乾清花苑  太白廡  仮名扇

櫻井梅室 蝸牛

 

「かたつぶり角ふり分よ須磨明石」とこの句のさまをおもへば、鍬形打たる兜をさし母衣をおひて、波うち際に打出たる無官の太夫を、はるかに童書ける心地をくる 梅室 印: 引首:

蝸牛 あふぎ鳴くせば けりかへる

 仮名ものまで手を出すのもどうかと思っていたが、まくり一括の中に混じっていたもの。加賀の有名な俳人の書。平安仮名に通じるみやびな感じがよい。