ギフチョウ研究No16より
キアゲハの蛹の「真の前胸気門」の観察
筆者は先に従来ギフチョウ属の「蛹の前胸気門」といわれていた、蛹の前胸部に大きく陥没している
「 窪み」( 図1) が、蛹の「前胸気門」ではなく「疑似前胸気門(FPSP)」(石井 2009a) であり、蛹殻表面
からは観察できない蛹の体内の前胸と中胸の境目の節間膜上の前胸側に「形態的に呼吸系の入り口
として機能している真の前胸気門( 図3:TPSP)が存在することを報告した(石井 2009a)。
その際、ギフチョウ属だけでなく、ナミアゲハPapilio xuthus 、キアゲハPapiliomachaon、
クロアゲハPapili protenor 等のアゲハチョウ科Papilio nidae の蛹にも真の前胸気門ならびに疑似前胸
気門ならびに真の前胸気門の入り口に無数に生えているフィルター(図3:FSPO)が存在することを報告
した。その後2011 年筆者は蛹化直後のキアゲハの蛹の観察から「形態的だけでなく、機能的に呼吸系の入り
口」として活動している「蛹の真の前胸気門」を観察し、写真並びに動画※1)として記録したので、その形
態や動きの特徴等を報告する。