当院発刊の書籍の紹介

 当院住職平賀康雄は、地元松田町の文化財保護委員の一員として当地及び近隣の歴史、民俗関係の仕事に携わるかたわら、その方面の書籍を今までにも数点刊行しておりますが、過般平成23年11月1日「西相模の碑文を探る」という著作を発刊いたしました。
この書物はその題名が示す通り、著者の住む松田町近隣である西相模(ここでは足柄上下両郡、小田原市、秦野市、更にはその周辺や一部県外にも及ぶ地域を含む)に散在して残る宗教的石造物を探訪し、その中で著者なりに感じ入った碑文に焦点を当て、誰にもわかり易く理解できるよう解説を試みたものであります。
これまで全国の都道府県及び市町村単位または特定の地域単位で各種の歴史的石造物(石仏、石神、石塔、石碑、石柱他)等について様々解説を施した書物はかなりの数出版されています。しかしながらそれら石造物に刻まれた様々の種類の碑文についてその読み方、読み癖、解読法について懇切丁寧に説明したものはいかにしても少なく、扱っている範囲もごく限られている感がありました。本書はその辺の間隙を埋めるべく、著者の長年にわたる個人的な疑問や関心から焦点を当てたものであります。
「西相模の碑文を探る」の具体的な刊行意義については本書の序文の中で「…(中略)本書のような内容のものをまとめるに至ったのは、どうしても筆者が禅寺の徒弟として生まれ育ち、拙寺境内や地元村内にある種々の石碑類に刻まれた文字や古文書類を折々目にするにつけ、何か親しく訴えかけるものを感じ、関心、疑問を抱かざるを得なかったことに発する。それらに刻まれている文字の中には通常の辞典などには載っていない不可思議な字体のものがあったし、中高生くらいの知識ではたちうち出来ないような読み方のものがしばしばあった。いわゆる異体字、お家流等くずし字、変体仮名、漢文及び「日本漢文」という変則的な読み方、種字(梵字)等々である。これらのことが少しずつ分かり始めると、それら石造物のそこに建つ意味が諒解され、その存在感が増大し、未解明の事物の謎解きのような面白さが次々と展開していく。刻まれる文字の内容としてはそれらの石碑、塔、神仏等の名称、その石造物の建立意義、由来、寄進者名、揮毫者名、建立年代(元号、干支)等がある。本書には最小限の代表的な石造物(石碑、石塔、石神、石仏)の類を載せた。石仏の代表とも言うべき地蔵、観音(特に馬頭観音)を載せていないのはその数量が膨大であるとともに、刻字例が少ないことにもよる。本書は石造物そのものの解説をも心懸けてはいるが、それを主眼としたものではなく、そもそもタイトルの示す通り、それらに刻まれた碑文の読み解きを意図した性格のものであることをご了承されたい…」と書いてある通りです。
また具体的な項目としては次ぎに掲げた目次の通りです。



「西相模の碑文を探る」

   序文(平賀康雄)、  発刊に寄せて(岸達志)
1、 葷(くん)酒(しゅ)山門に入るを許さず…「禁(きん)牌(ぱい)(石)」考
2、 流行(はやり)神(がみ)のナムアミダブツ…「唯(ゆい)念(ねん)・徳(とく)本(ほん)名号(みょうごう)碑(ひ)」考
3、 寺子屋師匠の供養塔…「筆子(ふでこ)塚(づか)」(」)考
4、 かつて英霊と称(たた)えらりし時あり…「忠魂碑」考
5、 神仏詣での道しるべ…「いにしえの道標」考
6、 浅間信仰の語り部…「富士講碑」考
7、 昨今、路傍の神の嘆きを察するに…「道祖神」考
8、 お日待ちの神の代表格、今は形骸のみあり…「庚申塔」考
9、 最長寿の歴史の語り部…「その他の石造物」考

A5版、全162ページ、文章に加え、50数点のカラー写真と40数点の著者手書きの稚拙な説明図入りの装丁、頒価1500円(税込み) となっています。
※購入方法としては小田原市、足柄上下郡下、秦野市の主要書店でお買い求めいただくか、直接著者(神奈川県足柄上郡松田町寄1781福昌院、平賀康雄、電話0465−89−2535)までご連絡下さい。


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