珍しく自分の愛する恋人からのお誘いで彼女の家へと出向いてみると、
珍しく誰もいない人気のない家だった。
不思議に思っていると彼女から上がってくるようにとの声に
ひとまず誰もいないが挨拶だけは一人呟き家へと上がることにした。
彼女の部屋に上がると、「お前はこれに着替えろ!!」とウムを言わさず衣装を渡され廊下に出された。
なにが悲しくて、愛しい彼女の部屋の前で着替えをしなきゃいけないのか?と疑問も不満もたっぷりとあるが、惚れた弱みか逆らうことが出来ずに、ため息を付きながらも渡された衣装に袖を通した。
衣装を着てみれば、バーテンダーみたいな格好になぜかケツ部分に白の綿ボコリらしきものが・・・
もしかしてこれって・・ウサギ?
意味が分からず彼女の部屋の扉をたたき着替え終わったことを伝え、どういうことかと疑問を並べてみると、
一緒に渡された黒のウサギの耳らしきカチューシャをつけないと扉も開けないし、説明もしないと言われた。
着けるか着けないか散々迷い、着けた事にして扉を開けさせようかと思ったが、
「嘘ついたら別れるからな!」と脅され渋々着ける事にした。
「着けたから開けて。」
恥ずかしい気持ちを押し殺し、扉をたたくと今度はちゃんと扉を開けてくれたので、
質問も不満も全部吐き出そうとしたその瞬間、俺は自分の目を疑った。
そこにいたのは、網タイツに黒のバニーガール姿の愛しい彼女の姿が。
手にはなぜかお盆にどこから手に入れてきたのか分からないこの家に相応しくないカクテルグラス。
赤いウサギの耳をつけた俺の彼女はいったいどんな経緯でこんな格好をしたのだろうか・・。
「どうだ!?似合うか?」
俺の困惑なんてお構いなしにキラキラした期待の目でこちらに問いかけてくるが・・・
胸元はガッツリと空き、足も際どい所までむき出しになりその上網タイツ・・目のやり場に困るってもんじゃなかった。
「お〜い、聞いてるか?」
俺の葛藤や理性との戦いなんてまったく気にしてない彼女は俺の顔を覗き込むかのように前屈みになる。
余計にアングルが際どくなった事で俺の理性は崩壊寸前で、ひとまず落ち着こうとなぜその格好なのかを聴くことにした。
「なにその格好?」
「へ?見てわかんないのか?ハロウィンだよ♪」
「・・まて、お前はなにか勘違いしているぞ。ハロウィンはそんなイベントじゃねー」
「へ?だって仮装してお菓子強請りに行くんだろ?」
そんな格好を他の奴に見せる気だったのかよ!? と怒鳴りたくなるが、そこはなんとか堪えて・・。
「なら、俺はその前に悪戯していい?」
「へ?」
「俺、甘いもの好きじゃないから悪戯がいいんだ。」
「ちょっと待て、ハロウィンをお前理解してないな///ちょっ、待てって、コラッ!!///」
「俺我慢できない・・・悪戯でもお菓子でもどっちでも俺には久美子だけあれば良いよ・・・」
「コラッ!///どこ触ってんだよ!!ちょッ!」
嫉妬心も合わさり完璧に切れた理性で目の前のウサギを頂こうかと思ったら、逃げる久美子が足を滑らせ倒れるように体が傾いた。
「ッ危ねぇ!!」
咄嗟に久美子の腕を掴み、自らの体で久美子を受け止める。
「あ、悪い。」
俺の背中をクッションにして無事だった久美子に安心し一気にサカってた気持ちも落ち着いてきたと思われたが、
背中に当たる久美子の柔らかい胸や目の前の美味しそうな足を見てるとまたサカリそうで・・
自分の彼氏がウサギの皮を被った狼だと言うことを早く自覚して欲しいと思った。
★ END ★
by 桜様(2011.11.27)