る会」に出席させていただきました。1月30日に亡くなられていますので、かれこれ半年がすぎでいます。先生にご縁のあった方々の思い出話をゆったりとした会食の流れのなかでおこなわれました。蒼々たる児童文学界のかたがたの三分間スピーチ(どうも主催者側からかたくいいわたされていたようです)は胸をうつものでした。あまんきみこさん、岡田淳さん、那須正幹さん、ひこ・田中さん、横山充男さん、中川なをみさんほか、さらには肥田美代子さんや出版社のかたがたがまるでそこに川村先生がいらっしゃるような口ぶりで話されます。
「ああ、先生は生きてらっしゃるのだなあ」
 わたくしも先生のおやさしい語り口や含蓄のある内容を思い出します。今もなお確実にそれぞれの心のなかに、日常的に生きておられる気がいたします。

 もうひとつは、その反対のことです。きのう、友人がなくなりました。わたくしと同じ年のとてもやさしい敬虔なクリスチャンの方で、書道にひいで、何度となく個展をひらき、
これから! という時の急逝です。あっというまにこの世界から消えて行かれたのです。文字通り「死は日常」的なものなのでしょうか?

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2010,6,15
 少し落ち着いてきたので、あたためていた原稿を書き始めています。書いていくうちに調べないといけないことがでてきます。今回は小学校のうさぎ当番のことです。かつては疑問なことをためておいて、図書館へいったものです。日参したこともありました。ところがこのごろは、まずネットで調べます。「小学生、うさぎ当番」として検索にかけますと、でてくるわ、でてくるわ、それはもうたくさんの情報が現れました。ここまでの資料をかつて集めようとすると、大げさではなく何ヶ月、いえ、何年かかるかしら、と思ってしまうほどの情報量です。
 しかしです! ネットでの情報を鵜呑みにできないという悲しさ、切なさがあるのですね。使えそうな資料をプリントアウトします。そこからじっくりと自分の経験や心や勘を働かせて、情報を資料としてもちいられるものをピックアップ。とことん困ると、わたくしには素敵な奥の手がございます! 最愛の孫4人の中から、小学生のふたりを選んで、いろいろきいてみます。
「そうだよ、おばあちゃん! 飼育委員ってあるよ。あたしは新聞委員だけどね」
「わかる、わかる。きっとそうやと思う」
「うーん、それはどうかな」
 やっと資料がいかされることになるのですね。

 かつて、図書館で調べたときには「確認」作業はしなかったような気がします。今はとても便利な世界で、あっというまに資料がそろいます。というのに、なんだか以前と同じ時間をかけて「確認」作業をしているようで……。わたくしの性格のせいでしょうか? 

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2010,6,9
 かつて、せまい玄関にもりあがるように靴がならんでいました。今は夫とふたりですから、それなりに整頓されいます。今朝、靴を並べていてふと気がつきました。わたくしはいつも、靴を内むきといいますか、家の内のほうにむけて、頭をそろえます。そうすると「ご主人さまはちゃんと家にもどっていますよ」と、その靴が言っているようでうれしくなったのですね。娘や息子や姑たちがこの玄関を出入りしていた頃も、たぶんわたくしはその並べ方をしていたと思います。出ていくときの「はきかた心地」はどうだったのでしょうね。
 
 話はかわりますが、お財布の中にいれる紙幣は顔を上にしていれるのがよいと、先日美容院においてある雑誌で読みました。お財布にはいっている居心地がよいので、なかなか出ていくことをしない。つまりお金がたまるということです。わたくしはどうも金銭感覚の弱い性格ですから、これはいいことを知ったと、さっそく、そのようにしたのですね。
 うまくいったかですか?
 とんでもありません。例のかたせんべいポリポリで、歯医者さん通い。そして思いもかけない出費がつづいています。トホホ。だから、いっそのこと、玄関の靴と一緒で、内向きに紙幣を押し込めた方がいいのかなあと思案しています。

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2010,5,30
「お元気でらっしゃいますか?」とたずねますと、きっとここにきてくださるかたは、「はい、元気でいそがしくしています」と答えてくださるでしょう。
 なんとうれしい、幸せな会話でしょう……。
 ところが、そんな幸せな会話ができなくなった友人が以前に比べて増えた気がいたします。わたくしの年齢のせいかもしれませんが、なんともやるせない気持ちになります。
 その中でもきがかりなのはNさん。風邪をこじらせ熱がさがらなくて入院されました。検査をされている最中に危篤状態になられ、今は集中治療室でがんばられています。二週間前、わたくしたち夫婦が見舞いにいき、すいかをお持ちすると、「大好きだからうれしいな」と、話されて、入院までのいきさつをいろいろ話してくだいました。熱がさがると、来週にでも退院するといわれるほどにお元気でした。その3日後にICUに入られたのです。彼はわたくしと同じ年です。ただただ早くよくなられることを祈るばかりです。

 みなさま、お元気でらっしょいますか?
 どうか、いつもように威勢よくはつらつといい声で答えてほしいです。
「はい! 元気でいそがしくしています!」

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2010,5,25

  ただいま! 金曜日から東京にでむいていて、やっともどってまいりました。日本児童文芸家協会の総会、評議員会、新人賞はじめ各賞の授賞式、懇親会、さらに二次会などとつづいた一日目でした。二日目からは国立博物館や美術館へいったり、久しぶりに息子一家とすごしたりいたしました。
 今回の児文芸関係の会への出席理由はふたつ。
 一番目は 「キッズブック兵庫」の報告を総会でするようになっていたこと、二番目はうれしい知らせが舞い込んだこと、わたくしたちの創作集団「プレアデス」仲間の中西翠さんが新人賞を受賞されたのですね。出席とお返事しますと、さらに三つ目のお役、受付をさせてもらうことになりました。なつかしい方々を間近にみて挨拶ができ、うれしいでした。

 三つのお役が無事にすみ、二次会に出席したときでした。四つめの上京理由が突然、あらわれたのです! 夢にも思っていなかった発見でした。
 授賞者のなかには、ずっと目標とおもっていました、あまんきみこさん、神沢利子さんがいらっしゃいました。あまんさんは京都にお住まいなので、過去にも何度かお出逢いする機会がありましたが、そのたびに心のうちで叫んでいます。
「わーい、わーい、あまんさんにであえた! お話もできた!」
 さて、話はかわりますが、今回の会には鹿児島、長崎、山口、秋田、広島など、ほんとうに遠くの地から来られた方がたくさんいらっしゃいました。その方々と名刺交換をしたときのことです。名刺の名前をみて、
「わー、畑中弘子さんだ!」
「ワルルルさん、読みました。感動しました」
「ホームページ、ずっと拝見しています」
「ああ、うれしい! 畑中弘子さんだ……」
「元気をもらっています」
などと、おっしゃっていただいたのですね。わたくしよりも干支が一周りも二周りも下のかたがたの声でした。
 行ったこともない地のおであいしたこともなかった、若い作家さんたちの声に、わたくしは胸がきゅっといたくなりました。その声はわたくしがかつて、そして今も、あまんきみこさんたちのような先輩にむかって発する言葉とおなじ気がして……。とたんにはっ。ありがとう!わたくしの後輩たち!
 一番大きな上京理由をいただいた気がいたします。
 そう! 先輩となりつつあるわたくしは、あまんさんや神沢さんのようにしっかりとしたいい作品を書かないといけないのだと自覚することです。

 たくさんの方々にお出あいし、お世話になりました。ありがとうございました。

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2010,5,15

  長い作品というのは、わたくしにとりまして原稿用紙100枚を超えるものと思っています。100枚ぐらい! ではもはや長編とはいえないのかもしれませんが、短編を多く書いてきたので、そう考えてしまうのですね。
 「鬼」の作品以前から、書きたかった「前古代」時代の作品を130枚にまとめあげました。これからどのような方向にいくのかわかりませんが少しほっとしています。
 ほっとひとときのやすらぎ? 心の空洞をうめるように、「平城京」(奈良)へいってきました。ここへは十数年前にも訪れています。わたくしの記憶ではただただ、だだっ広い草地にぽつんと朱雀門らしきものと、資料館がたっていただけ、といったものでした。今回はテレビでもおなじみの大極殿、それに立派な囲いの塀、さらに歴史館、なかに遣唐使船復元などなど、多くの建造物をみることができました。とはいえ、平城京はたいへんな広さ、帰って万歩計をみますと1万5千あまりも歩いていました!
  わたくしはあののんべんだらりとした原っぱ(すべて古代の遺跡がうまっている!)が大好きです。まだそのおもかげが充分のこっていたことがとてもうれしいでした。

  大極殿の前庭でのみとの条件だったのですが、古代衣装を着て歩くことができました。


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2010,5,5
  先回の「立山アルペンルート」のつづきです。わたくしたちは長野県側の扇沢というところからあがっていって、黒部、室堂、そして立山(富山県側)へおりるコースでした。扇沢での天候は昨日の晴天とうってかわって雨模様です。とはいえ、傘もいらない程度でした。ところが黒部ダムのあたりで本降りに、さらにその上の黒部平までやってきますと、様子が一変。大観峰はふぶきになっているとのことです。添乗員さんがあれこれ電話をしたり、駅員さんとなにやら話をされていましたが、とにかくロープウエイにのることになりました。あたりをみまわしても雪がみえるだけ。視界1メートルとのことです。そのうち、
 ガタンガタン!
 ロープウエイが横揺れしながらあがっていきます。
 わたしたちの添乗員さんがロープウエイの乗務員さんにたずねました。
「よくゆれますね。わたしは何度もきてますけど、こんなのはじめてです。こんなにゆれることってよくあるんですか?」
 すると乗務員さんはすました顔で言われたのです。
「めったにありません!」
 ガタンガタン!
 たったの10分たらずの乗車だったのですが、冬山のすごさを感じたしたことです。

 室堂ではたくさんの登山される方が待機されていました。都会の駅と同じような何の寒さも不便さもない施設の中で今回のツアーのメインである「雪の壁」の間を行くバスをまっていたのですね。けれどちょっとでも外へでると、信じられない猛吹雪。冬山の恐ろしさを垣間見た思いがしました。 
 もどってきた次の日、立山で遭難された人のニュースを知りました。あの室堂で待機されていた中にいらっしゃったかも……。
「どうして山にのぼるの?」
「そこに山があるから」
 若いころきいたことばです。

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2010,5,2
 連休にはいっていますが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか? 
 わたくしは時間の余裕に感謝して、「書ける」今に感謝して、パソコンにむかう日々をすごしています。

 とはいえ、先日「立山アルペンルート」のツアーに夫と共に行く機会がありました。夏山の立山アルペンルートへは2度行っています。すばらしい景観、とくに室堂からの散策はわたくしの中では特別記憶に残るものでした。あのひろびろとした草原と、今回パンフレットに書かれています「雪の壁」とが全く結びつきません。同じ名前でもきっとちがう場所なのだと思っていたのですね。ところが実際に行ってみますと、何と同じところではありませんか。(あたりまえ!)
 つまり、積雪が何メートルにもなるので、草原はうまってしまい、その下にできた道を走るというわけだったのです。積雪のすごさを感じいったことです。
 もうひとつ、雪山のこわさも経験してきました。またおしゃべりいたしますが、今日はこの辺で……。

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2010,4,24
 暑さ寒さが交互にやってきて、クリーニングにだしたタウンジャケットを「しまった。早すぎた」なんて思っているところです。とはいえ、風邪もひかないで元気ですごしていることを感謝していたのですが……。
 なんと、先日、播州清水寺(兵庫県)へいったとき「かたせんべい」なるものをみつけ、なつかしさのあまり買って食べたのですね。ハンマーでわらないとたべられないほどの堅さです。あまりの堅さに、わたくしはふきんにくるんで上からすりこぎでたたいてわりました! それをよせばいいのに、若い時のように威勢良くカリカリ食べたのですね。
 ああ、やっぱり!
 ただいま歯医者さんに通っています。トホホ。
 かたいものにはご用心、いえ、なつかしいものにもご用心。

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2010,4,16
 今年は本当にたくさんの桜をみる機会にめぐまれました。ふたつの理由からです。
ひとつは天候の関係で。ちょっと春めいたと思ってもすぐに冬に逆戻りといった日がつづくもので、桜にしても勘違いして咲きつづけているのでしょう。いつもよりずいぶん長く花の時を楽しませてくれます。
 もうひとつの理由は夫が退職して家にいることが多くなったことでしょう。ずいぶんいそがしい人なのですが、リタイアーするとあちこちの桜の満開をみたいということででかけていきます。お供にわたくしもついていくことになり、おかげで今年はすばらしい花見をしています。

 妙法寺川の堤、根尾の薄墨桜、須磨離宮、播磨清水寺、姫路城などなど……・。「ああ、きれいだなあ」とため息がでてきます。そしてこんなときはいつも思ってしまいます。
「ああ、この美しさを文章で表すのは、無理!」
ということで、せめて根尾の桜の写真をはりつけることにいたしましょう。



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2010,4,8
 私が住んでいます団地では、今まさに桜が満開です。
 正午すぎ、桜トンネルの中を、中学生たちがグループをくんで学校のほうに歩いていきます。きちんと制服をきた初々しい姿はすぐに新入生なのだとわかりました。とはいえ、
「こんな時間に? どうしたのかな?」
 不思議に思いながら、すれちがい、桜の花の坂道をあがっていきました。すると、こんどは正装したおかさんが歩いてこられます。
「あれ? 若いおかあさんだなあ……」
 その後ろに着物を着た人たちがおられ、かわいい小学生がはしゃぎながら歩いてきました。正装したこどもたちや大人たちの姿に、入学式だったんだと気がつきました。さっきの疑問がすぐにとけました。つまり朝から小学校の、午後から中学校の入学式だったのです。
 まるで絵にかいたような、桜満開のなか、かすみかかった晴天のもと、わたくしは幸運にも、小、中学校の新1年生たちの晴れ姿をみることができました。
 おめでとう! 
 うたをうたいたいようなうれしい気分で家にもどってきたことです。

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2010,4,3
 「児童文芸」という雑誌があります。毎年この時期になりますと、いろいろな賞が発表されるのですが、その中に「日本児童文芸家協会賞」があって、わたくしの作品「おによろし」が最終の五編の中に入っていたのです! ていねいな書評に大きな励みをいただき、とてもうれしいでした。誠にありがとうございました。

 うれしいことがもう一カ所、ありました! 
 たまたま雑誌の最後のページにある「キッズブックらいぶ兵庫」の報告をみていました。そして、ふと横をみると、
 協会トピックス
    ー受賞ー    キッズエクスプレス21
          中住千春=「たっちゃん」が岩崎書店賞
          白矢三恵=「ぼくの親友」が木下財団賞

 この方たちおふたりとも、姫路の「童話教室」にきてくださっているのです!
 もちろん、上記のことはずいぶん前に報告をうけ、授賞式のようすもご連絡いただき、共によろこんだことですが、あらためて公式に「児童文芸」誌にの載っていますと、なぜか胸が熱くなってしまいました。
 身近に接しているわたくしからみて、おふたりとも本当に豊かな発想、心、技をおもちです。さらなる飛躍を祈ってやみません。