■作品解説 上田秋成の怪奇小説集『雨月物語』の「蛇性の婬」と「浅茅が宿」、さらにモーパッサンの短編「勲章」を加えた3篇が原作。川口松太郎と依田義賢による見事な脚色、名匠・宮川一夫のワンシーン・ワンカット、伊藤熹朔の美術セット、早坂文雄の音楽、そして溝口健二の繊細かつ大胆な演出。高い芸術的達成を遂げた本作は日本映画の一つの到達点とも言える完成度を示し、ヴェネチア映画祭で「サン・マルコ銀獅子賞」と「イタリア批評家賞」を獲得し溝口健二の名を一躍世界に知らしめた。ジャン=リュック・ゴダールが最も愛する映画としても知られており、2002年に「高松宮殿下記念世界文化賞」を受賞し来日した際、天皇陛下の「好きな日本人の監督はいますか？」とのお言葉に「溝口健二氏ですね。『雨月物語』などを見ると、映像の美しさに5分で涙が出てきます」と答えている。 ■パッケージ 紙製の箱に、紙製の薄型DVDケースが2つ、それと全72ページの特製ブックレットが封入されている。モノクロ幽玄美の本編映像に合わせたような灰色を基調とした明度の低い色で統一されているパッケージ・デザインが素晴らしい。このセンスはクライテリオンならではと言えるだろう。持ったときのズッシリとした感触も良い。
■仕様、その他のデータ 英題：UGETSU
[Disc1] ・Criterion Collection ・Region 1 - NTSC ・本編97min／白黒 ・音声：日本語DD Mono ・画面仕様：1:1.33（4:3） ・チャプター数：20（最後はカラーバー） ・片面2層 ・字幕：新訳英語 ・特典   Tony Raynsによる音声解説   インタビュー3種    篠田正浩（約14min）    田中徳三（約20min）    宮川一夫（約10min）   予告編3種    日本版(1)    日本版(2)    スペイン版 ・発売日：2005/11/8 ・価格：$39.95	[Disc2] 『ある映画監督の生涯　溝口健二の記録』 ・本編：150min／カラー ・音声：日本語DD Mono ・画面仕様：1:1.33（4:3） ・チャプター数：26 ・片面2層 ・字幕：英語 [72P特製ブックレット] ・キャスト＆クレジット ・Phillip Lopateによるエッセイ  「From the Other Shore」 ・短編テキスト3種  上田秋成著／Anthony Chambers翻訳   「The House in the Thicket」（「浅茅が宿」）   「A Serpant's Lust」（「蛇性の婬」）  ギイ・ド・モーパッサン著   「How He Got the Legion of Honor」
■本編の平均ビットレート ■特典ディスクの平均ビットレート ■DVD所感 映像S/N、解像度、コントラストいずれも文句なし、極上のモノクロ映像に思わずウットリ。音質も良好、台詞がクリアです。特典映像のインタビューは篠田正浩と田中徳三の二人が撮り下ろしという力の入れよう。スペイン版の予告編などかなりレアなのでは？日本では単品発売（5千円もする）されている新藤兼人の伝記ドキュメンタリー『ある映画監督の生涯　溝口健二の記録』が特典ディスクというのも凄い。そして圧巻というか半ば呆れてしまうのが、ブックレットに収録された『雨月物語』の原作である三つの短編の翻訳テキスト。統一感のあるパッケージ・デザインの素晴らしさといいさすがはクライテリオンというしかないこだわりっぷりにただもう脱帽するしかありません。リージョン1の再生環境があるなら黙って買いのDVDでしょう。まさにパッケージ・メディアの一つの理想形。ここまで完璧な商品を出されてしまうともはや日本のメーカーに後発の強みなんてないことは確かですね。 画質：   音質：   特典：   ■メニュー画面キャプチャ メイン・メニュー（左上）、チャプター画面（左中央）、特典メニュー（左下）、特典ディスクのメイン・メニュー（右上）、特典ディスクのチャプター画面（右中央）、特典ディスクの字幕設定画面（右下）

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