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『無常』
実相寺昭雄/1970年・日本
妙な構図&アップの多用&広角レンズ。実相寺ワールド炸裂の近親相姦愛憎劇。良くも悪くもATGらしい作品。後半ちょっと失速するのが残念。尺が長すぎかも。薄暗い屋敷の中、姉弟が能面を被ってふざけているうちに、やがて激しく求め合ってしまうシーンが白眉。
『息子の部屋』
ナンニ・モレッティ/2001年・イタリア=仏
モレッティが港をジョギングしている冒頭の場面から引き込まれます。また、バックに流れるニコラ・ピオヴァーニの音楽が素晴らしいんですよね。ニーノ・ロータといい、モリコーネといい、イタリア人が作る映画音楽って、何でこうもモウレツに心を揺さぶるのでしょうか。それにしても、この作品はモレッティらしいからぬ、と言うか、まさに直球勝負って感じのドラマに仕上がっています。モレッティの作品は常に"大真面目"と"悪ふざけ"が分裂しながらも共存している捉えどころの無さが特徴なのですが、本作ではほぼ大真面目な部分だけで作られているんですよね。ほぼ、と言ったのは、モレッティの奇人的な面が、たまにちょろっと顔を出すからなんです。ファン的にはそれがすごく愉快だったりするのですが(笑)。息子が死んだ直後にモレッティが遊園地のヘンテコな絶叫マシーンに神妙な顔つきで乗っているシーンなんて、すごく深刻なシチュエーションなのに笑わずにはいられないんですよね。まぁこれは私がただ不謹慎なだけなのかもしれませんが、明らかに奇妙な演出であることには違いありません。たとえ家族であってもすべて分かり合っているわけではない、むしろそのことには無自覚で、お互い分かり合った気になっているだけなのではないか?本当のコミュニケーションとはどういうことなのか?"息子の部屋"というのは、そのことを象徴する存在なのかもしれません。"息子の部屋"の写真を見て号泣するモレッティの心中には、後悔と自責の思いが溢れていたのでしょうか。今まで一人称的な、散文調の映画ばかりを撮ってきたモレッティが、家族を通して描く人間相互のデリケートな関係性に目を向けたというのは何とも意外であり感動的でもあったわけなんですが、それほど実生活での息子の誕生は、モレッティの心境に大きな変化をもたらしたということなんでしょうねぇ。最後の予定外の深夜ドライブから国境へ行ってしまうシークエンスは何度観ても素晴らしいです。濃密で豊かな映画的時間。ゆったり浜辺を歩く家族の後姿、淡々と流れる「バイ・ディス・リバー」。やっぱりジーンときてしまいます。
『無防備都市』
ロベルト・ロッセリーニ/1945年・イタリア
。
『ムーラン・ルージュ』
バズ・ラーマン/2001年・アメリカ=豪
ぐは〜相変わらず目が悲鳴をあげたくなるような色の洪水。この監督の映像感覚はイっちゃってます。絢爛豪華でお下品な見世物小屋的世界。でも今や絶滅種に等しいミュージカルをこんなカタチでド派手に復活させてくれたラーマン監督には手放しで拍手を贈りたい。歌の場面では『Your Song』、次々といろんなジャンルの曲で愛を語り合うシーンが最高。座長の『Like a Virgin』には不覚にも爆笑してしまった。ただ惜しむらくは後半思いっきりダレるということ。全編、前半のような胡散臭さ全開のスピーディでバイタリティ溢れる展開でいって欲しかったなぁ。それにしてもユアン・マクレガーって華がない役者だ(笑)。
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