影山はおれを呼ばない
おれも影山を呼ばない
それでも気がつけばそこにボールはあって

おれの大好きな景色がそこにあった

床がキュッて鳴って、
おれが走り出す
体をぎゅっと沈み込ませて大きくジャンプ
信じろ
手を伸ばす
キュッて影山のシューズが鳴る
見なくたってわかる
信じてる
まるでさっきからここにあったみたいなボールがおれの手にあたって
コートへ

大好きな景色
大好きな音
大好きな空間

おれは信じてるよ
おまえが信じろって言ったから


頭をくしゃってされた
影山の大きい手
おれにトスあげてくれる
飛ばせてくれる手

大好きな手


「何見てんだ」

ちょっとムッとした顔
意地悪で厳しいけど
「おれ、影山の手好きだ」
だっておれを高いところへ連れてってくれるでしょ?
「ボゲ・・・なに急に・・・」
影山、顔真っ赤だよ?

頭を掴まれて影山の胸にあたった
「ボゲが」
また頭をくしゃってされた
へへっ

大好きな時間


end.