映画古今東西
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『ヴァイブレータ』 廣木隆一/2003年・日本

そこはかとない不条理感が漂う三十路女の妄想ロードムービー?吉行淳之介の短編にありそうな話で、ロマン・ポルノやATGを感じさせる風合いがあるけれど、演出や脚本は今一つパワー不足。最後もアッサリし過ぎかも。寺島しのぶが良い。倦怠感の表現があまりにも真に迫っている(笑)。

『ヴァージン・スーサイズ』 ソフィア・コッポラ/1999年・アメリカ

ん〜魅力的な部分もありましたが全体的にはちょっと・・・な映画でした。典型的な思春期モノのスタイルを取りながら、一方では母親の子供に対する束縛がやがて暗い陰を落とす、という描き方がいまひとつ観ていてスッキリしなかったです。色遣いや映像表現は女性ならではの繊細な感性が感じられて良かったですね。ギルバート・オサリバンの「Alone Again」は嬉しい不意打ちでした。

『ヴァンダの部屋』 ペドロ・コスタ/2000年・ポルトガル=独=仏

これは一体ナンだったのか?何も起きないし、何も変わらないし、何も語られない。ないない尽くしの3時間。物語的でもドキュメンタリー的でもありません。固定キャメラで捉えられたヴァンダの部屋とスラム街の日常。徹底して反映画的(グリフィスやエイゼンシュテインの影響下から脱却しているという意味における)な作り。ただ、マリファナを吸う光景、咳の音、嘔吐の光景と音、部屋を飛び交う無数のハエ、解体工事の騒音、これら不快な映像と音の執拗な反復から、人や空間や物の実存がヒリヒリした痛み、窒息せんばかりの肉感をともなって心に突き刺さってくるんですよね。異様に生々しくて不気味な現実感覚です。おそらく3時間という現実時間の流れがあってこそ感じ取れる感覚なんだろうと思います。"何もない"から"何かある"を生み出すには3時間という尺が必要だったということなんでしょうね。凄い勇気です。面白いのか面白くないのか、傑作なのか駄作なのか、といった話はこの際どうでも良いような気がしますね。非常にユニークで野心的な作品であることは間違いありません。やっぱり、映画の21世紀はペドロ・コスタと共に始まるのでしょうか(笑)。

『ウェイクアップ!ネッド』 カーク・ジョーンズ/1998年・イギリス

宝クジの当選金を巡って起きる騒動を描いた心温まるヒューマンコメディです。粋でお茶目で元気なおじいちゃん、おばあちゃん達の存在が何とも微笑ましくて、アイルランドの美しい風景と民謡風の音楽がより一層作品の印象を豊かにしてくれます。こういう良い具合に力の抜けた映画は観ていてとても気持ち良いですね。これは必見ですよ♪

『ウェルカム!ヘヴン』 アグスティン・ディアス・ヤネス/2001年・スペイン=仏=伊

設定がユニークだしプロットも意外性があって面白いのだけれど、どうもいろいろと詰め込みすぎなのか消化不良を起こしている。もうちょっとすっきり単純なストーリー展開の方が楽しめたかも。現世はスペイン語、天国はフランス語、地獄は英語、この意地悪な、でも茶目っ気のあるユーモア感覚は好きだ。マニッシュでワイルドなペネロペ・クルスがめっちゃ格好良い。多彩なファッション(制服姿に萌えまくり)にカンフー・ダンスなど見所も豊富。それにしても・・・顔ちっちぇー!!(笑)。

『ヴェルクマイスター・ハーモニー』 タル・ベーラ/2000年・ハンガリー=独=仏

いや〜こりゃオッタマゲました。ハンガリーにこんな素晴らしい映像作家がいたんですね。それもとびきり上等な長廻しを駆使する作家が。恐ろしく寡黙でありながらジリジリと観る者の内面にエグリ込んでくるようなショットの力強さはあのアンゲロプロスにも全く引け劣っていません。あらゆるショットが驚異的で哲学的隠喩に富んでいて強烈に後を引く魅力を持っています。不気味でありながら惹かれずにはいられない闇夜の描写、粛々とした冷たい闇にほのかに照らし出される光の尋常ならざる美しさ!こんなにゾクゾクするモノクロ映像は久しぶりです。闇の捉え方は本当にファンタスティックの一言。突如やってきたサーカス団と巨大鯨が村に変化をもたらし、やがて民衆暴動になっていくという寓話性の強い話なんですが、物語云々という事よりもまるで狂人が見てる夢のような静かで奇妙な映像感覚に魅了され酔わされます。この突拍子のない展開に東欧の宗教・イデオロギー闘争における被支配や抑圧と言った暗く悲痛な歴史を重ね合わせることもできるでしょう。でも所詮それは日本人である自分にとって表面的な認識だろうし、作品の背後に潜む膨大なメッセージのほんの一端を見ているに過ぎないような気がします。まぁそんな屁理屈はこの際どうでも良いんです。映像そのものが放つ異様なパワーにただただ圧倒され感動してしまったというのが正直な印象なのですから。そう言う意味では『2001年宇宙の旅』や『ノスタルジア』のように映像を体験する作品、感覚の映画と言えるのかもしれません。

『浮草』 小津安二郎/1959年・日本

「彩」と「艶」の映画。色彩と女優の"粋"が堪能でき、中村鴈次郎の"芸"に嘆息させられる映画。大映で撮っているからか、所々に小津調らしからぬ演出(俯瞰映像、黒澤ばりの豪雨、過剰なキスシーンと暴力シーン)があって、それが他の小津作品とは違う一種異様な雰囲気を醸し出している。全編の至るところに"赤"が配置されているのも印象的。そして何と言っても若尾文子の魅力。あまりの美しさ、可愛らしさに思考停止。彼女に誘惑されてコロッといっちゃう川口浩に激しい共感と嫉妬の念が交錯した。また絶品だったのが杉村春子(本作では妙に艶っぽいというか女性らしい色気がある)と中村鴈次郎のやり取り。ちょっとした間の取り方や細やかな所作、微妙に変化する表情など実に見応えがある。杉村春子とは対照的な女性を演じる京マチ子の存在感もお見事。

『浮草物語』 小津安二郎/1934年・日本

1934年の作品。すでに小津独特の映像様式であるロー・アングル、空ショット、反復動作などが顕著に見られる。話の筋やセリフ回しは、後年リメイクされる『浮草』とほぼ同じ。ただ、作品の印象は大きく異なる。白黒サイレントの『浮草物語』は淡白、総天然色トーキーの『浮草』は濃厚なのだ。これは俳優にも当てはまることで、坂本武と中村鴈治郎、坪内美子と若尾文子を比べてみれば一目瞭然。個人的にはリメイク版の濃厚さが好みだけれど、一つだけオリジナル版の方が断然良かった箇所がある。それは、座長の息子を誘うべく、巨木の根元に座る坪内美子を捉えたショット。柔らかな光線、髪を揺らす微細な風、木の幹にチラチラと被さる影、爽やかな初夏の空気感や匂いまでもが伝わってくるような素晴らしいショットにしばし陶然となった。この場面の坪内美子は何とも言えない色気を醸し出している。若尾文子の可愛らしさとはまったく異質の艶やかな趣き。はぁ〜。

『浮雲』 成瀬巳喜男/1955年・日本


『浮き雲』 アキ・カウリスマキ/1996年・フィンランド

共に職を失ってしまった夫婦が新たな希望を見つけるまでを淡々と静かに描いていくしみじみと味わい深い小品。いやいや、好きですね〜この監督の創り出すちょっぴりユーモラスで温かい雰囲気。どうしようもなく厳しい現実を描いていながらちっとも暗さを感じさせません。人物の動きが少なくセリフもほとんどないのに、それが様式化されてるというより極めて自然に見えるところがカウリスマキ演出の妙、俳優の素晴らしさなんですよねぇ。終始無表情なだけにここぞという場面での微妙な変化がとてつもない効果を生み出しています。こってり濃厚な色彩、照明によってくっきり浮かび上がる人物の影も印象に残りました。とことん慎ましい作風でありながらあらゆるショットが力強く、映画的興奮に満ちています。そう言えば劇中、映画館のロビーには『ラルジャン』のポスターが貼ってありました。ブレッソンへのオマージュ、なるほど、両作家の作品からは同じ匂いがします。

『失われた週末』 ビリー・ワイルダー/1945年・アメリカ

いや〜堪能。職人ワイルダーの手にかかれば暗澹たるアル中ドラマも極上のエンターテインメントになってしまう。重苦しいがめっぽう面白い!物語構成も映像演出も巧みの一語に尽きる。それと主人公の名セリフの数々。「12年物なんて口に合わん。酒は酒だ」、「これは悪循環の円だ。円は幾何学の無制限で始めなく終わりなし」、「酒は肝臓にも腎臓にも悪い。だが精神は舞う」、「朝だからなお必要だ。気付け薬だよ」等々。レイ・ミランドの演技も迫力満点だった。最後はやや強引。

『打ち上げ花火 下から見るか?横から見るか?』 岩井俊二/1993年・日本

瑞々しい。思春期直前の少年少女のほのかな心のふれあいが繊細なタッチで描かれている。惜しむらくはフィルム撮りでないところ。フィルムだったら奥菜恵も神話の粋に達していたかもしれない(笑)。少年達をはるかに凌ぐ大きな背丈、ムチっとした体つきが、絶妙のバランス感覚と爽やかな官能を生み出している。Jリーグ発足、スラムダンク、ファミコンの「ストU」、嗚呼ノスタルジア〜。

『美しき虜』 フェルナンド・トルエバ/1998年・スペイン

内戦のさなかスペイン映画製作団がナチス・ドイツに招かれミュージカルを撮る話です。暗い時代背景ですが中味はいたってラテンなノリのバックステージ系艶笑コメディでした。エミール・ヤニングスがいたり『カリガリ博士』のセットがあったりと映画狂が喜ぶネタも随所に出てきます(後半にはもろ『カサブランカ』しちゃってるシークエンスまで笑)。また場面転換にサイレント期の手法(アイリスと言います)を使ってるのも楽しいですね。ペネロペ嬢は銀幕スター・マカレナを魅力たっぷりに熱演しています。DVDのジャケ(センスなさ過ぎ!)だけ見ると如何にも彼女のヌードや濡れ場が売りみたいな感じになっていますが、そんな描写は案の定オマケ程度しかありません(笑)。未だに日本における彼女のイメージはセクシー系女優ってことなんでしょうか(まぁどの作品でも大抵脱いでるだけに否定はできないんですけど^^;)。でも本作では本当に存在感のある見事なヒロインぶりを発揮しています。また彼女だけでなく脇を固める俳優たちも個性的で芸達者な面々ばかり。特に酒好きのベテラン女優を演じるロサ・マリア・サルダが最高でした。それにしてもあのゲッペルスが性倒錯者だったとは(ペネロペ嬢にヒル呼ばわりされるし笑)。また余談ですがゲッペルスの映画好きは有名な話で、実際チェコの映画女優と浮名を流した事があるそうです。

『ウディ・アレンの影と霧』 ウディ・アレン/1992年・アメリカ


『ウディ・アレンのバナナ』 ウディ・アレン/1971年・アメリカ

マルクス兄弟やチャップリンへ無邪気なオマージュを捧げつつ、ナンセンスでかつブラックな笑いの波状攻撃でもってアメリカ文化を、革命を、恋愛を軽快に皮肉ったアレン的イケイケ・コメディ。若き日のスタローンがチンピラ役でちょっと顔を見せている(あまりにも素晴らしいイモ演技!笑)。

『ウーマン・オン・トップ』 フィナ・トレス/1999年・アメリカ

ペネロペ・クルスをハリウッド業界とアメリカ人に紹介するプロモーション映画、かどうかはともかく、ロマコメにしては脚本が今ひとつで、物語の展開も会話も面白味に欠けている。乗り物酔い、オカマの黒人、海の神イマンジャといった仕掛けが作品の中で有効に生かされていないのが残念。ペネロペの美しさは存分に堪能できる。強烈なスペイン語訛りの英語もキュート。

『海がきこえる』 望月智充/1993年・日本

ジブリ印の青春群像。とことん正攻法で真面目な演出が、かえってアニメ作品としては新鮮に感じられる。他のジブリ作品にはない、初々しく澄んだ空気感のある映像がやんわりと心地良い。すごく地味だけれど、時折無性に観たくなってしまう不思議な魅力がある。音楽も良い。小さな名作。

『海の上のピアニスト』 ジュゼッペ・トルナトーレ/1998年・イタリア


『裏窓』 アルフレッド・ヒッチコック/1954年・アメリカ

動かない空間と主人公になりかわって視線が動きまわる、その観察眼的、ネットリ粘着質なキャメラワークが素晴らしい。スコプトフィリア(覗見症)とは"見る欲望"のこと。まさに映画的な素材の極めつけと言っても過言じゃない。憑かれたようにレンズを覗くジミー・スチュアートは、映画監督でもあり、映画を見る観客でもある、ということなのだろう。収束の仕方が巧い。絶妙のユーモア感覚!

『うる星やつら オンリー・ユー』 押井守/1983年・日本

いやーパワフル!作品そのものがめちゃくちゃバイタリティーに溢れている。例によって個性的なキャラがぞろぞろ登場し、色恋や食をめぐって欲望剥き出し大暴れ。パロディにジャンルごちゃ混ぜ、何でもござれの世界観、この混沌、アナーキーさがとにかく痛快で心地良い。『攻殻機動隊』の監督とはとても思えない異様なまでの演出のハシャギっぷりが微笑ましい(笑)。

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』 押井守/1984年・日本


『麗しのサブリナ』 ビリー・ワイルダー/1954年・アメリカ

可憐ですね〜A・ヘップバーン。着こなしといい身のこなしといい実に鮮やか。思わず見惚れてしまいます。ユーモアセンス溢れる粋なセリフの数々はさすがワイルダー。ボギーも絶品なり!

『運動靴と赤い金魚』 マジッド・マジディ/1997年・イラン


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