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小津詣で 〜古都・鎌倉を訪ねて〜

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監督・小津安二郎が愛した地・鎌倉。『晩春』や『麦秋』が撮影され、笠智衆や原節子が住み、監督自身も死ぬまでの約11年間を過ごした、言わば小津ファンにとって聖地ともいうべき場所です。生誕100周年の記念シンポジウム、そして12月12日の命日を前に、監督が眠る円覚寺へ「小津詣で」をするべく、古都・鎌倉を訪れてみることにしました。

[富士山]

平塚市の国道129号を走っていると、ちょっとした広さの田園地帯が道の両側に広がる。そこへ突如、クッキリ、その雄姿を現したのが富士。冬の澄んだ空気の中ではこんなにも鮮やかに見えるのか、と感動。チラチラ横目で見ている内に写真が撮りたくなったので、車が赤信号で停車中の際に素早くシャッターを押す。タイミングが悪く、建物の間から垣間見える富士になってしまったのが残念。それにしても見事だった。

[江ノ島海岸]

せっかくなのでちょっと江ノ島に立ち寄る。誘惑に負け、売店でさざえのツボ焼きと焼きとうもろこしを頬張った後、強風が吹き荒ぶなか、歩いて橋を渡り海岸へ。冬なのでさすがに人はまばらだったが、沖合いには無数のヨットが浮いていた。

[鶴岡八幡宮〜本宮〜]

應神天皇・比賣神・神功皇后をお祭りする当宮の中心となるご社殿。若宮(下宮)とともに国の重要文化財に指定されており、年間を通じて様々な祭事が奉仕されている・・・だそうです(笑)。側にある御神籤(オミクジ)所は大繁盛でした。

[鶴岡八幡宮〜舞殿〜]

静御前が義経を慕い、心を込めて舞ったところで、下拝殿とも言うそうです。奥に見えるのが本宮と大石段。『晩春』の中で杉村春子が"がま口"を拾う場所でもあります(笑)。

[鶴岡八幡宮〜舞殿〜]

しばらく舞殿を眺めていると脇の方から花嫁が・・・。なんと「神前結婚式」が今まさに始まらんとしているところだったのです。厳かな雰囲気のなか、雅楽の調べとともに花嫁、花婿、親族といった面々が列をなして舞殿へと上っていく。小津映画の中に出てくる花嫁に扮した女優たちの姿が脳裏をよぎる。興奮気味に儀式を見る若い外人のおにいさん二人組みが印象的でした。

[北鎌倉駅傍の踏切]

[円覚寺〜山門〜]

弘安5年(1282)、鎌倉幕府八代執権北条時宗が、文永・弘安の役(元寇)の戦死者を慰霊するため、宋から招いた無学祖元(むがくそげん)を開山として創建された臨済宗の寺。 鎌倉五山の第二位。とても寺とは思えない敷地の広大さには圧倒されます。

[円覚寺]

紅葉が綺麗でした。

[円覚寺]

[円覚寺]

[円覚寺〜小津安二郎の墓〜]

円覚寺の総門をくぐり、右手の薄暗く細い道を進むと、国宝の洪鐘(おおかね)の案内立札がある。そこから少し奥へ歩くと墓地の入り口が。上の方には小さなお堂が見える。上っていくと最上段の右奥に小津安二郎のお墓がある。"無"と刻まれたその墓石を目の前にして言葉にできない感覚が全身を貫き、体が熱くなる。お墓には花と何本もの酒瓶が置かれていた。しばらく合掌し、素晴らしい作品を残してくれた小津監督へ感謝の言葉を心中で呟いたあと、緊張しつつお墓に向いシャッターを切る。こうして初めての「小津詣で」は終わった。

[北鎌倉駅]

小津作品撮影当時の面影が今も色濃く残されていることを感じさせる何とも味のある佇まいです。

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