夢
夢を見ている
俺は白い部屋にいて
白い服を着て
ただ座ってる
其処は何も無くて
ただ
俺が在るだけ
やがてまっさらな紙にインクが落ちるように
白に染みていくように
ポツリ
ポツリ
雨粒のように
落ちては広がっていく
赫
白を侵食していくみたいに
やがて赫は白い部屋を染め上げ俺の周りを残して真っ赤になった
ふと異変に気付く
震える赫い色
振動し、訴えるようにざわめく
何故染まらない
と。
何度目だろう
いつもはここで夢は終わる
今日は終わらない予感がした
赫は訴えたいことがあるんだと
手をのばした
少し遠のく赫
体をのばし触れた
触れて抱きしめた
あかい色は
あかいひとはその姿を成し温度をえる
抱きしめる
「ばかだなぁ」
俺は染まらない
染まらないけれど
ここにいるだろう?
end.