「京さーん!どこー?!」
がらっ(部屋の障子を開ける音)
「おっ、久美子。
京なら俺の用で出かけてるぜぃ。
何か急ぎの用事かい?」
「あ、おじいさん。
…そっか…京さんいないのかぁ。
じゃいいや。」
「なんだ?言ってみな。
俺に出来ることならやってやるぉう。」
「えっと…学校の宿題で音読が出てて。
家の人に聞いて貰わなきゃなんないんです。」
「ほぉ。じゃ、聞いてやるぜ?
読んでみな。」
「でも…家にある本を読んで来い、って言われたんだけど。
家の中、どこを探しても本なんか無くって。
京さん達の部屋には、雑誌だったらあったんだけど。」
「確かに、本なんざ読む野郎はいねぇもんなぁ。
(しかし雑誌ってなぁ…エロ本じゃねぇのか?(汗)」
「どうしたらいいかなぁ、と思って…。」
「お前の持ってる本はねぇのかい?」
「あの…この前京さんからオススメのほん、って言うのは貰ったんだけど。
読み方がわからない字がいっぱいで、一人じゃ読めないの。」
「ほぉ…。よぉし、ここに持って来てみな。
俺の膝に座って読みゃぁいい。
詰まったら教えてやるぉう。」
「え、いいの…かな///?」
「いいに決まってらぁ。
ほら、とっとと持って来な。」
「・・・!はいっ♪!!」
「おやの…」
「ち、だなぁ。」
「おやのちをひくきょうだいよりも…」
「そうそう。」
「海よりけわしい…のみち」
「漢、おとこ、だなぁ。」
「おとこのみち?どう言う意味だろう。
おとこの人しか通っちゃいけない道のことかなぁ…。」
「男としての生き様ってことだなぁ。」
「いきざま???」
親父っさんの用事を済ませていそいそ帰って来た若き京さんは、
縁側で繰り広げられている微笑ましい祖父と孫の会話に目を細めるのでした☆
by 響子様(10.05.07)