映画古今東西
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『ファイト・クラブ』 デヴィッド・フィンチャー/1999年・アメリカ


『ファイナル・ファイター/鉄拳英雄』 ジェット・リー/1988年・香港

巨漢の米兵を小柄なリーが粉砕!仇討ちモノですがストーリー構成が雑で最後はやや盛り上がりに欠けました。弁髪じゃないリー・リンチェイは何か変です(笑)。

『ファイブ・イージー・ピーセス』 ボブ・ラフェルソン/1970年・アメリカ


『ファーゴ』 ジョエル・コーエン/1996年・アメリカ

やっぱ素晴らしい。オープニング、語り口の巧妙さ、雪と直線道路と車、巨大なポール・バニヤン像、ウィリアム・H・メイシーのイケてない写真(笑)、ヘンな顔のチョイ役たち、エピソードそのものが"マクガフィン"なマイク・ヤナギタ、ビュッフェでドカ食いするヒロインとその夫、好きなショットや細部はそれこそ山ほどありますが、トドメをさすのは何と言ってもスティーブ・ブシェーミ!この稀代の怪優あってこその『ファーゴ』でしょう。初めはイイ感じのワルだったのに、話が進むに連れてどんどん惨めになっていく様が何とも可哀相、いや滑稽なんです。全裸のままタコ殴り&首絞め、頬を銃撃され血まみれ、最後は斧で頭をかち割られるのですが、何故かその都度クスクスってなっちゃうんですよねぇ。まぁその時の所作と表情が面白すぎるからなんですが(^^; それと声。妙に甲高くて厭らしくて情けない声質なんですよ。ここまでユニークだと芸術的とすら言えますね(笑)。だからピーター・ストーメアに機械でミンチにされるシーンの「足」もそれがブシェーミのものだと想像するだけで、気持悪くなるよりも笑ってしまうというわけなんです。これはある意味、凄いと思う。そうそう言い忘れてましたが、北部特有の訛った英語も実に良い味出しています。特にメイシーの奥さんや、マクドーマンドの同僚の警官が強烈。彼らの字幕はズーズー弁にしてもいいかも(笑)。

『ファニーとアレクサンデル(TV版)』 イングマール・ベルイマン/1982年・スウェーデン=仏=独


『ファニーとアレクサンデル(劇場版)』 イングマール・ベルイマン/1982年・スウェーデン=仏=独

5時間版に比べると、さすがに物足りなさを感じてしまう。親権をめぐる激しい口論が延々と続くシーンのカットは、まあ時間的に仕方がないとしても、プロローグの後半部が抜け落ちているのはちょっと納得がいかない。あの日常から非日常になっていく濃密な時間と空間の演出、その魅力が編集によって半減してしまっている。とはいえ、作品の吸引力はいささかも変わりがなく、3時間があっという間だった。会話の面白さ、美術の素晴らしさ、俳優の巧さ、映像の力強さ、本当に贅沢な映画。

『ファミリー』 ジョン・アーマン/1983年・アメリカ


『ファンタジア』 ベン・シャープスティーン/サミュエル・アームスロトング/ジェームズ・アルガー/ビル・ロバーツ/ポール・サターフィールド/ハミルトン・ルスク/ジム・ハンドレー/フォード・ビーブ/T・ヒー/ノーマン・ファーガソン/ウィルフレッド・ジャクソン/1940年・アメリカ

クラシックとアニメーションを融合させたディズニーの古典的名作として知られる本作。全部で8つのエピソードがあるのですが、やはり面白かったのは有名な「魔法使いの弟子」でしたね。ミッキーマウスが魔法を使ってホウキに仕事をさせるというコミカルな1篇で、音楽とピッタリ息の合ったアニメキャラの動きが素晴らしかったです。勿論他のエピソードにもそれは言える事なのですが、全編で125分はちょっと(かなり?笑)長く感じられたかも。

『ファンタジア2000』 ヘンデル・ブトイ/ピショーテ・ハント/エリック・ゴールドバーグ/ジェームズ・アルガー/フランシス・グレイバス/ポール・ブリッツィ/ゲイトン・ブリッツィ/1999年・アメリカ

進行内容は「ファンタジア」と同じなんですが、エピソードは「魔法使いの弟子」を除いて全て新作になっています。ん〜個人的には本作の方が楽しめたかもしれませんね。各エピソードそれぞれがバラエティーに富んでいるので観ていて飽きが来ません。特にシンプルな線画の動きが優雅な「ラプソディ・イン・ブルー」、フラミンゴのコミカルなダンスが楽しい「動物の謝肉祭」、ドナルドダックとデイジーが登場する「ノアの箱舟」等が印象に残りました。ラストの「火の鳥」も実に美しい映像でしたね(テーマや描写がまんまプリンセス・モノノケなのはご愛嬌)。それと本作が気に入った理由として上映時間の短さも挙げられます。セリフがなく全編にクラシックが流れているので125分もある『ファンタジア』だとついつい眠気が(笑) その点、本作は74分なので丁度良いです。

『フィアレス 恐怖の向こう側』 ピーター・ウィアー/1993年・アメリカ

航空機墜落の際に、恐怖というものを超越してしまった男の奇行ともいえる様々な行動とその裏にある苦悩を描いた作品。まず最初に驚いたのは冒頭の墜落現場の映像。墜落後の生々しい感じがよく出ていて、とても人為的に作られたものには見えませんでした。主人公役のジェフ・ブリッジスが力の抜けた渋い演技をしていて、時折見せる穏やか笑顔が実に素晴らしかったです。あと印象的だったのは、同じ飛行機事故の被害者で、息子を失ったカーラ(ロージー・ペレス)という女性との一連の絡み。デパートで、死者へのプレゼントを買うところから、2人のダンスシーン、そしてカーラの痛々しい告白の後に起こるマックスの意外な行動。ここの部分は、まさに圧巻でこの映画最大の見せ場とも言えます。ロージー・ロペスの鬼気迫る演技が凄い(そう言えば彼女はジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』でも「ファック・ユー!」を連呼する不良少女役で強烈な個性を見せてたっけ)。個人的に期待していたイザベラ・ロッセリーニは最後にちょっと見せ場があるくらいでほとんどオマケ程度の扱いだったのが残念。それにしてもホントそっくりですね〜バーグマンに。

『フィツカラルド』 ヴェルナー・ヘルツォーク/1982年・西ドイツ

いやはや、おったまげましたねぇこの映画には。これほどクレイジーな作品も稀有でしょう。"ジャングルの中にオペラハウスを"っていう発想からして既にキテますが、そんなのはまだ序の口、通行不能な激流を前に船による山越えを決行するというとんでもないクライマックスにはマジで度肝を抜かれました。この大きな蒸気船(320d!)を陸路から反対側の河へと運ぶ一連のシークエンスはまさに一大スペクタクルで、45度くらいある傾斜を巨大な船がジリジリ登っていく・・・その様子を収めたフルショットは理屈抜きで凄いです。今なら間違いなくCGが使われるであろうこの場面を本物で撮ってしまうヘルツォーク監督は本物の狂人、いや強靭な精神力を持った映画人ですね。まあ内容云々よりも壮大な映像の冒険を楽しむという感じでした。それとプッツンオヤジ、フィッツジェラルドを演じるクラウス・キンスキーも強烈。まさにとり憑かれているかのような怪演。ただでさえ強面なのにお口半開きで目をむかれた日には恐くてとても正視できません(笑)。ジャングルの奥地で、白いスーツ着たオッサンが、嬉しそうに船が山を登ってく様を眺めている。この構図、まさに狂気です。このお方があの麗しきナスターシャ嬢の父親だとは未だに信じられない・・・(^^;

『フィッシャー・キング』 テリー・ギリアム/1991年・アメリカ


『FISHING WITH JOHN』 ジョン・ルーリー/1997年・アメリカ=日


『フィフス・エレメント』 リュック・べッソン/1997年・アメリカ=仏


『フィラデルフィア物語』 ジョージ・キューカー/1940年・アメリカ


『フィーリング・ミネソタ』 スティーブン・ベイグルマン/1996年・アメリカ

キャメディーを奪い合う兄弟の恐ろしくもオバカな悲喜劇です(笑)。豪華キャストで演出もキャメラもそつがないのに何故かBムービーぶり全開というのが泣けます(今となってはある意味贅沢なのかもしれないけど)。途中ちょっとビックリな展開になるのですがオチが見え見えなのもいただけません。キアヌー(ビミョ〜に太い^^;)がキャメディーと車と犬を強奪して逃走するところまでは面白かったんですけどねぇ。そこから後はひたすら失速していくだけ。。。「おっ、ロード・ムービーになるのかな♪」という淡い期待は見事なまでに裏切られたのでした。でもこの頃のキャメディーは良いですね〜。セクシーでキュート!ビッチ女優一歩手前のキワドイ感じが何とも魅力的です。最近はファニーフェイス女優の代表格みたいになっちゃってますが(笑)。そうそうビッチ女優と言えばコートニー・ラブ嬢のウェイトレス(ハマリ過ぎ!笑)がチョイ役ながら実に良い味出してます。正直彼女がもっと物語に絡んできて欲しかったですね。
『風林火山』 稲垣浩/1969年・日本


『フェイシズ』 ジョン・カサヴェテス/1968年・アメリカ

顔は口ほどにものを言う。延々と反復描写される取り留めのない会話と乱痴気騒ぎ、喜怒の感情ばかりが乱れ交う中、ふと本心が表面に浮き出てくる瞬間の表情。人間の複雑な意識の流れが、執拗に映し出される表情のアップショットによって生々しく知覚される。まさに表情のスペクタクル。こんな映画は観た事がない。有閑マダム4人が1人の青年に翻弄されるシークエンスには、ちょっと言葉では言い表せない吸引力、面白さがある。超アップや真下から仰ぎみるような視点など奔放なキャメラワークも良いし、後半には人の輪郭が背景に溶け込んでしまうくらいの強烈な照明、まるで「白の世界」とでも言うような大胆な映像にも魅せられる。しかし、まあ何と言っても圧巻なのは主演の4人の俳優だろう。呆れるほどに凄い。特にリン・カーリンは絶品で、最後は鳥肌が立った。

『フェイス/オフ』 ジョン・ウー/1997年・アメリカ


『Juego de Luna』 Monica Laguna/2001年・Spain

アナ・トレント主演のロマンス物。遂に三十路を越えてしまったアナがクールで女っぷりの良いギャンブラーを好演しています。酒をショットで一気飲み、煙草をガンガン吸いまくるアナの姿には、もはや『ミツバチのささやき』のいたいけな少女の面影は微塵もありません(^^; 父を目の前で殺されたトラウマを抱えつつ、二人の男の間で揺れ動き、愛する養父の借金のためにマフィアのボスにポーカー勝負を挑んでいく物語ですが、意外性に富んだストーリー展開というわけではなく、映像や演出面もこれと言った見所はありません。映画としては平凡な印象でした。

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』 ヴィム・ヴェンダース/1999年・ドイツ=米=仏=キューバ

本作で初めてキューバ音楽というものを聴いたのですが、エキゾチックなメロディーとシンプルで情熱的な歌詞が良いですね。ギタリストのコンパイ・セグント老(何と92歳!)やピアニストのルベーン・ゴンザレス老(81歳)を始めとするキューバの無形文化財とも言うべき音楽家のまさに貫禄というか余裕のある演奏からは音楽を心から楽しんでいる様がひしひしと伝わってきます。最も印象に残ったのはコンパイ・セグント老、彼はインタビューの中で「人生で大切なのは、女と花とロマンスだよ」とか「体に血が流れている限り、女性を愛し続ける」なんてカッコ良いことをサラっと言ってのける粋な人で、こんな素敵な老人になりたいものだとすっかり感心してしまいました。最後のカーネギー・ホールでの演奏は、一体感のある本当に素晴らしいパフォーマンスで、もぉ感動しまくりでしたねぇ。生の輝きを煌煌と放つキューバのジイサマたちに乾杯!

『フェリーニのアマルコルド』 フェデリコ・フェリーニ/1974年/イタリア=仏


『フォレスト・ガンプ 一期一会』 ロバート・ゼメキス/1994年・アメリカ


『復讐するは我にあり』 今村昌平/1979年・日本

緒方拳と小川真由美が絶品。この二人が絡むシーンはどれも見応えがある。外界と隔絶されたような狭くて薄暗い売春宿の造形も良い。目も心も吸い込まれてしまうような映像の濃密さはないけれど、陰惨で泥臭い物語とは相反するカラッとした雰囲気が一種独特の味わいを生んでいる。

『ふくろうの河』 ロベール・アンリコ/1962年・フランス

生と死の刹那に垣間見る希望という名の幻想を描いた短編。死の苦痛を和らげる為に脳から分泌された快楽物質が見せる儚い夢、などと言っては身も蓋もありませんが、短編の題材としてはとても面白いと思います。モノクロの美しい自然描写や、幸福感溢れる音楽が効果を上げています。

『不思議の世界絵図』 マルティン・シュリーク/1997年・スロバキア

放校された少女が母の元へ帰る旅路の中で様々な人達と出会い、風変わりな交流を交わしていく。いわゆるロードムービーらしさは希薄で、一つ一つの独立したエピソードによって構成されているのが特徴。エキセントリックでユーモラス、さりげなく堂々と現実ズレした世界には寓話的なものを感じさせるけれど、ただ単にヘンチクリンな人間ドラマと紙一重のようなところがあって、それが何とも不思議な魅力を醸し出している。地味に淡々とシュールな世界を描いていくマルティン・シュリーク。今回観てきた3作品、驚くような傑作でも衝撃的な作品でもなかったけれど、ひっそりと心に刻まれる上質の小品ばかりだった。湿り気を帯びたスロヴァキアの牧歌的な風景、その豊かな森、鳥のさえずり、風の描写と音、緩やかで大らかなリズム、とても心地良かったことは確かだ。

『ふたり』 大林宣彦/1991年・日本

思わず赤面しちゃうくらいベタで気恥ずかしい演出が多々出てくるけれど、物語の面白さで最後まで一気に観れてしまう。久石譲の音楽も耳に残る。それとやっぱり尾道!なんて映画映えする場所だろう。ふたりのヒロインも良いが、両親を演じる富司純子と岸部一徳が抜群に巧い。

『ふたりのトスカーナ』 アンドレア・フラッツィ/アントニオ・フラッツィ/2000年・イタリア

孤児である幼い姉妹に惜しみない愛情を注いでくれる叔父と叔母、愉快な友人たち、変わり者だが心優しいピアノ教師、大らかな小間使いたち。夏の陽光降り注ぐトスカーナでの夢のような日々。しかし国家による人種差別が、突然、容赦なく穏やかな日常を破壊していく。全く戦争って奴は!!

『舞踏会の手帖』 ジュリアン・デュヴィヴィエ/1937年・フランス

美化した想い出に浸る女性が過去の男達を訪ね歩き厳しい現実を目の当たりにするという本作。流麗なスローモーションとディゾルブによる舞踏会シーンが夢のような美しい時間を感じさせますが、それが現実とのギャップとなってより一層残酷さを増します。ヒロイン演じるマリー・ベルの素晴らしい美貌と存在感、次々と登場する男優陣もみな個性的で演技巧者揃いです(ルイ・ジューヴェが渋い!)。全体的な尺はやや長く感じたものの各エピソードどれもが味わい深く見事な人間ドラマになっているので気に入った部分だけを繰り返し観るという楽しみ方もアリだと思います。ちなみに最も印象に残ったのはアル中で眼帯の船医が登場するエピソード。救いようのない内容と画面が極端に傾いた表現主義的手法がインパクト大でした。

『プライベート・ライアン』 スティーブン・スピルバーグ/1998年・アメリカ


『ブラウン・バニー』 ヴィンセント・ギャロ/2003年・アメリカ=日

ん〜期待外れ。ストイックな映像と繊細な演技(人によっては正反対の表現になるであろう類の)、そして「物語のない物語」の語り口がすべてギャロ本人の自己満足で完結しているのがあからさまに感じられてしまうという時点でこの作品は言葉の真の意味でのプライベート・フィルムに過ぎないのだと思う。前作のラストはある意味痛快だったけれど、本作のラストには気の抜けた笑いが出るだけ。ただ、移動する車内から見えるハイウェイや街の風景には心を惹かれるものがあった。しかし昔のヴェンダースやジャームッシュと同じ資質があるのではなく、あくまでも表面的な映像センスに似たものを感じさせるだけという、このいかがわしさ、小物っぷりが如何にもギャロらしい(笑)。究極の俺様映画だけに、好きな人はとことん好きになるのかも。すぐに冷めるような気もするけれど。

『BROTHER』 北野武/2000年・日本=英

監督自身による『ソナチネ』のリメイク、そのハリウッド・バージョンと言ったところ。そのせいか暴力描写が派手で発砲シーンもかなり多め。他に指詰めシーンがやたら出てきたり、生首(『御法度』繋がり?笑)が出てきたり、挙句の果てにはハラキリまで見せちゃうサービスぶり。ここまでやると凄惨なんだかギャグなんだか分からなくなってくる。また、ハリウッド・システムの弊害か、北野印は薄〜く捺印されていて、いつもの演出や映像の妙味に乏しかったのが残念。それにしても武が演じるヤクザには相変わらず凄味がある。表情と佇まいが何とも言えない。それとチョイ役の渡哲也!メチャクチャ渋い。『ドールズ』に出てくる親分もこの方に演じて欲しかった。それと大竹まこと。念願の北野作品出演、でも演技はガッチガチ(笑)。

『ブラックボード 背負う人』 サミラ・マフマルバフ/2000年・イラン

戦争が生む社会的な悲劇を、ユーモアと諷刺をちりばめながら寓話的に描き出したオフビートなロードムービー。教育の道具としての黒板が、身を隠したり、病人を運ぶ戸板になったり、骨折の添え木や物干し代わりとして役立ってしまうことの皮肉。最後のヒネリが切なくて苦い余韻を残す。

『Blood the Last Vampire』 北久保弘之/2000年・日本


『ブラッドシンプル/ザ・スリラー』 ジョエル・コーエン/1985年・アメリカ


『プラトーン』 オリバー・ストーン/1986年・アメリカ


『フランケンシュタイン(31年版)』 ジェームズ・ホエール/1931年・アメリカ


『ブリキの太鼓』 フォルカー・シュレンドルフ/1979年・西ドイツ=仏=ポーランド=ユーゴスラビア

ノーベル文学賞受賞作家ギュンター・グラスの全3部からなる原作の1部と2部を映画化したもので、グラスは本作の台詞も担当しています。さてこの作品、とにかく全てにお<いて驚嘆すべきパワーを見せつけてくれるのですが、まず特筆すべきなのはその圧倒的な映像表現!中でも全編にわたって象徴的に映し出されるグロテスクな描写には思わず息を呑むような凄みがあります。母親の体内から出てくるオスカルを彼の視点から捉えた映像、標本が割れて中から胎児が出てくる場面、生きた蛙を茹でて小便を入れた特製スープ、馬の首を使ったウナギ漁(凄まじい!)、魚を貪り食う母親、この他にも人間の性欲に関する醜悪さ、戦争に見られる本質的な愚かさといったものが容赦なく描かれていきます。そして作品の核となるのがオスカルの持つブリキの太鼓です。オスカルは太鼓を叩く事と叫び声を上げる事で己の感情を表現します。ガラスを割るほどの力を持つ彼の奇声が大人に対する憎悪の念だとすれば、太鼓の無機質な響きは彼自身の寂しい心情、或いは大人への絶望を現してるようにも思えました。そしてそれはそのままナチスの台頭という暗い時代背景と重なってくるのです。彼が太鼓を新調する度に彼を取り巻く環境が変化していくのも実に巧みな演出で、この壮大な叙事詩の中における章の区切りとしての役割を果たしています。ところで私は劇中思わず膝を叩きたくなってしまうような素晴らしい場面に二箇所遭遇しました。1つ目はナチスの幹部がオスカルの住むポーランド・ダンツィヒに遊説にやってくる場面。集会場に潜り込んだオスカルが、幹部の到着に合わせて演奏されていた行進曲を太鼓によってワルツ(美しき青きドナウ)へと変えてしまいます。手を前に突き出すお馴染みのポーズを取りながら体を左右へ動かし始める群衆、そして遂には会場中がワルツを踊り出す・・・。映画ならではの大胆で興奮に満ちた演出、まさに鳥肌モノの鮮やかさ!そして2つ目は母親が教会へ懺悔しに行く場面。オスカルはマリアに抱かれた幼いキリストの像に太鼓を持たせてこう言い放ちます「さあ叩いて見ろ!どうした!叩けないのか?叩きたくないのか?万能なんだろ!」と。母親への仕打ちに対する神の無慈悲を呪ったのか?それとも混沌とした世界に対する神の無力を皮肉ったのか?オスカルの執拗な責め立てと鬼気迫る表情が印象的でした。このオスカル演じるダーヴィット・ベネントはもの凄い存在感を持った子役で、ギョロッとした特徴のある瞳が強烈です。また全編に流れる彼のナレーションも、可愛らしい声とドイツ語特有のアクセントとのギャップが不気味な作風と絶妙にマッチしていました。ところでここまで読んだ方はこの作品にかなり重苦しいものを感じられているのではないでしょうか?でも大丈夫。後半の重要なエピソードの一つにオスカルが小人のサーカス団と戦線へ慰問するというのがあるのですが、本作の中でもここだけは突出した明るさがあってホッと和めます。このように重厚さだけではなくユーモアさもちゃんと組み込んであるところが本作の持つ一種の娯楽性に繋がっているのだと思います。ただその一方で小人の団長に「我々は舞台に立っていなければ、大人達からその場を奪われ、やがて滅ぼされるだけなのだ」というナチズム、強いては国家による少数民族の支配に対しての痛烈な批判メッセージを語らせるのですが・・・。最後、オスカルは再び成長することを良しとします。彼が成長を止めたのは醜悪な大人になる事を拒否したからですが、その裏にはナチス台頭〜降伏に至る暗黒の時代がドイツ史の中で大きな停滞だったという象徴的な意味が隠されているのかもしれません。心の奥底にズシッとした何かを残してくれる見事な作品でした。

『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』 ハワード・ドイッチ/1986年・アメリカ

アメリカ青春映画の超定番、プロムもの。80年代の香りムンムン。物語はこれもまたお約束の三角関係。ヒロインに届かない想いを寄せる幼馴染みのダッキーが良い味を出している。最後のセリフには泣けた。ジェームズ・スペイダーが厭らしいボンボンを好演。視線のネットリした感じが絶妙。また、若き日のジーナ・ガーションも発見。独特の濃ゆ〜い顔立ちなのですぐに分かる(笑)。

『プリティ・リーグ』 ペニー・マーシャル/1992年・アメリカ


『不良少女モニカ』 イングマール・ベルイマン/1952年・スウェーデン

ベルイマン式容赦のない現実が描かれる青春映画ですが、そこへ至る前の甘い一時、大人への反抗から海辺の岩場(ロケーションの美しさ!)へ逃れた若い男女が過ごすひと夏の描写が素晴らしく魅力的です。淡い光線と微かな風、澄んだ海面と抜けるような空。夏の北欧の心地良さが画面から鮮やかに伝わってきます。前後のショットが混じり合うオーヴァーラップ手法が2人の甘美な時間を感じさせて見事ですね。そして何と言っても鮮烈だったのがモニカを演じるハリエット・アンデション、その肉体が放つ存在感はまさに圧倒的!(二の腕も逞しい〜)。彼女が岩場で上着をみんな脱ぎ捨てるシーンは後ろ姿しか見えないのに異常に興奮しました(笑)。後半の展開はヘヴィ過ぎて好きになれませんが、これがベルイマンのベルイマンたる所以なのでいた仕方ありませんね。北欧の夏はあまりにも魅惑的で短い。それを男女関係に重ね合わせて描いたところに本作の狙いがあるのかもしれません。とにかく映像美とハリエット・アンデション、この2点に尽きる作品でした。ちなみに原題は『モニカのいた夏』という意味なんだそうです。邦題の"不良少女"は確かにインパクトがありますが、やはり"夏"を強調してこその作品だと思うので、ちょっと納得がいきませんねぇ。

『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』 ルイス・ブニュエル /1972年・フランス


『ブルーベルベット』 デビッド・リンチ/1986年・アメリカ


『フルメタル・ジャケット』 スタンリー・キューブリック/1987年・アメリカ


『フル・モンティ』 ピーター・カッタネオ/1997年・イギリス


『プレイタイム』 ジャック・タチ/1967年・フランス

翻弄されるユロ氏と偽ユロ氏に翻弄される自分(笑)。後半のレストラン・シークエンスは何度観ても凄まじいです。シネスコ画面いっぱいに繰り広げられる同時多発小ネタギャグ。毎回新しい発見があります。サーカス的な世界と幸福感が街に溢れかえるラストの素晴らしさ。ウジェーヌ・ロマンが生み出した驚異的な美術も忘れてはならないでしょう。まさに愛すべき偉大なる失敗作ですね。

『ブレイド』 スティーブン・ノリントン/1998年・アメリカ


『ブレイド2』 ギレルモ・デル・トロ/2002年・アメリカ

対ザコのアクションがめちゃ爽快。事務的に、だが容赦無く処理していくブレイド。そのヤラレっぷりはさながらホネホネロック(笑)。二転三転するストーリーも面白い。ラストバトルがイマイチ盛り上がらないのは前作と一緒だった。武器描写が凝っていてゲーム感覚で楽しめる良質の娯楽映画。

『ブレイブハート』 メル・ギブソン/1995年・アメリカ


『プレタポルテ』 ロバート・アルトマン/1994年/アメリカ


『プレデター』 ジョン・マクティアナン/1987年・アメリカ


『ブレードランナー 最終版』 リドリー・スコット/1992年・アメリカ


『フレンチ・キス』 ローレンス・カスダン/1995年・アメリカ


『フレンジー』 アルフレッド・ヒッチコック/1972年・アメリカ=英

派手さはないけれど、見事に洗練されたヒッチコック・ワールド。これぞお手本!という演出やキャメラワークの宝庫だ。女性たちが無残に殺されていく恐ろしいストーリーでありながら、随所に愛嬌のあるユーモアと黒い笑いが散りばめられているところが如何にもヒッチコックらしい。ジャガイモ袋から飛び出す足、ベロ出し死体、警部の奥さんが作るゴチソウ(凄すぎ^^;)、ウィッティな台詞もワンサカ出てくる。殺人鬼を演じるバリー・フォスターの存在感が強烈。ごっつ悪そうな顔してる(笑)。

『フレンチ・カンカン』 ジャン・ルノワール/1955年・フランス

フランス映画でありながらハリウッド・ミュージカルのように華やかでダイナミックで活気に満ちた作品です。テクニカラーのこってり濃厚な色彩美、美術セットもゴージャスそのもので古き良き映画の香りがプンプン漂ってきますね。それとヒロイン・ニニを演じるフランソワーズ・アルヌールのキュートな存在感も最高でした。顔も体も小柄ですがダンスは迫力満点。表情(特に眉毛)がとても魅力的です。経営者ダングラール役のジャン・ギャバンも優しさと厳しさを兼ね備えた老紳士を渋く演じています。そして何と言っても素晴らしいのはクライマックスのカンカン踊り!これはもう本当に圧巻の一語に尽きますね〜。この群舞が見せる一体感とエネルギーは快感ですらあります。こんなにパワフルで幸福感に満ちた終り方をするフランス映画というのも稀有なんじゃないでしょうか。

『プロヴァンス物語 マルセルの夏』 イブ・ロベール/1990年・フランス


『プロヴァンス物語 マルセルのお城』 イブ・ロベール/1991年・フランス


『ブローニュの森の貴婦人たち』 ロベール・ブレッソン/1945年・フランス

室内の絵画的な構図と光の繊細な射し込みが美しい。ほぼミドルとロングのショットだけで人物を捉えながら、動きの少ない所作と表情で内面感情の微妙な機微を浮き彫りにしようとする奥ゆかしい演出がブレッソン特有の格調を生んでいる。メロドラマになりそうでならないところがクールだ。

『風櫃(フンクイ)の少年 』 侯孝賢/1983年・台湾


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