お弁当に寄せる思い
I want you...
時は流れて、我が家のおちびがいよいよ大学受験を迎える。
たくさんたくさん作ったお弁当もいよいよ終盤に。
お弁当の中にいろんなものを詰めたな。
楽しかったにんじん、悲しかった大根、
うれしかったじゃがいも,苦しかったピーマン。
上の空の朝もあった。元気いっぱいの朝もあった。
どんな日もいつの間にか無心に作ったお弁当。
小さな箱の中に心を集中させると
そこは広い宇宙になって無限の想像力をかきたてる。
今日できなかったことは明日。
次の日できなかったことは明後日にと。
お弁当は母の思いをつないでいく。
お弁当を必要としていたのは娘ではなく母だったのだ。
また明日・・・とわたしを呼ぶ魔法の箱だ。
2009,Sep. 22th. GLe-gle
I need you...
何よりもお弁当を作っていてよかったと思えた年。
2004年。
お弁当の写真を見ると様々な思いが巡る。
辛かったこと、楽しかったこと、忘れたいこと、覚えておきたいこと。
消えかけていた大切な思いが、
小さなお弁当箱の中からそっとこちらを覗いている。
少しは母親らしいことができたかしら。
私は二つのお弁当箱の中に、
なくしかけた母性をそっと詰め込む。
明日もまた次の日も。
2005,Jan. 10th. GLe-gle
I miss you...
まだ覚醒しきれない意識の奥で、
エプロンのひもを結びながら、冷蔵庫をのぞく。
『えっと、なんだっけ。』、昨夜眠る前、
今日のお弁当の目星を付けたはず。
ソーセージと小ぶりのジャガイモ、
卵にゆでたグリーンアスパラ。
半ば惰性で今日のお弁当作りが始まる。
ジャッと温めたフライパンに卵を流し込む頃には
ようやく目も覚めて、時計が気になる。
そのころには、『Mayu!起きなさい!!』
『Abu ! ちこくする〜!!』
そのうちトーンも大きくなり、悲鳴にも似た命令文の乱発。
と、何故か呼びもしてない夫が先に起きだして
『新聞は〜。』
あの〜、今取り込み中なんですが・・・。(-_-)
もう、時間のめどもついてやれやれ〜。
何とかできあがったお弁当のおかずを
彩りを考えながら詰め込む時間が好き。
洋服をコーディネートする時のようなちょっとしたうきうき気分になれる。
これからが普通のお宅と違うのだが、写真撮影と相成ります。
まず、真上から、それからアップ。横姿も忘れずに。うっとり〜。
何てやってると、『おかあさ〜ん、お弁当もってきて〜。いくよ〜。』
わぁ〜、お箸、お箸、保冷剤っと。『は〜い!!』
ぎゃ〜、お茶忘れてる!!なんて事になって
あわただしくお弁当を送り出す。いや、もとい、子供を送り出す。
ふ〜、っとキッチンに戻るとテーブルの上にポン酢を入れたたれ瓶が・・・(^_^;)
はたまた、たれ瓶の代わりにぽつんととり残された夫が〜。
何て事もよくあります。
とにもかくにも、こんな風に一日が始まり、無事お弁当が送り出されていくわけです。はい。
2003,July 4th. GLe-gle
Relayed Lunch Back No.2002-2004