〜New year’s greetings〜
※昨年のお年賀SS(年の初めのご挨拶)の続編となっておりますが、これだけでも読めるようにはしたつもりです。
「う〜ちっとも終わらん!!」
「こうなるのは分かりきった事だろ・・・。」
「・・・慎が冷たい。」
本日は大晦日。
やっぱり今年も久美子は慎の部屋で年賀状を書いていた。
教師生活が長くなれば、どんどん年賀状を書く枚数が増えるのは当然の事。
しかし、宛名と一人一人にせめて一言位は手書きで!と拘る久美子。
毎日忙しく走り回ってやっと年賀状を書き始めたのが今日。
・・・こうなるのは当然の結果といえる。
「毎日何枚かでも少しづつ書いときゃ良いのに。」
「それが出来ればこうなってないもん。」
「おまえ夏休みの最後の方に宿題やるタイプだったろ・・・。」
「なんで分かった!エスパーか!!」
「分かんだろ、普通。」
「おまえ年賀状は・・・。」
「とっくに出した。親しい奴らだけだし。
・・・おまえに挨拶は基本だって言われたからな。」
「感心感心!」
ぐしゃぐしゃと頭を撫で回す久美子の手を掴んで、
「ほら、続きやらねえと。」
促す慎を上目遣いで伺う久美子。
「なあ、せめて宛名だけでも手伝ったり・・・。」
「・・・却下。」
「良いじゃねえか。宛名だけなら。」
「おまえの年賀状だろ?おまえが書くから意味があるんじゃねえの?」
「それはそうなんだけど〜。」
慎が正しい。
久美子は年賀状を書く手を再び動かし始めた。
年賀状を書く久美子に慎がぽつりと言った。
「・・・一つだけ俺が宛名を書いても大丈夫な方法があるな。
今年はもう間に合わねえけど。」
「それはなんだ!?」
勢いよく顔を上げ慎を見る久美子。
「俺とおまえと連名の年賀状なら俺が宛名書いても全く問題ねえよな。」
「へっ!?それはそうだけど・・・。」
きょとんとした久美子はまだ意味が分かっていない。
思わず慎は小さく笑った。
「・・・おまえが沢田久美子になれば。」
「え!!あの・・・それはもしかして・・・。」
やっと意味を理解した久美子は真っ赤になってわたわたと慌てだした。
思い付きだったけど・・・言った事は間違いのない本気。
「返事は?」
「・・・はい。」
「年賀状に独身最後のお正月ですって書いとけ。」
「・・・おう。」
「ほら、元朝参り行くんだろ?もう少しだから頑張れ。」
「うん。着物着て行こうかな。」
大江戸に取りに行かないとだけど、と言う久美子。
「振袖着て祝う正月も最後だな。」
慎の言葉に恥らうような、それでいて嬉しそうな笑顔を見せる久美子が可愛くて。
このまま元朝参りなんてやめにしてしまいたい衝動に駆られる。
ここで押し倒したら鳩尾に一発くらうかな・・・。
そんな事を慎が考えているうちに年が明けた。
あけましておめでとう!
End
※※※
今年一年が皆様にとって良い年になりますように。
2011/1/1
そらこ