林昌寺(松本市) 石仏十一面観音像



高嶋文彦(彫刻家)

   本年4月、私のこのホームページをご覧になった方より、石の彫刻家高嶋文彦氏の石仏十一面観音像が、長野県安曇野市三郷の瑠璃光寺と松本市の林昌寺にあり、これを版画にして欲しい旨の依頼がメールで入った。
 高嶋さんのことは当初全く存じ上げていなかったが、依頼者のお話や、インターネットで調べ、すばらしい作品を数多く残されていることを知った。高嶋さんの石仏はこの2体のみとのこと。早速、5月の連休を利用して両寺の石仏と、安曇野に残された作品を幾つか見に行った。高嶋さんの石仏以外の作品はいずれも大変詩情豊かで、メルヘンを感じさせるすばらしい作品であった。まさに「石の詩人」といえるような作品であった。
 高嶋氏の他の作品とは異質に感ずるこの2体の石仏ではあるが、両寺にある十一面観音を見比べると、林昌寺の方が一回り小さく細身で、柔和で個人的には親しみが感じられ、こちらを今回の作品として取りあげた。
 実際の作品は寺院の坪庭に安置されているが、色付けに際しては、寺院の暗い室内のわずかな光の中に浮かび出る仏様の表情を、じっと目をこらして見、そこにその仏像の持つ精神性を感じとるようなそんなイメージで、あえて周囲とのコントラストを押さえた(この写真ではややコントラストと明るさを上げてある)。
 石仏のため細かい彫刻が成されておらず、線の曖昧なところもありやや版画にするのに苦労した面もあった。ともあれ、今回も版画としての作品の出来には不満も残ってしまった。せめて、高嶋氏の作品に込めた精神性の一端が表現できていれば幸いである。

W21 × H32.5 (p)


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