我が玩具人生に一片の悔いなし!

アオシマ文化教材社 1/43 スバル・アルシオーネ

アオシマから突如発売された1/43スケールのスバル・アルシオーネ 4WD VR-TURBO。 これは1985年にスバルのフラッグシップとして発売されたスペシャリティーカーで強烈な個性を持った知る人ぞ知る迷車中の迷車、そのモデル化とあって迷わず購入しちゃいました。

実はこれ、かつて私の愛車だったクルマで初恋のクルマとでも言うか非常に思い入れがあり生涯忘れる事のないクルマです。 私のHNであるアルキュオネーもこのクルマの名が元になっています。


私が乗ってたやつです。

アルシオーネは1985年1月にまず北米でスバルXTクーペとして発表され、同年6月に日本でアルシオーネとしてデビューしました。 グレード構成は大きく分けて2WD(FF)のVSターボ(E−AX−4)と4WDのVRターボ(E−AX−7)の2種、当初はVSターボは5速MTのみで(後にATも発売)VRターボは5速MTと3速ATが選べATにはメーカーオプションとして非常に個性的なデジタルメーターを装着する事が可能でした。

スバルの売りでもある4WDはボタン1つで切り替えが可能なパートタイム式の4WDでATにはオート4WD(急加速時・ブレーキング時・降雨時に自動的に4WDに切り替わる)機能も備わっていました。 また、4WDモデルはエアサスペンションが装備されておりボタン1つで3cm車高を上げる事が可能で80km以上の速度になると自動的にノーマル車高に戻る機能も備えており雪道や悪路・ハイウェイと道を選ばない全天候型GTとして仕上がっていたと言えると思います。

1987年にはマイナーチェンジが施されATミッションは4速ATに変更、4WDはフルタイム4WDに改められ13インチだったホイールも14インチに拡大されました。 そして目玉は、何と言ってもスバル初の水平対向6気筒エンジンとなるER27型エンジンを載せた2700VX(E−AX−9)が追加された事でしょう。 これは既存の4気筒エンジンに2気筒足しただけの物でしたが、1800ccモデルはレオーネと共通のエンジンだったのに対しER27型エンジンはアルシオーネにしか搭載されておらずスバル初の3ナンバーという事もありスバルのフラッグシップとしての豪華さを感じさせる物でした。 85年から91年の約6年間で日本での販売台数は僅か7000台余りと販売が振るわずモデル末期は受注生産となってしまっていました。 当然中古車市場でも超レアなクルマとなってしまう訳で探すのに苦労させられたのを思い出します。

メカニズム的にも80年代らしく電子制御の塊で、最上級グレードのVXに至っては、電子制御のインジェクション・電子制御のエアサスペンション・電子制御の電動パワステ・電子制御のATミッション・電子制御のABSなどなど付けられる物は全て付けました的なまるでコンセプトカーの様な内容でした。

しかし、アルシオーネの最も特徴的なのはその奇抜なスタイリングでしょう。 クサビ形・ウェッジシェイプと呼ばれるスタイリングの見本の様な鋭く尖った直線的なデザインで、空力に徹底的にこだわりCD値(空気抵抗係数)0.29を国産量産車では初めて達成したクルマでした。 まあ実際達成出来たのは2WDのVSターボのみで、4WDモデルは若干車高が高くデフ等が邪魔になっていた様で0.29を達成出来ていませんでしたけどね^^;
そのこだわりは、リトラクタブルヘッドライトの低いフロントフード・コンシールドワイパー・フッラッシュサーフェス化されたウィンドウ(傾斜角は前後とも28°に設定、リアウィンドウは左右をラウンドさせている)・ボディからステーを介して取り付けられたスペースドアミラー・ボディとツライチになる様蓋の付けられたエアプレーンタイプドアハンドル・リアホイールハウス手前に取り付けられたサイドエアフラップ・整流効果を考慮したハイデッキ&ダックテールなど異常とも思えるこだわり方でした。 実際誰かを乗せる事になった場合、ドアノブに指を入れるスペースが無いので「どうやって開けるの?」ってよく聞かれました(笑)。

しか〜し!奇抜なのはエクステリアだけではないのがこのクルマ、インテリアもかなりぶっ飛んでいました。 エクステリアも含め恐らく基本コンセプトとして航空機の様なクルマを目指していた様なのですが、そのコラムには飛行機の操縦桿の様なコントロールウイングなる物が付いていてそこには無数のプッシュボタンが設置されていました。 ステアリングは左右非対称デザインでシフトレバーはガングリップタイプ、空調スイッチや一部のスイッチ達がサイドブレーキ周りに設置されているという特異な操作系統となっており、当然保守的な評論家達にはケチョンケチョンにこき下ろされていた訳ですが、使い慣れると姿勢を崩さずに操作出来るので逆に使い易くちょい乗り程度では判らないもんですよ(若干好意的な意見となってますが)。
デジタルメーターは3D表示の様なタコとブーストメーターがTVゲームみたいだとこちらもよく叩かれていましたが、基本アナログメーター仕様でデジパネはVRターボのATにメーカーオプションという特定のグレードのみのオプションを槍玉に上げるなんて・・・まあそういう装備がアルシオーネらしくて好きって人もアルシオーネファンには多いかも知れませんけどね。 私はアナログメーター仕様に乗ってたのでデジパネが羨ましかったなぁ(アナログメーターも6連メーターで意外とスポーティで悪くないですけどね)。


当時のカタログから


アオシマ文化教材社 DISM 1/43 シリーズ : スバル・アルシオーネ 4WD VR -TURBO


7140円(本体価格 6800円)結構なお値段・・・(汗)

1800ccのVRとVSは2トーンカラーで2700ccのVXはマイカ塗装が施されていました。 DISMシリーズでは1985年モデルのVR-TURBOをモデル化しておりリバティホワイト&ガルグレイ・ライトニングシルバーメタリック&フォーミュラーブラック・インペリアルレッドメタリック&リバティホワイトの3種がラインナップされています。 私はアルシオーネと言えばホワイトのイメージがあるのでリバティホワイト&ガルグレイをチョイスしてみました。 ボディ下部とはいえグレーが採用されているのって珍しいのではないでしょうか? やはり航空機をイメージしたカラーだったのかな?

パッケージ

大きさは75×170×70mm位で、箱から取り出すとクリアケースに入った状態で飾れる様になっていますが、パッケージ奥にはスペック等が表記され箱に入ったままでも充分鑑賞出来るパッケージとなっています。

スタイル

サイドビュー、直線基調のこのクルマを特徴付けるクサビ型のボディ。 写真で見ても個性的なクルマですが、写真だけではいまひとつ伝わらないかも知れません。 実物を目の当たりにすると結構インパクトのある「カタチ」をしています。
さてこのDISMシリーズのアルシオーネ、1/43と言う小スケールゆえに出来に関しては余り期待していなかったのですが、なかなかどうして精密に作られています。
全長は102か103mm位とかなり正確な縮尺で(実物は4450mm)、ボディサイドのステッカーも再現されておりサイドマーカーやトランク脇のリフレクターはクリアーパーツで再現しています。 残念なのはホイール径がほんのちょっと大きい事、実物は13インチなのですが15インチ位に見えてしまいちょっと違和感が・・・とは言えこの特徴的なホイールカバーを再現してくれたのはちょっと嬉しい。
トランク脇のリフレクターの横にALCYONEの文字が入るのは前期型の特徴の1つ、ドア横の文字はVS-TURBOの場合TURBOのみの表記となります。 VXではFLAT6の文字も入り6気筒をアピールしています。

ホイールカバーにはSUBARUの文字が入っているのですが、見えます? わずか2mm位のマスによく再現したものですな・・・。

フロントビュー、バンパーの上部が黒くなっているのが前期型の特徴、マイナーチェンジ後はボディ同色となっています。 この黒い部分からサイドマーカーに繋がりそのままボディのプレスラインにそってリアガーニッシュまで繋がって行きます。 この黒い部分がリアで言えばガーニッシュ部分にあたりフロントウインカーに当たる部分がリアではバックランプとなっていて、前後で統一感のあるデザインとなっていますね。
ボンネットのエアスクープはターボ冷却用なのでVR・VSのみ、NAのVXにはありません。 VXは専用の衝撃吸収バンパーとなりフォグランプが標準装備となっていますが、尖り度はVR・VSの方が上ですね^^ このミニカーはウインカーの色が若干薄いかな? 

リアビュー、一文字隼人なテールランプ。 クルマのケツを見てこれ程衝撃を受けた事は有りませんでした。 このケツを見てこれだ!っと思ってしまった程気に入っている一文字テール。 まあ実際は好き嫌いがハッキリしそうなデザインですね、人によっては大嫌いかも知れません。
ナンバープレート設置部分が黒いのが前期型で後期はボディ同色だったと思います。 ガーニッシュのSUBARUの文字はVR・VSは黒でVXはメッキのシルバーとなっています。
VXはバックランプがガーニッシュに組み込まれバンパーがよりスッキリしたデザインになっており、面構成にも違いが有る為結構印象が違います。 マフラーはデュアル出しですが、特にVXはタイコの前の方から取り回しているのでちょっと面白い形になっています。
リアワイパーはVSには付いていませんが、CD値0.29を達成する為かな?
DISMのアルシオーネはリアウインドーにちょっと歪みが・・・テールランプに沿ったストライプの右端が曲がってるしガルグレイにはみ出しも見られます。 個体差かな〜小さいので目立たないと言えば目立たないけど、購入時に確認出来るのなら良く見た方が良いかも。 リアウインドーのALCYONEの文字は無くても良かった気がしますが、オプションでこういうステッカー有ったのかな? バックランプもクリアーパーツで再現、マフラーカッターはメッキパーツとなっています。

内装

ウインドー越しなのでちょっと見辛いですが、シートにはちゃんとチェック柄が入っています。 後期型はチェック柄は廃止され内装色も変更になり、ヘッドレストの形状変更や操作系の変更も行われていました。 パワーウインドースイッチが横向きだった物が上向きに変更されハイビーム・ロービームの切り替えがボタン式から一般的なレバー式に、サイドブレーキ付け根付近に有ったエアコンボタン&内換気ボタン・リアワイパースイッチがオーディオの上側にと結構あちこち変更されています。 個人的にはアルシオーネらしさが満載の前期型に魅力を感じてしまいますけどね^^

インパネですが・・・見えます? 何とデジパネを再現してます! 細け〜! ルームミラーの鏡面も再現しバイザーやルームランプもモールドされています。 後にデジパネ装着車はサンルーフも装備出来る様になった様です。

コラム脇のコントロールウイングも勿論再現されています。 ボタンまでモールドされていますが本当に小さいんですよ^^
ワイパーは出過ぎですね、そもそも格納式のコンシールドワイパーなので窓枠にモールドが有るって程度でいいのに・・・存在感有り過ぎ。 このワイパーはウインターポジションにする事も可能で、格納せずに出しておいてワイパーを立てる事が出来るのですが、それでもこんなに出てませんよ。 この製品で一番不満の有る部分です。 ワイパーパーツで精密感を出したかったのかな〜?裏目に出ている感が有ります。
アルシオーネのワイパーは当初助手席側に停止する仕様でしたが、途中運転席側で停止する仕様に変更されています。 マイナーチェンジ前には変更になっていたと思いますがちょっと詳細は分かりません。 機能的には運転席側から拭いた方が良いかも知れませんが見た目的には助手席側に止まってる方がカッコイイかな?

このシングルワイパーはベンツ程ではありませんが、回転軸移動機構が備わっていてクネクネと動くその様は見ていて楽しい物でした(事故注意!笑)。 格納機構は実際はイマイチで、窓枠に引っ掛かったりストッパーにテンション掛かり過ぎたり・・・何の事?って思われるかも知れませんが乗ってた人は判ると思います(苦笑)。

リアウインドーのステッカーも再現、小さくて読めませんけど、何て書いて有ったんだろう?VXはFULLTIME 4WD-ABSとか書いて有りましたが・・・。
リアワイパーはブレードがアームの上になってますが、本当は下の筈です。 アームにブレードのピンを差し込むタイプで上側にも付くので間違いとは言い切れないのですが、やたらこだわって作られているだけに大した事では無いのですが逆に気になったり(笑)。 それとワイパー取り付け部分の接着剤のはみ出しがちょっと目に付くのでここはちょっとマイナスポイント。

何故今になって発売されたのか分からないのですが、ちょっと高価ですがスバリスト・アルシオーネファンには必須アイテム。 ちょっと気になる部分も有りますがなかなか良く出来てると思います。 実車の販売台数を超える事が出来るかな!?


アルシオーネ、いかがだったでしょうか? 乗り心地は普通の乗用車、パワーもそれなりと空力と個性的な内外装以外は際立った部分が無く売れ行きは低迷しスバルの失敗作的なレッテルを貼られてしまった感のあるこのクルマ。 しかしクルマ自体に問題が有った訳でもなくその個性がユーザーに受け入れられなかったに過ぎません。 このクルマを愛して止まない人にとっては唯一無二の傑作車なのではないかと思います。
当時は恐らく空力なんて何の意味が有るんだって思われていたかも知れませんが、アルシオーネ登場以降僅かながらCD値にも目を向けられる様になり、カタログ等でもCD値の文字を見かける様になりました。 アルシオーネの登場は現在の車の空力向上に大きく貢献しているのではないでしょうか?
現在注目を浴びているエコカーにとっては空力も重要なファクターとなっており、アルシオーネの存在には重要な意味が有ったと思わずにはいられません。

う〜むカッコイイ! ポンコツでも良いからも〜一回乗ってみたいと思う今日この頃。 庭に転がして置いてそのまま朽ちていくも良し・・・こいつを見とどけたいと思う様になってきました^^;




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