PAL盤のススメ Vol.3 〜仏盤を観る〜
もはや決定版!? 『プレイタイム』


 
作品解説

フランス映画史上初めて70oで撮られた記念すべき大作であり、興行的失敗によってタチを破産に追い込んでしまった"呪われた映画"でもある『プレイタイム』。一部の批評家からは絶賛されたが、マスコミを初めとする一般の評価は散々なものだった。無数の可笑しな出来事の集合とも言うべき大胆な構成と、主役のユロ氏でさえも群集の中に埋没してしまうユニークな演出スタイルは「喜劇の民主主義」というタチの理想を実現した世界だったのである。しかし、それはあまりにも新しすぎる試みであった。撮影日数345日、撮影を中断すること6回、総制作費15億フランという壮大な夢は時代に受け入れられることはなかったのである。本作の主役とも言える巨大セットは、ヴィンセンヌ郊外に半年以上の歳月を費やして建設された人工都市で、ゴダールのSF作品『アルファヴィル』にちなんで「タチヴィル」と呼ばれた。元は152分だった尺は、興行不振で30分以上の短縮版として再公開され、さらに短くされた115分版となって今日に至っていた。今回DVD化されたものは2002年のカンヌ映画祭で催されたタチ没後20周年特集上映の際に新たに公開された125分の「新世紀修復版」である。

パッケージ

スリップケース付見開きデジパックのコレクターズ仕様。中ケースの外側に若かりし頃のタチの写真が印刷されています。イラストも洒落ていますね。デジパックというと取り扱いがデリケートになってしまい、気軽に視聴できなくなる場合が往々にしてありますが、本ディスクはシンプルなデザインでディスクも取り出し易いのが良いですね。通常盤はリリースされず、限定盤のみのリリースだったので早々に品切れになってしまったのが残念です。



仕様、その他のデータ

原題:Play Time 〜Le Film Version Restauree 2002〜
[Disc1]
・Wild Side Video
・Region 2 - PAL
・本編119min(PALtime)
・音声:仏語DD2ch
・画面仕様:1:2.35(16:9)
・チャプター数:15
・字幕なし
・特典
  2種類のシークエンス解説
  Jerome deschamps氏(12分)
  Stephane Goudet氏(12分)
・発売日:2003/9/23
[Disc2]
・オリジナル予告編(スタンダード・サイズ)
・2002年カンヌ映画祭のジャック・タチ没後20周年特集上映の模様(8分)
・タチの生涯を追ったドキュメンタリー(20分)
・Backstage
 新世紀修復版に関するテクスト
 タチヴィルのメイキング映像(解説音声付きも収録)
 スチール集
 美術紹介
 スクリプターのインタビュー映像
・Spectateurs
 Stephane Goudet氏による作品解説(18分)
 タチ作品に関わった人々の証言映像
 ペインティング・プレイタイム(子供達がプレイタイムの一場面をイラストにする可愛らしいオマケ映像)

本編の平均ビットレート


DVD所感

「Welcome to Tativille!」とお姉さんが威勢良く出迎えてくれる粋なメニュー画面。そのままにしておくと両脇の色が変わっていきます。本編の画質は残念ながらあまり良くありません。圧縮ノイズがかなり目立ちますし、S/Nもいまいち。解像度と発色も素晴らしいとはとても言えないレベルです。音声は可もなく不可もなくと言った感じでしょうか。2ch音声のみというのもちょっと寂しいですね。後半のレストラン・シークエンスのガヤは5.1chで聴いてみたかったかも。特典はテンコ盛りで文句なし。タチヴィル建造の模様を捉えた映像が興味深かったです。

画質: 
音質: 
特典:  

メニュー画面キャプチャ



本編Discのメニュー画面(左上)、本編Discのチャプター画面(左下)、特典Discのメニュー画面TOP(右上)、特典Discのメニュー画面(右下)


 

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