山帰来2
「‥こうなったら、兎に角、この朧車を出すことが先決だから、あっちの方を動かして貰える様に頼んでくるしかないね。」
慌てて立ち上がると御簾を押し、車から降りようとするリクオの前に鴉天狗が回り込んで飛んでくる。
「なりません。」
烏帽子を付けた黒い鴉が羽ばたきながら訴えた。
「まず、お立場を弁えてください。ここは本家。そして、リクオ様は総大将。まず一貸元の長が自ら朧車を降り、ここへ、まず挨拶に出向くべきです。そして、リクオ様は、その折に朧車を表門から退ける様言い渡すのです。」
鴉天狗に行く手をふさがれる形になったリクオは、再び屋形の板敷へ座りなおす羽目になった。
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「そうでなければ、他の貸元へ示しが付きません。」
「‥でも、そんなことをしていたら時間が掛かるし。それに、鴉天狗の話を聞いたところじゃ、あちらの古老は一筋縄ではいかなさそうだし。」
「だからこそ、大事なことなのです。リクオ様は、総大将として、他の貸元にも甘く見られる隙を作ってはなりません。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
リクオは膝の上の両拳を握り締めた。
根本的に表門の前に止めてしまうこと事態が普通ではないのに、自ら挨拶に来るとか、朧車を移動させるよう言いつけるとか、恐らく上手くいくはずが無い。それが、分かっていて、ここで待てというのだろうか。
‥そんなことをしている間にも‥鴆くんは‥?鴆くんの容態がどうなってしまうかわからないのに。
鴆一族の人たちは、その毒の体質ゆえ、いつどうなるか分からないことは、理屈では分かっていたつもりだった。何を今更といわれても仕方ない。
‥それにしても、どうしてボクは鴆くんに会いに行かなかったんだろう。薬鴆堂の表門のところまで、何度も出かけたのに、どうして門を潜らずに帰って来てしまったんだろう。僕がもし、あの門を潜って、離れの部屋を覗いていたのなら、鴆くんが倒れていることに、すぐ気が付いたはずなのに。
大体、こんなところで互いの面子を賭けて意地を張り合っている余裕なんて、どこにも無い。早く薬鴆堂に辿り着く方が先決だ。
「・・もう、いいよ!今は人間だから蛇妖怪には乗れない!鴉天狗!こうなったら、ボク、電車で行く!朧車を動かしてもらうより、電車か、どこかでタクシーを捕まえたほうが、絶対早いよ。」
「リクオ様!お立場を考えて勝手なことは・・。」
鴉天狗が懸命に少年を引きとめようとしたが、その制止を振り切って御簾を開いて飛び出していった。
踏み板を勢い良く飛び降りる音がして、敷石を駆けて行く足音が遠のいていく。
「お待ちください!リクオ様!なりません!」
表門へ向かって少年は走って行く。前方には確かに表門の手前に朧車が止められている。リクオはその傍らを駆け抜けるしかなかった。見れば漆塗りの箱型屋形の横腹には家紋が抜かれている。それは、薬師一派の代紋と非常に似ているが、二本の羽根が交差する紋様と、それを囲みこむ植物が縁を円く取り囲んでいた。
少年の足音に気が付いたのか、朧車の物見の窓が、ことりと開いた。深い皺に縁取られた白く濁った鶸色の瞳が覗く。
「‥其処に誰かおるのか。」
リクオが駆け抜けてこうとする音が、確かに朧車に近づいていた。
「‥そこにいるのは人間か、それとも妖か。」
さらに朧車の横を通り過ぎようとしたリクオを呼び止める。そのしわがれた低い声に、リクオは思わず立ち止まった。その様に表玄関を取り巻いていた本家の妖怪たちが凍りつく。
「‥あ、あの‥おじいさん。」
「‥坊主か。わしは、是非、奴良組三代目の総大将に、お会いしたいのだが、取り次いでくれんか。」
妖怪たちのざわつきが大きくなる。リクオは朧車の物見を見上げた。
「‥ごめんなさい。悪いけど、取次ぎは他の妖怪に頼んでください。実は、ボク、とても急いでいるんです。あと、悪いんですけど、ボクが帰ってくるまでには、表門から退いていてください。本家の朧車が出られなくて困っていますから。」
それだけ告げると、少年は再び走り出していた。後ろから我を忘れ、真っ青になって飛んで追いかけて来た鴉天狗を右手を伸ばして、ひょいと掴むと、そのまま自分の懐へ押し込んだ。
「‥ごめん、鴉天狗。やっぱり電車に乗るしかないから、暫く懐に大人しく入っていて。」
そして、リクオは何事の無かったかのように、表門の脇の潜り戸を引いて開け、身を屈めて小間使いの子供のように通り抜ける。
玄関前では、本家の妖怪たちが、顔を揃えて勢ぞろいした状態で蒼褪め、三代目の行動に固唾を呑んで見つめていた。もちろん、驚きのあまり声すら出ない。
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
物見の窓から顔の一部を見せているこの老翁は、奴良組、三代目総大将のことを、全くもって何も知らないのだ。‥人の血が流れていることも、昼は人の姿であることも。全く何も。何とリクオは、本家の、ただの小間使いだと思われていた。
****
薬鴆堂は静まり返っていた。表門を潜っても誰一人として出てくる気配は無かった。三代目である自分が訪れるときは、必ず玄関の取次ぎに妖か番頭が現れるのに、今日は玄関へ辿り着いても誰も出てこない。リクオは懐から鴉天狗を出してやるが、駆けずり回った少年の所為で、すっかり目を回してしまっていた。仕方なく、陽が差し込んでいる上がり框の片隅に、そっと横たえてやる。やはり誰も現れない。つまり薬鴆堂は、今、誰も出てこられる状態ではないということだった。帳場で何時も鴆に小言を言いながら、電話番をしている蛙妖怪が、今、本家で懐に鴆の直筆の意見書を入れたまま、姿勢を正し、部屋で畏まっている姿が思い浮かぶ。
リクオは、急いで草履を脱ぎ捨てると上がり框を乱暴に踏む。すると、玄関の間の衝立の向こうの廊下を土瓶を手に弟子らしき妖が小走りで奥の部屋に向かっていくのが見えた。
「鴆くんは、どうなっているの!」
その声に妖が振り返った。鴆と同じ萌黄色の瞳を持っている。
「これは三代目!」
土瓶を置いて、その場でリクオに平伏した。
「‥申し訳ありません!弟子の私どもがおりながら、頭領が倒れているのも気が付かず、このようなことに‥。離れへは三代目リクオ様が、しばしば足を運んでおられると番頭から聞き及んでおりましたので、つい目が行き届いておりませんでした。」
「そんな‥。ボクも最近来ていなかったものだから。」
「鴆様より、離れへは三代目が訪れるので、絶対邪魔しない様きつく申し付かっておりましたものですから、うっかり・・。」
‥門弟たちのせいじゃない。離れへ誰にも来てもらいたくなかったのは自分も同じなのだから。
「鴆くんは、奥の座敷に臥せっているの?」
「はい。」
叩頭したままで妖が答える。来客用の座敷に病人の鴆の臥所が移されているのは、万が一、亡くなった時に奴良組幹部たちの弔問に備えるために違いなかった。
「‥鴆くん、そんなに悪いの。」
「取り敢えずは、なんとかなっていますが‥今後どうなるかは、何とも‥。」
「ボクは会えるかな。」
「是非、お会いください。今は眠っていられますが。」
****
リクオが案内されて部屋に入ると、鴆を診ていたらしい年長の妖がリクオに気付き、後ろへいざって退いた。紅色の紋様のある胸が露わになっている。肌の色は緑味を帯び、明らかに血色も悪い上に、以前会った時より痩せて見える。
「‥鴆くん、以前より痩せたよね。」
「‥左様でございますか。私どもは、頭領自身を診る事は普段はありませんので。」
弟子たちは気が付いていないらしいが、確かに痩せてしまっている。この一月、一体何があったのだろう。今まで、こんなに急に痩せた事はなかった。リクオの訪問に弟子が鴆の夜間着の衿袷を整えようと手を伸ばした。
「‥ボクがするからいいよ。鴆くんはボクは唯一の義兄弟だから。」
リクオは弟子らしき男の手より早く、鴆の夜間着に手を掛けた。左右の衿を引き寄せて整える。
‥触れれば分かる。鴆は確かに痩せてしまっている。その上体温も低くなってしまっているようだ。‥それに、何故、此れほどまでに肌の色が悪いのか。
「‥頭首は急に鴆毒が回ったようでございます。」
「‥急に?」
回りの門弟たちが無言で頷いた。それにしても、いつの間にか、門弟たちが薬鴆堂へ入っていたとは知らなかった。弟子を抱えたくない、と以前言っていたはずなのに。
「三代目、ご存じなかったかもしれませんが、私どもは、最期は、このように鴆毒が体中に回り、生涯を終えるのでございます。」
「‥でも、鴆くんは、まだ、そこまで悪くはなかった筈だよね・・。」
「確かに。」
すると、門弟たちの後ろから、遠慮がちに小さな鳴き声らしきものが聞こえた。見れば、弟子達の陰になっていて気が付かなかったが、いつも鴆の傍に居る付喪神で、一応構成組員でも或る竹壺と薬壺が懸命に手足を動かし、手振り身振りで何かを伝えようとしていた。発音が殆ど叶わないため、枕元の盆の上の土瓶を指差し、湯飲みを指差し、唐机の上の小さな薬箪笥を指差している。首を縦に振ったり、横に振ったりして、懸命に何かを伝えようとしていた。
その不思議な仕草に弟子たちは首を傾げるばかりで、理解はできないらしい。だが、リクオは突然何かを思い出したかのように、立ち上がると、部屋の片隅に置かれている唐机の上の小箪笥に歩み寄る。そして、その小さな抽斗の取っ手を引いた。
「‥ここに確か鴆くんは、自分の使う薬を入れていたような気がするんだけど。」
それを聞いた竹壺が大きく頷き、隣の薬壺がくるくると嬉しそうに回転した。
リクオが抽斗の中を覗き込む。中には鴆が調合したであろう方剤の薬が小分けにされ、鳥の子和紙に包まれた状態で入っている。
「‥これが、どうかしたの?竹壺くんたち。沢山、薬が入っているだけだよ。前、来たとき、鴆くんが調合していたのを覚えている。一月前くらいだけど。」
竹壺たちが、再び大きく頷いた。
「鴆くんって、意外に几帳面でさ、包んだ紙に飲む日付を‥。」
そう言い掛けて、リクオが再び抽斗を覗き込んだ。夫々の包みをじっと眺めれば、端に小筆で書かれた日付が見える。
「‥これ、もしかして、鴆くん、この煎じ薬を‥全然使っていないよね。多分、ここ一月ほどは。」
傍らの竹壺、薬壺、さらに何処から現れたのか神出鬼没の大巾着までもが大きく頷いている。
「‥あの印度か泰渡りとか言う訳のわからん薬でしょうか。鴆さま、ご自身で試しておられたとか言う‥。」
弟子の声が聞こえた。
「ボクは、よく分からないけど、おじいちゃん‥祖父が見つけてきた珍しい毒消しの生薬があって、それを鴆くんが手に入れるようにして貰っていたんだ。ここにある薬は、その薬を調合して作ったものだと思う。」
「‥三代目、実は、その薬方、鴆一派の本草書には元々ございません。その泰渡りの生薬そのものが本草に組み込まれておりませんので、頭領が編み出したとはいえ、私どもには未知の方剤でございます。」
周りの弟子たちが、リクオの方を向いた。
「‥‥そうだったんだ。鴆くん、ボクにはそういう話は、殆どしないから。」
「それにしても、何故、鴆くんは飲まなかったの?」
竹壺たちは、申し訳なさそうにただ首を振るばかりだった。
「‥しかし、あの慎重な鴆さまが、いくら秘薬とはいえ、どうして我等が本草にない生薬に手を出されたのか。」
弟子の一人が重苦しい声を出した。
「経験の無い生薬は、まず、書物を探し出してから、使うもの。それを安易に使い始めたとは、頭領らしくない。」
「対応する本草書も要略も手に入れずに服されるとは‥。だから、このようなことに‥。」
「‥恐らく、急に止めてはいけない類の薬であったのかもしれません。服されているときは、大変具合がよろしいようでしたが、やめて一月もたたないうちに急激に証が厥陰へ転変するとは。」
門弟たちは、口々に疑問を口にし、ただ首を捻るばかりだった。
‥それは、きっと自分の所為なのかもしれないとリクオは思った。
未知の薬であったとしても、どうしても鴆毒を消し去りたかったのは‥。
「‥悪いけど、皆には少し下がってもらってもいいかな。ちょっとの間、二人っきりになりたいんだ。」
リクオの言葉に門弟たちが顔を見合わせた。かんばしくない容態の頭首から離れるのは抵抗があるらしい。
「‥少しの時間でしたら、構いません。‥もし何かありましたら、直ぐにお呼びください。」
門弟たちは、リクオと鴆を残して部屋を辞し、下がっていった。庭に面した眺めの良い客人を迎える役目を持つ部屋が、ひっそりと静まり返る。
その時、庭のどこかでひよどりが、一際甲高い鳴き声を上げた。それが山に位置する薬鴆堂の裏山に響き渡る。師走の明るい冬晴れの真昼。
‥だが、此処にいるのは瀕死の鳥妖と自分だけだった。‥どうしてこんなことになってしまったのだろうか。此処暫く、随分と鴆の体調が良く、安心しきっていた。祖父の力で珍しい生薬を手に入れることも出来、もしかしたら、鴆毒を押さえ切れるかもしれないと過信していた。‥いや、慢心していたのだ。
リクオは手を伸ばし、そっと男の頬に触れる。いつもの匂い立つような温もりが感じられない。土気色の顔が病人であることを窺わせた。‥いや違う、以前から鴆は病人だったのだ。
‥ああ、どうして自分は此処へ来なかったのだろう。どうして、連絡すらもしなかったのだろう。会いたくなくとも奴良組三代目としての型通りの事務連絡を取ってさえ居れば、誰かが、この離れを訪れていたはずだった。
「‥鴆くん。」
少年が、消え入りそうな声で呼びかける。すると、驚いたことに少年の囁きに目の前の男が、薄っすらと瞼を持ち上げた。意識は混濁している筈なのに、せめてのよすがに少年の呼びかけに答えたいのかもしれない。微かに瞼が重たげに上がり、萌黄色の瞳が半眼開きで覗く。そして薄い唇が動いた。
「‥リ‥クオ。」
驚いた少年が男の顔を覗きこむ。
「‥‥何度‥も呼ぶんじゃ‥ねぇ。さっき‥オレを呼び止め‥。」
掠れて弱く、殆ど聞き取れないような声だった。リクオだから聞き取れたのかもしれない。
「‥何?鴆くん。」
少年が問うが、男は何も聞こえていないようだった。
「‥用無し‥身になっ‥飛ん‥こうと思った‥によ‥。」
‥この男は、一体何の話をしているのだろう。自分は、たった今、此処へ着いたばかりだというのに。
すると男は酷く眠いらしく、再び重たげな瞼を閉じた。萌黄色の瞳が薄い瞼の下に消える。そして、再び二人だけの部屋に静寂が訪れた。
ボクはどうすればいい?
誰かを呼んだほうがいい?
それとも、静かに此処にいて、鴆くんを見守ってればいい?
‥一体、どうすればいい?
いざとなれば自分は何の役にも立たない。大所帯の組を束ねて背負っていても、夜の姿の抜きん出た妖力で剛刀を振り回し妖怪たち打ち倒すことが出来ても、ここでは何の役にも立たなかった。
生死の境目に居る者を、ただ眺めているしかすべがない。
昔、敬愛して止まなかった父が、目の前で無残に殺される姿を、ただ見ているしか方法がなかったように。
最愛の夫を亡くした母の深い嘆きと悲しみを知りながら、打つ手を持たなかった幼い頃のように。
****
眼下には暗い湿った灰色の雲海が続いていた。厚く垂れ込めた雲海の中には白い稲光が時折見えている。己は斜め後方を飛ぶ鳥を見る。そして、背後を振り返る。
そろそろ皆の体力が限界まで近づいていた。今、羽根を休める陸地を探さないと、この群れは海を渡りきる前に確実に全滅する。しかし、真下は、明らかに荒天だった。一旦、鈍色の雲の下へ舞い降りれば、荒れ狂う気流に飲み込まれる。いずれ体力の限界の来たものから、真っ暗な海へと落ちていくことだろう。明らかに全員が無事渡りきれるとは思えなかった。恐らく、数割しか陸地へは辿り着けないだろう。この残酷な事実に気が付いているのは、果たして、どの位いるのか。
迫害され虐げられ、錬鉄の檻に押し込められ、耐え忍びしかなかった日々。その一族が海の上を飛んでいることさえ、奇跡だというのに。あまつさえ甘い希望を持つとは‥己も救いようの無い愚か者と来ている。
けれど、愛しい者は、その骸さえ連れてくることさえ出来なかった。せめてと思って拾った極彩色に光る形見の羽根を入れた小さな金属の首飾りが風に煽られカラカラと首元で鳴っている。
愛しい者が、どうして自分の目の前で辱められているのか、理解できなかった。無言で屈辱に耐えているのに、薄汚い人間の男たちが取り囲み、次は自分の番だから早くしろと急き立てている姿が見える。コイツは淫乱だと面白がって笑っている。男たちに順番に弄ばれ、凌辱され、‥そして、−骨の砕ける鈍い音。内臓の潰れる水音。その音がまだ耳元に響いていた。止まらぬ血で足元がぬるみ、生臭い匂いが鼻を付く。あの甘美な香りを漂わせていた愛しい鳥は、正視出来ぬ無残な骸と化していた。その刹那、頭の奥でに白光が閃いて、突然、忌まわしい光景が遮断された。‥もう必要の無い記憶。
‥帰ることは無い。少なくとも己が生きているうちは。
追跡者を逃れ、大陸を飛び立ったものの、もたもた飛んでいては、すぐまた追手に追いつかれてしまう。次の機会は在り得ない。確実に皆殺しに会う。天候が回復するのを待つ余裕は無い。
その時、天が割れんばかりの雷鳴が轟いた。
己は意を決する。‥降りよう。降りて陸地を探そう。このまま力尽きて全滅し海の藻屑と化すよりはいい。『頭』となる者は、『感情』を持つべきではない。‥いや、既に感情など捨ててきた。感情など在るだけ邪魔となるものだ。冷静に状況を判断し、群れが生き残る道を選ぶべきなのだ。
己は尾羽を斜めに下げて保ち、首を伸ばす。すると腹に受ける風圧が強くなった。重心を内方へ移しながら、硬い外側の風切羽根を広げつつ反らせる。すると緩やかに、身体が旋回し始めた。そして、己を先頭に群れが暗い雲の海へと降りて行くのだった。
あとがき
独自路線ですみません‥。いつも反省だけはしてます。でも続けられそうなら、続きます‥。全然、終わんないよ〜 (-o-)
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