ただ今の日時:

V-F変換(電圧・周波数) → 光ファイバー → F-V変換(周波数・電圧)実験レポート

 先般お約束した実験がようやくできましたのでレポートします。実験の趣旨は、4月中旬にアップしたV-F変換とF-V変換を使い、市販されているオーディオ用の光ファイバーを使って送信させてみようと思います。

 実験の様子
← ブレードボード内の右側がV-F変換回路、左側がF-V変換回路です。V-F変換回路は単電源の+5Vで駆動し、F-V変換回路は両単電源±15Vを使います。
 下の方にBNC-陸式ターミナル変換アダプタが左右に二つあります。右側がV-F変換器の入力電圧を測定します。左側がF-V変換された電圧を測定します。
↑光送信モジュール(TX178) ↑光受信モジュール(RX178A)

 上の右図で使用した光モジュールは、鰹H月電子通商でセットで販売されていたもので、伝送速度は6M/bと割と高速です。値段は確かセットで500円ほどだったかな?秋月のサイトを覗いたら今はヒットしませんでした。もう販売していないのかな?使用した光ケーブルはどこにでも販売している両端 角型のコネクタをした光ケーブルです。今回使用したのは3mもので確か800円くらいだったかな?回路で注意する事は、F-V変換回路の入力です。TX178と光ファイバーケーブルから送信された信号をRX178Aで受け、 その信号をそのままF-V変換器では受けることができません。今回は2SC1815などの通常のトランジスターで受け、増幅してからF-V変換器に入れています。この辺りはパルス信号なので、ある程度柔軟な回路構成が考えられると思いますので、アレンジして下さい。

 実験の結果
 直流での実験
入力電圧はDC〜1V/Fullとし、出力電圧はDC〜5V/Fullとします。変換周波数500kHz/Fullとしました。

      入力電圧:1.00000V

    出力電圧:4.9995V [-0.01%])
まずここでフルスケール調整を行います。

見にくくてすみません
(ToT)ゞ スンマセン
以降、入力電圧を0.8V0.5V0.2V0.1V0.05Vと下げてみます。
入力電圧:8.0000V
出力電圧:4.0080V
精度:0.2%
入力電圧:0.50001V
出力電圧:2.5048V
精度:0.19%%
入力電圧:0.20000V
出力電圧:1.00378V
精度:0.38%%
入力電圧:0.09999V
出力電圧:0.50239V
精度:0.48%%
入力電圧:0.05000V
出力電圧:2.5157V
精度:0.63%%

 以上のデータが計測できました。フルスケール換算ではかなり良い数値になりますので、メーター代わりに使用するには十分な性能が出ています。

 正弦波(10Hz)での実験

 今度は、正弦波を入力させてその出力波形を見て行きます。はじめに10Hz程度で信号の振幅を1Vp-pから入力し、0.5Vp-p0.2Vp-p0.1Vp-p、と振幅を下げて波形を見ていきます。下の波形はCH1入力信号波形、CH2出力信号波形です。

↑ 周波数=10Hz、入力振幅=1Vp-p ↑ 周波数=10Hz、入力振幅=0.5Vp-p
↑ 周波数=10Hz、入力振幅=0.2Vp-p ↑ 周波数=10Hz、入力振幅=0.1Vp-p

10Hz程度の繰り返し波形では信号の異常は、このオシロスコープの波形では見られません。

 正弦波(20Hz)での実験

 今度は同じ正弦波で周波数を20Hzに上げ、振幅を1Vp-pから入力し、0.5Vp-p0.2Vp-p0.1Vp-p、と振幅を下げて波形を見ていきます。下の波形は CH1入力信号波形、CH2出力信号波形です。

↑ 周波数=20Hz、入力振幅=1Vp-p ↑ 周波数=20Hz、入力振幅=0.5Vp-p
↑ 周波数=20Hz、入力振幅=0.2Vp-p ↑ 周波数=20Hz、入力振幅=0.1Vp-p

 20Hzの波形で見にくいと思いますが、CH2の出力波形において、0Vの位置が若干上昇しているのが分かると思います。ピーク電圧はそれなりに達していると思います。

 正弦波(50Hz)での実験

 今度は同じ正弦波で周波数を50Hzに上げ、同様に振幅を1Vp-pから入力し、0.5Vp-p0.2Vp-p0.1Vp-p、と振幅を下げて波形を見ていきます。下の波形は CH1入力信号波形、CH2出力信号波形です。

↑ 周波数=50Hz、入力振幅=1Vp-p ↑ 周波数=50Hz、入力振幅=0.5Vp-p
↑ 周波数=50Hz、入力振幅=0.2Vp-p ↑ 周波数=50Hz、入力振幅=0.1Vp-p

 周波数を50Hzに上げることにより、顕著にCH2の出力波形における0Vの上昇と、振幅の減衰がが見られます。これは、F-V変換器の積分器によるもので、これらの時定数を変更することにより改善する事は確認しています。

 実験の総評

 実機を製作するときは、入力レンジを考慮する必要があります。つまり、入力に応じて積分器の時定数を切り替える回路を追加する方が無難かと思います。コンパレータやOPアンプ、マイコンなどを使い、自動レンジなども実現できそうですが、回路が複雑になるだけで大きなメリットは期待できません。 むしろV-F変換器またはF-V変換器を別のメーカーのものを評価するのもおもしろかもしれません。今回はここまでで、機会があれば別のメーカーを考えてみたいと思います。
 ただ、直流を読み取るうえでは十分使えそうで、高電圧など、高い電圧部に分圧器を置いて、この回路構成を使い、光ファイバーなどで読み取ることができそうです。