ココロン
     ココロン
        君は愛されている
        君を愛している
            ココロン
              ココロン
   優しい響きが追ってくる。ココロン ココロン……
   妖精オニロンは子どもたちの心にとりつく鬼を退治する!



【あとがき”から】
 子ども時代、どんなに多くの人たちが愛の眼差しでみつめてくれていたかを、どんなに大事にされていたかを、暖かな手の温もりや何気ない笑いで、いらだった鬼心をどれだけ多く引っ込めてくれていたかを、描いてみたいと思った。
 
私の能力では、子どもたち周辺のほんの少しの「愛」の片りんしか描けない。だが、「愛」はこれからも、人と人とのつながりから、多くの生きものとのかかわりから、大自然とのかかわりから、さらにこれからはじまっていく宇宙とのかかわりから、あらゆるところから生まれ育まれ続けていくのだと思う。
 そして、人の心に巣くう鬼心をコントロール出来るとしたら、愛されているというしっかりとした自覚と、愛しているという強い決意が必要なのではないかと考えるこの頃である。
 

 






























【”あとがき”から】 

最後にクイズをひとつ。

次の作者のつぶやきは、ここに描かれた作品のどの章に当てはまるだろうか? 

A:人は自分の顔を見ることが出来ないように、持ってうまれた
 自分の才を見極めることは難しい。  

B:長寿への道は自分ひとりの努力でたどりつけるものではない。C:鬼にとっては自分を守る木など必要ないのかもしれない  

D:寿命は人の知恵でははかり知れない。  

E:同じ素晴らしい宝物も、手に入れた人によって使い道もいろい
  ろ、値打もかわってくる。 

F:多くの哀しみを乗り越えてなお、笑いをもって生きていきたいG:親の愛を受けて子どもは巣立つ。      

H:自らの心を動かすことが前進の要。 

:鬼世界と人世界には大きな隔たりがあって行き来は難しい。 
    ①守り木 
    ②谷わたり  

    ③弱さと強さ 

    ④においさがし 

    ⑤湖底の鬼  

    ⑥「ガハハハ」笑い 

    ⑦長寿鬼   

    ⑧たから
    ⑨おにしずく 

     (答)A④B⑦C①D③E⑧F⑥G⑤H②I⑨


































 神戸市消防士の熱い思いから生まれた防災絵本。関わった者全員が阪神淡路大震災を経験しています。
 地震がおきたら、どうしょう。もし、ひとりでいる時だったら?
消防士さんは助けてくれる? どんな時、どんな場所でも、子どもたちが自分で自分のからだを守り、協力して助けあうことが大切だと語っています。学校で家庭で必読の一冊です。


【読後コメント】

■良い作品です。風化させてはならない作品です。(U)
■子どもたちにわかりやすく必要なことがみんな描かれていて、大切にとっておきたい一冊です。まわりの小さいこどもたちみんなが、そして大人も読んでもらいたいです。(O)
■とてもわかりやすく、また絵もかわいいので、こどもたちには喜んで勉強してもらえると思います(H) 他多数

 

【出版に至るまで】

 企画がはじまったのは2016年の夏でした。夫がガン告知をうけて1年余。私のなかではまだまだ元気でいてくれると思っていました。いつもと変わりなくパソコンに向かい、私のおしゃべりにも相づちをうってくれていたからです。「うれしい話があるの」と、BL出版さんからのお誘いの話をすると、「それはいい!」ととても喜んでくれました。それからたった4ヶ月であれよあれよという間に、夫は天に帰っていきました。
 その後、何度もみなさんとの打ち合わせや修正や校正や調整等々を経て素敵な防災絵本が出来上がりました。感謝でいっぱいです。
 そして、ふと戸惑ってしまいます。いつも「よかったね」と言ってくれる夫がいないことが不思議なのですね。

 鬼の哀しさを人との交流の中に描いていく10編の作品集。
鬼の助、モクの鬼、角姫さま、鬼の羽ごろも、かみなりだいこ、鬼のクウ、花わかれ、鬼ずいか、鬼の笛、おによろし


【コメントコーナー】

■さまざまな「鬼」が描かれた物語。どれも,人間の中にある寂しさ,苦しさ,恐ろしさ,醜さなどさまざまな心情を表していると思いました。(T)
■この本を読んだ人は誰でも,自分に当てはまる鬼を見つけることができるように思います。(H)


【出版に至るまで】

 鬼の話を書くようになったのは二十数年も前にさかのぼる。子育ても一段落し、塾講師という仕事も軌道に乗っている。念願の児童文学の出版も果たし、忙しさに追われる毎日だった。  子どもの頃から「一生懸命やっていたら何でも実現する」と思いこんでいた私である。念じれば山をも動くと信じるほどの楽天家だった。前向きでプラス思考はいいのだが、すぐに人を信じこんでしまう。
 そんな世間知らずの娘が結婚し、子をなし、育て、義父母につかえ、年を重ねていった。忙しさに追われて自分を顧みることなどできない日々がつづく。少しづつプラス思考がゆらいでいった。
 このままいくと自分は自分らしさを出すことなく、一生を終えてしまうのではないか? いやこのまま頑張りつづけたら、ある日突然爆発してしまうのではないか? 幼いときに泣きわめいて親を困らせたような爆発ではすまないにちがいない。  
 私はお話のなかに今の自分を封じ込めようと思った。書いていくうちにおかしなことに気づくようになる。もしもこのような人間がいたら、世間の人々はどう思うだろう。世に受け入れられないことをいっぱい書いていたのである。 「そうだ。人間として物語るからおかしいのだ。鬼にしてしまえばいい」 こうして「鬼の話」が生まれていった……    あとがきから

 ある日、弟とけんかしてお母さんに怒られた來未は、おばあちゃんの家への家出を決行する。しかしバスを乗りまちがえてしまい、知らない町へ。 來未はそこで、文字の読み書きができないおばあさんと出会う。このおばあさんは、いったい何者…!?


【コメントコーナー】

■現代をいきる来未ちゃんとワルルルさんとの出会いから、ワルルルさんの波乱含みの人生、そして未来につながるラスト。一冊からいろんなことを読み取ることができました。(M)
■前半のワルルルさんの半生記、胸のつまる事実なのですが、ワルルルさんのキャラクターで救われますね。だからこそ、震災直後、はたしてワルルルさんは無事なのか、無事であってほしいと、読者はヤキモキさせられます。(N)


【出版に至るまで】

 友だちが悲しんでいるときに何もできなくて、つらくなったことはありませんか 1995五年1月17日、わたくしは阪神淡路大震災を経験いたしました。あの未曾有の惨状をまのあたりにしたとき、この物語の主人公、来未と同じように、ただたちつくすしかありませんでした。
 テレビからの音が來未の耳にとびこんできた。
「ただいま、神戸市上空を西にむかってとんでいます。煙があちこちにあがっています。あ、火がでました。赤い炎がみえます」
 画面に映し出されている光景は、ベランダからみた光景とよくにている。もくもくと煙があがっている一角が大きくうつしだされた。赤い火がよろよろとたちあがりはじめる。
 ヘリコプターにのったアナウンサーが叫んだ。 「ただいま長田上空です。黒煙をあげ、さらに炎が、火があがっています」  來未はたちつくす。  (本文より)  この状況のなか、親しくなった在日一世のハルモニ「ワルルルさん」がいるということに、来未は気がつきます。そして……。  
 被害の少なかったわたくしは、いつもの日常がもどってくるにつけ、やるせない気持ちでいっぱいになりました。被災した友人や知人にお風呂や食事を提供し、たきだしに出かけ、送られてきた食器や衣類やお金をくばってまわりました。いくら働いても、心は晴れません……          ーあとがきからー




 ひとりぐらしの正造じいさん。このごろちょっと不機嫌。
むすめの咲さんが、ちょっとも家にこないから。
でも、咲さんのかわりに、わらいっ子がやってきた。
それから……


【コメントコーナー】

■幸せは、心を開いたときにやってくるのですね。おじいさんが幸せな老後をむかえることができて、ほんとうによかったです。(I)
■心が温まる、いい物語でした。まるで、物語の間奏のような歌詞の繰り返しが新鮮でした。(S)


 まじょが丘にひっこしてきた真子は開校したばかりのまじょが丘小学校の4年生。
ある日、マンションの屋上で遊んでいた真子たちの前に、七色の光と共にとんがり屋根の洋館と緑の広場があらわれる。子供たちはたちまち、そこに住むうす紫色のワンピースを着たラベンダーさんと仲良くなる。
真子たちは、毎週土曜日にラベンダーさんに勉強を教えてもらうことになるが、勉強はうきうきするうれしいことばかり。たくさんの教材、テレビやパソコンを使っての授業で、真子たちは知らない内に実力をつけていく。ラベンダー塾でのたのしい日々がつづく。みんなはラベンダーさんの魔法にかかっているのを知っているのか知らないのか……。

 

 アキオのクラスに転校生の少女がやってきた。
「あいつは……」
きのう美術館で見たふしぎな絵のなかの人物とそっくりじゃないか! それからは、なぞの日々がつづいた。少女は水の上をあるく。教室からきえる。手か ら青白い光線を出すと真っ赤な車があらわれ、運転までもする。
少女の名はあかね。幻惑星からやってきたが、帰れなくなっていた。やがてアキオ の助けでもどることができる。いっしょに幻惑星へいこうとさそわれるが、アキオは やはりうつくしいこの地球を選ぶ。たくさんのふしぎな、そしてわくわくする想い出 をたいせつにして。

 野球が好きだが、なかなかうまくなれない良太がふとしたことで雷の子リンを助け ることになる。そのかわりにへそみそという魔法の薬を飲むことができ、良太の野球 はみちがえるほどうまくなる。
ところが雷の子、リンが心配したように、副作用がでてくきたのだ。それは雷の音 をこわがるということだった。
良太のピッチングで順調に勝ち進んでいく
地区大会。いよいよ決勝戦となる。そしてバッターボックスに良太がたった。あたり はうすぐらくなり、やがてものすごい雷の音。良太はたちすくむ。 雷の子リンや友人たちの声援をうけて、良太ははじめて自分の力でホームランを 打った。





助は山からやってきた。 
にんげんどもにわるさをするために。
なにせ、助は鬼の子だった。
いちばんのわるさをして、りっぱな鬼に
なりたかった。


【コメントコーナー】

■鬼としての助は英雄ではないかもしれないけれど、人間としての助は誰からも好かれる魅力的な人物なのだと思います。村人の誰からも鬼とはしられず、「好き」という感情を知り、人間として死んでいった助。村人たちはハクレンをみるたびに彼を思い出し、ずっと彼のことを好きでいることでしょう。(H)
■はじめはすこし怖くて、やがて鬼の助の心が痛いほど胸を打ちました。(T)

 いっくんはいちじくがだいだいだいすき。でもおとうさんもおかあさんもだいきらい。
ある日、いっくんのいえにおばあさんがやってきました。いっくんはそのおばあさんがにがてです。というのも、みんながみているのにほっぺにキスをしてきたり、デ パートでまいごになってよびだされたり、レストランでいっくんのおこさまランチをとりあげたり、あるきながらでっかいこえでうたをうたったりするのですから。
ところがおかあさんは、「いっくんとはそっくりね」といいました。
そして、さらにそっくりなことがあったのです。おばあさんもいちじくがだいだいだいすきでした。

 たいへんなはっけんをしたゆうくんが、それをなかよしのきみちゃんにしらせようとはしります。「はやくはやく」と、あまりに心があせったので、とうとうゆうくんはあしのはやいどうぶにへんしんしてしまいました。ひょうになったり、おおわしになったり、きょうりゅうになったり、ついにはうちゅうにまでどびだしてしまいま した。
そうしてゆうくんはやっときみちゃんにつたえることができました。たいへんなはっけんってなにだったのでしょう?
それはうまれたばかりのかわいいかわいいこねこたちでした。



 やっとあめがあがって、ゆうくんとかなちゃんはこうえんへいきました。あたりはどんよりくもっています。ざんねんそうに、そらをみあげていると、
「わっ、まぶしい」
ふたりはめをつむりました。
そっとめをあけると、あたりはにじいろのもやでいっぱい。もやがあつまってふねのかたちになりました。もこもこふねにのりこんだ、ゆうくんとかなちゃんはあおぞらにむかいます。くろくもやにゅうどうぐもをこえるとまっさおなそらのなかにはいりました。が、やがて、ゴロゴロゴローン!
かみなりのために、そらからじめんにもどってしまいました。
めをあけると、ふたりはあじさいのはなのなかにたっていました。

 ゆうくんはのりものがだいすきなおとこのこです。おじいちゃんいのりもののえをかいて、プレゼントをすることにしました。はじめはおとうさんのくるまです。くろいいろをぬっていくといもむしのおばけのようになりました。 「なんかへんだ」 ポイと、かくのをやめてしまいました。 それからクレーンしゃを、ごうかきゃくせんを、ヘリコプターをかいていくのですが……。ポイとかくのをやめてしまいます。そしてたいへんなことが……

 ゆうくんのおうちのにわに、すずめがやってきました。 サササとあるき、ちゅんちゅんといいこえでないています。 ゆうくんがちかづいてもにげません。 「ぼくのこと、ともだちって、おもってるのかな? だから、チュンというなまえをつけました。 チュンはくさのみをついばみはじめました。なかなかたべるのをやめません。 「チュン、そんなにたべたらおなかこわすよ」 チュンはからだをゆらして、 「へいきだよ。ぼくはだれよりもおなかがじょうぶなんだから」 ところが……