昔の電動ドライバを 今風+α に改造!
もう20年経つかな?・・・有名な「M社」(家電の方が有名)系列の会社で売られていた充電式電動ドライバーのバラバラにした残骸を倉庫から引っ張り出し、最近高性能になった半導体を使い、次の様な改造を行いましたので報告いたします。
- 速度制御ができること
- スタートレバーを離すと、ブレーキが利くこと
- トルクを検出するとブレーキが利き、停止すること
- 正転/逆転ができること
- 回路構成はドライバーの中に入る事を想定し、小さいこと
- 回路の誤動作はしないこと
- 発熱は規定(触れるくらいまで)以上、しないこと
- 過酷な使用に耐えること
コメント:
当たり前の項目が、「4と6」で、今時の仕様があるのは、「1と2と5」です。
あまり見かけないないのが「3」です。
それでは、グッチーテックが実施する改造記録をまずは見て下さい!
← 全体像です。モータ部とエンコーダ部
DC7.2Vのモータとギヤ部、チャック部のアセンブリ品
速度を検出するエンコーダ部です。出力波形は下を参照して下さい
エンコーダの出力波形
一番遅い速度にした時のエンコーダ出力波形。 電圧軸:1V/div、時間軸:500uS/div
一番早い速度にした時のエンコーダ出力波形。 電圧軸:5V/div、時間軸:100uS/div
始動スイッチと正転/逆転切り替えスイッチ
左が始動スイッチ、右が正転/逆転切り替えスイッチ。回路は始動スイッチをON→OFFにするとブレーキが利く様配線されています。
トルク検出回路と検出スイッチトルク検収回路は誤動作防止に結構凝っています。面実装部品を使えばかなり小さくなります。
このスイッチは何処に取り付けるのか?それは、ドライバーのメカ構造によります。そういったドライバは私の知っている国内メーカーは3〜4社あり、主に工場のラインで使用していて、あまり身近では見かけません。
速度制御基板とボリューム
速度制御にはテープレコーダの速度制御用ICを使っています。PWM制御をしています。今でも手に入るかは??です
このボリュームをドライバのスタートレバーに仕組んでやれば今風の動きをします。
制御系・FETドライブ波形
一番速度が遅い時の、FETゲート波形。電圧軸:1V/div、時間軸20uS/div。ちょっとドライブが弱いかな?後で直しておきましょう。
一番速度が早い時の、FETゲート波形。電圧軸:
1V/div、時間軸20uS/div
この回路は、速度ボリュームの設定値とエンコーダ出力のフィードバックにより、PWM制御しており、トルクが掛かり回転数が低下するとパルス幅が右の波形の様にDCに近づきます。 言い換えると、トルク補償をしているのです!
モータドライブ用 FET
速度制御基板より、誤動作防止用リレーを介し、FETに配線されております。使用しているモータは始動時に100Ap近くの短い時間での電流が流れます。それらに耐え、かつ連続動作時の熱を抑えるため、
できるだけON抵抗の小さなFETを選択します。それにより放熱器を小さくすることができます。右の写真は約20mΩのON抵抗のFETです。今手持ちがないのですがいずれ2mΩのON抵抗FETに変える予定です。
動作状態によってはFETの並列接続も考えております。
いずれにせよ、小型にする事を目標においています。FETのパッケージも今では色々なものがあります。
モータブレーキ用 FET
左の写真はトルク検出した時だけにブレーキ動作するFETです。左下に空中配線された部品ありますが、これが重要な役割をする部品です。正体はコンデンサーです。
どのように動作するかはご一報頂ければ、お教え致します。
上のドライブ用のFETとは、同時にONしない様、いくつかの工夫が施されております。
使用しているFETはドライブ用のものと同じものです。最初の全体像を見られたと思いますが、
実際の配線は可能な限り短くする予定でいます。L成分を気にしております。
総 評
電動ドライバーの世界は、家庭では充電器用ドライバーがホームセンターなどに展示されており、持っている人が結構おられると思います。(実は・・・(;^ω^A テレテレ・・・何を隠そう私も電動ドライバーは5本ほどあります。
えっ!そんなに持って何するの!って?)日曜大工などで利用していると思いますが、殆どのドライバーはトルク管理ができない仕様になっています。
一方、工場などで使用されているドライバーは、トルク管理がきっちりとされております。その理由は、
規定のトルクになると、ブレーキがかかり停止する仕組みになっているドライバーを使っているからです。本来のドライバーとはこう言うものをさします。トルク管理しなくて良い作業もありますが、ロボットなどに搭載されている電動ドライバーはそうは行きません。
例えばHDDに見られる様な多層基板などを金属ボディーに取り付ける時、締め過ぎると基板の層内のパターン割れ事故を起こします。また、市販されている電動ドライバーは設定トルクになっても回り続け、「カタッカタッカタッ」とインパクトされてしまい、
本来の締め付けトルクよりさらに強く締められてしまいます。最悪は部材を壊し、ネジが空回りするトラブルを招きます。きっと恐らく経験されている方がおられることでしょう!(はい!私もあります!・・(w_−;ウゥ・・・)
有名どころのメーカーを、1社だけあげておきます。
潟nイオス ホームページ http://www.hios.com/
この会社は、なんとブラシレスドライバーを開発されており、恐らく世界でのシェアも、かなりなものがあり、テレビでも良く見かけます。また、ネジの開発もやられており、社長さんの特許も数百件と聞いております。ロボット搭載用のドライバーも開発されておりますので、
ぜひ覗かれてみることをお勧め致します。