仏像木版画制作手順

仏像作品制作手順


 仏像シリーズの木版画は下のように6枚〜7枚の版木を彫り、それらを摺り合わせたものです。微妙な濃度の違いを各版ごとに表現するために、どこを彫るのかにかなりの神経を使う作業となります。ヨーロッパシリーズでは各版の色が多少ずれても、かえってそれが作品としてプラスとなり、重ね合わせの精度に神経をあまり使う必要性がありませんが、この仏像シリーズでは各版の重ね合わせのずれは後半になればなるほど致命傷になります。そのためどこを彫るか残すかには相当の神経を使い、それだけ作品の仕上げに時間がかかります。葉書サイズであるため作業も細かく、笛吹き童子のような作品では、1つの版を彫るのに2、3日かかり、作品1枚当たりにかかる総時間は延べ時間で40〜50分かかっています。
 また各版ごとの微妙な色の違いも作品の出来不出来を左右し、どの段階でどの色にするかはこれまでの経験と勘で行っていますが、毎回なかなか思うような仕上がりにならないことが多いです。彫りと色のバランスで全体の出来が左右されます。

1版目2版目3版目4版目5版目6版目
 1〜2版合せ摺1〜3版合せ摺1〜4版合せ摺1〜5版合せ摺1〜6版(完成)
右は上の各版を順
次摺り合わせてい
く過程を示したも
のです


ホームページへ戻る