全般
01 まずは自己紹介をお願いします。
レギオン。ベネツィア出身のヴァンパイアだ。派手だとか目立ちたがり屋だとかよく言われるが、自分でもその通りだと思う。人の注目を集めたり、周りをあっといわせるのは気持ちいいぞ。我は通す方だが、相手にも理があるのなら耳は傾けるし、自分に非があるのなら素直に認める。楽天的であまり思い悩む方ではなく、誰かと争っても終わってしまえば後はすっきりとわだかまりを残さないな。負の感情を引きずるのは好きじゃないんだ。後、ちょっと浮気性かな。私は別に普通だと思うんだが、それでよく殴られたりなじられたりするから、たぶんそうなんだろうさ。(肩をすくめる)
02 出演作の題名と、どのような物語かを軽くPRしてください。
『天使の血』駆け出しの若いヴァンパイアである私が、美しい声を持つ青年ミハイを獲物に選んで恋の罠をかけようとするんだが、ゲームのつもりが次第に本気になっていく。だが、所詮はヴァンパイアと人間のことであり、その恋は悲恋に終わる。ちょっと切ない恋の話さ。
03 今回が初めての出演作ですか?
いや、長編『愛死』の方にも出演している。これには、『天使の血』のプロローグとエピローグで描かれた18世紀の後半と同時期の私がまず出て来るんだ。だが、途中永生に絶望してドロップアウトしてしまい、もう自分でも口にするのも嫌なくらいに惨めな姿になって行方をくらましてしまう。それから随分ブランクがあったんだが、やっと奇跡の大復活を遂げたところだよ。
04 その中で、あなたはどんな役回りでしたか?
『天使の血』では主人公を演じた。だが、出だしがサンティーノの視点だったので、しばらく彼が主役と誤解されていたかもしれないね。(ちょっとジェラシー)
05 続編や番外編など、今後のご予定は?
前述した『愛死』に引き続き出る予定だ。やっと復活できたんだし、色々かき回してやりたいな。ふふ。
物語について
06 作中で、一番辛かったことは何ですか?
それは…やはりミハイの死かな。あまりにも突然で私は受け止める準備も何もできていなかった。彼を助ける力がありながら、私はいざという時に全くの役立たずだった。そんな自分を憎んだよ。
07 逆に、一番嬉しかったことは?
うん…ミハイが私を好きだと言ってくれたことかな。あの時は感動のあまり叫び出したいくらいだったよ。今まで人間を恋の罠にかけて落とす事を楽しんではいたけれど、そんな気持ちとは全く違った。それに私はミハイという人間そのものに深く惚れ込んでいたからね、彼が私などを愛してくれているということに、とにかくぐっときてしまったんだ。
08 あの時ああしておけばよかったのに、と後悔なさっていることはありますか?
そうだな…これは複雑な心情なので、人間には理解しにくいかもしれないが、私はミハイをやはり奪うべきだったと思う。実際にそうできたかは分からない…事実私はミハイの死に直面する前は何としても彼の血を飲むことを避けようとしていたんだからね。突然ミハイが死んでしまったことで、私は恋人を自分の手にかけずにすんだとも言える。だが、それによって、私は何だか自分がミハイから逃げ出したような気がしてならない。ミハイとの恋は私の手で終わらせるべきだった。血を飲むことでヴァンパイアは獲物の全てを取り込む。錯覚かもしれないが、血を飲む瞬間に相手と一体となる感覚を覚えるんだ。ミハイの血を飲めば、私は彼の心も記憶も自分のものとしただろう、彼が死んでもそれは私の中に刻まれる。獲物から奪うことに生きるため以外の意味など本当はないのかもしれない…それでもあえて言うなら、死んだ恋人の命を取り込んでその分まで強く生きることなのだと、私は思うんだ。だが、ミハイを本当に手にかけていたらいたで私は苦しんだろうし、ミハイにとってどちらが幸せなのかを考えると悩ましいね…どうすればよかったのか、答えなどずっと出ないのかもしないな。
09 大きな怪我や病気などはなさいましたか?
一族の刺客に襲われて胸を刺されたことはあったよ。あれは痛かった。
10 ……あの、まさかそれで、亡くなってたり……
はははっ。私は不死身なんだよ、死ぬものか。
11 この物語を経て、あなたが得たものはありますか?
獲物である人間に対する見方は変わったな。彼らは、中には愚かなものもいるが、尊敬に値する優れた魂の持ち主もいる。だから、私達ヴァンパイアも時には人間に心を奪われる。だが、人間はその命のはかなさで最後には私達を裏切るんだ。人間を愛しても、私はもう甘い夢は見ない。少なくとも恋の後始末は自分でつけようと心に決めた。ある意味、ヴァンパイアの真の残酷さを身に着けたとも言えるな。
12 あなたにとって、この物語を端的に表すなら?
大人になるための通過儀礼。
13 あなたが望んでいたことは、結局何だったのでしょうか。振り返ってのコメントをお願いします。
あれは結局少年が見た淡い夢に過ぎなかったが、私はミハイを幸せにしたかったよ。本当に彼と一緒に生きられたらどんなによかったろう。うんと長生きして、満ち足りた一生を終え幸福に死んでいくミハイを見送ってやるんだ。私はきっと彼を最後まで愛し守り抜いたと思うよ。ミハイには確かにそれだけの価値があったんだ。
14 あなたが作中で一番疑問に思っていることは何ですか?
サンティーノはどうして私に対してあんなに我慢強いのかな。私が彼の立場なら絶対見捨てるね、と思うんだが。
15 作者様に決め台詞を再現していただきました。……ご感想はいかがです?
「さて、どのようにするおつもりなのでしょう、猊下。私には、人間に対するような脅しは効きません。この世のいかなるものも、私を傷つけることはできないのです」第3章(2)
ほぉ…オルシーニに啖呵を切ったやつだな。不死者の驕慢さが出ているというか、だが今から冷静に見てみると、青いな。人間相手に別にそんなにひけらかすことではない、馬鹿な青二才のたわ言さ。
で、これが決め台詞なのかい?(不満)
登場人物について
16 作中の人物で、あなたが一番好きな人を教えてください。
ミハイ。彼は私が本気で愛した初めての相手だった。
ああ、サンティーノも違う意味でだが大好きだよ。愛には様々な形があるのさ。
17 逆に、出来ることなら出会いたくなかったと思うほどに嫌いな人はいますか?
オルシーニ。私に未来を読める力があったなら、出会った時に即行殺しているね。
後、ボルジアも何となく苦手…。
18 今後交流を深めたい相手は?
そうだな。サンティーノと言いたい所だが、別に彼は私が何もしなくても私のものだし私から離れていかないだろうから、今更取りわけ交流を深める必要もないんじゃないかな。
19 作中で、あなたが一番ひどい目に遭わされた相手は誰でしょう?
ミハイかな。あれだけ散々罵倒されまくったのは、生まれて初めてだった。よく殴られたし。それなのに怒るどころか必死になってすがって許しをこうたりして、もしかして私は実は自虐嗜好があるのではないかと疑ったくらいだよ。
20 生まれ変わるなら誰のように生きてみたいですか?
生まれ変わっても、やっぱり自分がいい。
21 作中では出会わなかった人物で、会ってみたかった人はいますか?
特にいないが…。私に出会う以前のミハイに会ってみたかったな。子供時代からミハイがどんなふうに生きてきたのか、彼の人生をずっと追ってみたかった。
22 サンティーノ様よりメッセージをお預かりしています。
「レギオン、僕の忍耐力が無限に続くとは思わないで欲しいな」
そ…そうなのか…?(びくびく)
場所について
23 一番いやな思い出が染み付いた場所はどこでしょう?
オルシーニの館。あそこでミハイが自刃したかと思うと、たまらなくなる。二度と行きたくない。
24 もう一度行ってみたい場所はありますか?
ミハイの死に打ちひしがれてローマの街をさ迷った末、登った丘の上の廃墟。あそこでサンティーノと一緒に眺めた夜明けが何とも印象的で…機会があれば、また訪れてみたいよ。少し気持ちが落ち着いてからね。
25 観光名所に認定して欲しい場所はありますか? また碑文はどのような感じで?
ミハイの墓。すごく寂しい場所なので不満。せめて『神に愛されし最高の歌い手ここに眠る』くらいの碑文があってもいいと思う。
もしもの話
26 もしもこの物語が「ハリウッド映画並のスプラッタなホラー小説」なら、あなたはどうなっていたでしょう?
んー、ホラーなら「13日の金曜日」のジェイソンみたいな役やってみたいな。アイスホッケーのマスクをかぶって斧を振り回して馬鹿なティーンエイジャーをばさばさ切り捨ててまわる。撃たれても刺されても車でひかれてもびくともしない冗談のような不死身っぷりで、何度でも墓場から甦り、ついには宇宙まで行ってしまうのさ。ブラボーだね。私もまだそこまでやったことはないからな。でも台詞がないのはつまらないか。1人で出演するのも寂しいから、サンティーノも仲間にしてやろう。我が愛する親友殿には、フレディ(『エルム街の悪夢』の主人公。ジェイソンと共演したことあり)の役を進呈するよ。あのだぶだぶした横縞セーター着せてやりたい、きっと似合うと思うんだ。あっはっはっ。(想像し、お腹を抱えて笑い転げる)
27 実はこの物語はこうなるかもしれなかったんです、とのコメントを作者様より頂いているのですが……
「もともとはあなたにミハイを殺させるつもりでした。」
ええーっ、何だかすごくショックだ。質問08であんなこと言ってるけど、やっぱりそれはそれで痛い終わり方だな。ラブラブ・ハッピーエンドの選択肢はなかったのかい、はぁ…。
28 もし次回作があるとして、ご希望がそのまま実現するとしたら、どんな物語を望まれますか?
別に何でもいいや。私がかっこよければ。それとハッピー・エンド希望。
まとめ
29 作中では色々とお疲れ様でした。これから、どうなさいますか?
そうだな。ミハイを亡くした時点の私で答えるなら、取りあえずは宮廷に身を落ち着けて真面目にヴァンパイアとしての修行に取り組むよ。本気で誰かに師事をすることも考えなければならないが、それならもう一度ブリジットにあたってみたいな。色恋は別にしても、どうせなら私が最高だと認める存在に教えをこいたいからね。
30 ありがとうございました。それでは最後の質問です。作者様にどうしてもぶつけたい一言。遠慮なく本心からどうぞ!
これは結局私の過去の暴露話だったのかな?
冷静になって読み返すと、えらくみっともなくて恥ずかしいんだが。最後までぐずぐず言ってるし、せめてもう少し格好のいい見せ場が欲しかったぞ。
尚、この質問はこちらからいただきました。