デッドタイム回路とFETドライブ回路
工房ページ・・・お久しぶりです!|^・ω・)/ ハロー♪ といっても3月7日以来です。色々なことがあった4月〜6月でしたが・・・と言っても尽きないので今日のテーマと行きましょう!・・・とある
FETを大量入手したので、そいつを使って単相トランス(昇圧用特殊トランス)をハーフブリッジでドライブする回路を考えてみることにしました。幸い
FETをドライブするICはいくつか持っていたのですが、とある展示会にMicrochip社が出展していて、そこでサンプルとして配っていたのが「MCP14700」と言うものでした。
一緒にもらったカタログを見ると結構素晴らしい性能をしています。私が注目したのは、ドライブ能力です。3300pFの容量を10nSでドライブすると書いてあります。実にすばらしい!(|||ノ`□´)ノオオオォォォー!!
ところで入手したFETと言うのが残念なことに製造中止品でした。(結構な数があるので使わないともったいないので!) Σ( ̄ε ̄;|||・・・ ものは
三洋半導体社の2SK2349と言う高電圧をドライブするFETです。1500V/10Aと言うスペックです。こいつの
入力容量Cissが2900pFとカタログにあり、ちょうどMCP14700でドライブするのに良いかと思い検討したところ、MCP14700
にはデッドタイムを制御する回路がありません。従って別にデッドタイムを制御する回路が必要になります。そこら辺はいくつかのロジックを使って実現しようと思います。
目標は単相トランスを駆動させることです。とりわけ、周波数を100kHzくらいと考え、デューティをいくつにするかは負荷との相談になるので、
デューティを可変できる回路も考えます。将来は負荷側で出力電圧か電流を検出してフィードバックさせて安定化制御をしたいと考えています。今のところ安定化は未定です。
MCP14700のデータシート(日本語版) http://www.microchip.jp/docs/DS22210A_JP_Brief.pdf
MCP14700のデータシート(英語版) http://ww1.microchip.com/downloads/en/DeviceDoc/22201a.pdf
2SK2349のデータシート(日本語版) http://semicon.sanyo.com/jp/ds_j/N5315A_d.pdf
※ 2SK2349はすでに保守品です。上記サイトもおそらくなくなると思われます。(要注意)2021年1月現在、代替品はかなりあります。
MCP14700のデータシートは英語版のほうが詳しく出ているようです。
試作検討
左が試作検討風景です。相変わらずのブレードボードによる評価です。回路図のありかは ここ です。
取り急ぎ、発振源を製作します。これは、2009年6月29日に工房ページで製作したコンパレータによる発振回路を一部時定数を変えて使います。当然ながら周波数と
デューティは可変できるようにします。今回の回路で周波数の可変範囲はおよそ、25kHz〜200kHz まで使えることが
分かりました。
またデューティは2%〜96% が実用範囲であることを確認しました。
なお実際では、どちらかを可変すると片方が若干変化します。
その時は、変化した片方を再調整することで目的の周波数とデューティが得られます。次にクロック源を元に、立ち上がりエッジと
立下りエッジを検出する回路を用意し、使用する周波数の5%程度を目安に遅延回路を作り、
2相のパルスを生成します。遅延時間は多少可変できるようにします。
2相のパルスはそれぞれ、MCP14700のHiパルスとLoパルスに入力します。
さてデッドタイムの回路ですが、少し計算してみます。基本的は CR の遅延です。単純にパルスの立ち上がりより
積分回路を通り、次段のゲート入力のスレッショルド電圧で遅延時間を生成するもので、昔からよくある回路です。一方、
パルスの立下り時にはダイオードを通り、素早く Cの放電をさせています。では回路図にも示しています74HC08(今回は鞄月ナ社の
TC74HC08APを使いました)のスレッショルド電圧はいかほどか検証してみました。これまでの認識はVDDの半分だと思っていました。中心周波数を
100kHzとした場合、逆数は10uSです。その 5% は500nSです。この遅延時間を考えます。
VDD=5V、スレッショルドVTH=2.5Vとした場合、回路図の時定数では、
C=2200pF、R=1kΩ〜11kΩです。遅延時間
td の最小と最大は以下の式より
最小値=0.326 uS、最大値=3.58 uS と計算されます。まあこれで良しとし、調整が必要な場合は、 CかRを変更すれば可能です。
実際の波形を見る
波形1.メインクロック波形
左は回路図に示すLT1016CN8の8Pin出力の波形です。周波数は100kHz、
デューティは50%の波形です。この波形を良く見ると0Vが少し浮いています。さらにVccが
5Vに対し、出力波形のピークが4V 弱と低くなっています。このIC自体はかなり古いもので、構造がバイポーラで作られており、片電源動作と言うこともあって、そうなっているのかもしれません。
±電源を用い、バイアス等の回路を仕組めばそれなりの波形になると思われますが、次段でロジックで受けるのでこれで良しとします。
結構消費電力が多いですが、10nS と動作は早く、値段も手ごろ(100円/個)なのでよく使っています。
上記の波形は左からデューティを 2% にした時の波形、真中は 2% デューティ時の拡大波形、右はデューティ96% にした時の波形です。それぞれ周波数は 100kHzです。次段のロジックで十分に判断できる波形なのでこのまま使います。
波形2.立ち上がりパルス遅延
左2枚の波形は周波数100kHz、デューティ 50% 時の発振で、
立ち上がりエッジで発生する遅延時間の最大(左側)と最少(右側)の波形です。実際の波形では
最大が3.2uS、最少が0.35uSでした。わりと計算値に近い値になっています。 v(・_・) ブイッ
波形3.立下りパルス遅延
左2枚の波形は立ち上がりと同じ条件での立下りエッジで発生する遅延時間の最大(左側)と
最少(右側)の波形です。実際の波形で最大が2.96uS、最少が
0.32uSでした。部品のばらつきなのかよくわかりませんが、それほどかけ離れた値ではありません。
※ 上記4枚のうち、左側の最大遅延時間の2枚の波形で時間軸レンジが、上が1uS/div、下が 500nS/divです。右側の2枚はそれぞれ100nS/divです。m(_ _;)m ゴメン!! m(。_。;))m ペコペコ…
波形4.2相波形
下の右の波形は周波数100kHzで立ち上がり、および立下りの
遅延時間を1uSにセットした時の 2相の出力波形です。それぞれデッドタイムが
1uS 確保されているのが分かります。
また左側の波形は周波数を200kHzにセットした時の波形です。遅延時間はそれぞれ1uSの設定です。
最後に右側の波形は、周波数200kHz、デューティ
50% 発振で、
遅延時間をそれぞれ最少に設定した時の
波形です。
陳謝:
時間の都合で今回、MCP14700を接続した波形が
掲載することができませんでした。 (ToT)ゞ スンマセン
次回にそのレポートをさせて頂きます。