土壌水分計の試作 ホームに戻る

センサーを据置にして非接触で検出する簡易土壌水分計を試作してみました。 土壌誘電率が含水量で変化することを利用した静電容量式センサーにコイルを付けて 共振回路を形成し静電容量の変化をアマチュア無線で使うグリッドディップメーター方式で検出するといった方法です。GDMについては昔からの技術ですが検索するとたくさん出てきます。

簡単にいうと発振周波数が対向する共振回路と同期した時、発振出力は共振回路に吸収され弱小化します。この現象を利用した共振周波数測定器です。この技術を応用したものに使用目的はちがいますが既に発表されている品質検査装置等があります。
土壌水分に関して専門的には色々と難しいことがあるようですが、その様な知識がないので水分検知器程度のものを目標にしました。写真はコイル〜センサー間を1〜2cm離して測定している状態を表した参考写真です。

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はじめに
◆土壌水分計センサー
◆土壌水分計(12V)
◆土壌水分計(5V)

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■土壌水分計センサー


下図が土壌水分計で使用するセンサーです。電極が円筒リング一対型と呼ばれている静電容量式センサーの先端にコイルを付けています、屋外使用なので耐水耐久性を重視しました。 電極構造はこちらのサイトを参照させて頂きました。鳥取大学乾燥地研究センター

部材表
1チューブ熱収縮チューブ 内径12mm
2キャップA丸鋼管用エンドキャップ8mm
3キャップB丸鋼管用エンドキャップ10mm
4電極銅パイプ 外径8mm内径7mm
5スペーサプラパイプ 外径7mm肉厚タイプ
6支柱ABS樹脂パイプ 外径10mm内径8mm
7電極線ビニール線AWG24
8コイル1mm銅線5回巻き
製作
経緯と結果
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■土壌水分計(12V)
下図はディップ検出の2つの方法を比較した図です。
図左のようにコンパレータの検知レベルを一定値にして変化分を取得すると周波数特性が平坦でない場合、図の左端付近とディップ点のように複数を検知してしまいます。 この欠点を避けるため図右のように測定直前のフリーラン発振出力をメモリに保存しておいて直後の測定値と比較検出するようにしました。 本器では検知レベルをフリーラン発振出力から6%(1/16)下に設定しています。
下図が土壌水分計の構成図です。
発振周波数を変化させてディップを検出し結果をLED表示しています。発振回路はバリキャップ使用のグリッドディップメーターそのものです。
グリッドディップメーターの使い方は、ディップ区間を限定してから周波数をゆっくり変化させ正確な位置を特定するので周波数変化は手動で行うのが定番となっています。本器では、このような正確な値を必要としないのでLC発振回路のCをバリキャップにして鋸波電圧で繰返しスィープさせるオートスキャン方式にしました。三角波では上昇下降で誤差がでます。
回路図
製作
調整
  1. 調整のためメニュー選択で(鋸波中心電圧を発生)にする。
  2. 鋸波発生部VR3の調整 TP1で6.0Vに調整
  3. 発振検波部VR1の調整 TP2でディップ検出のため最大値から30〜50%程度低くセット。0.5〜0.7V付近
  4. マイコン入力VR2の調整 TP3で2.5V付近に調整
  5. 直前のフリー発振を参照しているので、測定状態にするため電源を再投入する。
  6. 発振周波数の調整
    センサーを製作時のように試料土Bに実装してLEDアレイの中央が点灯するようにコイルL1を伸縮して調整。 後々のメンテナンスのため写真のような擬似共振回路を作っておきました。

完成後のテスト
本器を使ったセンサーの評価
発振周波数
追跡調査

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■土壌水分計(5V)
回路図のJP1をDACの出力側に変更し破線内の不要な部品を削除して低電圧仕様のバリキャップ1SV323を使ってみました。このバリキャップは高周波向けではないようですが使用できました。結果のみの記述なので測定方法等は12V編を参照して下さい。
バリキャップ
下表は1SV323データシートからの概略値です。(太字はシート記載のC1V/C4V)
0.5V1V1.5V2V2.5V3V4V6V
38pF28pF21pF16pF12pF9.5pF6.5pF5pF
結果

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おわりに
2014/8-2018/8
E-mail: gux9161@xrj.biglobe.ne.jp 小林
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