[チタンシャフト製作日記]

 と言う訳で、注文していたチタン合金丸棒が届いたので、チタンシャフト製作日記を書いてみる事にしました。 今までこの手の日記(FCR取り付けとか、ハリスキャリパー取り付け、ヨシムラカム取り付け等…)はパソコン通信(NIFTY FKEN)にアップしていたのですが、写真が使えない為に文章表現に苦慮する事が多々ありました。 その点、HPなら写真が自由に使えるので、とても楽ですね。

 とはいえ、休日が晴れてれば走りに行く事を優先しちまうんで、ヘタをするとアクスル一本を仕上げるのに数カ月掛かるかもしれません…(^^;;;  ま、この休みは天候が悪いみたいなので、何とかFアクスルだけは造りたいものの、一昨日、プレステのソフトを3本(ボトムズ、パラッパ、MYST)買っ てしまったもんで、ちょっと無理かも…???


 1998/07/19

 やっと手に入ったチタン合金(6AL4V)丸棒。 φ30×1000が3万で、φ20×500が1.1万と聞けば高い様に思うかもしれないが、チタンボルトを買った事のある人なら馬鹿みたいに安いと思う筈!

 今日は宿直明けで疲れてるもんで作業は明日以降に廻す事とし、取り敢えず採寸だけしておこうとFアクスルを外してみて、コイツが中空だった事に初 めて気が付いた…(^^;;;ナニヲイマサラ コイツの重量が460gだったので、チタンの方はせめて400g以下にしたい所だけど、この手の長尺物の中 ぐり加工って素人には滅茶難しいんだよね…

 でもムクのままじゃ400g以下なんて無理な話だし、かといって無理に軽くして走行中に折れでもしたら洒落にならんし、どの辺りで妥協するかが思案のしどころだな〜…


 1998/07/20

 朝もはよから張り切って作業に掛かったものの、昼過ぎまで掛けた作業の結果がコレだけ… ってつまりはφ30×1000の棒材からFアクスル用に28cmの長さを切り出すだけに3時間以上も掛かった訳だな… ううむ、チタン恐るべし!

 正直、チタンがこうも強い金属だとは知らなかった。 以前、チタンボルトを削った時には割と間単に削れたもんで、せいぜい鉄と同程度だと思ってた んだがなんのなんの、これじゃステンとイイ勝負かもしんない。 なんせ金鋸じゃ殆ど歯が立たなくて、止むなくグラインダーに切り換えたんだが、それでも仲 々で削れない。

 なんとか写真の状態まで削り込んだんだが、この状態で全体重を掛けてもマダ折れない! 飛び上がって思いっ糞両足で蹴って、やっとこさ折れてくれた。(とても金属とは思えない陶器の様な白い破断面が印象的。)

 次に切り出す時は、全長が短くなった分だけ更に折れ難くなるので、何か別の切断方法(高速カッター or カッティングホイール?)を考えんと作業効率が悪過ぎるな… マジでヘトヘト…(;_;)

 反面、コイツをアクスルシャフトに使用する事への不安がカナリ薄らいだ。 こんだけ強けりゃ滅多な事では折れんわな。 でも、手持ちのバイト(HISしか持ってない)でキチンと削れるんかいな…?(^^;;;フアンダ

***** 昼飯休憩でござる! *****

 で、午後からいよいよ旋盤で削り出したんだが、やはりチタンは強かった… 削り込みの深さは一回に付き0.1mm程度が無難な所でほぼステン並み。 たったこれだけの深さでも、少し送り量が多過ぎるとたちまちバイトの刃先が摩耗してしまって何回も研ぎ直す羽目になった。

 切削油代わりのCRCを吹きつけながら、0.5mm程バイトを送っては2〜3秒休んで刃先の温度を下げてやる事を繰り返していると、全長の半分(約14cm)進むのに20分近く掛かる。 しかも、それで削れるのは僅か(直径で)0.2mm…(^^;;;

 今日中にFアクスルを造るのは無理としても、せめて全体をφ28にまでは削りたかったんだが、甘い甘い… 結局、19時まで掛かって、写真の右半分がφ30.25→φ28.85になっただけだった…(;_;)サキハナガイ

 やはり素人がチタンアクスルを造ろうなんて、無謀な思い付きだったのか? この調子だと、全ての週末を製作に当てても、完成までに数カ月は掛かる ぞ… で、やっとこさできたと思ったらノーマルより重かったりして…(^^;;;(特に中空のFアクスルはそうなる可能性が高い。)

 という訳で、チタンシャフト製作は諦め〜… はしないが、かなり長引きそうである。ヤレヤレ


 1998/07/26

 幸か不幸か今日も天気が悪いので、朝からチタン削りに没頭… で、今日は思い切って旋盤の回転速度を最低の150rpm(前回は300rpm)に 下げてみた所、これが大正解で約4倍近い速度で削れる様になりバイトの燃損も格段に減った。\(^_^)/(って後で旋盤作業の本を読み直してみたら、 『ステン等の難削材を削る時の回転数は、軟鉄の半分程度にする事。』ってキチンと書いてあったわ… ここしばらく旋盤を触ってなかったもんで綺麗に忘れ とった…)

 で作業はサクサク進み(でもないか?(^^;;;)、今日はココまで進みました。(くびれができて、なんとなくそれっぽい形になってきたでしょ?)


 1998/07/31〜08/02

 今回は更なる切削速度のアップを目指して、バイトの刃先にマイクロロン処理を施してみた所、削り込みの深さが1mm以上まで行ける様になるわ、そ の癖に刃先は全く撚損しないわで、ちょっとビックリ! いや〜、マイクロロンって本当に効くんですね…(^^;;;ナニヲイマサラ

 で、7/31(金)は宿直明けだったので、午後から約4時間。 8/1(土)は午前中はGSX−Rを転がして午後から約6時間。 そして8/2(日)は朝からの約9時間に及ぶ作業の結果、何とかココまで来ました…(;_;)ナガカッタ

 これで旋盤作業はおしまい。 後はフライス作業で左の太い方の端にスパナを引っ掛ける部分を造れば良いんだが、正直言って六角形に削るのは面倒臭いので、長方形に削ってモンキースパナで締め付ける様にするつもり。<手抜きである…

 気になっていた重量は、このムクの状態でなんと460g!(偶然とはいえ、ノーマルと全く同じ重量になってしまった。) ドリル等を使って可能な限り中ぐりを行えば、何とか目標とする400gは達成できそうです。


 1998/08/08〜08/09

 8日(土)は前日の仕事疲れの為、5時間。 9日(日)は墓参りの為、3時間の合計8時間しか作業できず、こんだけしか進まんかった。

 写真上の六角形が歪んでいる様に見えるのは、多分気の性です。(^^;;;<こらこら(一応22mmのソケットが使えるんで締める事には問題ありません。 ま、三角定規を当てながら適当に削りゃこんなもんですな…(;_;)ミットモネ~)

 この状態で重量は、448g! シャフト先端部の中ぐりはマダ途中で、深さは5cm程しかしていないし、六角頭の内側はカナリ大きく削る事ができそう。 その他、どの辺りを削ってやろうか現在ウキウキ思案中。

 12日(水)〜15日(土)の盆休み中には、なんとか完成するでしょう。


 1998/08/11〜08/12

 大体の形はでき上がったので、後は肉抜きに専念!! 強度的に削れる部分は手間を惜しまず削った結果、こんなんになりました…(^^;;;

 六角頭はボックスが使えるギリギリの薄さで、その内側も力の掛からない部分は思い切って削ってあります。 ベアリングカラーを押さえつける部分も応力集中が起きない様テーパーに削り込みました。

 この状態での重量は、一次目標達成の、385g!!\(^_^)/ヤッタネ!

 後、最終的な肉抜きとして、シャフト中心をφ6.5のドリルで貫通したいんですが、固くてこれだけ長さがある物に貫通穴を空けるのは非常に難しく て、下手をすると途中でドリル刃が折れて元も子も無くなるので、無理をしない程度の深さに止めるつもりです。 それが上手く行けば、ノーマルマイナス 100gの360gが達成できるかも?


 1998/08/13

 やっぱ貫通穴を空けるのは難しいね〜…(;_;) 旋盤なら極低回転の150rpmが使えるのでチタンの穴空けも何とかできるんだが、残念な事に 手持ちの旋盤はミニ旋盤と呼ばれる心間360mmの代物なんで、28cmのシャフトを咥えさせると余裕が無くなってしまって、ロングシャンクのドリル刃は 使えないし、ある程度深くなってくると刃先よりも軸部分の摩擦が大きくなってきてモーターのトルクが負け出す。

 で、ハンドドリルにロングシャンク刃を付けて挑戦してみたんだが、ハンドドリルの1200rpmではチタンには速過ぎて、一瞬で刃先が燃損しちまってパ〜… 勿論、ボール盤もダメ…

 それでもやりたけりゃ、ブローチ盤のある町工場に頼むしかないんだけど、こんなシャフトに貫通穴を空ける仕事は、密造銃の銃身に流用される恐れがあるんで、余程のコネでも無いと引き受けて貰えないんだよね…(;_;)

 という次第で貫通穴は諦めまして、最終的な重量は、380gとなりました。 材料費が約1万円、作業時間が約65時間。 時給1千円として合計75000円掛けて80gの軽量化か〜…(^^;;; ま、アホとしか思えん様な結果やけど、滅茶楽しかった。

 ま、リヤアクスルを造る時には、(ノウハウができた分)もっと短時間で仕上がるだろうし、200g以上は軽量化できる筈さ。(でも、しばらくの間は旋盤の顔は見たくないぞ…(^^;;;ッテドコガカオヤネン?)

 装着してみるとこんな感じでノーマルと余り変わりませんが、注意深く見ると軽量化の為にギリギリまで寸法を詰めてあるのが分ると思います。


 1998/08/14

 朝一で試乗に出掛け、無事に帰着。 今日も暑いのでそのままRシャフト製作に移行する。(旋盤作業は力がいらないので、整備なんかと比べると格段に涼しい…)

 いよいよ新兵器登場! でも、φ30mmのチタン棒ともなると、コイツを使っても切断に50分近く掛かった…(^^;;;(発熱が凄いので、濡れたウェスで切断部を冷やしつつ慎重に作業した性もあるが。)

 切り出したリヤアクスル用棒材の長さは、33cm。 そして、これを旋盤に咥えようとして又してもサイズが問題になった!

  先にも述べた様に心間360mmのミニ旋盤では、33cmの棒材は正にギリギリのサイズで、写真右側の心押し台がベッドからはみ出しているのが分ると思 う。 これでは削る事はできても穴開けは無理だ!(もう1サイズ大きな、心間500mmの旋盤にすべきだったな…(;_;))

 Fアクスルと違ってRアクスルは形状が単純なので、後はひたすら単調な削り作業の繰り返し… φ30mm→φ20mmへの削りを30cmにも渡ってやらなきゃならん訳だが、こりゃ明日中には終わらんな〜…(16日の日曜日は出勤で宿直。)


 1998/08/15

 Fアクスルを造った時のノウハウがあると流石に作業が速く進み、一日でφ23mmにまで削り込めた。 これなら来週末にはできるだろう。 でも、 手間と根気のいる大変な作業なんで、スイングアームピボットシャフトを造る時には、φ30mmとφ20mmの棒材を組み合わせる事を考えてみるつもり。


 1998/08/22

  全体をφ20mmまで削り終わって、後は六角頭とネジ部を造るだけ! 下のノーマルRアクスルが、610gなんだけど、対する上のチタンシャフトは今の状 態で500g丁度! でも、Fアクスルと違って形状が単純だし、それに長過ぎてミニ旋盤では穴空けができないしで、肉抜きをする部分がみつからない…(; _;) って、こりゃイイとこ150gの軽量化かな…?


 1998/08/23

 ほぼ完成した、Rアクスルシャフト。 重量は、430g!!(後、左端の六角頭ができてないんで、最終的に425gは行けそうだな。)

 で、今更言っても遅いんだけど、φ20mmチタン棒の両端にネジを切って、両側からナットを噛ます様にすりゃ良かったよ〜な気が…(^^;;;


 1998/08/25

 宿直明けの午後を使ってやっと完成し、早速取り付けてみたチタンRアクスルシャフト! …なんだけど、見事なまでにノーマルとの差が分らん…(^^;;; ま、人生なんてこんなもんさ。

 材料費が約1万円、作業時間が約30時間。 時給1千円として合計40000円で180gの軽量化! Fアクスルと比べりゃカナリ割が良くなったな。

 でも、流石に疲れた。 スイングアームピボットシャフトは来年にすっかな〜…