FSD210B使用レポート
今回は、AC100Vから直接DC12Vの電源を作れるFAIRCHILD社のPower-Switchの使用レポートを紹介します。その名の通りスイッチング電源用のICで、内部に
700Vと言う高耐圧のFETを内蔵し、AC85V〜AC265Vまでの4W〜7Wの直流電源を作ること出来るICです。早速、FAIRCHILD社のサイトに行ってデータブックをダウンロードしました。
※ PDFファイルは右記をクリックして下さい。
FSD210B PDF File
まずは、内部等価回路見て欲しい。殆どの機能は詰め込まれており、若干の外付け部品だけでスイッチング電源が構成できるそうです。詳しくはPDFファイルを見て下さい。英文ですが、なんとなく分かりそうです。
FSD210Bの内部等価回路 AC85V〜265V入力、DC5.2V0.65Aの応用回路
上の応用回路は別の機会にして、興味があるのはトランスレスで使用できることです。その応用回路が下の回路図です。
上記の回路を早速作ろうと、サイトを検索すると、製作事例がありません。(ヒットしませんでした) (w_−; ウゥ・・
仕方がないので自分で作ることにしました。まずは部品集めです。メインのFSD210Bは以前、秋月電子から購入した在庫がありました。いつか作ってみようと思い、取って置いたものです。確か1個50円だったと思います。 v(`皿´)ノ~'' ヤッター!
せっせと集めて作り上げたのが、下の基板です。!
部品搭載面基板。左の大きな丸いものは、400V/10uF電解コンデンサーです。中央手前のICがFSD210Bです。
ちななみに裏はこんなもんです。左上の2本のメッキ線はAC100Vをクリップでつまむための端子です。
これを作り上げた後の第一印象は、こんなに部品を使ってやっと4〜5W程度のDC電源を作るくらいなら、秋月電子のAC-DC電源を買ってきた方が早い!・・・と思った次第です。そんな理由もあって、 Webでヒットしなかったのかなぁ〜でもレポートをしなくちゃ!
部品について回路図の指示するものと違う・・・と言うか手に入らない部品があるので、手持ちのものを流用しました。他の部品はありました!
回路図記号 | 回路図が指示する部品 | 手持ち流用部品 |
D1とD2 | UF4004(400V/1A) | UF2010(1000V/1A) |
Q1 | KSP2222A(40V/0.2A) | 2SC1815(50V/0.15A) |
D3(ZD) | 1N759A | 12V/0.5W ツエナーダイオード |
C1 | 4.7uF/400V | 10uF/400V |
この回路で12V/0.1Aが取り出せると書いてあります。それなら、DC12Vのファンくらいならまわるのかなぁ?いくつか波形を見てみましょう。 ((o(^-^)o))わくわく
その前に回路ミスなどで、炎上や爆発、しいては漏電が怖いので、絶縁トランスを入れて測定しようと思い、倉庫を探したら良いのが見つからなく
、ましなものでAC110V入力、AC100V/0.5Aのトランスがあったので、これを使うことにしました。ちなみにAC100Vを入力して二次側にはAC90Vが出て
きました。(当たり前か!)この電圧でも動作するはずです。
まずは、無負荷状態の波形から見ていきましょう。
↑ AC高圧側入力 → 整流後はDC120Vになっています。
↑ 出力電圧の波形。DC12.4Vを示しています。10mSの掃引時間で見てますが、リップルらしき異常波形はありません。
↑ GND-ZDのアノード端子間の無負荷波形
↑ GND-Vcc(5Pin)間の無負荷波形
↑GNDから見たL1の両端 無負荷波形。波形には見えていないがマイナス方向にスパイクノイズがかなり出ている。
↑ 左の1波を拡大すると、カタログに記載されている発振周波数134kHzが見える。
↑ GND側から見たL1の両端の波形。負荷が重くなるとバースト周期が狭くなる。
↑ 直流出力の波形。若干ですがリップル気味です。
↑ GND-Vfb(4Pin)間の波形。すみません (≧≦) ゴメンヨー 片手でプローブを押さえ、片手でカメラを取ったらこんなんになっちゃいました
↑ GND-ZDのアノード端子間の波形。負荷が重くなると三角波のピークが崩れてくる。
↑ DC12V/0.09Aの静音FANを駆動しています。 ↑ ファン回転時の出力電流値。このくらいなら余裕で駆動できそうです。
総 評 上のほうでもお話しましたが、この回路を製作するのであれば、AC-DCアダプタを購入するほうが得策です。緊急時や遊びなどや実験や勉強程度であれば良いのですが、あえてお勧めは致しません。結構ノイズも多いように思えます。魅力なのはAC200Vラインでも使用できることです。
また、12V以外の電圧にも出来そうです。(まだしていませんが、いつか暇を見て!)
動作の原理上、無負荷では約130kHzのバースト波形が約340Hz周期で出力されており、負荷が重くなるとこの周期が早くなり、結果的にエネルギーをL1から供給しており、効率が良いのかもしれませんが、
L1のエネルギーをスイッチングすると、スパイクノイズが出ます。このノイズが結構出力側に乗ってきますので、アナログなどの精密回路には使えません。
今回のファンの様な負荷であれば、用途があるかもしれません。また、LEDランプなども良いでしょう!