∴本田近経・・・・・・①定経━┓
┏━━━━━━━━━━━┛
┗②定寛━━┳③定尚
　　　　　　　　 ┗④定之━━━⑤定保───⑥重禮───⑦定庸━━━⑧定雄━┓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗⑨定綏━━┳⑩定价━━━━ギン　　　　┏⑫定方
　　　　　　　　 ┗━トキ　　　　　　　┝━━━╋⑬定年━━━⑭定壽
　　　　　　　　　　　　┝━━━━⑪定濟　　　┗━定堅　　　　　　　┝━━━⑮定弘
　　　　　　　　　　　郡司　　　　　　　　　　　　　　　　　┝━━┳━チカ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヒサ　　 ┗━遂━━━━⑯咊夫

　本田家は国立市谷保の旧家。遠祖は畠山重忠の郎党本田近経で上毛白井に居す。谷保本田家の初代は定経で、天正6年御館の乱に参戦して越後の鮫ヶ尾城で戦死したため、その子二代定寛は川越に移住して馬医・調馬を家業とした。四代定之の時幕府御厨方となり、寛永年間に下谷保へ移住。五代定保も馬方で広島藩に出仕。その後は次第に村医者兼名主として定着。江戸後期には下谷保村野五分の一を所有する地主となる。
　中興九代随庵定綏は漢方医であり名望家。十代昻齋定价は市河米庵に書を学び、のち歴代書家の家として周囲から目されるようになった。

本田昻齋（1795～1833）
　本田家第10代当主。江戸後期の漢詩人、名定价（さだすけ）、字介人。文雅に親しみ、市河米庵に入門、書家の家本田家の基を作った。大田南畝や谷文晁、菊池五山など江戸で活躍した著名な文人や、猿渡樅園、富澤禹留比という多摩地方の文人たちと交流。

本田覺庵（1814～1865）
　本田家11代、地主で村医者。貫井村新屋分家に生まれ本家の養子となる。土方歳三と遠縁で若き日の歳藏や近藤勇が書の門人であった。天保の改革で弾圧された後の寺門静軒や、安政の大獄で弾圧された後の小野湖山が滞在している。

本田退庵（1853～1923）
　本田家13代、書家。名定年。大槻如電、原田竹外らとともに日本初の書だけの展覧会を開催。また神田に書法専修義塾を開き松方正義らに教授するなど当時の書壇で活躍。

本田石庵（1879～1935）
　14代、名定壽、初世中村蘭台の高弟。書家としても揮毫依頼を受け、また近在の青年に書を教授した。

本田谷庵
　15代、名定弘（さだお）、篆刻家として山口瞳らと交流。

「登録文化財本田家住宅主屋・薬医門と本田家旧蔵資料」国立市教委