充電バッテリ型・電動ドライバー解析
以前に電動ドライバーの改造報告をしましたが今回、故障した充電バッテリー式の電動ドライバーを入手したので、 その中身について解析してみました。基本的な考え方は私が想像していたものになっていたのですが、電気回路の負担を減らすため、機構部に結構工夫がされていたのがすごかったのが今回の感想です。
左の写真が今回解析を受けるドライバーです。事情があってメーカー名や型式などは割愛させて頂きますが、見る人が見れば何処のメーカーでなんという型番かは分かると思います。 (゚ー゚*?)オヨ? 注目したいのは左側本体のほぼ真ん中にあるスタートレバー(四角いオレンジ色のやつ!)の左に黒いBOXみたいなものがあります。 これはいったい何なのか? o(゚◇゚o)ホエ?(下の写真に拡大!)ではさらに分解を続けてみていきます。
※ いつものことですが、今この手のドライバーをお持ちの方は決して真似はしないで下さい。もし分解されるのであればメーカーの保証は受けられなくなるのは当然で、 最悪は動かなくなります。真似される場合は、自己の責任の下で行って下さい。
それでは慎重にBOXの分解をはじめます! ...ρ(..、)ヾ(^ー^;)ヨシヨシ
上の写真は取り外す過程のものです。左上から「放熱機付きFET確認」、その右「回転方向切り替えスイッチのレバーを外す 」、下の左「BOXをもち上げる」・・・
分解中、トラブル発生! ; ̄ロ ̄)!!6枚の写真中、一番上の右、 折れてしもたー (/□≦、)エーン!!なかなか硬くで力任せに抜こうとしたのが原因です! 回転方向を切り替えるスイッチ部だったので、致命傷です!
さて一番下の左を見て頂くとバーリング処理した電極が右に伸びタップがありますが、
ここからモータの端子に配線されます。また十文字に溝があって(一番下左参照)、その四隅に電極が
埋め込まれています。そこに上からイチョウの葉の形をした小さな電極2枚が十文字の中心に配置され、45度
ずつ回転します。つまり、左に45度だと回転方向はCWに切り替わり、今度はそこから右に45度
回転させると停止します。さらに右に45度回転させると回転方がCCWに切り替わります。
つまり四隅の電極を縦にショートさせるか、横にショートさせるかによってモータの極性を切り替えています。
この構造は市販のスイッチだとこれほどコンパクトにはなりません。素晴らしー構造です。 ъ( ゚ー^)イェー♪
やっとここまで分解できました!予想通り制御基板が出てきました。おそらくこの基板から外付けのFETに
パルスを送り、速度制御していると思われます。しかし、速度をフィードバックするエンコーダ
みたいなものが見当たりません。
ヾ(゚0゚*)ノアレアレー?
とりあえずこの基板も外してみることにします。
↑基板を取り外す
右の写真は驚きの構造です w( ̄△ ̄;)wおおっ!結構細かな機構部品が入っています。1個1個丁寧にバラし解析したところ、「 回転スタート」、「ブレーキ」、「最大回転」、「基板への電源ON/OFF」、 この機構部だけでこれだけの機能を実現しています。ましてやモータの電流は結構流れるはずです。それらをカバーするためにスイッチのコンタクトまで凝った作りになっています。 一方、基板へはBOXの右下ふち周辺にスプリング電極が4つあります。そこに基板の背面部にある電極端子部を当てて接触させています。 この中にスイッチとしての機構部が3個あります。それらを実動作に合わせて説明します。
S1はスタートレバーを少し引くだけでONになり、基板へ電源を供給させます。
S2はスタートレバーを一杯(90%以上)引くとONになり、速度制御とは関係なくモータは最大回転をします。
S3はスタートレバーを離すとショートし、モータをブレーキ停止させています。従って何もしていない時は常にモータはブレーキがかかった状態になっています。
どうですか!?これだけの小さなBOXに電流が多く流れる回路を補うかのような機構部は素晴らしいと感動しているのは私だけでしょうか?
さて、制御基板はどうなっているでしょうか?
左が部品面、右がパターン面と言うか、機構部との接触面と言った方が良いでしょう。
右のパターンで丸い銅ハク部が4か所見えると思いますが、それぞれ電源の+と−、さらにFETの
ゲート端子とドレイン端子、です。
右の基板で最上部が黒ずんでいますが、
ここにスタートレバーに取り付いている接触子の2か所があたり、左右にスライドさせることにより抵抗値を変化させています。
つまりこの黒ずんでいるところは抵抗です。ちなみに何Ωか測定するのを忘れました。o(゚◇゚o)ホエ?
それにしても簡単な回路で出来ていることに少し驚いています。
実は回路を描いて見ましたが、基板の回路図を公開することは諸般事情のため割愛します。基板に搭載しているICはどこにでもあるICです。(※ICの型番に騙されるところでした!)
動作原理はスタートレバーを押すことによりS1がONされ、基板に電源が供給されます。その直後にFETは
ONされ、モータが回転し始めます。同時にICで構成する発振回路が動作し始めます。発振パルスをもって
FETはON/OFF動作をし、レバーをさらに奥に引くと引くとパルスデューティが可変されて速度が上昇します。さらにレバーを奥に引いていくと、やがて
S2のスイッチがONされ、回路上、FETのドレイン端子とソース端子がショートされ、
モータには直流電圧そのものが印加されます。ブロック図を下記に示します。
← ※ 見にくいですがクリックすると拡大します。
注意)肝心の基板部の回路は省略させて頂きました。
どうでしょう!これだけの機能を小さな基板とメカ機構部で実現しています。これを電気で全て構成するとなると結構な回路が要ります。
一番難しいのは電流が流れるスイッチをどのようにするか!?がネックになります。
機会を見て私なりにアレンジしたいと思います。・・・・・・・・
ところでバッテリー型の電動ドライバーはおおざっぱに「汎用タイプ」と「プロタイプ」に分かれ、私の感覚では
2万円〜3万円あたりを境に分かれているように思えます。この二つの違いを一口で言うのは難しいですが、なんとなく「
頑丈なつくり」、「付加機能ある」と言ったところでしょうか?プロ仕様は高所の場所から落下させても壊れない(全てではありませんが)と
言うイメージがあります。
さらに分類すると「トルク可変型」と「インパクト型」に分かれます。
前者は主に「ねじ締め」や「穴開け」などに使われ、設定したトルクに達すると「カタカタ」と音がするやつです!
後者は大きなボルトなどの締め付けに使われ、大きなトルクを必要とする場所で使われます。需要が多いのはやはり「インパクト型」でしょうか!?
私は「トルク可変型」の方が好きですが (^∇^)アハハハハ!
最近ではトルク可変型ドライバーで
インパクト機能が切り替えて使えるものがあります。
ひとつ気になったことがあります。それは低速時でもトルク補償をしているドライバーが少ないことです。
よく通うホームセンターなどに置いているドライバーを少し触ってみたのですが、高価かなプロ仕様のものは低速でも強い力を出す機能がありました。
一方汎用型は殆どが低速時に手で止めると止まってしまう現象をいくつか確認しました。それでも普段使う上では気になることはありません。
どうせ作るなら汎用型で、トルク補償出来るものを作ってみたいものです。また基板についてもこの程度の動きと大きさであればマイコン
などを積んで少し機能を付加する事もできそうです。少しやってみたいのはトルクを検出すれば1回で停止する機能をぜひ、チャレンジしてみたいものです。