英二の兄さん達のおかげ(なのか・・・?)で、結局うやむやのうちに英二が戻ってきてくれた。
特にイベント事に拘る英二ではないのだが、一度した約束を守らない事に関しては手厳しい。毎日の忙しさにかまけて、二人の約束事を後回しにしてしまうのは、昔から俺の悪い癖だ。それをイヤと言うほど受けてきた英二から、『守れない約束ならするなっ!!』と新年早々、朝起きるなりこっぴどく怒られた。とは云え、今回の事については、多少なりとも英二にも責任はあると思うんだけど・・・・という表情をしたのがバレて、そんな俺の顔を見た英二が『反省の色が無いっ!!』と、結局日が暮れるまでこんこんと説教されてしまった。
元日から延々と説教を喰らうという、なんともしょっぱい年明けを過ごした俺だったが、年明け2日からはそんな事がなかったかのように、おだやかな、いつも通りの日常に戻った・・・・はずだった。英二のあのセリフを聞くまでは・・・。
「おーいし〜。来月の第二日曜日って、何の日か知ってるか?」
今日は始業式という朝、二人で朝食を食べている時、不意に英二がそんなことを言ってきた。
「え?何かあったっけ?」
俺は、先日の事もあったのでまた何か約束でもしていただろうかと、独りドキドキしつつも一所懸命予定を思い出そうとしていた。そんな俺の様子が見て取れたのか、英二はからからと笑ってこう続けてきた。
「別に約束してる日じゃないよ。まぁ、一般的に良く知られてる日ではあると思うけど。」
一般的に良く知られてる日・・・・何かの祝日か?来月ってことは、二月だろ?二月の祝日ってことは・・・。
「ああ、建国記念の日か。」
「・・・・違うから。それ、11日だし。」
「え、だって、二月は他に祝日なんかないだろう?」
「何で祝日限定なんだよ。俺、祝日なんて言ってないし。」
祝日じゃないのに一般的に知られてる日??そんな日あったっけ???
頭の中に『?』マークを一杯飛ばしている俺を見て、英二は盛大なため息をついた。
「もう出かける支度しないといけないから、それ、今日の夜までの宿題な。」
「えっ?!英二が教えてくれないの?」
「お・し・え・な・い。あ、でも、こんな事で胃でも壊されるといけないから、一人で考えてもわかんなかったら、早めに誰かに聞けよ?絶対すぐに答えがもらえるとおもうからさ。ほら、さっさと喰っちゃえよ。間に合わなくなるぞ。」
そういうと、すっかり朝食を食べ終わった英二は、自分の分の食器をシンクに置くと、洗面所の方へと歩いていく。時計を確認すると、確かに出かける時間が迫っている。さっきから箸が止まってしまっていた俺は、あわてて残りの朝食を食べると、すっかり身支度を終えた英二にせかされながら、洗面所へと追い立てられた。